病院の採用予算配分・リクルーティング投資設計 完全ガイド【2026年版・職種別配分/CPH/採用力】

📅公開日:2026-10-02

※本記事には広告(PR)が含まれます。mitoru編集部は公開情報を整理して比較・解説しており、表示順位や評価は広告主からの依頼ではなく編集部の独自判断によります。

病院の採用費は、求人媒体費・紹介会社手数料・説明会の出展費・採用広報費などが別々の担当者のもとで積み上がり、年間の総額と採用1人あたりの費用を把握できていない病院が少なくありません。本記事は、採用予算を人件費比率で枠取りし、職種別・チャネル別に配分して、CPH(採用コスト÷採用人数)で効果を測る流れを、厚生労働省・e-Gov法令検索等の公開情報をもとに整理しました。

この記事の対象読者:病院の院長・事務長・人事担当・看護部長・医局長など、年間の採用予算の策定やチャネルの見直しに関わる担当者。

この記事でわかること

  • 採用コストを外部コストと内部コストに分けて把握する方法
  • 年間採用予算を人件費の2〜5%で枠取りする考え方と試算例
  • 医師・看護師・コメディカル・事務の職種別配分
  • 求人媒体・紹介会社・合同説明会・採用動画・採用ホームページの費用設計
  • 内定者フォロー費用と採用担当者人件費の見える化
  • 採用コスト削減策とCPHを軸にしたKPI運用

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1. 採用予算を設計する前提——採用コストの全体像

採用コストは、院外に支払う外部コストと、院内の時間として消費される内部コストに分けると漏れが減ります。外部コストは、求人媒体費・紹介会社手数料・説明会の出展費・動画やパンフレットの制作費・採用ホームページの制作改修費・内定者フォロー費などです。内部コストは、採用担当者の人件費と、面接官を務める医師・看護部長・師長・事務長の面接工数です。内部コストは予算書に現れにくく、採用費の過小評価につながります。

予算を決める前に、過去3年分の職種別の採用・退職人数、チャネル別の応募数・採用数・費用、入職後1年以内の離職状況、紹介会社との契約条件、人件費総額を集めておくと、配分の根拠を示せます。想定年収は厚生労働省「賃金構造基本統計調査」、入職・離職の動向は同「雇用動向調査」が参考になります(出典:厚生労働省「賃金構造基本統計調査」「雇用動向調査」)。離職の把握は病院の看護師離職率改善 完全ガイドで整理しています。

2. 年間採用予算の目安と算定の考え方(人件費の2〜5%)

年間採用予算は、人件費総額(給与・賞与・法定福利費など)の2〜5%程度を一つの目安に枠取りする考え方が、実務では見られます。この比率を定めた公的な基準はなく、規模・地域・職種構成・欠員状況で適正水準は変わるため、出発点として扱います。人件費総額が10億円なら、2%で2,000万円、3%で3,000万円、5%で5,000万円です。診療体制の拡充や欠員の長期化、紹介会社への依存が高い場合は上限寄り、定着が安定し自院のチャネルが機能している場合は下限寄りに置きます。給与水準は病院の給与体系完全ガイドを参照してください。

枠取り(トップダウン)だけでは採用計画と噛み合わず、採用人数×想定単価の積み上げ(ボトムアップ)だけでは際限なく膨らみます。両方で金額を出し、差が大きければ採用人数の優先順位とチャネルの組み合わせを見直します。想定単価は、自院の過去実績を職種別に集計して置きます。

コイン+上昇

3. 職種別の予算配分——医師・看護師・コメディカル・事務

配分は固定の比率ではなく、「採用予定人数」「採用の難易度」「欠員が運営に与える影響」で重み付けします。看護職員の欠員は看護配置や病棟運営に、医師の欠員は診療科の継続や救急の受け入れに直結するため、影響の大きい職種を優先します。採用人数が少なくても、1名の欠員が部門を止める専門職には一定の枠を確保します。

職種主なチャネル費用が膨らむ項目配分の考え方
医師大学医局・臨床研修・紹介会社紹介手数料(1名の金額が大きい)少数で高単価。大学・公的ルートで外部費用を抑える
看護師養成校・ナースセンター・ハローワーク・紹介会社求人媒体費・手数料(人数が多く総額が膨らむ)無料チャネルを先に使い、離職防止と併せて設計
コメディカル養成校・職能団体・ハローワーク少数採用で単価が上がりやすい欠員の影響が大きい職種を優先
事務ハローワーク・求人媒体・自院サイト求人媒体費単価は低め。業務内容の明示で応募の質を高める

医師は、大学医局の派遣、都道府県の医師確保の仕組み、臨床研修制度など、紹介会社以外のルートも複数あるため、洗い出してから紹介会社への配分を決めます(出典:厚生労働省「医師臨床研修制度」)。地方部は医師確保戦略 完全ガイド、定着は医師キャリア面談・タレントマネジメント 完全ガイドを参照してください。看護師は、ナースセンターが運営する無料職業紹介用サイトやハローワークの人材確保対策コーナーなど公的な無料チャネルを先に使い、紹介会社は補完に回します(出典:厚生労働省「看護職員確保対策」)。コメディカルは管理栄養士配置基準・採用戦略やMSW配置設計、事務は未経験からの医療事務求人の記事も参考になります。

試算例として、人件費総額10億円・予算率3%(3,000万円)の病院を仮定します。想定単価は説明用の仮置きで、相場や推奨額ではありません。

区分採用予定人数想定単価(仮定)小計
医師2名450万円900万円
看護師15名80万円1,200万円
コメディカル5名60万円300万円
事務3名25万円75万円
共通費(広報・HP改修・説明会・内定者フォロー)――525万円
合計25名―3,000万円

職種別の積み上げ2,475万円と共通費525万円で、枠の3,000万円に収まります。超える場合は、人数の優先順位と無料チャネルの比率を見直します。

4. 募集チャネル別の費用設計——求人媒体費・紹介会社手数料・合同説明会

4-1. 求人媒体費

ハローワークは職業安定法に基づき職業紹介などを無料で行う機関で、医療・介護・保育分野の人材確保対策コーナーでは、求人票作成の助言や合同就職面接会・事業所説明会・職場見学会などの支援も行っています(出典:e-Gov法令検索「職業安定法」、厚生労働省「ハローワークの人材確保対策コーナーにおけるマッチング支援」)。民間の求人媒体は掲載課金型・成果課金型など課金方式が異なるため、掲載料の高低ではなく、応募1件あたり・採用1人あたりの費用で比較します。求人票や自院サイトでの募集は労働条件の明示が必要で、虚偽や誇大な内容は認められません(出典:厚生労働省「労働者を募集する企業の皆様へ(職業安定法の改正)」)。

4-2. 紹介会社手数料

紹介手数料は想定年収×手数料率で算定されるのが一般的で、仮に想定年収600万円・手数料率20%なら120万円です。手数料率、早期退職時の返戻金の有無と期間、保証期間、再紹介の扱いは契約ごとに異なるため、契約書で確認します。有料職業紹介は職業安定法に基づく許可制です。会社別に採用人数・支払総額・1年後の定着状況を集計しておくと、契約の見直しに使えます。

4-3. 合同就職説明会の出展費

出展費は、出展料に加えて、ブースや資料の制作費、当日対応する職員の人件費、交通費まで含めて見ます。成果は来場者数ではなく、ブース訪問・見学申込・応募・採用の段階ごとに追い、説明会別に1名採用あたりの費用を比較します。ハローワーク主催のイベントは参加条件が開催所ごとに異なるため、管轄のハローワークに確認して併用します。

5. 採用広報・ブランディングへの投資——採用動画・採用HP・採用力

5-1. 採用動画制作

制作費は、企画・撮影・編集の範囲と出演者数で大きく変わります。見積りは範囲を分けて取り、職員インタビューや院内写真など院内で撮れる素材から小さく始め、「動画から応募に至った人数」で費用対効果を評価します。応募時に「何を見て応募したか」を聞くと追えます。実態と異なる印象はミスマッチの原因になるため、動画は実態と一致させます。留意点はクリニックの求人動画・SNS採用 完全ガイドが参考になります(病院にも当てはまる考え方です)。

5-2. 採用ホームページ改修

改修の優先順位は、①労働条件の分かりやすさ、②応募フォームとスマートフォン表示、③見学申込の導線、④教育体制・キャリアパスの掲載の順が、費用対効果を出しやすい進め方です。自院サイトでの募集も、求人票と同様に労働条件の明示が必要です。

5-3. 採用力ブランディング

理念・教育体制・働きやすさといった「選ばれる理由」を一貫して伝える取り組みで、成果が出るまで時間がかかります。予算を「単年度で成果を求める費用」と「数年かけて積み上げる費用」に分けて計上すると、削減の対象にされにくくなります。理念は基本理念・行動指針策定、発信の設計は医療機関のブランドマネジメントが参考になります。発信は実態に即した事実に限ります。

天秤の比較

6. 内定者フォロー費用と採用担当者人件費

内定辞退が出ると、それまでの掲載費・出展費・面接工数は回収できません。内定者フォローの費用は、職場見学や先輩職員との面談の運営費、懇親会、入職前研修、制服などの準備費が中心です。看護学生向けに修学資金を設ける病院もありますが、貸与と一定期間の勤務を結びつける場合は、返還免除の設計次第で労働基準法第16条(賠償予定の禁止)との関係が論点になるため、労働局や労働基準監督署の総合労働相談コーナーなど公的な窓口で確認します(出典:e-Gov法令検索「労働基準法」)。費用をかけずに、連絡の頻度を保ち、配属予定部署の師長との面談を設けるだけでも、辞退率の改善につながる場合があります。

採用担当者の人件費は、年間人件費に採用業務へ充てた時間の割合を掛けて算出します。面接官の工数は、1回の所要時間×面接官数×面接回数に時間単価を掛けます。応募者30名に1回1時間・面接官2名なら60時間分です。一次面接を事務部門と師長で行い、最終面接のみ幹部が出るなど、段取りで内部コストを調整できます。

7. 採用コスト削減策——費用を抑えながら応募の質を保つ

効果が出やすいのは、紹介会社への依存を下げて自院のチャネルを育てることです。ハローワーク、ナースセンター、自院サイト、職員紹介(リファラル)、退職者の再入職、実習生の受け入れが主な候補です。看護師等免許保持者の離職時の届出制度では、病院等の開設者が退職者に代わって届出ができ、離職後の復職支援につながります(出典:厚生労働省「看護師等免許保持者の届出制度」)。退職者の再入職は職員キャリア支援・転出時サポートで整理しています。

紹介会社とは、手数料率・返戻金・保証期間・契約社数を見直し、年間の採用人数の見込みを示して複数社を比較します。特定の職種だけを任せる使い分けも有効です。離職が出れば採用費が再び発生するため、勤務環境の改善で再採用コストを減らす視点も欠かせません。国の取り組みは厚生労働省「医療従事者の勤務環境の改善について」で確認できます(出典:同ページ)。採用・定着に関わる助成金は要件や期間が見直されるため、最新情報で確認してください(出典:厚生労働省「人材確保等支援助成金」)。整理は病院・医療機関の助成金活用 完全ガイドにあります。

棒グラフ上昇

8. CPH(採用コスト÷採用人数)をKPIにした投資効果の測定

CPH(Cost Per Hire)は、期間内の採用総コストを採用人数で割った1名あたりの費用です。分子に内部コストを含める場合と含めない場合があり、予算管理用は外部コストのみ、投資判断用は内部コスト込みと、2種類を併記するのが実務的です。外部コスト2,000万円・内部コスト400万円で20名を採用した場合、内部込みは120万円、外部のみは100万円です(仮定の数値)。職種別・チャネル別に出して初めて、見直す対象が見えてきます。併用したい指標は次のとおりです。

  • 応募単価:応募1件あたりの費用
  • 歩留まり:応募→面接→内定→入職の通過率
  • 内定承諾率:内定者のうち入職した割合
  • 定着者あたり採用コスト:採用総コスト÷1年後の在籍者数

CPHが低くても早期退職が相次げば、実質の費用は高くなります。1,000万円で10名を採用し2名が1年以内に退職すれば、定着者あたりは125万円(1,000万円÷8名)です(仮定の数値)。集計は表計算ソフトで足り、四半期ごとに更新して、CPHが高く定着率も低いチャネルの配分を減らし、CPHが低く定着率も高いチャネルに寄せます。

9. よくある質問(FAQ)

Q1. 採用予算は人件費の何%が適正ですか?
A. 2〜5%を目安にする考え方はありますが、公的な基準はなく、欠員の状況・拡充計画・定着率で変わります。まず過去3年の実績を集計し、自院の位置づけを判断します。
Q2. 紹介会社を使わずに採用できますか?
A. 職種や地域で難易度が異なり、一概にはいえません。無料・低コストのチャネルを先に使い、紹介会社を補完に回して依存度を下げる設計が現実的です。
Q3. 採用動画は作ったほうがよいですか?
A. 効果は目的と掲載先で変わります。院内の素材で小さく始め、応募につながった人数で評価してから、本格的な制作に進みます。
Q4. 採用担当者の人件費はCPHに含めますか?
A. どちらの方法も成り立ちます。毎年同じルールで集計し、外部コストのみと内部コスト込みを併記すると扱いやすくなります。
Q5. 予算が足りないとき、何から削りますか?
A. CPHが高く定着率も低いチャネルから減らします。ブランディングなどの長期投資は、単年度の費用と分けて判断します。

10. 次の1ステップ

まず「過去3年分の採用実績を、職種別・チャネル別に『採用人数・費用・1年後の在籍者数』の3項目で1枚の表にまとめる」ことから始めてください。現状が見えれば、予算の枠取り、職種別配分、紹介会社の契約見直し、広報投資の判断の優先順位が決まります。

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出典

以下はいずれも取得日:2026-10-02。

  1. 厚生労働省「賃金構造基本統計調査」 https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/chinginkouzou.html
  2. 厚生労働省「雇用動向調査」 https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/9-23-1.html
  3. 厚生労働省「医師臨床研修制度」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/rinsyo/index.html
  4. 厚生労働省「看護職員確保対策」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000095525.html
  5. 厚生労働省「看護師等免許保持者の届出制度」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000095486.html
  6. e-Gov法令検索「職業安定法」 https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000141
  7. 厚生労働省「ハローワークの人材確保対策コーナーにおけるマッチング支援」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188045.html
  8. 厚生労働省「労働者を募集する企業の皆様へ(職業安定法の改正)」 https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11600000-Shokugyouanteikyoku/0000171017_1.pdf
  9. e-Gov法令検索「労働基準法」 https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000049
  10. 厚生労働省「医療従事者の勤務環境の改善について」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/quality/
  11. 厚生労働省「人材確保等支援助成金」 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_07843.html

免責事項

本記事は厚生労働省・e-Gov法令検索等の公開情報を整理した一般的な情報です。予算比率・手数料・各種費用・試算例およびCPHの数値は説明用の目安・仮定であり、個別の病院の予算額や契約条件を示すものではありません。労働条件の明示、修学資金の貸与、職業紹介事業の利用、助成金の申請は、労働局・ハローワーク等の窓口に個別にご確認ください。制度は改定されることがあるため、実務適用時は最新情報をご確認ください。記載内容は2026-10-02時点の情報に基づきます。

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