遺伝医療・遺伝カウンセリング体制 完全ガイド【2026年版・臨床遺伝専門医/認定遺伝カウンセラー/がんゲノム医療】

📅公開日:2026-07-10
※本記事には広告(PR)が含まれます。掲載判断は当サイトの編集基準に基づき行っています。 編集方針 | 最終更新日: 2026-07-06

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「がんゲノム医療拠点病院・連携病院の指定要件を満たす体制をどう整えるか」「遺伝カウンセリング加算の算定要件を満たす人員配置ができない」「遺伝性腫瘍の家族への説明・情報開示のプロセスを院内でどう標準化するか」——病院理事長・腫瘍内科医・小児科医・遺伝関連担当者からは、こうした声が多く寄せられます。

2019年6月にBRCA1/2遺伝子検査およびオラパリブが保険適用され、2020年4月には遺伝性乳癌卵巣癌症候群(HBOC)に対するリスク低減手術が保険収載されるなど、遺伝医療は臨床の主流領域へ移行しつつあります。がんゲノム医療は2018年の中核拠点病院指定を起点に体制整備が進み、2024年度診療報酬改定でも遺伝カウンセリング加算・遺伝学的検査に関する項目が見直されました。あわせて2023年6月には「良質かつ適切なゲノム医療を国民が安心して受けられるようにするための施策の総合的かつ計画的な推進に関する法律」(ゲノム医療推進法)が成立し、遺伝情報による差別禁止・個人情報保護・研究倫理の枠組みが法的に強化されています。

本記事は、厚生労働省・日本医学会・日本人類遺伝学会・日本遺伝性腫瘍学会・国立がん研究センターの公開情報を整理した内容であり、特定の医療行為・治療方針・遺伝学的検査結果の解釈助言は含みません。制度・体制設計・人材確保・倫理配慮の観点から、遺伝医療と遺伝カウンセリング体制の実務に関わる情報を整理します。診療・治療・検査結果の個別判断は主治医・遺伝専門医・認定遺伝カウンセラーにご相談ください。

この記事で分かること

  • 遺伝医療の全体像とゲノム医療推進法(2023年成立)の位置づけ
  • 臨床遺伝専門医制度(日本人類遺伝学会・日本遺伝カウンセリング学会)の枠組み
  • 認定遺伝カウンセラー制度と養成課程・活動範囲
  • 遺伝カウンセリング加算の診療報酬上の要件
  • がんゲノム医療中核拠点病院・拠点病院・連携病院の3層構造と指定要件
  • 遺伝性腫瘍(HBOC・リンチ症候群等)への臨床対応の考え方
  • ヒトゲノム・遺伝子解析研究倫理指針と個人情報保護
  • 遺伝情報差別禁止に関する国内外の動向と院内配慮
  • 2024年度診療報酬改定の要点

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1. 遺伝医療の全体像

遺伝医療とは、遺伝性疾患・遺伝性腫瘍・先天異常・薬理遺伝学(ファーマコゲノミクス)など、遺伝情報が診断・治療・予防に関わる医療領域を指します。単一遺伝子疾患・染色体異常から、がんゲノム医療・多因子疾患の遺伝的リスク評価まで、対象は広範にわたります。近年は遺伝学的検査の技術進歩と保険適用の拡大により、遺伝医療は希少疾患領域の専門医療から、腫瘍内科・産婦人科・小児科・循環器内科などを横断する臨床医療領域へと広がっています。

1-1. ゲノム医療推進法(2023年)の枠組み

ゲノム医療推進法は2023年6月に成立・公布された議員立法で、ゲノム医療の推進に関する基本理念・国および地方公共団体の責務・基本計画の策定を定めています。基本理念には、生命倫理への配慮、個人情報保護、不当な差別の防止、良質かつ適切なゲノム医療の提供、研究の推進と成果の適切な活用が掲げられています。同法に基づき、政府はゲノム医療推進基本計画を策定することとされており、遺伝医療体制・遺伝カウンセリング・人材養成・倫理配慮の各領域が計画に反映されていく見通しです。

1-2. 遺伝医療の主な対象領域

臨床上の遺伝医療は、大きく(1)先天異常・染色体異常、(2)単一遺伝子疾患(希少疾患を含む)、(3)遺伝性腫瘍(HBOC・リンチ症候群・家族性大腸腺腫症等)、(4)発症前診断・保因者診断、(5)出生前診断(NIPT等)、(6)がんゲノム医療(体細胞変異を対象とする網羅的解析)、(7)薬理遺伝学(薬剤代謝関連遺伝子)に整理されます。それぞれ、担当診療科・検査体系・カウンセリング内容・倫理配慮の重点が異なるため、施設内で担当窓口・連携体制を明確にすることが求められます。

1-3. 遺伝医療の担い手

遺伝医療の中核的な担い手は、臨床遺伝専門医と認定遺伝カウンセラーです。加えて、腫瘍内科医・産婦人科医・小児科医・外科医(乳腺・消化器)・循環器内科医などの各領域専門医、看護師、臨床心理士、遺伝子検査を担う臨床検査技師、バイオインフォマティシャンが連携します。単独診療科での完結が難しい領域であるため、多職種連携の院内カンファレンス・エキスパートパネル(がんゲノム医療領域)の運用が体制設計の基本となります。

領域主な対象疾患関連学会・制度
先天異常・染色体異常ダウン症候群・染色体構造異常日本人類遺伝学会・日本小児科学会
単一遺伝子疾患指定難病を含む希少疾患難病対策・小児慢性特定疾病
遺伝性腫瘍HBOC・リンチ症候群・FAP等日本遺伝性腫瘍学会
がんゲノム医療体細胞変異解析(がん遺伝子パネル)がんゲノム医療中核・拠点・連携病院
出生前診断NIPT・母体血清マーカー・羊水検査出生前検査認証制度等運営委員会

2. 臨床遺伝専門医制度

臨床遺伝専門医は、日本人類遺伝学会と日本遺伝カウンセリング学会が共同で認定する専門医資格です。遺伝性疾患の診断・治療・遺伝カウンセリング・関連領域の臨床研究を担う専門医として位置づけられ、遺伝医療の中核を担います。認定は所定の研修プログラム修了と試験合格による認定制度として運用されており、更新制が採用されています。

2-1. 認定要件の概要

臨床遺伝専門医の認定要件は、日本人類遺伝学会・日本遺伝カウンセリング学会の制度規則により定められています。基礎領域の専門医資格保有を前提として、認定研修施設での所定期間の研修、症例経験、学会発表・論文実績、認定試験の合格が求められます。細則は両学会の公式資料でご確認ください。制度は改定される場合があり、最新の要件は学会公式サイトの最新告示が正確な情報源となります。

2-2. 認定研修施設

臨床遺伝専門医の研修は、両学会が認定する研修施設で実施されます。研修施設は大学病院・がん専門病院・小児専門病院・総合病院の遺伝診療部門を中心に整備されており、地域・領域による分布があります。研修施設として認定を受けるには、指導医の在籍・症例数・カウンセリング体制などの要件を満たす必要があり、施設としての遺伝診療部門の整備が前提となります。

2-3. 病院経営から見た配置の意義

臨床遺伝専門医の配置は、遺伝カウンセリング加算・遺伝学的検査の実施体制・がんゲノム医療の指定要件・臨床研究の推進の観点で、複数の制度的要素と関連します。特にがんゲノム医療拠点病院・連携病院の指定要件では、遺伝カウンセリング体制の整備が求められており、臨床遺伝専門医または認定遺伝カウンセラーの関与が体制要件の基盤となります。人材確保が課題となる領域であるため、複数施設連携・遠隔カウンセリング(オンライン形式)の活用も含めた体制設計が現実的な選択肢として整理されつつあります。

3. 認定遺伝カウンセラー

認定遺伝カウンセラーは、日本人類遺伝学会と日本遺伝カウンセリング学会が共同で認定する非医師の専門職資格です。遺伝カウンセリング・遺伝情報の伝達・心理社会的支援・意思決定支援を担い、臨床遺伝専門医と連携して遺伝医療を支える中核職種として位置づけられています。医師とは異なる立場から、被検査者・家族の心理社会的側面に配慮した支援を担うことに専門性の重心があります。

3-1. 養成課程

認定遺伝カウンセラーの養成は、両学会が認定する大学院修士課程で行われます。臨床遺伝学・遺伝カウンセリング・心理支援・倫理・研究法などの体系的な教育課程を修了し、認定試験に合格することで資格が付与されます。養成課程は国内複数の大学院に設置されていますが、募集定員は限定的で、人材養成のペースは需要に対して十分とは言い難い状況が続いています。

3-2. 活動範囲と役割

認定遺伝カウンセラーの活動は、被検査者・家族への情報提供、意思決定支援、心理社会的支援、家系情報の収集・整理、他職種との連携調整、教育・啓発活動、研究への参画など多岐にわたります。医療機関では臨床遺伝専門医と共にチームで対応する形が標準的で、遺伝カウンセリング加算の算定要件においても、両者の連携が想定されています。医療行為ではないため、診断・治療方針の決定は医師が担い、意思決定に至るプロセスへの支援を認定遺伝カウンセラーが担うという役割分担が制度上の前提となります。

3-3. 人材確保の実務

認定遺伝カウンセラーの絶対数は限られており、地域・施設による偏在が課題として整理されています。院内の遺伝診療部門を新規に立ち上げる場合、常勤配置が困難なケースも少なくありません。実務上は、非常勤配置・複数施設兼務・大学病院からの派遣・遠隔カウンセリング活用など、複数の運用形態が採用されています。がんゲノム医療の連携病院指定を目指す施設では、中核拠点病院・拠点病院との連携枠組みの中で、遺伝カウンセリング体制を補完する運用が現実的な選択肢となります。

4. 遺伝カウンセリング加算

遺伝カウンセリング加算は、遺伝学的検査に関する診療報酬上の加算項目です。厚生労働省告示・関連通知に基づき、対象疾患・実施者要件・実施内容などが規定されています。加算対象となる遺伝カウンセリングは、単なる検査結果の説明ではなく、被検査者・家族の心理社会的状況を踏まえた情報提供・意思決定支援を含む包括的なカウンセリングとして定義されています。

4-1. 算定要件の考え方

算定要件は、実施者・対象・実施方法・記録の各観点で定められています。実施者要件では、遺伝カウンセリングに係る所定の研修を修了した医師または当該研修を修了した医師と協働する認定遺伝カウンセラー等の関与が求められます。対象は保険適用となっている遺伝学的検査に関連する遺伝カウンセリングです。実施方法・記録に関する要件を含めた詳細は、診療報酬点数表・関連通知・疑義解釈でご確認ください。

4-2. 2024年度改定の要点

2024年度診療報酬改定では、遺伝学的検査に関する複数の見直しが行われ、対象疾患の追加、実施施設要件・実施者要件の整理、遺伝カウンセリング加算に関する運用上の見直しなどが含まれています。改定内容の詳細は、厚生労働省告示・関連通知・中央社会保険医療協議会(中医協)の資料でご確認ください。院内では、算定要件の運用手順書・記録様式・実施フローの見直しが実務上の対応事項となります。

4-3. 記録・院内運用の整備

算定にあたっては、実施内容の記録が要件として求められます。院内での運用としては、遺伝カウンセリング記録の標準様式、実施者・実施日・所要時間・実施内容・被検査者の意思決定状況・家系情報の記載、電子カルテ内での参照権限の整理、監査対応のための記録保管ルール、といった項目の整備が実務上の論点となります。個人情報保護・遺伝情報の取り扱いに関する院内規程との整合性を確保する必要があります。

5. がんゲノム医療体制

がんゲノム医療は、がんの体細胞変異を網羅的に解析し、変異に対応する薬剤選択・治療方針決定を支援する医療領域です。2018年のがんゲノム医療中核拠点病院指定を起点として、中核拠点病院・拠点病院・連携病院の3層構造で全国的な体制整備が進められてきました。がん遺伝子パネル検査(保険適用の遺伝子パネル検査)が実施され、エキスパートパネルでの検討を経て、治療方針への活用と、二次的所見(生殖細胞系列変異)が疑われる場合の遺伝カウンセリングへの連携が行われます。

5-1. 3層構造(中核拠点・拠点・連携)

厚生労働省の指定要件により、がんゲノム医療中核拠点病院はエキスパートパネルの主催・人材養成・研究推進を担い、がんゲノム医療拠点病院は自らエキスパートパネルを開催する体制を有し、がんゲノム医療連携病院は中核拠点・拠点と連携してがん遺伝子パネル検査の説明・実施・結果返却を担う役割分担となっています。連携病院は中核拠点または拠点のエキスパートパネルに検討を依頼する形で参画します。3層それぞれで指定要件が定められており、遺伝カウンセリング体制・臨床遺伝専門医または認定遺伝カウンセラーの関与が要件に含まれています。

5-2. エキスパートパネル

エキスパートパネルは、多職種の専門家によりがん遺伝子パネル検査の結果を検討する会議体です。腫瘍内科医・臨床遺伝専門医・遺伝医学専門家・分子病理学・バイオインフォマティシャン・認定遺伝カウンセラー等が参加し、変異の医学的意義の判断、推奨治療の検討、二次的所見の取り扱い方針の整理を行います。二次的所見として生殖細胞系列変異が示唆される場合は、遺伝カウンセリングを経た開示・家族への説明・追加検査の検討という流れが標準的な運用として整理されています。

5-3. 指定要件の確認ポイント

指定要件は改定される場合があるため、施設が指定を目指す・維持する場合は、厚生労働省の最新告示・整備指針を参照する必要があります。共通する体制要件としては、遺伝カウンセリング体制、臨床遺伝専門医または認定遺伝カウンセラーの関与、検体の取り扱い、症例登録(C-CAT等のデータベースとの連携)、多職種カンファレンス、患者相談体制などが挙げられます。連携病院を目指す施設では、連携先の中核拠点・拠点との事前調整、院内体制の整備、指定申請書類の準備という順序で進めることが実務上の一般的な流れです。

区分主な役割体制要件の重点
がんゲノム医療中核拠点病院エキスパートパネル主催・人材養成・研究推進臨床遺伝専門医常勤・認定遺伝カウンセラー・研究基盤
がんゲノム医療拠点病院自院でのエキスパートパネル開催遺伝カウンセリング体制・多職種カンファレンス
がんゲノム医療連携病院検査説明・実施・結果返却・患者フォロー連携先エキスパートパネルへの参画・カウンセリング体制

6. 遺伝性腫瘍・遺伝性疾患への対応

遺伝性腫瘍は、生殖細胞系列の変異により発症リスクが高くなるがんの総称で、代表的なものにHBOC(遺伝性乳癌卵巣癌症候群・BRCA1/2)、リンチ症候群(MMR遺伝子)、家族性大腸腺腫症(APC)、リ・フラウメニ症候群(TP53)などがあります。日本遺伝性腫瘍学会は、遺伝性腫瘍の診療・研究・教育を担う学会として、診療ガイドライン・症例登録・専門医育成に取り組んでいます。

6-1. HBOC

HBOCはBRCA1/BRCA2遺伝子の生殖細胞系列変異により、乳癌・卵巣癌・膵癌・前立腺癌等の発症リスクが高くなる遺伝性腫瘍症候群です。2019年6月に卵巣癌・転移性去勢抵抗性前立腺癌等に対するオラパリブが保険適用され、コンパニオン診断として生殖細胞系列BRCA1/2検査が保険収載されました。2020年4月には、既発症のBRCA1/2病的バリアント保持者に対するリスク低減乳房切除術・リスク低減卵管卵巣摘出術が保険適用となり、サーベイランス・治療・予防の各段階での対応が制度化されています。診療上は日本HBOCコンソーシアム等の診療ガイドラインが参照されます。

6-2. リンチ症候群と家族性大腸腺腫症

リンチ症候群はミスマッチ修復(MMR)遺伝子の生殖細胞系列変異により、大腸癌・子宮体癌・胃癌等の発症リスクが高くなる遺伝性腫瘍症候群です。診療の初期スクリーニングとして、大腸癌組織のミスマッチ修復タンパク免疫染色・マイクロサテライト不安定性(MSI)検査等が活用されます。家族性大腸腺腫症(FAP)はAPC遺伝子の変異により多発大腸ポリープを生じる遺伝性疾患で、若年からのサーベイランスと予防的手術の検討が診療上の中心となります。両疾患とも、家族への情報提供・保因者診断・サーベイランス計画の設計に、遺伝カウンセリングが不可欠な位置を占めます。

6-3. 家族への情報開示

遺伝性腫瘍の診療では、被検査者本人だけでなく、血縁者に対する情報提供・遺伝カウンセリングの必要性が生じます。医療者は被検査者の意思決定を尊重しつつ、血縁者への情報伝達の重要性・伝達方法・遺伝カウンセリングの案内について支援を行うことが求められます。院内では、家族への情報開示に関する運用手順・カウンセリング資料の標準化・血縁者受診時のフロー整備が実務上の論点となります。日本医学会「医療における遺伝学的検査・診断に関するガイドライン」の枠組みが基本的な参照文書となります。

7. 倫理指針・個人情報保護・差別禁止

遺伝情報は、個人だけでなく血縁者にも関わる特殊な性質を持つ情報として、医学研究倫理・個人情報保護・差別防止の各領域で慎重な取り扱いが求められます。国内では、日本医学会のガイドライン、厚生労働省・文部科学省・経済産業省の倫理指針、個人情報保護法、ゲノム医療推進法など、複数の枠組みが交差する領域となっています。

7-1. 日本医学会ガイドライン

日本医学会「医療における遺伝学的検査・診断に関するガイドライン」は、遺伝学的検査の実施にあたる基本的な考え方・倫理原則・カウンセリング体制・情報管理を整理した文書で、国内の遺伝医療における基本的な参照文書となっています。ガイドラインでは、インフォームド・コンセントの徹底、遺伝カウンセリング体制の整備、非発症保因者診断・発症前診断・出生前診断・小児に対する検査の慎重な取り扱い、家族への情報開示に関する配慮などが示されています。

7-2. 研究倫理指針

研究として遺伝子解析を行う場合は、「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」(文部科学省・厚生労働省・経済産業省告示)の適用対象となります。同指針は、旧「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針」等を統合して2021年に施行され、以降改定を重ねています。研究の実施にあたっては、研究倫理審査委員会の承認、インフォームド・コンセント、個人情報保護、遺伝情報の返却方針、二次的所見の取り扱い、試料・情報の保管・管理などが要件となります。診療と研究の境界、診療目的の遺伝学的検査と研究目的の解析の区別を院内で明確化することが実務上の重要論点です。

7-3. 遺伝情報差別禁止

ゲノム医療推進法は、基本理念のひとつとして「ゲノム医療により得られた情報による不当な差別が生じないようにすること」を掲げています。国外では、米国の遺伝情報差別禁止法(GINA、2008年)などの立法例があります。国内では、雇用・保険・教育などの領域における遺伝情報の取り扱いに関する具体的な法規制は限定的ですが、ゲノム医療推進法を基点として、関連する法制度・自主的な取り組みの整備が進む見通しです。医療機関としては、院内での遺伝情報の取り扱い、電子カルテのアクセス権限、退院サマリー・診療情報提供書での記載範囲などについて、差別につながらない運用の設計が必要となります。

7-4. 個人情報保護法との整合

個人情報保護法上、ゲノム情報を含む一定の遺伝情報は「個人識別符号」または「要配慮個人情報」に該当する取り扱いが整理されています。医療機関では、通常の診療情報以上に慎重な取り扱いが求められ、取得時の同意、目的外利用の制限、第三者提供の制限、安全管理措置などについて、院内規程・プライバシーポリシーとの整合を確保する必要があります。個人情報保護委員会のガイドライン・Q&Aが参照文書となります。

8. 2024年度診療報酬改定の要点

2024年度診療報酬改定では、遺伝学的検査・遺伝カウンセリングに関連する項目で複数の見直しが行われました。改定内容は個別の告示・通知・疑義解釈で定義されており、院内の運用に反映する際は最新の公式資料を確認する必要があります。改定の主要な方向性は、遺伝医療体制の整備を支援しつつ、質の高い遺伝カウンセリングの提供を評価する内容となっています。

8-1. 遺伝学的検査の項目

遺伝学的検査については、対象疾患の追加・整理、実施施設要件、検体の取り扱い、結果報告のあり方について見直しが行われています。指定難病・小児慢性特定疾病を対象とする検査の範囲拡大、既存項目の実施要件の整理などが盛り込まれました。詳細は厚生労働省告示・関連通知・疑義解釈でご確認ください。

8-2. 遺伝カウンセリング加算

遺伝カウンセリング加算については、実施者要件・実施内容・記録要件・算定対象の運用について整理が行われています。院内では、実施フロー・記録様式・電子カルテ運用・監査対応の観点で、算定要件の運用手順書の更新が実務上の対応事項となります。改定の詳細と院内運用への反映は、施設の医事課・保険診療委員会等での確認プロセスを経ることが一般的です。

8-3. がんゲノム医療関連

がん遺伝子パネル検査・エキスパートパネル関連の項目についても、実施施設要件・実施要件・提出書類の整理が行われています。がんゲノム医療中核拠点病院・拠点病院・連携病院の指定制度と、診療報酬上の要件が連動する構造となっているため、指定要件の変更と診療報酬改定の両方を追跡する必要があります。改定内容は厚生労働省・中医協資料でご確認ください。

9. よくある質問(FAQ)

Q1. 遺伝カウンセリング加算を算定するために必要な人員配置は?
A1. 遺伝カウンセリング加算の算定要件では、所定の研修を修了した医師の関与が求められ、あわせて認定遺伝カウンセラー等の非医師専門職が協働する体制が想定されています。詳細な要件は診療報酬点数表・関連通知・疑義解釈で定められており、対象疾患・実施内容・記録の各項目に細則があります。院内での運用にあたっては、施設の医事課・保険診療委員会でご確認のうえ、要件充足の可否を判断してください。
Q2. 認定遺伝カウンセラーの常勤配置が難しい場合、どのような選択肢がありますか?
A2. 常勤配置が困難な施設では、非常勤配置・複数施設兼務・大学病院からの派遣・遠隔カウンセリング(オンライン形式)の活用など、複数の運用形態が採用されています。がんゲノム医療の連携病院として指定を受ける場合は、中核拠点病院・拠点病院との連携枠組みの中で遺伝カウンセリング体制を補完する運用が現実的です。制度上の要件充足の可否は、厚生労働省の指定要件および診療報酬関連通知でご確認ください。
Q3. がんゲノム医療連携病院の申請にはどのような準備が必要ですか?
A3. 連携病院の指定要件は厚生労働省告示・整備指針により定められています。一般的な準備事項としては、連携先となる中核拠点病院・拠点病院との事前調整、院内の実施体制(遺伝カウンセリング体制・多職種カンファレンス・患者相談体制等)の整備、症例登録体制の整備、指定申請書類の準備が挙げられます。指定要件は改定される場合があるため、最新の公式資料をかならずご確認ください。
Q4. 遺伝性腫瘍の家族への情報開示はどう進めるべきですか?
A4. 血縁者への情報伝達は、被検査者の意思決定を尊重することが基本原則です。医療者は、家族への情報伝達の重要性・伝達方法・遺伝カウンセリングの案内について支援を行います。日本医学会「医療における遺伝学的検査・診断に関するガイドライン」および関連学会のガイドラインが基本的な参照文書となります。院内での運用手順・カウンセリング資料の標準化・血縁者受診時のフロー整備を、事前に文書化しておくことが実務上の重要ポイントです。
Q5. 遺伝情報の電子カルテ内での取り扱いはどう整理すべきですか?
A5. 遺伝情報は個人情報保護法上の要配慮個人情報に該当する取り扱いが整理されており、通常の診療情報以上に慎重な取り扱いが求められます。院内では、電子カルテのアクセス権限、記載範囲、退院サマリー・診療情報提供書での取り扱い、監査対応、家族の受診時の参照可否など、複数の観点で運用ルールの整備が必要です。個人情報保護委員会のガイドライン、日本医学会・関連学会のガイドラインを参照しつつ、院内の情報管理委員会・倫理委員会で運用方針を整理することが一般的な進め方です。

10. 次のステップ

遺伝医療体制の整備に取り組む病院理事長・腫瘍内科医・小児科医・遺伝関連担当者に向けて、本記事の整理を踏まえた次の一歩を示します。

病院理事長・経営層の場合

まず、自院の遺伝医療体制の現状(臨床遺伝専門医・認定遺伝カウンセラーの配置状況、遺伝カウンセリング加算の算定実績、がんゲノム医療の指定状況、院内規程の整備状況)を棚卸ししてください。そのうえで、地域におけるがんゲノム医療の3層構造上の自院の位置づけ、連携先施設との協働体制、人材確保の中長期計画を、経営計画・地域医療計画と整合させた形で整理することが現実的な進め方です。ゲノム医療推進法の基本計画の動向も踏まえた中期の体制計画の見直しが実務上の課題となります。

腫瘍内科医・外科医の場合

まず、がんゲノム医療における自施設のポジション(中核拠点・拠点・連携・非指定)と、他施設との連携ルートを確認してください。遺伝性腫瘍が疑われる症例の抽出フロー、遺伝カウンセリング部門への紹介ルート、エキスパートパネルへの症例提出プロセス、二次的所見が生じた場合のカウンセリング連携について、院内の標準運用を明確化することが取りこぼし防止に直結します。診療科横断のカンファレンスと、認定遺伝カウンセラーとの日常的な連携体制の整備が実務上の重要事項です。

小児科医・遺伝関連担当者の場合

小児科領域では、指定難病・小児慢性特定疾病を含む単一遺伝子疾患、染色体異常、先天代謝異常、発症前診断など、多様な遺伝医療の対象領域があります。まず、自施設で対応している遺伝性疾患の範囲、遺伝学的検査の実施状況、遺伝カウンセリング体制、成人期への移行支援(トランジション)の整備状況を確認してください。小児期の遺伝学的検査は、本人の同意取得の制約、成人期の意思決定への配慮、家族全体への影響など、成人領域とは異なる倫理配慮が求められます。日本小児科学会・日本人類遺伝学会のガイドラインを参照しつつ、院内での運用手順を整備することが実務上の出発点となります。

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11. まとめ

遺伝医療と遺伝カウンセリング体制は、遺伝性腫瘍・遺伝性疾患・がんゲノム医療・出生前診断など複数の領域が交差する医療領域として、制度・体制・人材・倫理の各観点で総合的な設計が求められる領域です。2023年のゲノム医療推進法成立、2024年度診療報酬改定、がんゲノム医療の指定要件の見直しなど、制度環境は継続的に変化しており、院内体制の更新は継続的な取り組みが必要となります。

体制整備の実務では、臨床遺伝専門医・認定遺伝カウンセラーの配置または連携、遺伝カウンセリング加算の算定要件の運用、がんゲノム医療の3層構造上の位置づけ、遺伝性腫瘍への院内対応、倫理指針・個人情報保護・差別禁止への配慮、を一体的に設計することが求められます。人材確保が課題となる領域であるため、複数施設連携・遠隔カウンセリング・地域連携の組み合わせによる現実的な体制設計が中期的な方向性となります。

本記事は公開情報を整理した内容であり、診療行為・治療方針・遺伝学的検査結果の解釈の助言や、個別施設の制度適合性の確定的な解釈を目的とするものではありません。指針・告示・通知の正確な内容は厚生労働省・関連学会の公式資料でご確認ください。

出典・参考情報

  • 厚生労働省「がんゲノム医療」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188976.html (参照:2026年7月)
  • 厚生労働省「がんゲノム医療中核拠点病院等の整備に関する指針」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188976_00003.html (参照:2026年7月)
  • 厚生労働省「令和6年度診療報酬改定について」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188411_00037.html (参照:2026年7月)
  • 厚生労働省「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hokabunya/kenkyujigyou/i-kenkyu/index.html (参照:2026年7月)
  • 厚生労働省「個人情報保護法と医療」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/johoka/index.html (参照:2026年7月)
  • 厚生労働省「難病対策」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/nanbyou/index.html (参照:2026年7月)
  • e-Gov「良質かつ適切なゲノム医療を国民が安心して受けられるようにするための施策の総合的かつ計画的な推進に関する法律」(ゲノム医療推進法) https://elaws.e-gov.go.jp/ (参照:2026年7月)
  • 日本医学会「医療における遺伝学的検査・診断に関するガイドライン」 https://jams.med.or.jp/guideline/genetics-diagnosis_2022.pdf (参照:2026年7月)
  • 日本人類遺伝学会 https://jshg.jp/ (参照:2026年7月)
  • 日本遺伝カウンセリング学会 http://www.jsgc.jp/ (参照:2026年7月)
  • 日本遺伝性腫瘍学会 https://jsht.umin.jp/ (参照:2026年7月)
  • 国立がん研究センター「がんゲノム情報管理センター(C-CAT)」 https://for-patients.c-cat.ncc.go.jp/ (参照:2026年7月)
  • 個人情報保護委員会「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」 https://www.ppc.go.jp/ (参照:2026年7月)

免責事項

本記事は公開情報を整理した内容であり、特定の医療行為・治療方針・遺伝学的検査結果の解釈・診療判断の助言を目的とするものではありません。診療・治療・検査結果に関する個別判断は主治医・遺伝専門医・認定遺伝カウンセラーにご相談ください。制度の運用・指定要件・診療報酬上の要件の正確な内容は、厚生労働省・関連学会の公式資料および所管部局へご確認ください。掲載情報は2026年7月時点のものであり、指針改正・制度改定により内容が変わる場合があります。

編集方針

本記事はmitoru編集部が厚生労働省・日本医学会・日本人類遺伝学会・日本遺伝カウンセリング学会・日本遺伝性腫瘍学会・国立がん研究センターの公開資料を整理して作成しました。特定製品・サービスへの誘導を目的とせず、遺伝医療および遺伝カウンセリング体制の整備に関わる医療従事者・関係者の情報整理の参考として提供します。誤情報・情報の更新については 訂正ポリシー に従い対応します。編集方針の詳細はこちら。

関連記事

この記事で分かること

  • 遺伝医療の全体像とゲノム医療推進法(2023年成立)の位置づけ
  • 臨床遺伝専門医制度(日本人類遺伝学会・日本遺伝カウンセリング学会)の枠組み
  • 認定遺伝カウンセラー制度と養成課程・活動範囲
  • 遺伝カウンセリング加算の診療報酬上の要件
  • がんゲノム医療中核拠点病院・拠点病院・連携病院の3層構造と指定要件
  • 遺伝性腫瘍(HBOC・リンチ症候群等)への臨床対応の考え方
  • ヒトゲノム・遺伝子解析研究倫理指針と個人情報保護
  • 遺伝情報差別禁止に関する国内外の動向と院内配慮
  • 2024年度診療報酬改定の要点

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1. 遺伝医療の全体像

遺伝医療とは、遺伝性疾患・遺伝性腫瘍・先天異常・薬理遺伝学(ファーマコゲノミクス)など、遺伝情報が診断・治療・予防に関わる医療領域を指します。単一遺伝子疾患・染色体異常から、がんゲノム医療・多因子疾患の遺伝的リスク評価まで、対象は広範にわたります。近年は遺伝学的検査の技術進歩と保険適用の拡大により、遺伝医療は希少疾患領域の専門医療から、腫瘍内科・産婦人科・小児科・循環器内科などを横断する臨床医療領域へと広がっています。

1-1. ゲノム医療推進法(2023年)の枠組み

ゲノム医療推進法は2023年6月に成立・公布された議員立法で、ゲノム医療の推進に関する基本理念・国および地方公共団体の責務・基本計画の策定を定めています。基本理念には、生命倫理への配慮、個人情報保護、不当な差別の防止、良質かつ適切なゲノム医療の提供、研究の推進と成果の適切な活用が掲げられています。同法に基づき、政府はゲノム医療推進基本計画を策定することとされており、遺伝医療体制・遺伝カウンセリング・人材養成・倫理配慮の各領域が計画に反映されていく見通しです。

1-2. 遺伝医療の主な対象領域

臨床上の遺伝医療は、大きく(1)先天異常・染色体異常、(2)単一遺伝子疾患(希少疾患を含む)、(3)遺伝性腫瘍(HBOC・リンチ症候群・家族性大腸腺腫症等)、(4)発症前診断・保因者診断、(5)出生前診断(NIPT等)、(6)がんゲノム医療(体細胞変異を対象とする網羅的解析)、(7)薬理遺伝学(薬剤代謝関連遺伝子)に整理されます。それぞれ、担当診療科・検査体系・カウンセリング内容・倫理配慮の重点が異なるため、施設内で担当窓口・連携体制を明確にすることが求められます。

1-3. 遺伝医療の担い手

遺伝医療の中核的な担い手は、臨床遺伝専門医と認定遺伝カウンセラーです。加えて、腫瘍内科医・産婦人科医・小児科医・外科医(乳腺・消化器)・循環器内科医などの各領域専門医、看護師、臨床心理士、遺伝子検査を担う臨床検査技師、バイオインフォマティシャンが連携します。単独診療科での完結が難しい領域であるため、多職種連携の院内カンファレンス・エキスパートパネル(がんゲノム医療領域)の運用が体制設計の基本となります。

領域主な対象疾患関連学会・制度
先天異常・染色体異常ダウン症候群・染色体構造異常日本人類遺伝学会・日本小児科学会
単一遺伝子疾患指定難病を含む希少疾患難病対策・小児慢性特定疾病
遺伝性腫瘍HBOC・リンチ症候群・FAP等日本遺伝性腫瘍学会
がんゲノム医療体細胞変異解析(がん遺伝子パネル)がんゲノム医療中核・拠点・連携病院
出生前診断NIPT・母体血清マーカー・羊水検査出生前検査認証制度等運営委員会

2. 臨床遺伝専門医制度

臨床遺伝専門医は、日本人類遺伝学会と日本遺伝カウンセリング学会が共同で認定する専門医資格です。遺伝性疾患の診断・治療・遺伝カウンセリング・関連領域の臨床研究を担う専門医として位置づけられ、遺伝医療の中核を担います。認定は所定の研修プログラム修了と試験合格による認定制度として運用されており、更新制が採用されています。

2-1. 認定要件の概要

臨床遺伝専門医の認定要件は、日本人類遺伝学会・日本遺伝カウンセリング学会の制度規則により定められています。基礎領域の専門医資格保有を前提として、認定研修施設での所定期間の研修、症例経験、学会発表・論文実績、認定試験の合格が求められます。細則は両学会の公式資料でご確認ください。制度は改定される場合があり、最新の要件は学会公式サイトの最新告示が正確な情報源となります。

2-2. 認定研修施設

臨床遺伝専門医の研修は、両学会が認定する研修施設で実施されます。研修施設は大学病院・がん専門病院・小児専門病院・総合病院の遺伝診療部門を中心に整備されており、地域・領域による分布があります。研修施設として認定を受けるには、指導医の在籍・症例数・カウンセリング体制などの要件を満たす必要があり、施設としての遺伝診療部門の整備が前提となります。

2-3. 病院経営から見た配置の意義

臨床遺伝専門医の配置は、遺伝カウンセリング加算・遺伝学的検査の実施体制・がんゲノム医療の指定要件・臨床研究の推進の観点で、複数の制度的要素と関連します。特にがんゲノム医療拠点病院・連携病院の指定要件では、遺伝カウンセリング体制の整備が求められており、臨床遺伝専門医または認定遺伝カウンセラーの関与が体制要件の基盤となります。人材確保が課題となる領域であるため、複数施設連携・遠隔カウンセリング(オンライン形式)の活用も含めた体制設計が現実的な選択肢として整理されつつあります。

3. 認定遺伝カウンセラー

認定遺伝カウンセラーは、日本人類遺伝学会と日本遺伝カウンセリング学会が共同で認定する非医師の専門職資格です。遺伝カウンセリング・遺伝情報の伝達・心理社会的支援・意思決定支援を担い、臨床遺伝専門医と連携して遺伝医療を支える中核職種として位置づけられています。医師とは異なる立場から、被検査者・家族の心理社会的側面に配慮した支援を担うことに専門性の重心があります。

3-1. 養成課程

認定遺伝カウンセラーの養成は、両学会が認定する大学院修士課程で行われます。臨床遺伝学・遺伝カウンセリング・心理支援・倫理・研究法などの体系的な教育課程を修了し、認定試験に合格することで資格が付与されます。養成課程は国内複数の大学院に設置されていますが、募集定員は限定的で、人材養成のペースは需要に対して十分とは言い難い状況が続いています。

3-2. 活動範囲と役割

認定遺伝カウンセラーの活動は、被検査者・家族への情報提供、意思決定支援、心理社会的支援、家系情報の収集・整理、他職種との連携調整、教育・啓発活動、研究への参画など多岐にわたります。医療機関では臨床遺伝専門医と共にチームで対応する形が標準的で、遺伝カウンセリング加算の算定要件においても、両者の連携が想定されています。医療行為ではないため、診断・治療方針の決定は医師が担い、意思決定に至るプロセスへの支援を認定遺伝カウンセラーが担うという役割分担が制度上の前提となります。

3-3. 人材確保の実務

認定遺伝カウンセラーの絶対数は限られており、地域・施設による偏在が課題として整理されています。院内の遺伝診療部門を新規に立ち上げる場合、常勤配置が困難なケースも少なくありません。実務上は、非常勤配置・複数施設兼務・大学病院からの派遣・遠隔カウンセリング活用など、複数の運用形態が採用されています。がんゲノム医療の連携病院指定を目指す施設では、中核拠点病院・拠点病院との連携枠組みの中で、遺伝カウンセリング体制を補完する運用が現実的な選択肢となります。

4. 遺伝カウンセリング加算

遺伝カウンセリング加算は、遺伝学的検査に関する診療報酬上の加算項目です。厚生労働省告示・関連通知に基づき、対象疾患・実施者要件・実施内容などが規定されています。加算対象となる遺伝カウンセリングは、単なる検査結果の説明ではなく、被検査者・家族の心理社会的状況を踏まえた情報提供・意思決定支援を含む包括的なカウンセリングとして定義されています。

4-1. 算定要件の考え方

算定要件は、実施者・対象・実施方法・記録の各観点で定められています。実施者要件では、遺伝カウンセリングに係る所定の研修を修了した医師または当該研修を修了した医師と協働する認定遺伝カウンセラー等の関与が求められます。対象は保険適用となっている遺伝学的検査に関連する遺伝カウンセリングです。実施方法・記録に関する要件を含めた詳細は、診療報酬点数表・関連通知・疑義解釈でご確認ください。

4-2. 2024年度改定の要点

2024年度診療報酬改定では、遺伝学的検査に関する複数の見直しが行われ、対象疾患の追加、実施施設要件・実施者要件の整理、遺伝カウンセリング加算に関する運用上の見直しなどが含まれています。改定内容の詳細は、厚生労働省告示・関連通知・中央社会保険医療協議会(中医協)の資料でご確認ください。院内では、算定要件の運用手順書・記録様式・実施フローの見直しが実務上の対応事項となります。

4-3. 記録・院内運用の整備

算定にあたっては、実施内容の記録が要件として求められます。院内での運用としては、遺伝カウンセリング記録の標準様式、実施者・実施日・所要時間・実施内容・被検査者の意思決定状況・家系情報の記載、電子カルテ内での参照権限の整理、監査対応のための記録保管ルール、といった項目の整備が実務上の論点となります。個人情報保護・遺伝情報の取り扱いに関する院内規程との整合性を確保する必要があります。

5. がんゲノム医療体制

がんゲノム医療は、がんの体細胞変異を網羅的に解析し、変異に対応する薬剤選択・治療方針決定を支援する医療領域です。2018年のがんゲノム医療中核拠点病院指定を起点として、中核拠点病院・拠点病院・連携病院の3層構造で全国的な体制整備が進められてきました。がん遺伝子パネル検査(保険適用の遺伝子パネル検査)が実施され、エキスパートパネルでの検討を経て、治療方針への活用と、二次的所見(生殖細胞系列変異)が疑われる場合の遺伝カウンセリングへの連携が行われます。

5-1. 3層構造(中核拠点・拠点・連携)

厚生労働省の指定要件により、がんゲノム医療中核拠点病院はエキスパートパネルの主催・人材養成・研究推進を担い、がんゲノム医療拠点病院は自らエキスパートパネルを開催する体制を有し、がんゲノム医療連携病院は中核拠点・拠点と連携してがん遺伝子パネル検査の説明・実施・結果返却を担う役割分担となっています。連携病院は中核拠点または拠点のエキスパートパネルに検討を依頼する形で参画します。3層それぞれで指定要件が定められており、遺伝カウンセリング体制・臨床遺伝専門医または認定遺伝カウンセラーの関与が要件に含まれています。

5-2. エキスパートパネル

エキスパートパネルは、多職種の専門家によりがん遺伝子パネル検査の結果を検討する会議体です。腫瘍内科医・臨床遺伝専門医・遺伝医学専門家・分子病理学・バイオインフォマティシャン・認定遺伝カウンセラー等が参加し、変異の医学的意義の判断、推奨治療の検討、二次的所見の取り扱い方針の整理を行います。二次的所見として生殖細胞系列変異が示唆される場合は、遺伝カウンセリングを経た開示・家族への説明・追加検査の検討という流れが標準的な運用として整理されています。

5-3. 指定要件の確認ポイント

指定要件は改定される場合があるため、施設が指定を目指す・維持する場合は、厚生労働省の最新告示・整備指針を参照する必要があります。共通する体制要件としては、遺伝カウンセリング体制、臨床遺伝専門医または認定遺伝カウンセラーの関与、検体の取り扱い、症例登録(C-CAT等のデータベースとの連携)、多職種カンファレンス、患者相談体制などが挙げられます。連携病院を目指す施設では、連携先の中核拠点・拠点との事前調整、院内体制の整備、指定申請書類の準備という順序で進めることが実務上の一般的な流れです。

区分主な役割体制要件の重点
がんゲノム医療中核拠点病院エキスパートパネル主催・人材養成・研究推進臨床遺伝専門医常勤・認定遺伝カウンセラー・研究基盤
がんゲノム医療拠点病院自院でのエキスパートパネル開催遺伝カウンセリング体制・多職種カンファレンス
がんゲノム医療連携病院検査説明・実施・結果返却・患者フォロー連携先エキスパートパネルへの参画・カウンセリング体制

6. 遺伝性腫瘍・遺伝性疾患への対応

遺伝性腫瘍は、生殖細胞系列の変異により発症リスクが高くなるがんの総称で、代表的なものにHBOC(遺伝性乳癌卵巣癌症候群・BRCA1/2)、リンチ症候群(MMR遺伝子)、家族性大腸腺腫症(APC)、リ・フラウメニ症候群(TP53)などがあります。日本遺伝性腫瘍学会は、遺伝性腫瘍の診療・研究・教育を担う学会として、診療ガイドライン・症例登録・専門医育成に取り組んでいます。

6-1. HBOC

HBOCはBRCA1/BRCA2遺伝子の生殖細胞系列変異により、乳癌・卵巣癌・膵癌・前立腺癌等の発症リスクが高くなる遺伝性腫瘍症候群です。2019年6月に卵巣癌・転移性去勢抵抗性前立腺癌等に対するオラパリブが保険適用され、コンパニオン診断として生殖細胞系列BRCA1/2検査が保険収載されました。2020年4月には、既発症のBRCA1/2病的バリアント保持者に対するリスク低減乳房切除術・リスク低減卵管卵巣摘出術が保険適用となり、サーベイランス・治療・予防の各段階での対応が制度化されています。診療上は日本HBOCコンソーシアム等の診療ガイドラインが参照されます。

6-2. リンチ症候群と家族性大腸腺腫症

リンチ症候群はミスマッチ修復(MMR)遺伝子の生殖細胞系列変異により、大腸癌・子宮体癌・胃癌等の発症リスクが高くなる遺伝性腫瘍症候群です。診療の初期スクリーニングとして、大腸癌組織のミスマッチ修復タンパク免疫染色・マイクロサテライト不安定性(MSI)検査等が活用されます。家族性大腸腺腫症(FAP)はAPC遺伝子の変異により多発大腸ポリープを生じる遺伝性疾患で、若年からのサーベイランスと予防的手術の検討が診療上の中心となります。両疾患とも、家族への情報提供・保因者診断・サーベイランス計画の設計に、遺伝カウンセリングが不可欠な位置を占めます。

6-3. 家族への情報開示

遺伝性腫瘍の診療では、被検査者本人だけでなく、血縁者に対する情報提供・遺伝カウンセリングの必要性が生じます。医療者は被検査者の意思決定を尊重しつつ、血縁者への情報伝達の重要性・伝達方法・遺伝カウンセリングの案内について支援を行うことが求められます。院内では、家族への情報開示に関する運用手順・カウンセリング資料の標準化・血縁者受診時のフロー整備が実務上の論点となります。日本医学会「医療における遺伝学的検査・診断に関するガイドライン」の枠組みが基本的な参照文書となります。

7. 倫理指針・個人情報保護・差別禁止

遺伝情報は、個人だけでなく血縁者にも関わる特殊な性質を持つ情報として、医学研究倫理・個人情報保護・差別防止の各領域で慎重な取り扱いが求められます。国内では、日本医学会のガイドライン、厚生労働省・文部科学省・経済産業省の倫理指針、個人情報保護法、ゲノム医療推進法など、複数の枠組みが交差する領域となっています。

7-1. 日本医学会ガイドライン

日本医学会「医療における遺伝学的検査・診断に関するガイドライン」は、遺伝学的検査の実施にあたる基本的な考え方・倫理原則・カウンセリング体制・情報管理を整理した文書で、国内の遺伝医療における基本的な参照文書となっています。ガイドラインでは、インフォームド・コンセントの徹底、遺伝カウンセリング体制の整備、非発症保因者診断・発症前診断・出生前診断・小児に対する検査の慎重な取り扱い、家族への情報開示に関する配慮などが示されています。

7-2. 研究倫理指針

研究として遺伝子解析を行う場合は、「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」(文部科学省・厚生労働省・経済産業省告示)の適用対象となります。同指針は、旧「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針」等を統合して2021年に施行され、以降改定を重ねています。研究の実施にあたっては、研究倫理審査委員会の承認、インフォームド・コンセント、個人情報保護、遺伝情報の返却方針、二次的所見の取り扱い、試料・情報の保管・管理などが要件となります。診療と研究の境界、診療目的の遺伝学的検査と研究目的の解析の区別を院内で明確化することが実務上の重要論点です。

7-3. 遺伝情報差別禁止

ゲノム医療推進法は、基本理念のひとつとして「ゲノム医療により得られた情報による不当な差別が生じないようにすること」を掲げています。国外では、米国の遺伝情報差別禁止法(GINA、2008年)などの立法例があります。国内では、雇用・保険・教育などの領域における遺伝情報の取り扱いに関する具体的な法規制は限定的ですが、ゲノム医療推進法を基点として、関連する法制度・自主的な取り組みの整備が進む見通しです。医療機関としては、院内での遺伝情報の取り扱い、電子カルテのアクセス権限、退院サマリー・診療情報提供書での記載範囲などについて、差別につながらない運用の設計が必要となります。

7-4. 個人情報保護法との整合

個人情報保護法上、ゲノム情報を含む一定の遺伝情報は「個人識別符号」または「要配慮個人情報」に該当する取り扱いが整理されています。医療機関では、通常の診療情報以上に慎重な取り扱いが求められ、取得時の同意、目的外利用の制限、第三者提供の制限、安全管理措置などについて、院内規程・プライバシーポリシーとの整合を確保する必要があります。個人情報保護委員会のガイドライン・Q&Aが参照文書となります。

8. 2024年度診療報酬改定の要点

2024年度診療報酬改定では、遺伝学的検査・遺伝カウンセリングに関連する項目で複数の見直しが行われました。改定内容は個別の告示・通知・疑義解釈で定義されており、院内の運用に反映する際は最新の公式資料を確認する必要があります。改定の主要な方向性は、遺伝医療体制の整備を支援しつつ、質の高い遺伝カウンセリングの提供を評価する内容となっています。

8-1. 遺伝学的検査の項目

遺伝学的検査については、対象疾患の追加・整理、実施施設要件、検体の取り扱い、結果報告のあり方について見直しが行われています。指定難病・小児慢性特定疾病を対象とする検査の範囲拡大、既存項目の実施要件の整理などが盛り込まれました。詳細は厚生労働省告示・関連通知・疑義解釈でご確認ください。

8-2. 遺伝カウンセリング加算

遺伝カウンセリング加算については、実施者要件・実施内容・記録要件・算定対象の運用について整理が行われています。院内では、実施フロー・記録様式・電子カルテ運用・監査対応の観点で、算定要件の運用手順書の更新が実務上の対応事項となります。改定の詳細と院内運用への反映は、施設の医事課・保険診療委員会等での確認プロセスを経ることが一般的です。

8-3. がんゲノム医療関連

がん遺伝子パネル検査・エキスパートパネル関連の項目についても、実施施設要件・実施要件・提出書類の整理が行われています。がんゲノム医療中核拠点病院・拠点病院・連携病院の指定制度と、診療報酬上の要件が連動する構造となっているため、指定要件の変更と診療報酬改定の両方を追跡する必要があります。改定内容は厚生労働省・中医協資料でご確認ください。

9. よくある質問(FAQ)

Q1. 遺伝カウンセリング加算を算定するために必要な人員配置は?

A1. 遺伝カウンセリング加算の算定要件では、所定の研修を修了した医師の関与が求められ、あわせて認定遺伝カウンセラー等の非医師専門職が協働する体制が想定されています。詳細な要件は診療報酬点数表・関連通知・疑義解釈で定められており、対象疾患・実施内容・記録の各項目に細則があります。院内での運用にあたっては、施設の医事課・保険診療委員会でご確認のうえ、要件充足の可否を判断してください。

Q2. 認定遺伝カウンセラーの常勤配置が難しい場合、どのような選択肢がありますか?

A2. 常勤配置が困難な施設では、非常勤配置・複数施設兼務・大学病院からの派遣・遠隔カウンセリング(オンライン形式)の活用など、複数の運用形態が採用されています。がんゲノム医療の連携病院として指定を受ける場合は、中核拠点病院・拠点病院との連携枠組みの中で遺伝カウンセリング体制を補完する運用が現実的です。制度上の要件充足の可否は、厚生労働省の指定要件および診療報酬関連通知でご確認ください。

Q3. がんゲノム医療連携病院の申請にはどのような準備が必要ですか?

A3. 連携病院の指定要件は厚生労働省告示・整備指針により定められています。一般的な準備事項としては、連携先となる中核拠点病院・拠点病院との事前調整、院内の実施体制(遺伝カウンセリング体制・多職種カンファレンス・患者相談体制等)の整備、症例登録体制の整備、指定申請書類の準備が挙げられます。指定要件は改定される場合があるため、最新の公式資料をかならずご確認ください。

Q4. 遺伝性腫瘍の家族への情報開示はどう進めるべきですか?

A4. 血縁者への情報伝達は、被検査者の意思決定を尊重することが基本原則です。医療者は、家族への情報伝達の重要性・伝達方法・遺伝カウンセリングの案内について支援を行います。日本医学会「医療における遺伝学的検査・診断に関するガイドライン」および関連学会のガイドラインが基本的な参照文書となります。院内での運用手順・カウンセリング資料の標準化・血縁者受診時のフロー整備を、事前に文書化しておくことが実務上の重要ポイントです。

Q5. 遺伝情報の電子カルテ内での取り扱いはどう整理すべきですか?

A5. 遺伝情報は個人情報保護法上の要配慮個人情報に該当する取り扱いが整理されており、通常の診療情報以上に慎重な取り扱いが求められます。院内では、電子カルテのアクセス権限、記載範囲、退院サマリー・診療情報提供書での取り扱い、監査対応、家族の受診時の参照可否など、複数の観点で運用ルールの整備が必要です。個人情報保護委員会のガイドライン、日本医学会・関連学会のガイドラインを参照しつつ、院内の情報管理委員会・倫理委員会で運用方針を整理することが一般的な進め方です。

10. 次のステップ

遺伝医療体制の整備に取り組む病院理事長・腫瘍内科医・小児科医・遺伝関連担当者に向けて、本記事の整理を踏まえた次の一歩を示します。

病院理事長・経営層の場合

まず、自院の遺伝医療体制の現状(臨床遺伝専門医・認定遺伝カウンセラーの配置状況、遺伝カウンセリング加算の算定実績、がんゲノム医療の指定状況、院内規程の整備状況)を棚卸ししてください。そのうえで、地域におけるがんゲノム医療の3層構造上の自院の位置づけ、連携先施設との協働体制、人材確保の中長期計画を、経営計画・地域医療計画と整合させた形で整理することが現実的な進め方です。ゲノム医療推進法の基本計画の動向も踏まえた中期の体制計画の見直しが実務上の課題となります。

腫瘍内科医・外科医の場合

まず、がんゲノム医療における自施設のポジション(中核拠点・拠点・連携・非指定)と、他施設との連携ルートを確認してください。遺伝性腫瘍が疑われる症例の抽出フロー、遺伝カウンセリング部門への紹介ルート、エキスパートパネルへの症例提出プロセス、二次的所見が生じた場合のカウンセリング連携について、院内の標準運用を明確化することが取りこぼし防止に直結します。診療科横断のカンファレンスと、認定遺伝カウンセラーとの日常的な連携体制の整備が実務上の重要事項です。

小児科医・遺伝関連担当者の場合

小児科領域では、指定難病・小児慢性特定疾病を含む単一遺伝子疾患、染色体異常、先天代謝異常、発症前診断など、多様な遺伝医療の対象領域があります。まず、自施設で対応している遺伝性疾患の範囲、遺伝学的検査の実施状況、遺伝カウンセリング体制、成人期への移行支援(トランジション)の整備状況を確認してください。小児期の遺伝学的検査は、本人の同意取得の制約、成人期の意思決定への配慮、家族全体への影響など、成人領域とは異なる倫理配慮が求められます。日本小児科学会・日本人類遺伝学会のガイドラインを参照しつつ、院内での運用手順を整備することが実務上の出発点となります。

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11. まとめ

遺伝医療と遺伝カウンセリング体制は、遺伝性腫瘍・遺伝性疾患・がんゲノム医療・出生前診断など複数の領域が交差する医療領域として、制度・体制・人材・倫理の各観点で総合的な設計が求められる領域です。2023年のゲノム医療推進法成立、2024年度診療報酬改定、がんゲノム医療の指定要件の見直しなど、制度環境は継続的に変化しており、院内体制の更新は継続的な取り組みが必要となります。

体制整備の実務では、臨床遺伝専門医・認定遺伝カウンセラーの配置または連携、遺伝カウンセリング加算の算定要件の運用、がんゲノム医療の3層構造上の位置づけ、遺伝性腫瘍への院内対応、倫理指針・個人情報保護・差別禁止への配慮、を一体的に設計することが求められます。人材確保が課題となる領域であるため、複数施設連携・遠隔カウンセリング・地域連携の組み合わせによる現実的な体制設計が中期的な方向性となります。

本記事は公開情報を整理した内容であり、診療行為・治療方針・遺伝学的検査結果の解釈の助言や、個別施設の制度適合性の確定的な解釈を目的とするものではありません。指針・告示・通知の正確な内容は厚生労働省・関連学会の公式資料でご確認ください。

出典・参考情報

  • 厚生労働省「がんゲノム医療」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188976.html (参照:2026年7月)
  • 厚生労働省「がんゲノム医療中核拠点病院等の整備に関する指針」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188976_00003.html (参照:2026年7月)
  • 厚生労働省「令和6年度診療報酬改定について」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188411_00037.html (参照:2026年7月)
  • 厚生労働省「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hokabunya/kenkyujigyou/i-kenkyu/index.html (参照:2026年7月)
  • 厚生労働省「個人情報保護法と医療」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/johoka/index.html (参照:2026年7月)
  • 厚生労働省「難病対策」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/nanbyou/index.html (参照:2026年7月)
  • e-Gov「良質かつ適切なゲノム医療を国民が安心して受けられるようにするための施策の総合的かつ計画的な推進に関する法律」(ゲノム医療推進法) https://elaws.e-gov.go.jp/ (参照:2026年7月)
  • 日本医学会「医療における遺伝学的検査・診断に関するガイドライン」 https://jams.med.or.jp/guideline/genetics-diagnosis_2022.pdf (参照:2026年7月)
  • 日本人類遺伝学会 https://jshg.jp/ (参照:2026年7月)
  • 日本遺伝カウンセリング学会 http://www.jsgc.jp/ (参照:2026年7月)
  • 日本遺伝性腫瘍学会 https://jsht.umin.jp/ (参照:2026年7月)
  • 国立がん研究センター「がんゲノム情報管理センター(C-CAT)」 https://for-patients.c-cat.ncc.go.jp/ (参照:2026年7月)
  • 個人情報保護委員会「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」 https://www.ppc.go.jp/ (参照:2026年7月)

免責事項

本記事は公開情報を整理した内容であり、特定の医療行為・治療方針・遺伝学的検査結果の解釈・診療判断の助言を目的とするものではありません。診療・治療・検査結果に関する個別判断は主治医・遺伝専門医・認定遺伝カウンセラーにご相談ください。制度の運用・指定要件・診療報酬上の要件の正確な内容は、厚生労働省・関連学会の公式資料および所管部局へご確認ください。掲載情報は2026年7月時点のものであり、指針改正・制度改定により内容が変わる場合があります。

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