訪問看護の入退院時医療連携 完全ガイド【2026年版・退院時共同指導/支援指導加算/情報共有シート】

📅公開日:2026-09-19

※本記事には広告(PR)が含まれます。mitoru編集部は公開情報を整理して比較・解説しており、表示順位や評価は広告主からの依頼ではなく編集部の独自判断によります。

訪問看護の利用者が病院に入院し、また在宅に戻ってくる場面では、入院前の情報提供、入院中の関係継続、退院前後の共同指導という一連の連携が途切れると、在宅療養の再開がスムーズに進まず、状態悪化や再入院につながることがあります。本記事は厚生労働省の公開情報を踏まえ、訪問看護ステーションが担う入退院時の医療連携について、入院時情報提供(訪問看護情報提供療養費)、退院時共同指導加算、退院支援指導加算という3つの評価の位置づけと、入退院支援室・主治医との連携、看護サマリー・情報共有シートの作成、家族への説明、服薬情報の引き継ぎ、看護小規模多機能型居宅介護(看多機)やレスパイト、在宅療養支援診療所との連携までを整理します。個別の算定要件・様式・法令解釈は、管轄の地方厚生局・都道府県介護保険担当課・顧問社会保険労務士等の専門家にご確認ください。

この記事でわかること

  • 訪問看護における入退院時医療連携の全体像と、連携が途切れやすいポイント
  • 入院時の情報提供の仕組みと、看護サマリー作成の実務
  • 入院期間中の関係継続——主治医・病棟看護師とのコミュニケーションの取り方
  • 退院時共同指導加算の位置づけと、カンファレンスの進め方
  • 退院支援指導加算の仕組みと、病院の入退院支援室(地域連携室)との窓口づくり
  • 情報共有シートの標準項目と、服薬情報(持参薬・お薬手帳)の引き継ぎ
  • 家族への説明のポイントと、在宅療養再開に向けた環境調整
  • 看多機・レスパイトの活用と、在宅療養支援診療所との連携体制

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1. 訪問看護における入退院時医療連携の全体像

1-1. 入退院時医療連携とは何か

入退院時医療連携とは、訪問看護の利用者が病院に入院する場面、入院期間中、そして退院して在宅療養を再開する場面のそれぞれで、訪問看護ステーション・病院(入院医療機関)・主治医・ケアマネジャー・家族が情報と方針を共有し続ける一連の取り組みを指します。医療保険・介護保険の制度上は、入院時の情報提供、退院前の共同指導、退院後の訪問看護という3つの局面ごとに評価や実務が整理されていますが、利用者・家族の目線では「入院してから在宅に戻るまでの一続きの流れ」であり、どこか一か所でも情報が途切れると在宅療養の再開に支障が出ます(出典:厚生労働省「訪問看護」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000059190.html)。

1-2. 連携が途切れると起きやすい問題

入院時に訪問看護ステーションから病院へ在宅での生活状況が伝わらないと、入院中の治療方針が在宅復帰後の生活実態と合わないまま決まってしまうことがあります。反対に、退院時に病院から訪問看護ステーションへ入院中の治療経過・服薬内容・ADL(日常生活動作)の変化が十分に伝わらないと、退院直後の訪問で状態把握からやり直すことになり、在宅療養の再開が遅れます。こうした情報の断絶を防ぐことが、入退院時医療連携の目的です。医療保険の訪問看護療養費・診療報酬、介護保険の訪問看護費のそれぞれに、入退院時の連携を評価する仕組みが設けられています。

2. 入院時の情報提供——看護サマリー作成と訪問看護情報提供療養費

2-1. 看護サマリーに記載すべき項目

利用者が入院することが決まった際、訪問看護ステーションが入院先の医療機関に提供する看護サマリー(看護情報提供書)は、在宅での治療方針決定を左右する重要な書類です。基本情報(傷病名・介護度・障害高齢者の日常生活自立度等)に加え、日常生活動作の状況、医療処置の内容(在宅酸素・カテーテル管理・褥瘡処置等)、服薬状況、家族構成と介護力、緊急時の連絡体制、本人・家族の意向(治療方針・看取りに関する希望等)を、簡潔かつ具体的に記載することが実務上のポイントです。書式は各ステーションで独自のものを用いることが多いため、地域の医療機関から求められる項目をあらかじめすり合わせておくと、入院時の情報提供がスムーズになります。

2-2. 訪問看護情報提供療養費と、ケアマネジャーの入院時情報連携加算

医療保険の訪問看護療養費には「訪問看護情報提供療養費」という区分があり、市町村等・学校等・医療機関等のいずれに情報提供したかにより1・2・3に分かれています。このうち、利用者が病院・診療所に入院・入所した際に、訪問看護ステーションが看護サマリー等で情報提供を行った場合に算定できるのが訪問看護情報提供療養費(Ⅲ)です。現場では「入院時情報提供」と呼ばれることもありますが、正式名称・算定要件・点数は診療報酬点数表および算定留意事項通知で確認する必要があります。あわせて、ケアマネジャーが担当する居宅介護支援費側には「入院時情報連携加算」があり、ケアマネジャーが利用者の入院後、病院に対して心身の状況・生活環境等の情報を提供した場合に算定される仕組みになっています。訪問看護ステーションは、看護サマリーの提供にあたってケアマネジャーとも情報を共有し、両者が把握している内容に食い違いが生じないよう調整することが実務上重要です(出典:厚生労働省「訪問看護療養費に係る指定訪問看護の費用の額の算定方法(告示)」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/iryouhoken15/index.html)。個別の算定項目の詳細は「訪問看護の医療機関連携加算 完全ガイド」でも整理しています。

3. 入院期間中の関係継続——主治医・病棟看護師とのコミュニケーション

3-1. 入院中も関係を切らない理由

利用者が入院すると、訪問看護ステーションによる訪問看護は原則として中断し、入院中の医療は病院側が担います。しかし、入院期間中に訪問看護ステーションと病院側との関係が完全に切れてしまうと、退院時に在宅での生活状況を踏まえた療養方針の調整が難しくなります。入院が長期化しそうな場合や、状態の変化が見込まれる場合には、病棟の看護師・入退院支援室の担当者に定期的に状況を確認し、退院時期の見込みや治療方針の変化を早めに把握しておくことが、退院準備を前倒しで進めるうえで有効です。特別訪問看護指示書が交付されていた利用者が再入院した場合など、指示書の有効期間や算定区分の切替にも注意が必要です。訪問看護指示書・主治医意見書の運用実務は「主治医意見書と訪問看護指示書の実務 完全ガイド」で詳しく解説しています。

3-2. 主治医(在宅療養担当医)との情報のすり合わせ

入院前に在宅で主治医を務めていた在宅療養支援診療所等の医師とも、入院中の治療経過を共有しておくことが望まれます。入院医療機関の主治医と、退院後に在宅療養を担当する主治医が異なる場合は、退院後の指示系統(訪問看護指示書の交付元)を早めに確認し、退院直後に指示書の空白期間が生じないよう調整します。主治医との連携運営の考え方は「訪問看護ステーションの主治医連携運営 完全ガイド」で整理しています。

4. 退院時共同指導——退院時共同指導加算の実務

退院時共同指導加算は、入院中の患者が退院後に在宅療養へ移行するにあたり、入院医療機関の医師・看護師等と、訪問看護ステーションの看護師等が共同で退院後の療養に必要な指導を行い、指導内容を文書で提供した場合に算定できる評価です。医療保険の訪問看護療養費・介護保険の訪問看護費のいずれにも同様の枠組みが設けられています。訪問看護ステーションが算定するには、退院前カンファレンス等に参加し、患者・家族に対して在宅療養上の留意点(服薬管理・処置手順・急変時の対応等)を病院側の職員と共同で説明し、その内容を記録・文書化することが求められます。カンファレンスの日時・参加者・指導内容は、返戻対応の根拠資料になるため、テンプレートを整備して記録することが実務上有効です。具体的な算定要件・記録項目は「訪問看護の医療機関連携加算 完全ガイド」で詳しく解説しています。

5. 退院支援指導加算と入退院支援室との連携

引き継ぎ

5-1. 退院支援指導加算の位置づけ

退院支援指導加算は、退院時共同指導とは別に、退院日または退院前後の一定期間内に訪問看護ステーションの看護師等が実際に訪問し、在宅療養に向けた指導を行った場合に算定される評価です。退院時共同指導加算がカンファレンス参加時の評価であるのに対し、退院支援指導加算は退院前後の訪問時の評価にあたり、それぞれ要件を満たせば別に算定される構造になっています。算定できる日数には限度が設けられており、状態により限度日数の扱いが異なる場合があるため、算定留意事項通知の最新版で確認することが必要です。

5-2. 病院の入退院支援室(地域連携室)との窓口づくり

多くの病院では、入退院支援加算の施設基準に基づき、入退院支援室(地域連携室・患者支援センター等の名称)が設置され、専従・専任の看護師や社会福祉士が退院支援業務を担っています。訪問看護ステーションにとっては、この入退院支援室が病院側の主要な連絡窓口となります。担当者の氏名・連絡先を事業所ごとに一覧化しておく、退院前カンファレンスの依頼様式を統一しておく、といった準備をしておくと、緊急の退院調整が入った場合にも対応しやすくなります。地域の病院ごとに入退院支援室の運用(連絡手段・対応時間帯・様式)が異なるため、日頃から顔の見える関係を築いておくことが実務上の近道です。

6. 情報共有シートと服薬情報の引き継ぎ

6-1. 情報共有シートの標準項目

入退院時の情報共有では、看護サマリーとは別に、病院・訪問看護ステーション・ケアマネジャーの間で共通して使える情報共有シートを整備しておくと、記載の抜け漏れを防ぎやすくなります。情報共有シートには、入院前後のADLの変化、医療処置・医療機器の有無、服薬内容の変更点、退院時の食事形態、リハビリテーションの状況、退院後に必要な福祉用具・住宅改修の見込み、家族の介護体制と不安な点などを整理して記載します。市区町村や地域の医師会が、地域連携用の情報共有シートの様式を公開している場合もあるため、独自様式を一から作る前に確認しておくとよいでしょう。

評価・書類主なタイミング主な役割
看護サマリー(入院時)入院決定時訪問看護ステーションから病院へ在宅での状況を提供
退院時共同指導加算退院前カンファレンス参加時病院職員と共同で在宅療養の指導を実施・文書提供
退院支援指導加算退院日・退院前後の訪問時退院に向けた在宅療養指導を訪問で実施
情報共有シート退院前〜退院直後ADL・服薬・家族状況等を多職種で共有

6-2. 服薬情報(持参薬・お薬手帳)の引き継ぎ

服薬内容は入院を機に変更されることが多く、退院後の在宅療養で最も確認漏れが起きやすいポイントのひとつです。退院時には、退院時処方の内容、入院前から継続している薬との重複・中止の有無、一包化の要否、お薬手帳への反映状況を確認します。持参薬確認の実務、多剤併用(ポリファーマシー)対策、家族との服薬管理の分担については「訪問看護の薬剤管理・持参薬確認 完全ガイド」で詳しく解説しています。退院後の初回訪問では、実際に自宅にある薬を利用者・家族と一緒に確認し、退院時の処方内容と突き合わせる作業を優先することが、誤薬や飲み忘れの防止につながります。

7. 家族への説明と在宅療養再開の準備

7-1. 家族への説明で押さえておきたいポイント

退院前カンファレンスや退院時共同指導の場では、専門職同士の情報共有だけでなく、家族が在宅療養のイメージを具体的に持てるよう説明することが欠かせません。医療処置の手技、緊急時の連絡先と対応の流れ、訪問看護・訪問診療の頻度、介護保険サービスの利用予定などを、専門用語を避けてかみ砕いて説明し、家族の不安な点を事前に聞き取っておくことが、退院後の初回訪問をスムーズにします。家族の介護負担が大きいと見込まれる場合は、退院前の段階でケアマネジャーと共有し、介護サービスの追加調整を早めに検討します。

7-2. 在宅療養再開に向けた環境調整

退院後の在宅療養をスムーズに再開するには、ベッド・手すり等の福祉用具の準備、住宅改修が必要な場合の工事日程調整、酸素濃縮器等の医療機器の搬入手配を、退院日に間に合うよう逆算して進める必要があります。ケアマネジャーが中心となって調整することが多いものの、訪問看護ステーションからも、入院中に把握した医療処置・ADLの情報をもとに、必要な物品や環境の変化を具体的に伝えることで、調整の精度が上がります。利用開始時の対象者要件・契約実務の全体像は「訪問看護の対象者要件・利用開始フロー 完全ガイド」で整理しています。

8. 看多機・レスパイト連携と在宅療養支援診療所との連携体制

ハート=ケア

8-1. 看護小規模多機能型居宅介護(看多機)・レスパイトの活用

退院直後は状態が不安定になりやすく、家族の介護負担も一時的に高まる時期です。看護小規模多機能型居宅介護(看多機)は、訪問看護・訪問介護・通い・泊まりを一体的に提供できるサービスで、退院直後の集中的なケアや、家族の休息(レスパイト)を目的とした短期的な宿泊利用に活用できます。訪問看護ステーションが看多機を併設・運営している場合は、退院前カンファレンスの段階で看多機の利用を選択肢として提示できるよう、空き状況や受け入れ体制を確認しておくとよいでしょう。看多機との連携の考え方は「訪問看護と看護小規模多機能型居宅介護(看多機)連携 完全ガイド」で詳しく解説しています。

8-2. 在宅療養支援診療所(在支診)との連携体制

退院後、医療依存度の高い状態が続く利用者では、24時間対応が可能な在宅療養支援診療所(在支診)との連携が在宅療養継続の土台になります。退院前カンファレンスの段階で、退院後の主治医を在支診に依頼するかどうかを整理し、訪問診療の頻度、急変時の往診対応、看取りへの対応方針などをあらかじめすり合わせておくことが望まれます。地域に在支診が複数ある場合は、利用者の状態・希望に合わせて紹介先を検討し、訪問看護ステーションが持つ在宅医療機関のネットワークを退院支援に活かすことが実務上のポイントです(出典:厚生労働省「地域包括ケアシステム」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/chiiki-houkatsu/index.html)。

9. よくある質問(FAQ)

Q1. 利用者が入院した場合、訪問看護ステーションは何をすればよいですか
入院先の医療機関に看護サマリー等で在宅での生活状況・医療処置の内容・服薬情報を提供することが基本です。医療保険の訪問看護情報提供療養費(Ⅲ)にあたる情報提供の枠組みがあり、あわせてケアマネジャーとも情報を共有し、入院中の状況確認を定期的に行う体制を整えます。
Q2. 退院時共同指導加算と退院支援指導加算はどう違いますか
退院時共同指導加算は退院前カンファレンス等に参加し、病院職員と共同で在宅療養の指導を行った場合の評価です。退院支援指導加算は、退院日または退院前後の一定期間内に訪問看護ステーションが実際に訪問して指導を行った場合の評価で、算定タイミングが異なります。要件を満たせばそれぞれ別に算定される構造です。
Q3. 退院前カンファレンスにはどのタイミングで参加を依頼すればよいですか
退院時期の見込みが立った時点で、病院の入退院支援室(地域連携室)を通じて日程調整を依頼するのが一般的です。退院直前の依頼では準備が間に合わないことがあるため、入院期間中の関係継続を通じて退院時期の見込みを早めに把握し、余裕を持って参加調整をすることが望まれます。
Q4. 服薬情報の引き継ぎで特に注意すべき点は何ですか
入院を機に薬が変更・中止・追加されることが多いため、退院時処方の内容と入院前から継続している薬を突き合わせ、重複や飲み合わせの問題がないか確認することが重要です。お薬手帳・一包化の状況もあわせて確認し、退院後の初回訪問で実際の自宅の薬と照合します。
Q5. 退院直後に家族の介護負担が大きい場合、どのような選択肢がありますか
看護小規模多機能型居宅介護(看多機)の宿泊機能を活用したレスパイトや、ケアマネジャーによる訪問介護・短期入所の追加調整が選択肢になります。退院前カンファレンスの段階で家族の不安や介護体制を確認し、必要な調整を退院前から始めておくことで、退院直後の負担集中を避けやすくなります。

10. まとめ——入退院時医療連携チェックリスト

  • 入院時に看護サマリー等で在宅の状況を病院に提供できているか
  • 訪問看護情報提供療養費・ケアマネジャーの入院時情報連携加算の位置づけを理解しているか
  • 入院期間中も病棟看護師・入退院支援室との関係を継続できているか
  • 退院時共同指導加算の要件(共同指導・文書提供・記録)を満たせているか
  • 退院支援指導加算のタイミング(退院日・退院前後の訪問)を押さえているか
  • 病院の入退院支援室との窓口・連絡手段を把握しているか
  • 情報共有シートで多職種の情報を一元化できているか
  • 服薬情報(持参薬・お薬手帳)の突き合わせを退院後の初回訪問で行っているか
  • 家族への説明と在宅療養再開に向けた環境調整を退院前から進められているか
  • 看多機・レスパイト・在宅療養支援診療所との連携先を退院前に検討できているか

訪問看護における入退院時医療連携は、入院時の情報提供、入院期間中の関係継続、退院前後の共同指導・訪問という一連の流れをつなぎ続けることで成り立ちます。どの局面も、病院の入退院支援室・主治医・ケアマネジャー・家族との情報共有が土台になるため、日頃から関係機関との連絡体制を整えておくことが実務上の近道です。算定要件・様式・点数の詳細は改定のたびに見直されるため、最新情報は厚生労働省・地方厚生局の公表資料でご確認ください。個別の判断は管轄の地方厚生局・都道府県介護保険担当課・顧問社会保険労務士等の専門家にご相談ください。

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