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病院機能評価は、公益財団法人日本医療機能評価機構(JCQHC)が運営する第三者評価制度で、病院の組織運営・診療プロセス・医療の質と安全への取り組みを、共通の評価項目に沿って評価するものです。受審は任意ですが、認定を受けることで、院内のマネジメント体制を体系的に見直す機会となるほか、診療報酬上の一部加算の施設基準において評価される場合があり、組織改善と対外的な信頼性確保の双方を目的に多くの病院が受審を選択しています。
本記事は病院理事長・院長・QM(品質管理)室責任者・事務部長を主な読者と想定し、病院機能評価制度の経緯、認定主体であるJCQHCの位置づけ、現行の機能種別版評価項目「3rdG:Ver.3.0」の評価範囲、受審準備フロー(自己評価表・書面審査・訪問サーベイ)、認定種別、診療報酬上の取り扱い、受審費用・所要期間、近年の改定動向を、JCQHC・厚生労働省・中央社会保険医療協議会(中医協)などの公開情報を整理した内容としてまとめています。具体的な評価項目の適合性判断、認定可否、施設基準の届出可否などの個別判断は、JCQHC・厚生労働省・地方厚生(支)局への照会、または所定の専門人材にご確認ください。
この記事で分かること
- 病院機能評価制度の経緯と、第三者評価としての位置づけ
- 認定主体である日本医療機能評価機構(JCQHC)の役割と評価項目体系の概要
- 機能種別版評価項目「3rdG:Ver.3.0」の評価領域(領域1〜4)と評価範囲の考え方
- 受審準備フロー(申込・自己評価表・書面審査・訪問サーベイ・認定判定)
- 認定種別(一般病院1・2・3、リハビリテーション病院、慢性期病院、精神科病院など)の整理
- 診療報酬上の取り扱い(医療安全対策加算等の施設基準における第三者評価の位置づけ)
- 受審費用の構成と、申込から認定までの所要期間の目安
- 近年の制度改定動向と、自院の受審検討時の論点
1. 病院機能評価制度の経緯
病院機能評価は、病院の組織運営・診療の質・安全管理の取り組みを、外部の第三者機関が共通の評価項目に基づいて評価する仕組みです。日本では1995年に当時の厚生省(現厚生労働省)・日本医師会等の関係団体が設立に関わる形で、病院機能評価機構が発足し、1997年から本格的な評価事業が開始されました。その後、組織体制の見直しや評価項目の改訂を重ね、現在は公益財団法人日本医療機能評価機構(JCQHC)が、病院機能評価事業を中心に医療の質と安全に関する各種事業を運営しています(公益財団法人日本医療機能評価機構「事業概要」)。
受審そのものは任意ですが、自院の組織運営を体系的に見直す機会となるほか、地域・患者・職員に対する組織のあり方の説明責任を果たす一手段として活用されてきました。また、厚生労働省告示・通知における一部の施設基準では、第三者による評価の受審を要件あるいは評価対象として位置づける場合があるとされ、診療報酬制度との接点も持つようになっています(厚生労働省「診療報酬の算定方法(告示)」関連資料)。受審の判断は、自院の機能・規模・改善テーマと、受審に投入する人的・時間的負担を踏まえた経営判断となります。
評価項目体系は時代の要請に応じて改訂が続けられており、近年は機能種別ごとに評価項目を整理する「機能種別版評価項目」が運用されています。現行は「3rdG(第3世代)」と呼ばれるバージョン体系で、複数回のマイナーバージョンアップを経てきました。本記事では、現在運用されている「3rdG:Ver.3.0」を中心に、評価範囲と受審の進め方を整理します。なお、評価項目の具体的内容・運用は機構の判断により改訂されるため、最新の評価項目集はJCQHC公式サイトでご確認ください(公益財団法人日本医療機能評価機構「機能種別版評価項目」関連資料)。
2. 認定主体(JCQHC)と評価項目体系
病院機能評価事業の運営主体は、公益財団法人日本医療機能評価機構(Japan Council for Quality Health Care、JCQHC)です。病院機能評価のほかにも、医療事故情報収集等事業、産科医療補償制度、EBM普及推進事業(Minds)など、医療の質と安全に関連する複数の事業を運営しており、医療界・行政・関係団体が関わる中立的な機関として位置づけられています(公益財団法人日本医療機能評価機構「事業概要」)。
2-1. 評価項目体系の構造
現行の機能種別版評価項目は、病院の組織運営・診療プロセスを4つの「領域」に分けて評価する構造とされています。具体的には、領域1「患者中心の医療の推進」、領域2「良質な医療の実践1」、領域3「良質な医療の実践2」、領域4「理念達成に向けた組織運営」という大きな枠組みのもと、複数の評価項目が配置される設計です。各評価項目には標準的な解説と評価の視点が示されており、評価対象となる組織運営・診療プロセスの全体像を体系的にカバーする構成となっています(公益財団法人日本医療機能評価機構「機能種別版評価項目 3rdG」関連資料)。
2-2. 機能種別の考え方
機能種別版評価項目は、病院の機能・規模・診療内容に応じて、複数の機能種別(一般病院1・一般病院2・一般病院3、リハビリテーション病院、慢性期病院、精神科病院、緩和ケア病院など)が用意されています。自院が該当する機能種別に応じた評価項目集を用いて受審する設計で、機能特性に応じた適切な評価を行えるよう設計されています。各機能種別の選択基準・評価項目の構成は、JCQHCが公開する案内資料で示されています。
2-3. 評価点の付け方
各評価項目には、評価の対象範囲・評価の視点・標準的な評価基準が示されており、サーベイヤー(評価調査者)が書面審査と訪問サーベイの結果を踏まえて評価点を付与する運用とされています。評価結果は項目ごとに段階評価で示され、領域全体・病院全体としての所見にまとめられます。評価結果は単に合否を判定するだけでなく、改善の方向性を病院に伝えるためのフィードバックとしても活用される設計とされています。
2-4. 評価項目体系のまとめ表
| 領域 | 主な評価の観点 | 関連する院内体制の例 |
|---|---|---|
| 領域1 患者中心の医療の推進 | 患者の視点に立った医療提供 | 説明と同意・苦情相談・患者情報の管理 |
| 領域2 良質な医療の実践1 | 診療・ケアの基本プロセス | 診療体制・看護体制・薬剤管理・栄養管理 |
| 領域3 良質な医療の実践2 | 医療の質と安全の継続的改善 | 医療安全・感染管理・教育研修・質の改善 |
| 領域4 理念達成に向けた組織運営 | 組織としてのガバナンス | 理念・経営計画・財務管理・人事・施設管理 |
3. 3rdG:Ver.3.0の評価範囲
現行運用中の機能種別版評価項目「3rdG:Ver.3.0」は、3rdGシリーズのマイナーバージョン更新版として位置づけられ、医療を取り巻く環境変化や、現場での運用上の論点を踏まえて、評価項目の文言・解説・運用方法が見直されてきたものです。ここでは、3rdG:Ver.3.0で評価対象となる領域の主なポイントを整理します。詳細な評価項目・解説は、JCQHCが提供する評価項目集をご参照ください。
3-1. 領域1 患者中心の医療の推進
領域1では、患者の権利の尊重、説明と同意(インフォームド・コンセント)、患者・家族からの相談対応、苦情への対応、個人情報・診療情報の管理、患者参加の取り組みなど、患者の視点に立った医療提供の体制が評価対象となります。患者の意思決定を支援する仕組み、不利益情報を含めた説明の運用、患者・家族からの問い合わせや苦情への組織的対応の仕組みづくりが、この領域で確認されるテーマとなります。
3-2. 領域2 良質な医療の実践1
領域2では、診療体制・看護体制・薬剤管理・栄養管理・リハビリテーション・検査・画像診断・手術・周術期管理など、診療・ケアの基本プロセスが評価対象となります。多職種が関わる診療プロセスにおいて、患者ごとの計画立案、実施、評価、見直しといったサイクルが組織的に運用されているか、入退院に関する支援体制が整備されているかが、この領域で確認される代表的な観点です。
3-3. 領域3 良質な医療の実践2
領域3では、医療安全管理体制、感染対策、医薬品の安全管理、医療機器の安全管理、職員の教育・研修、医療の質の継続的改善の取り組みなど、医療の質と安全を組織的に確保するための仕組みが評価対象となります。医療事故・インシデント情報の収集と分析、再発防止策の検討と周知、感染管理に関する横断的な活動、院内研修の計画と実施が、この領域における主要な確認テーマとなります(公益財団法人日本医療機能評価機構「医療事故情報収集等事業」関連資料)。
3-4. 領域4 理念達成に向けた組織運営
領域4では、病院の理念・基本方針、中長期計画、財務・予算管理、人事・労務管理、施設・設備管理、災害対策、地域連携など、組織としてのガバナンスとマネジメント体制が評価対象となります。理念・方針が現場の業務にどのように落とし込まれているか、職員にどのように周知・共有されているか、組織として継続的に改善を進める仕組みがあるかが、この領域で確認される代表的な観点です。
3-5. 3rdG:Ver.3.0評価範囲のまとめ表
| 領域 | 主な評価テーマ | 受審準備の論点 |
|---|---|---|
| 領域1 | 患者参加・説明と同意 | 同意書様式・苦情相談窓口の整理 |
| 領域2 | 診療プロセス・多職種連携 | 診療計画・退院支援の運用確認 |
| 領域3 | 医療安全・感染対策・質改善 | インシデント分析・改善活動の記録 |
| 領域4 | 理念・経営・人事・施設管理 | 規程整備・組織図・委員会記録 |
4. 受審準備フロー(自己評価表/書面審査/訪問サーベイ)
病院機能評価の受審は、申込から認定判定までの間に、自己評価・書面審査・訪問サーベイといった複数のステップを順に進める設計とされています。ここでは、各ステップの位置づけと、院内で進めるうえでの基本的な論点を整理します。具体的なスケジュールや提出書類の詳細はJCQHCの案内資料をご確認ください。
4-1. 申込・機能種別の選択
受審を決定したら、まず自院に該当する機能種別を確認し、JCQHCに受審申込を行います。自院の機能・規模・診療内容に照らして、一般病院1〜3・リハビリテーション病院・慢性期病院・精神科病院などのうち、どの機能種別で受審するかを判断する必要があります。複合的な機能を有する病院では、機能ごとに該当する種別の選択を検討する場合があります。判断に迷う場合は、JCQHCの相談窓口を活用することができます(公益財団法人日本医療機能評価機構「病院機能評価事業」案内)。
4-2. 自己評価表の作成
申込後、機能種別ごとに用意された評価項目集に沿って、自院の現状を整理する「自己評価表」を作成します。評価項目ごとに、現状の体制・運用・課題・改善に向けた取り組みを記載し、関連する院内規程・記録・データを根拠資料として整理する作業です。自己評価表の作成は、単なる受審書類の準備にとどまらず、自院の組織運営を体系的に棚卸しする機会となります。多くの病院ではQM室・医療安全管理室・事務部門が中心となり、各部署と連携しながら作成を進める運用が見られます。
4-3. 書面審査
提出された自己評価表と関連資料は、JCQHCのサーベイヤー(評価調査者)による書面審査の対象となります。書面審査では、評価項目ごとに記載内容と根拠資料が確認され、訪問サーベイに先立って論点が整理されます。書面段階で追加の質問や資料提出依頼が行われる場合があり、訪問サーベイ前に院内で確認すべき論点を明確にする役割を担います。
4-4. 訪問サーベイ
訪問サーベイでは、複数名のサーベイヤー(医師・看護・事務などの分野ごとの専門家で構成される)が一定の日程で病院を訪問し、院内の見学、関係者へのヒアリング、診療記録・委員会議事録などの確認を通じて、評価項目ごとの実態を確認します。訪問日程・サーベイヤー構成・確認内容は、機能種別と病院規模により設定されます。サーベイの最終日に、確認結果の概要が病院側に伝えられる運用が一般的とされています。
4-5. 認定判定・改善要望事項への対応
書面審査と訪問サーベイの結果を踏まえ、JCQHC内の評価委員会等により認定の可否が判定されます。評価項目ごとの所見と、領域ごとの所見、病院全体としての所見がまとめられ、認定後も改善が期待される事項がある場合は「改善要望事項」として示される運用とされています。受審病院は、認定後にこれらの所見を踏まえた改善活動を継続することが求められる設計です。
4-6. 受審準備フローのまとめ表
| ステップ | 主な内容 | 院内の主担当 |
|---|---|---|
| 申込・機能種別選択 | 受審決定・申込書提出 | 事務部・経営層 |
| 自己評価表作成 | 評価項目に沿った現状整理 | QM室・各部署 |
| 書面審査 | 提出資料の事前確認 | QM室・事務部 |
| 訪問サーベイ | 院内訪問・ヒアリング | 全部署が対応 |
| 認定判定・改善活動 | 判定結果に基づく改善継続 | QM室・経営層 |

5. 認定種別(機能種別の整理)
機能種別版評価項目では、病院の機能・診療内容に応じた複数の機能種別が用意されています。ここでは、代表的な機能種別の位置づけを整理します。各機能種別の選択基準と評価項目の詳細はJCQHCが公開する案内資料に基づき、自院の機能に応じて確認することが必要です。
5-1. 一般病院(1・2・3)
一般病院は、急性期医療を中心に提供する病院を対象とした機能種別で、病院の規模・診療密度・診療内容に応じて1・2・3の区分が設けられています。一般病院1は中小規模で地域の急性期医療を担う病院、一般病院2は中規模以上で急性期医療を中心に担う病院、一般病院3は大学病院本院など高度急性期医療を担う病院が主な想定とされています。区分ごとに評価項目の構成・運用が調整されており、自院の機能に応じた区分での受審を行います(公益財団法人日本医療機能評価機構「機能種別版評価項目」関連資料)。
5-2. リハビリテーション病院
リハビリテーション病院は、回復期リハビリテーション病棟を中心とする病院を主な対象とした機能種別です。在宅・地域生活への復帰を目的とした集中的なリハビリテーション、多職種チームによる目標設定とアプローチ、退院支援、家屋調査などのリハビリ機能特有の領域が、評価項目の中で重点的に扱われる構成となります。回復期リハビリ機能を中心に運営する病院では、この種別での受審が選択肢となります。
5-3. 慢性期病院
慢性期病院は、療養病棟など慢性期医療を中心に担う病院を主な対象とした機能種別です。長期療養を必要とする患者のケア計画、医療と介護の連携、家族支援、看取りへの対応など、慢性期医療特有の領域が評価項目に反映される構成となります。療養病棟を中心とする病院では、この種別での受審が選択肢となります。
5-4. 精神科病院
精神科病院は、精神科を中心とする病院を主な対象とした機能種別です。精神科医療における権利擁護、行動制限の最小化、地域生活への移行支援、多職種チームによる治療計画など、精神科医療特有の領域が評価項目で重点的に扱われる構成となります。精神科病院での受審ではこの種別が選択肢となります。
5-5. 機能種別のまとめ表
| 機能種別 | 主な対象病院 | 特徴的な評価論点 |
|---|---|---|
| 一般病院1 | 中小規模の急性期病院 | 地域急性期医療への対応 |
| 一般病院2 | 中規模以上の急性期病院 | 急性期医療の体制・診療機能 |
| 一般病院3 | 大学病院本院等 | 高度急性期医療・教育研修機能 |
| リハビリテーション病院 | 回復期リハ中心の病院 | 多職種チーム・在宅復帰支援 |
| 慢性期病院 | 療養病棟中心の病院 | 長期療養ケア・看取り対応 |
| 精神科病院 | 精神科中心の病院 | 権利擁護・地域移行支援 |
6. 診療報酬上の取り扱い
病院機能評価の認定そのものが直接的な診療報酬上の加算となるわけではありませんが、診療報酬の一部の施設基準において、第三者による評価の受審が評価対象として位置づけられる場合があるとされています。ここでは、診療報酬制度と病院機能評価との接点を整理します。具体的な算定可否は、最新の厚生労働省告示・通知をご確認ください。
6-1. 施設基準における第三者評価の位置づけ
診療報酬の一部の加算の施設基準では、医療の質と安全に関する取り組みについて、第三者による評価の受審が評価される場合があるとされています。具体的にどの加算でどのような評価がされるかは、改定ごとに見直しが行われるため、最新の告示・通知の原本にあたり、自院の届出可否を確認することが前提となります(厚生労働省「診療報酬の算定方法(告示)」関連資料、厚生労働省「中央社会保険医療協議会(中医協)」関連資料)。
6-2. 医療安全・医療の質に関する取り組みとの関係
診療報酬には、医療安全対策加算・感染対策向上加算(旧 感染防止対策加算)など、医療の質と安全に関連する加算が複数設けられています。これらの加算は、所定の人員配置・委員会設置・カンファレンス・研修などの体制が要件となる設計で、病院機能評価の評価項目とも内容的に重なる部分があります。機能評価受審の準備で整理した院内体制・記録・規程は、施設基準の届出整備にも活用しやすい関係にあります(厚生労働省「保険診療における施設基準等」関連資料)。
6-3. 改定動向の確認手段
診療報酬改定と病院機能評価との接点は、改定ごとに見直しが行われるため、最新動向の確認が継続的に必要となります。厚生労働省の改定資料、中央社会保険医療協議会(中医協)の議事資料、地方厚生(支)局の通知などを定期的に確認することで、自院の届出方針に反映する運用が現実的です。受審の判断は、診療報酬上の取り扱いだけでなく、自院の組織改善ニーズや地域に対する説明責任の観点を含めて、総合的に検討することが望まれます。

7. 受審費用と所要期間
受審に伴う費用と所要期間は、機能種別・病院規模・サーベイヤーの人数・訪問日数などにより異なります。ここでは、費用構成と所要期間の考え方を一般的な観点で整理します。具体的な金額・スケジュールはJCQHC公式サイトの最新案内および見積もりをご確認ください。
7-1. 受審費用の構成
受審費用は一般に、申込・審査に係る所定の費用と、サーベイヤーの旅費等を含む実費部分から構成される設計とされています。費用は、機能種別、病院規模(病床数や診療機能の幅)、サーベイヤーの人数・訪問日数に応じて設定されます。中小規模病院と大規模病院では費用水準が異なる構造のため、自院の機能・規模を前提とした見積もりを取得することが受審検討の出発点となります。具体的な金額はJCQHCの案内をご参照ください(公益財団法人日本医療機能評価機構「病院機能評価事業」案内)。
7-2. 申込から認定までの所要期間
申込から認定判定までの所要期間は、自己評価表の作成期間、書面審査・訪問サーベイのスケジュール、認定判定の手続きを含めて、一般に数ヶ月〜1年程度を要する流れが想定されます。多くの病院は、自己評価表の作成にあわせて院内の体制・記録の整備にも着手するため、受審準備全体としては、申込前の準備期間を含めるとさらに長期間にわたる取り組みになる傾向があります。自院のスケジュール感を逆算する際は、申込前の準備期間も含めた計画立案が必要です。
7-3. 認定の更新サイクル
病院機能評価の認定には有効期間があり、所定の期間(一般に5年程度)ごとに更新受審を行う運用とされています。継続的に認定を維持する場合、定期的な更新受審スケジュールに沿った準備が必要となります。更新受審にあたっては、前回の受審以降の改善活動の記録、改善要望事項への対応状況、新たな評価項目への対応などが論点となります。継続受審を前提とした院内体制を整えることで、平時から改善サイクルを回す運用が定着しやすくなります(公益財団法人日本医療機能評価機構「病院機能評価事業」案内)。
7-4. 費用・期間まとめ表
| 項目 | 主な内容 | 確認ポイント |
|---|---|---|
| 受審費用 | 所定費用+実費(旅費等) | 機能種別・規模ごとの見積もり |
| 申込〜認定 | 数ヶ月〜1年程度 | スケジュール・人員確保 |
| 準備期間 | 申込前から長期 | 自己評価作業の体制整備 |
| 認定の有効期間 | 所定の期間(更新受審あり) | 更新サイクルの計画 |
8. 2024年改定の動向と最近の論点
病院機能評価の評価項目は、医療を取り巻く環境変化、現場での運用上の論点、関連する制度改定の動向を踏まえて、定期的に見直しが行われてきました。ここでは、近年の動向として整理されている代表的な論点を、公開資料を整理した内容としてまとめます。具体的な評価項目の改訂内容・運用方法は、JCQHCが公開する最新の評価項目集と案内資料をご確認ください。
8-1. 医療安全・感染対策の重点化
医療安全と感染対策は、令和6年度診療報酬改定でも医療安全対策加算・感染対策向上加算等の見直しが行われたテーマであり、機能評価の中でも重点的に確認される領域です。インシデント・アクシデント情報の収集と分析、再発防止策の検討と周知、感染管理に関する横断的活動、医療機関間の連携といった取り組みが、診療報酬と機能評価の双方で評価される構造となっています(厚生労働省「令和6年度診療報酬改定について」関連資料)。
8-2. タスク・シフト/シェアと多職種連携
医師の働き方改革の進展にあわせて、医師から看護師・薬剤師・臨床工学技士・診療放射線技師など、他職種への業務移管(タスク・シフト/シェア)の論点が病院運営の重要テーマとなっています。機能評価における診療・ケアの基本プロセスの評価にあたっても、多職種連携のもとで適切に業務が分担され、安全に運用されているかが論点となる構造で、組織運営と人事・労務管理の領域とも関連します(厚生労働省「医師の働き方改革」関連資料)。
8-3. 地域医療構想・地域連携
地域医療構想や医療計画の中で、各病院に求められる機能の明確化が進む中、自院の地域における役割と、他の医療機関・介護事業者との連携体制が、機能評価でも論点となります。退院支援、在宅・施設への移行支援、地域医療連携室の運用、地域連携クリニカルパスの活用といった取り組みが、患者中心の医療の推進と組織運営の双方の領域で確認される構造です(厚生労働省「医療提供体制の確保(医療計画)」関連資料)。
8-4. 改定動向のフォロー手段
評価項目の改訂、診療報酬改定における第三者評価の位置づけの見直し、関連する医療制度の動向を継続的にフォローするには、JCQHC公式サイトの「お知らせ」、厚生労働省の「診療報酬改定」「医療提供体制」関連ページ、中医協の議事資料を定期的に確認する運用が現実的です。受審の検討段階・更新受審の準備段階のいずれにおいても、最新動向の確認は欠かせません。
9. よくある質問(FAQ)
- Q1. 病院機能評価の受審は義務ですか?
- A. 病院機能評価の受審そのものは任意で、すべての病院に受審が義務づけられているものではありません。自院の組織運営の体系的な見直し、地域・患者・職員に対する説明責任、診療報酬上の一部の施設基準における第三者評価の位置づけといった観点を踏まえて、受審の要否を経営判断する仕組みとなっています。詳細はJCQHC公式サイトおよび厚生労働省の関連資料をご参照ください。
- Q2. 3rdG:Ver.3.0と従来バージョンの違いはどこにありますか?
- A. 3rdG:Ver.3.0は、3rdGシリーズのマイナーバージョン更新版として位置づけられ、医療を取り巻く環境変化や、現場での運用上の論点を踏まえて、評価項目の文言・解説・運用方法が見直されてきたものです。領域構成の大きな枠組みは継続しつつ、評価の観点や標準的な解説が更新されている設計で、具体的な変更点はJCQHCの評価項目集および改訂資料でご確認いただけます。
- Q3. 受審準備にはどれくらいの期間が必要ですか?
- A. 申込から認定判定までは一般に数ヶ月〜1年程度を要するとされていますが、これに先立つ申込前の準備期間(自院の体制整備・規程整備・記録の整理など)も含めると、全体としてはさらに長い期間を要するケースが見られます。初回受審か更新受審か、自院の規模・体制の整備状況によっても所要期間が異なります。詳細スケジュールはJCQHCの案内をご参照のうえ、自院の状況に応じた計画を立案することが重要です。
- Q4. 認定を受けると診療報酬上のメリットはありますか?
- A. 病院機能評価の認定そのものが直接の加算となるわけではありませんが、診療報酬の一部の施設基準において、第三者による評価の受審が評価される場合があるとされています。具体的にどの加算でどのように評価されるかは改定ごとに見直されるため、最新の厚生労働省告示・通知の原本にあたって自院の届出可否を確認することが前提となります。組織改善・対外的な説明責任といった非金銭的な意義もあわせて検討することが望まれます。
- Q5. 認定の有効期間と更新受審の進め方を教えてください
- A. 病院機能評価の認定には有効期間があり、所定の期間(一般に5年程度)ごとに更新受審を行う運用とされています。継続的に認定を維持する場合、定期的な更新受審スケジュールに沿った準備が必要です。更新受審では、前回の改善要望事項への対応状況、改善活動の記録、評価項目の改訂内容への対応が論点となります。詳細はJCQHCの案内をご確認ください。
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- 関連サービスの公式サイトで、対応規模・料金プラン・申込方法をご確認ください。所要時間や手続きは各サービスの公式情報を参照してください。
10. 関連内部リンク・次のステップ
病院機能評価の受審準備と関連するテーマとして、医療の質と安全に関する院内体制、診療報酬制度との接点、地域医療連携の整備があります。自院の経営課題に応じて、以下の関連記事も参考に、組織改善と診療報酬上の届出方針の整理を並行して進めることが有用です。
- DPC/PDPS病院の経営管理ガイド — DPC対象病院の係数構造とデータ分析
- 地域医療連携推進法人の制度と運営 — 地域における医療提供体制の枠組み
- 地域包括ケア病棟の経営管理 — 病棟機能と運用の整理
- 病床機能転換の検討プロセス — 機能区分の見直しと地域医療構想
11. 出典・参考資料
- 公益財団法人日本医療機能評価機構「事業概要」 https://www.jcqhc.or.jp/ (取得日:2026-06-20)
- 公益財団法人日本医療機能評価機構「病院機能評価事業」 https://www.jq-hyouka.jcqhc.or.jp/ (取得日:2026-06-20)
- 公益財団法人日本医療機能評価機構「医療事故情報収集等事業」 https://www.med-safe.jp/ (取得日:2026-06-20)
- 厚生労働省「診療報酬の算定方法(告示)」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000196352.html (取得日:2026-06-20)
- 厚生労働省「令和6年度診療報酬改定について」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188411_00037.html (取得日:2026-06-20)
- 厚生労働省「保険診療における施設基準等」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/iryouhoken15/index.html (取得日:2026-06-20)
- 厚生労働省「中央社会保険医療協議会(中医協)」 https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-chuo_128154.html (取得日:2026-06-20)
- 厚生労働省「医療提供体制の確保(医療計画)」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/iryou_keikaku/index.html (取得日:2026-06-20)
- 厚生労働省「医師の働き方改革」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000189708.html (取得日:2026-06-20)
【免責事項】本記事は公益財団法人日本医療機能評価機構(JCQHC)・厚生労働省告示・通知等の公開情報を整理することを目的としており、特定の評価項目の適合性判断、認定可否、施設基準の届出可否、診療報酬上の取り扱いを保証するものではありません。評価項目・運用は機構の判断により改訂され、診療報酬上の取り扱いは改定により見直されるため、個別判断はJCQHC・厚生労働省・地方厚生(支)局等にご確認ください。本記事の情報利用によって生じた損害について、mitoru編集部は責任を負いません。
最終更新日:2026年6月20日|編集方針
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mitoru編集部の見解
医療法人の経営において、会計の透明性は理事会・社員総会・行政指導いずれの局面でも問われます。mitoru編集部は、形式的な帳簿整備でなく、月次の経営会議で実数値を共有する運用設計を推奨します。クラウド会計はあくまで道具で、それを活かす運用が成果を分けます。