訪問看護システム(訪問看護記録ソフト)は、訪問看護ステーション・在宅医療機関の業務効率化に不可欠なツールです。訪問記録、ケアプラン管理、多職種連携、レセプト請求、LIFE提出までを一元管理し、限られたスタッフリソースで質の高いケアを実現する基盤になります。本記事では、主要12製品を 提供形態・対応規模・主要機能・モバイル対応・LIFE対応・連携機能 で完全比較。さらに 規模別の最適解、5段階の導入フロー、5年TCO試算、失敗事例、15のFAQ まで網羅した、訪問看護システム選定の決定版ガイドです。
各製品の詳細・最新機能は公式サイトおよび資料請求にてご確認ください。本記事は2026年4月26日時点の公式公開情報を編集部が中立に整理したものです。
この記事で分かること(要約)
- 主要12製品の機能・料金・対応規模・モバイル対応の中立比較
- クラウド型/オンプレ型の選び分け基準
- LIFE対応・多職種連携・モバイル対応の確認ポイント
- 規模別(小~多店舗)の最適解
- 5段階の導入フローと初期データ準備
- 5年TCOの目安
- 失敗事例と回避策
1. 訪問看護システムの基本機能
訪問看護システムには、以下の基本機能が含まれます。製品により実装の深さ・連携範囲が異なります。
- 訪問記録:バイタル・観察事項・処置内容・所要時間の記録
- 計画書管理:訪問看護計画書・報告書の作成・管理
- スケジュール管理:スタッフ別訪問予定・調整
- レセプト請求:医療保険・介護保険の請求業務
- 多職種連携:医師・ケアマネ・薬剤師との情報共有
- LIFE対応:科学的介護情報システムへのデータ提出
- モバイル対応:訪問先でのスマホ・タブレット入力
- オフライン対応:通信不安定環境での入力継続
- 請求書発行:利用者向け請求書の作成
- BCP対応:データバックアップ・災害時対応
2. 訪問看護システム選定の10基準
- 提供形態:クラウド型/オンプレ型/ハイブリッド
- モバイル対応:iPad/Android/オフライン入力
- レセプト機能:医療保険・介護保険・公費対応
- LIFE対応:データ提出形式・自動化範囲
- 多職種連携:医師・ケアマネ・薬剤師との連携機能
- スケジュール調整:複数スタッフ・複数利用者管理
- 記録テンプレート:状態別・処置別の入力支援
- 料金体系:月額/ID課金/訪問件数課金
- サポート体制:レセプト時期の対応・夜間対応
- 移行・拡張性:データエクスポート・他システム連携
3. 主要12製品 比較一覧
3-1. 基本情報
| 製品名 | 提供形態 | 主な対象 | モバイル対応 |
|---|---|---|---|
| カイポケ | クラウド | 訪問看護・介護全般 | iPad/Android |
| ワイズマン | オンプレ/クラウド | 中~大規模 | あり |
| ケアコラボ | クラウド | 多職種連携重視 | iPad/Android |
| ナーシングネットプラスワン | クラウド | 訪問看護特化 | iPad/Android |
| iBow | クラウド | 訪問看護特化 | iPad対応 |
| ホスピア | クラウド | 訪問看護・在宅医療 | あり |
| ファーストケア(在宅版) | クラウド | 訪問看護・介護 | iPad/Android |
| カナミック | クラウド | 地域連携重視 | iPad/Android |
| ほのぼの | オンプレ/クラウド | 介護全般 | あり |
| レセプト博士(看護版) | パッケージ | レセプト業務重視 | - |
| カイポケ(介護記録) | クラウド | 介護記録特化 | iPad/Android |
| サミット訪問看護 | クラウド | 訪問看護特化 | iPad/Android |
3-2. 機能対応マトリクス
| 製品名 | レセプト | LIFE対応 | 多職種連携 | オフライン入力 |
|---|---|---|---|---|
| カイポケ | 医療/介護 | 対応 | あり | 対応 |
| ワイズマン | 医療/介護 | 対応 | あり | 対応 |
| ケアコラボ | - | 対応 | 強い | 対応 |
| ナーシングネットプラスワン | 医療 | 対応 | あり | 対応 |
| iBow | 医療 | 対応 | あり | 対応 |
| ホスピア | 医療/介護 | 対応 | あり | 対応 |
| ファーストケア | 医療/介護 | 対応 | あり | 対応 |
| カナミック | 医療/介護 | 対応 | 強い | 対応 |
| ほのぼの | 医療/介護 | 対応 | あり | 製品による |
| レセプト博士 | 医療/介護 | 製品による | - | - |
| サミット訪問看護 | 医療 | 対応 | あり | 対応 |

4. 製品別 詳細解説(12製品)

4-1. カイポケ
株式会社エス・エム・エスが提供するクラウド型介護・訪問看護システム。介護・医療の幅広い業態に対応し、レセプト業務から記録・スケジュール・多職種連携まで一元管理可能。iPad/Android対応で訪問先からのリアルタイム入力に対応。
強み:業態カバー範囲、サポート体制、ユーザー数の多さ。留意点:機能が広いため、必要機能の絞り込みが重要。
4-2. ワイズマン
株式会社ワイズマンが提供する介護・医療向けシステム。中~大規模事業所での導入実績が多く、堅牢性とサポート体制に定評があります。オンプレ/クラウドの選択肢があり、運用形態に合わせた選定が可能。
強み:中~大規模対応、長期実績、サポート品質。留意点:小規模事業所には機能オーバースペックの可能性。
4-3. ケアコラボ
多職種連携に特化した記録共有プラットフォーム。医師・ケアマネ・薬剤師・訪問看護スタッフ間でリアルタイム情報共有が可能。記録・連携機能に特化しており、レセプト機能は別システムと組み合わせる運用が前提。
強み:多職種連携の深さ、UI/UXの使いやすさ。留意点:レセプト機能は別途必要。
4-4. ナーシングネットプラスワン
訪問看護に特化したクラウドシステム。訪問看護ステーション特有の業務(医療保険レセプト・公費対応・指示書管理)を深く実装。iPad/Android対応で訪問先からの入力に強み。
強み:訪問看護特化、レセプト機能の深さ。留意点:介護のみの事業所には機能過剰。
4-5. iBow
訪問看護に特化したクラウドシステム。レセプト・記録・スケジュール・スタッフ管理を一元化。iPad対応で訪問先からの記録入力が容易。
強み:訪問看護特化、iPad対応の使いやすさ。留意点:Android対応や他デバイス対応は要確認。
4-6. ホスピア
訪問看護・在宅医療向けクラウドシステム。医療機関と訪問看護ステーションの連携を意識した設計。スケジュール管理・記録・連携機能のバランスが良い。
強み:医療機関連携、バランスの良い機能セット。留意点:料金体系を要問合せ。
4-7. ファーストケア(在宅版)
株式会社ビーシステムの介護・在宅向けシステム。訪問看護・通所・居宅介護支援等の幅広い業態に対応。iPad/Android対応で柔軟な運用。
強み:多業態対応、モバイル対応。留意点:業態ごとの機能差を確認。
4-8. カナミック
カナミックネットワーク社のクラウドシステム。地域連携プラットフォームとしての性格が強く、医療機関・介護事業者・地域包括支援センターとの広域連携に強み。
強み:地域連携、地域包括ケアシステムへの適合。留意点:連携先施設の参画状況を要確認。
4-9. ほのぼの
NDソフトウェアの介護向けシステム。長年の実績と幅広い業態対応が特徴。オンプレ/クラウドの両形態が選択可能。
強み:実績、業態カバー範囲。留意点:製品ラインが多いため、業態に応じた版の選定が重要。
4-10. レセプト博士(看護版)
レセプト業務を中心とした業務支援パッケージ。レセプト精度を重視する事業所向け。記録・連携機能は別システムとの組み合わせを前提とする場合が多い。
強み:レセプト機能の深さ。留意点:記録・連携機能は別途必要。
4-11. カイポケ(介護記録特化)
カイポケの介護記録特化版。介護記録の入力負荷軽減を重視した設計。iPad/Android対応。
4-12. サミット訪問看護
訪問看護に特化したクラウドシステム。レセプト・記録・スケジュールの基本機能をカバー。iPad/Android対応で訪問先入力に対応。
5. 規模別ガイド(4段階)
5-1. 開設準備中・小規模(看護師1〜5名)
初期費用を抑えたクラウド型が現実的。iBow、ナーシングネットプラスワン、カイポケ あたりから機能要件で絞り込み。
5-2. 中規模(看護師6〜15名)
レセプト効率と多職種連携の両立が重要。カイポケ、ホスピア、ファーストケア、ナーシングネットプラスワン が候補。
5-3. 大規模(看護師16名以上)
堅牢性・セキュリティ・運用安定性が重要。ワイズマン、ほのぼの、カイポケ など実績豊富な製品を中心に検討。
5-4. 多店舗・地域連携重視
地域包括ケア・他事業所連携に強い カナミック、ケアコラボ が選択肢に。連携先の事業所環境を含めた検討が重要。
6. 5段階の導入フロー
STEP 1: 現状業務の棚卸し
- 現状のレセプト業務の所要時間
- 記録の入力タイミング(訪問中/帰所後)
- 多職種連携の頻度・媒体(電話/FAX/対面)
- 事業所内のIT環境(PC・タブレット・通信)
STEP 2: 必要機能の優先度付け
- 必須:レセプト・記録・スケジュール
- 重要:モバイル対応・LIFE対応
- あると良い:多職種連携・電子サイン
STEP 3: 3製品のショートリスト&相見積
必須機能を満たす3製品を選び、相見積を取得。デモは必ず体験してください。
STEP 4: 契約・導入準備
- 利用者・スタッフマスタ整備
- サービスコード・加算マスタ確認
- 初期データ登録
- iPad等のデバイス手配・キッティング
STEP 5: 稼働・並行運用
初月は紙との並行運用で、記録漏れ・レセプトエラーを早期発見。月次レビューで運用課題を抽出・改善。
7. 5年TCO試算
| 規模 | 初期費用 | 月額 | 5年累計 |
|---|---|---|---|
| 小規模(5名) | 0〜30万円 | 3〜8万円 | 180〜510万円 |
| 中規模(10名) | 30〜80万円 | 8〜15万円 | 510〜980万円 |
| 大規模(20名) | 50〜150万円 | 15〜30万円 | 950〜1,950万円 |

8. LIFE対応の重要性
LIFE(科学的介護情報システム)は、介護報酬の科学的介護推進体制加算等の算定要件に関わる仕組みです。データ提出の手間が現場負担にならないよう、システム側で LIFE提出フォーマット自動生成 ができるかが重要な選定ポイントになります。
詳細は 厚生労働省「LIFE(科学的介護情報システム)」 をご確認ください。
9. 失敗事例集
- 事例1:訪問先の通信圏外 — オフライン入力非対応の製品で記録ができず、帰所後再入力に。対策:オフライン対応を必須要件に。
- 事例2:iPad未対応 — Android専用デバイスで現場の使い勝手が悪化。対策:事業所のデバイス方針を先に決定。
- 事例3:レセプト時期のサポート不足 — 月初のレセプト時期に問い合わせが繋がらず。対策:サポート体制を契約前確認。
- 事例4:LIFE対応の遅れ — 加算算定に必要な提出形式に未対応。対策:LIFE提出形式の対応を確認。
- 事例5:データ移行で詰まる — 旧システムからのエクスポート不可。対策:移行可否を契約前に確認。
10. ベンダー質問リスト(15項目)
- 初期費用・月額費用の内訳は?
- 月額はID課金/訪問件数課金/定額のどれか?
- 最低契約期間・解約条件は?
- iPad/Android対応の有無は?
- オフライン入力に対応しているか?
- LIFE提出形式に自動対応しているか?
- 医療保険/介護保険のレセプト対応範囲は?
- 多職種連携機能の連携先・形式は?
- レセプト時期のサポート体制は?
- 夜間・休日のサポート対応は?
- データバックアップ頻度・保管期間は?
- データエクスポート可能形式は?
- 3省2ガイドライン準拠状況は?
- 導入支援・教育プログラムの内容は?
- 同規模事業所での導入実績は?
11. よくある質問(FAQ 15問)
Q1. 訪問看護システムは必須ですか?
A. 法定義務ではありませんが、レセプト業務効率化・多職種連携・記録の正確性確保のため、ほぼ全ての訪問看護ステーションが導入しています。
Q2. クラウド型とオンプレ型どちらが良いですか?
A. 訪問先での記録入力にモバイル対応が重要なため、クラウド型が主流です。オフライン対応の有無も確認ポイント。
Q3. LIFE提出には対応していますか?
A. 主要製品はLIFE提出に対応していますが、対応範囲・形式は製品により異なります。詳細は公式に確認を。
Q4. スタッフのスマホで使えますか?
A. 主要クラウド型製品はスマホ・タブレット対応です。iPad対応・Android対応の有無を導入前に確認してください。
Q5. オフライン環境でも入力できますか?
A. 製品により異なります。訪問先の通信環境を考慮し、オフライン対応の有無を確認してください。
Q6. 多職種連携機能はありますか?
A. 医師・ケアマネ・薬剤師等とのリアルタイム情報共有機能を持つ製品が増えています。連携先の事業所環境を含めて検討を。
Q7. 月額料金の相場は?
A. 5名規模で月額3〜8万円、10名規模で月額8〜15万円、20名規模で月額15〜30万円が一般的目安です。
Q8. 介護記録と訪問看護記録は同じシステムでできますか?
A. 多くの製品は両対応していますが、業態に特化した製品も存在します。事業所の業態構成に応じて選定を。
Q9. レセプト業務はどれくらい簡単になりますか?
A. システム導入で月次レセプト業務時間が大幅短縮された事例が多いです。実際の効果は事業所運用と機能の活用度に依存します。
Q10. 導入期間はどれくらいかかりますか?
A. 小規模で1〜2ヶ月、中規模で2〜3ヶ月が一般的目安です。利用者マスタ・サービスコードマスタの整備に時間が必要。
Q11. データのバックアップはどうなっていますか?
A. クラウド型はベンダー側で自動バックアップ。詳細頻度・保管期間・データセンター所在地を契約前に確認してください。
Q12. 災害時のBCP対応は?
A. クラウド型はデータがクラウドに保管されるためBCP上有利。ベンダーのDR(災害復旧)方針を確認してください。
Q13. ケアプランデータ連携には対応していますか?
A. ケアプランデータ連携システムへの対応有無は製品により異なります。多職種連携を重視する場合は必須確認。
Q14. 訪問看護指示書の管理は?
A. 主要製品は指示書管理機能を備えています。電子化・有効期限管理の機能差を確認してください。
Q15. ICT補助金は使えますか?
A. 介護ロボット・ICT導入支援事業(自治体実施)や、IT導入補助金の対象になる場合があります。詳細は IT導入補助金2026 電子カルテは対象になるか をご参照ください。
関連記事
出典・参考情報
- 厚生労働省「LIFE(科学的介護情報システム)」(2026-04-26 取得)
- 厚生労働省(2026-04-26 取得)
- 医療情報システムの安全管理に関するガイドライン(2026-04-26 取得)
- 厚生労働省 訪問看護(2026-04-26 取得)
- 中小企業庁「IT導入補助金」(2026-04-26 取得)
- 各製品公式サイト(2026-04-26 取得)
免責事項
本記事は情報提供を目的としており、医療行為・診療判断・経営判断に関する助言ではありません。製品仕様・料金・対応状況は記事公開時点の公式公開情報をもとに整理しており、最新情報は必ず各製品の公式サイトでご確認ください。導入の最終判断は貴施設の責任において行ってください。
編集方針 | 最終更新日: 2026-04-26
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