訪問看護の医療機関連携加算 完全ガイド【2026年版・退院時共同指導/在宅患者訪問看護指示/カンファ】

📅公開日:2026-08-06
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訪問看護ステーションと病院・診療所をつなぐ連携評価は、診療報酬・介護報酬・訪問看護療養費にまたがり、算定主体・タイミング・要件が体系ごとに異なります。本記事は、厚生労働省・地方厚生局・診療報酬告示等の公開情報を整理した内容として、訪問看護ステーション管理者・地域連携担当・在宅療養支援診療所の連携担当者に向け、退院時共同指導料・在宅患者訪問看護指示料・医療機関連携カンファレンス・退院時支援指導加算・ICT活用連携・介護報酬側の連携加算・2024年改定動向を整理します。個別の算定判断は管轄の地方厚生局・診療報酬請求担当・社会保険労務士等の専門家にご相談ください。

この記事でわかること

  • 訪問看護と医療機関をつなぐ連携評価の全体像(医療保険/介護保険)
  • 退院時共同指導料・退院支援指導加算の算定要件と記録の要点
  • 訪問看護指示料・特別訪問看護指示書の関係と医療機関側の位置づけ
  • 医療機関連携カンファレンスと地域連携パスの実務上の使い分け
  • 電子カルテ情報共有サービス/地域医療情報連携NWを用いたICT連携
  • 介護報酬側の退院時共同指導加算・特別管理加算等の整理
  • 2024年度診療報酬・介護報酬改定で見直された連携関連項目
  • 訪問看護管理者・連携担当者からよくある疑問5問

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1. 医療機関連携加算の全体像——医療保険と介護保険で名称・算定主体が異なる

「訪問看護の医療機関連携加算」という語は現場で総称的に使われますが、告示・通知では、医療保険側の診療報酬項目(退院時共同指導料等)と、介護保険側の指定居宅サービス費(退院時共同指導加算等)が別の体系として整理されています。まず「どの保険」の「どの主体(医療機関側/訪問看護ステーション側)」が算定するのかを整理することが、加算取りきりと返戻回避の第一歩です(出典:厚生労働省「診療報酬点数表」および「訪問看護療養費に係る指定訪問看護の費用の額の算定方法」)。

体系主な連携評価(例)算定主体算定タイミング
医療保険(診療報酬)退院時共同指導料 1・21:在宅療養担当医療機関等/2:入院医療機関退院前カンファレンス実施時
医療保険(診療報酬)在宅患者訪問看護・指導料/同一建物居住者訪問看護・指導料医療機関医療機関の看護職員が訪問看護等を実施した場合
医療保険(訪問看護療養費)退院時共同指導加算・退院支援指導加算訪問看護ステーション退院前カンファレンス参加時/退院後の初回訪問時
医療保険(訪問看護療養費)訪問看護情報提供療養費 1・2・3訪問看護ステーション市町村・学校・医療機関等への情報提供時
介護保険(訪問看護費)退院時共同指導加算・特別管理加算等訪問看護ステーション退院・退所時カンファレンス参加時 等

連携評価は「一度カンファレンスに出れば取れる」ものではなく、①指示書・共同指導の文書、②カンファレンスの日時・参加者・内容の記録、③退院後の訪問看護計画書と実施記録、の3点で根拠づけるのが基本です。医療保険と介護保険の切替(特別訪問看護指示書の交付期間・別表第7疾病該当等)も連携評価と密接に関わるため、指示書の様式と記載事項は事前に医療機関側とすり合わせておくことが望まれます。

2. 退院時共同指導料——訪問看護ステーション側の「共同指導加算」の位置づけ

退院時共同指導料は、入院中の患者が退院後に在宅療養へ移行する際、入院医療機関の医師・看護師等と、在宅療養を担当する医師・訪問看護ステーション等が共同で退院後の療養指導を行った場合に算定する評価です。診療報酬点数表では、退院時共同指導料1(在宅療養担当医療機関側)と退院時共同指導料2(入院医療機関側)に分かれています。訪問看護ステーションが参加する場合は、訪問看護療養費側で「退院時共同指導加算」として算定する構造になっています(出典:厚生労働省「診療報酬点数表」および中央社会保険医療協議会総会資料)。

2-1. 訪問看護ステーション側の要件——「共同指導の内容を文書で提供」

訪問看護ステーションが退院時共同指導加算を算定するには、入院医療機関を訪問し、患者・家族に対して退院後の在宅療養に必要な指導を、入院医療機関の職員と共同で実施すること、および指導内容を文書により提供することが求められます。共同指導は原則として対面が想定されていますが、告示・通知で認められる範囲でオンライン(ビデオ通話)による参加も要件を満たす場合があるため、最新の通知で範囲を確認してください。特別な管理を要する状態にある利用者については、加算区分(特別管理指導加算等)が異なるため、算定区分の選択ミスに注意が必要です。

2-2. 記録すべき事項の目安

  • 共同指導の日時・場所・参加者(医師・看護師・退院支援担当者・訪問看護担当)
  • 指導内容(療養上の留意点・処置手順・急変時対応・服薬管理等)
  • 患者・家族への文書提供内容(退院療養計画書・在宅療養指導文書等)
  • 退院後の訪問看護計画書との整合性

記録は返戻・自主返還時の重要な根拠資料となります。共同指導当日の議事録テンプレートを事前に整備し、参加者全員の署名(または電子署名)を残す運用が実務上有効です。個別の算定判断は管轄の地方厚生局・診療報酬請求担当にご相談ください。

3. 在宅患者訪問看護・指導料と訪問看護指示料——医療機関側の算定項目

訪問看護は、医療機関の看護職員が実施する場合(在宅患者訪問看護・指導料等)と、訪問看護ステーションが実施する場合(訪問看護療養費)に大別されます。ステーションが療養費を算定するには主治医から「訪問看護指示書」の交付を受ける必要があり、この交付自体が医療機関側で「訪問看護指示料」として算定される構造です。頻回訪問が必要な場合は「特別訪問看護指示書」が交付され、交付期間中は医療保険での訪問看護が可能となります(出典:厚生労働省「診療報酬点数表」)。

指示書の種類交付元有効期間の目安主な用途
訪問看護指示書主治医(医療機関)最長6か月通常の訪問看護の依頼
特別訪問看護指示書主治医(医療機関)交付日から最長14日間・月1回まで(一定の要件下で月2回まで)急性増悪・気管カニューレ管理等で頻回訪問が必要な場合
精神科訪問看護指示書精神科主治医最長6か月精神疾患を主たる傷病とする患者への訪問看護
在宅患者訪問点滴注射指示書主治医最長7日間週3日以上の点滴注射が必要な場合

ステーション側では、指示書の受領日・有効期間・記載事項(傷病名・現在の状況・留意事項等)を記録システムに正確に登録し、有効期間切れによる算定エラーを防ぐ運用が求められます。特別訪問看護指示書は交付要件・回数上限が細かく定められているため、更新のたびに要件を再確認します。

4. 医療機関連携カンファレンス——退院前カンファレンスと地域連携パスの実務

退院前カンファレンスは、入院医療機関・在宅療養担当医療機関・訪問看護ステーション・ケアマネジャー・介護サービス事業所等が一堂に会し、退院後の療養方針を共有する場です。厚生労働省の地域包括ケアシステム関連資料でも、退院前カンファレンスは在宅移行の質を左右する要素と位置づけられています(出典:厚生労働省「地域包括ケアシステム」関連ページ)。開催内容は退院時共同指導加算等の算定根拠にもなるため、記録様式の統一が望まれます。

4-1. カンファレンスの標準的な進行例

  1. 入院医療機関の主治医・退院支援看護師による現病歴・治療経過・退院時ADLの共有
  2. 在宅療養担当医からの在宅療養方針の説明(訪問診療頻度・急変時対応方針)
  3. 訪問看護ステーション担当者による訪問頻度・観察項目・処置手順の確認
  4. ケアマネジャーによる介護サービス計画(居宅サービス計画書)の共有
  5. 家族への説明と同意確認、24時間連絡体制の周知
  6. 次回カンファレンス(在宅療養開始後)の日程調整

地域連携パス(脳卒中・大腿骨頸部骨折・がん等)が整備されている地域では、パスに沿った情報共有により連携の質と効率が高まります。各二次医療圏で運用されるパスの様式・電子化状況は、地域医師会・都道府県医療政策担当の資料が参考になります。

5. 退院時支援指導加算——退院後の初回訪問で算定する評価

退院支援指導加算(訪問看護療養費側)は、入院医療機関との共同指導を経て在宅療養へ移行した患者に対し、退院日または退院後の一定期間内にステーションの看護師等が訪問し、療養上の指導を行った場合に算定される評価です。退院時共同指導加算(カンファレンス参加時)と退院支援指導加算(退院後の訪問時)は算定タイミングが異なり、それぞれの要件を満たす場合は別に算定される構造です(出典:厚生労働省「訪問看護療養費に係る指定訪問看護の費用の額の算定方法」および算定留意事項通知)。

5-1. 記録整備のチェックポイント

  • 退院日・訪問日・訪問時間・訪問者氏名
  • 退院時共同指導と退院後訪問での指導内容の整合性
  • 療養上必要な指導事項(服薬・処置・急変時対応・家族への指導)
  • 訪問看護計画書・報告書との連動、および主治医・入院医療機関への情報提供記録

算定漏れを防ぐには、退院日情報を記録システムに登録し、退院後の初回訪問時にアラートが表示される運用が有効です。特別管理加算対象の利用者は算定要件が異なる場合があるため、状態区分ごとに算定可否をチェックリスト化することが推奨されます。

6. ICT活用連携——電子カルテ情報共有サービスと地域医療情報連携NW

医療機関と訪問看護ステーションの情報連携は、従来のFAX・郵送から電子的情報共有への移行が進んでいます。厚生労働省は「医療DXの推進に関する工程表」を公表し、電子カルテ情報共有サービス(3文書2情報の共有)や、オンライン資格確認等システムを基盤とした情報連携の整備を進めています(出典:厚生労働省「医療DXの推進」関連ページ)。地域医療情報連携ネットワークは二次医療圏単位で運用され、参加医療機関間で診療情報の閲覧・共有が可能となっています。

6-1. ICT連携で押さえるべき実務ポイント

  • 参加医療機関・ステーションの合意書・利用規約の締結
  • 患者・利用者からの情報連携に関する同意取得
  • 職種別アクセス権限の階層設計とログ保存・監査体制
  • 個人情報保護法・医療情報安全管理関連ガイドラインへの適合

ICT連携は、退院時共同指導のオンライン参加や情報提供様式の電子化を後押しする一方、システム運用コストとセキュリティ管理負担も伴います。導入前に、地域医師会・地域医療情報連携ネットワーク運営主体に参加要件・利用料・接続方式を確認することが望まれます。

7. 介護報酬側の連携加算——退院時共同指導加算・特別管理加算等

介護保険の訪問看護(指定居宅サービス)でも、医療機関との連携を評価する加算が複数あります。代表例は、①退院時共同指導加算、②特別管理加算(在宅で特別な管理を要する利用者への継続的な訪問看護に対する評価)、③看護・介護職員連携強化加算(訪問介護事業所と連携した医療的ケア実施体制の整備)です。算定要件・単位数は介護給付費算定基準(告示)で定められ、届出が必要な体制加算区分と、実績に応じる個別加算区分に整理されています(出典:厚生労働省「介護報酬」関連ページおよび介護給付費算定基準)。

加算名称算定タイミング主な要件(概要)
退院時共同指導加算退院・退所時カンファレンス参加時入院医療機関の職員と共同で指導・文書提供
特別管理加算月次(対象利用者)在宅で特別な管理を要する状態にある利用者への継続的訪問看護
看護・介護職員連携強化加算月次(対象利用者)訪問介護事業所と連携した医療的ケアの実施体制の整備・研修等
ターミナルケア加算死亡月死亡日前一定期間内の訪問・ターミナルケア計画書

介護保険側の連携加算は、医療保険側の退院時共同指導加算と算定対象・要件が異なる場合があるため、同一利用者について両保険の切替時期(特別訪問看護指示書の交付終了・介護保険適用への移行等)に応じて算定区分を切り替える必要があります。指示書更新のたびに保険区分と加算要件を再チェックする運用が有効です。

8. 2024年度改定の要点——連携関連項目の見直し

2024年度は診療報酬・介護報酬・障害福祉サービス等報酬の同時改定(トリプル改定)が実施され、地域包括ケアシステムの深化と医療・介護連携の強化が政策の柱として明確化されました。中央社会保険医療協議会・社会保障審議会介護給付費分科会の資料では、訪問看護と医療機関の連携について、退院時共同指導のオンライン活用、情報提供様式の見直し、特定行為研修修了者を含む専門性の高い看護師の関与評価等が議論されました(出典:厚生労働省「診療報酬改定」関連ページ)。

8-1. 2024年度改定で確認しておきたい主な観点

  • 退院時共同指導料・退院時共同指導加算のオンライン参加の取扱い
  • 訪問看護情報提供療養費の情報提供対象の整理
  • 特定行為研修修了者の配置に係る評価(専門管理加算等)
  • 介護保険側の連携加算・特別管理加算の要件見直し
  • 電子処方箋・電子カルテ情報共有サービスとの整合

改定内容の正確な把握には、告示・通知原文と、中医協・介護給付費分科会の答申・議事概要の確認が基本です。地域単位の解釈整理には、地方厚生局の集団指導資料・疑義解釈資料も有用です。

9. FAQ——訪問看護管理者・連携担当者からよくある疑問5問

Q1. 退院時共同指導加算と退院支援指導加算は同じ患者に両方算定できますか?
A. 両者は算定タイミングが異なる別の加算で、退院時共同指導加算はカンファレンス参加時、退院支援指導加算は退院日または退院後一定期間内の初回訪問時に算定します。それぞれ要件を満たす場合は個別に算定される構造ですが、算定回数・区分の詳細は算定留意事項通知で確認します。
Q2. 退院前カンファレンスにオンライン(ビデオ通話)で参加した場合も算定できますか?
A. 診療報酬告示・通知で認められる範囲において、ビデオ通話を用いた参加が要件を満たす場合があります。ただし、対面が原則とされる項目や、オンライン参加を認める場合に必要な要件(通信環境・患者同意等)が定められているため、最新の告示・通知および疑義解釈で確認することが求められます。地域や運用時期により取扱いが変わる可能性があります。
Q3. 特別訪問看護指示書の交付期間中に介護保険の訪問看護費を算定してしまいました。返戻対応はどうすればよいですか?
A. 特別訪問看護指示書の交付期間中は原則として医療保険の訪問看護療養費で算定します。誤って介護保険で算定した場合は、国保連等への取下げ・再請求手続きが必要です。手順は都道府県介護保険担当課・国保連の実務窓口・請求ソフトのサポート窓口に確認します。
Q4. 地域医療情報連携ネットワークに参加すると、連携加算の算定が有利になりますか?
A. 地域医療情報連携ネットワークへの参加は、情報共有の効率化・記録の電子化・カンファレンスのオンライン運用を下支えしますが、参加そのものが特定の加算要件を直接満たすとは限りません。ICT基盤活用が要件に含まれる加算は、告示・通知で「電子的な情報共有」等の要件記載を個別に確認します。導入判断は費用・運用負担も含め総合的に検討します。
Q5. 訪問看護情報提供療養費と、介護保険側の情報提供系加算は同時に算定できますか?
A. 訪問看護情報提供療養費は医療保険側の評価であり、介護保険側の情報提供系加算とは算定主体・タイミング・対象が異なる場合があります。同一の情報提供行為で両方を算定できるかは要件次第で、算定留意事項通知・疑義解釈の記載に沿って判断する必要があります。

10. 関連リンク・出典・免責

関連記事

出典・参考資料

  1. 厚生労働省「診療報酬改定」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188411.html(取得日:2026-08-02)
  2. 厚生労働省「訪問看護」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000059190.html(取得日:2026-08-02)
  3. 厚生労働省「介護報酬」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/housyu/index.html(取得日:2026-08-02)
  4. 厚生労働省「地域包括ケアシステム」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/chiiki-houkatsu/index.html(取得日:2026-08-02)
  5. 厚生労働省「中央社会保険医療協議会」https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-chuo_128154.html(取得日:2026-08-02)
  6. 厚生労働省「医療DXの推進」https://www.mhlw.go.jp/stf/iryoudx.html(取得日:2026-08-02)
  7. 厚生労働省「訪問看護療養費に係る指定訪問看護の費用の額の算定方法(告示)」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/iryouhoken15/index.html(取得日:2026-08-02)

【免責事項】本記事は厚生労働省・中央社会保険医療協議会・地方厚生局等の公開情報を整理した内容です。診療報酬・介護報酬の算定・届出に係る具体的な判断については、管轄の地方厚生局・都道府県介護保険担当課・診療報酬請求担当・社会保険労務士・税理士等の専門家にご相談ください。制度改正・告示改正等により情報が変更される場合があります。最終更新日:2026-08-02

最終更新日:2026年8月2日|編集方針

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