介護施設の要介護認定審査会対応 完全ガイド【2026年版・74項目/主治医意見書/区分変更/不服申立】

📅公開日:2026-09-06
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本記事は、介護施設における要介護認定審査会への対応・主治医意見書の運用実務に関して、厚生労働省・介護保険法・介護保険法施行規則等が公開している公開情報を整理した内容です。個別の認定調査結果・認定審査会の判定・区分変更の可否を保証するものではありません。個別の申請・不服申立て等の手続は、保険者(市町村)の介護保険担当課・介護認定審査会事務局・社会保険労務士等の専門家にご確認ください。

特別養護老人ホーム・介護老人保健施設・介護医療院・グループホーム・訪問介護・通所介護等の介護施設では、入居者・利用者の要介護認定の更新申請・区分変更申請への対応、認定調査員による訪問調査時の情報提供、主治医意見書の記載に関する医療機関との連携が、日常的な事務業務として発生します。認定結果は介護報酬の算定・サービス計画の見直しに直結するため、審査会の判定プロセスを正しく理解し、施設として過不足のない情報提供を行うことが、入居者・利用者の適切な支援区分の確保につながります。

本記事は特別養護老人ホーム施設長・介護老人保健施設相談員・グループホーム管理者・居宅介護支援事業所のケアマネジャー・訪問介護/通所介護の管理者を主な読者と想定し、要介護認定7区分の枠組み、認定調査項目74項目、一次判定(コンピュータ判定)と二次判定(介護認定審査会)の関係、主治医意見書の記載ポイント、認定調査員研修の位置づけ、区分変更申請・更新申請の実務、不服申立て(審査請求)、施設側からの情報提供依頼書対応、認定有効期間の見直しまでを、公開情報をもとに整理します。

この記事で分かること

  • 要介護認定7区分(要支援1・2、要介護1〜5)の枠組み
  • 認定調査項目74項目の構成と一次判定の仕組み
  • 介護認定審査会(二次判定)の役割と審査の流れ
  • 主治医意見書の記載ポイントと施設からの情報提供
  • 認定調査員研修と訪問調査の実務
  • 区分変更申請・更新申請の手続きと留意点
  • 認定結果への不服申立て(審査請求)の仕組み
  • 施設側からの情報提供依頼書への対応方法
  • 認定有効期間の見直しと更新スケジュール管理
  • 実務担当者が確認しておきたいFAQ

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1. 要介護認定制度の全体像と施設実務での位置づけ

要介護認定は、介護保険法に基づき市町村(保険者)が行う行政処分であり、申請者がどの程度の介護を必要とする状態にあるかを客観的な基準で区分する仕組みです。認定調査員による訪問調査の結果と主治医意見書をもとに、コンピュータによる一次判定を行い、その結果と特記事項・主治医意見書を踏まえて介護認定審査会が二次判定を行うという二段階の構造をとっています(厚生労働省「要介護認定に係る制度の概要」)。

介護施設・事業所にとって要介護認定は、単なる入居者・利用者の状態区分にとどまらず、介護報酬の算定区分・サービス提供体制・人員配置の検討に直接関わる実務です。認定調査時の情報提供、主治医意見書作成にあたっての医療機関への情報提供、更新申請・区分変更申請のタイミング管理は、いずれも施設の相談員・ケアマネジャー・生活相談員が日常的に担う業務であり、制度の骨格を理解したうえで対応することが、入居者・利用者に見合った区分の確保につながります。

2. 要介護認定7区分(要支援1・2、要介護1〜5)の枠組み

要介護認定の区分は、「非該当(自立)」を除くと、要支援1・要支援2・要介護1〜要介護5の7区分に分かれます。要支援区分は日常生活の一部に支援が必要な状態、要介護区分は常時の介護を要する状態とされ、要介護5に近づくほど、身体機能・認知機能の面で必要とされる介護の量が大きいと判定された状態を示します。区分ごとに介護保険で利用できるサービスの支給限度基準額(区分支給限度基準額)が定められており、区分は給付管理の基礎データとなります(厚生労働省「要介護認定における非該当・要支援・要介護の考え方」関連資料)。

施設運営の観点では、要支援区分の対象者は原則として介護予防サービス、要介護区分の対象者は介護給付サービスの対象となるため、区分によって利用可能なサービス種別・報酬体系が異なります。特別養護老人ホームの新規入所は原則要介護3以上を要件とする等、施設種別によって区分要件が設けられている場合もあるため、入所判定・サービス計画作成の前提として、区分の正確な把握が欠かせません。

チェックリスト

3. 認定調査項目74項目の構成と一次判定(コンピュータ判定)

要介護認定の訪問調査では、全国共通の認定調査票を用いて74項目にわたる調査を行います。調査項目は、(1)身体機能・起居動作、(2)生活機能、(3)認知機能、(4)精神・行動障害、(5)社会生活への適応、(6)過去14日間に受けた特別な医療、の各群に分類され、それぞれの項目について「介助されていない」「見守り等」「一部介助」「全介助」等の選択肢から該当する状態を選択する形式で調査が行われます(厚生労働省「要介護認定に係る制度の概要」)。

一次判定は、この74項目の調査結果と主治医意見書の一部項目をコンピュータに入力し、樹形モデル(統計的な手法に基づく判定ロジック)を用いて、1分間タイムスタディ・データに基づく「要介護認定等基準時間」を推計する仕組みです。この基準時間の長さに応じて、非該当から要介護5までの区分の目安が機械的に算出されます。一次判定はあくまで二次判定の基礎資料であり、最終的な区分はこの後の介護認定審査会での審査を経て確定します。

調査項目には、認知症の周辺症状(BPSD)に関する項目や、医療的ケアの有無に関する項目も含まれており、身体的な介護の手間だけでなく、認知面・医療面での手間も一定程度反映される設計になっています。ただし、コンピュータ判定は選択肢化された調査結果のみを機械的に処理する仕組みであるため、調査時に選択肢だけでは表現しきれない状況がある場合には、後述する特記事項への記載が重要になります。

4. 介護認定審査会(二次判定)の役割と審査の流れ

介護認定審査会は、市町村(保険者)が設置する合議体で、保健・医療・福祉の学識経験者によって構成されます。二次判定では、一次判定の結果に加えて、認定調査員が記載した特記事項、主治医意見書の内容を総合的に確認し、一次判定の区分をそのまま認定するか、より重度または軽度の区分に変更するかを審議します(厚生労働省「介護認定審査会について」関連資料)。

二次判定で一次判定の結果が変更される(いわゆる「二次変更」)ケースは、特記事項や主治医意見書に、認定調査項目の選択肢だけでは反映しきれない状態像が具体的に記載されている場合に生じやすいとされています。逆にいえば、調査員による特記事項の記載が簡素であったり、主治医意見書の記載内容が調査結果と整合していなかったりすると、実際の状態像が審査会に十分に伝わらない可能性があります。介護認定審査会は原則非公開で運営され、審議の詳細な内容は個別には開示されませんが、判定に用いられる基準・考え方の枠組みは公開情報として整理されています。

5. 主治医意見書の記載ポイントと施設からの情報提供

主治医意見書は、申請者の傷病名・症状・治療内容・生活機能低下の直接の原因となっている疾病等について、主治医が記載する書類で、市町村から主治医に対して作成依頼が送付されます。意見書には、基本的な生活自立度(障害高齢者の日常生活自立度・認知症高齢者の日常生活自立度)、心身の状態に関する意見、特別な医療の有無、生活機能とサービスに関する意見等の欄が設けられています(厚生労働省「要介護認定に係る制度の概要」)。

施設に入所・入院中の申請者の場合、主治医が施設内での日常生活動作・認知機能の状態を十分に把握できていない場合があるため、施設側(相談員・看護職員・介護職員)から主治医へ、日々の生活場面での状態像を情報提供することが、意見書の精度を高めるうえで実務的に重要です。具体的には、移動・食事・排せつ等のADLの状況、認知症の周辺症状の頻度・内容、医療処置(経管栄養・喀痰吸引・褥瘡処置等)の有無と頻度といった情報を、日々の記録に基づいて整理し、主治医の診察・意見書作成のタイミングに合わせて提供する運用が考えられます。

意見書の記載内容は、認定調査結果の妥当性を確認する材料としても用いられるため、認定調査での聞き取り内容と主治医意見書の内容に大きな齟齬がある場合、審査会での判断が難しくなる可能性があります。施設としては、認定調査への立会いと主治医への情報提供の双方で、日頃の状態像をできるだけ一致した形で伝える工夫が求められます。

医師相談

6. 認定調査員研修と訪問調査の実務

認定調査は、市町村職員のほか、市町村から委託を受けた指定市町村事務受託法人・居宅介護支援事業所等のケアマネジャーが認定調査員として実施する場合があります。認定調査員には、全国一律の調査項目・判断基準に沿って公平・公正に調査を行うための研修(認定調査員研修)の受講が求められ、都道府県・指定都市等が定期的に研修を実施しています(厚生労働省「要介護認定」関連情報)。

施設に入所中の利用者に対する認定調査では、施設職員が調査に立ち会い、日常の状態像を調査員に伝える役割を担うことが一般的です。立会い時には、(1)調査当日だけでなく普段の状態を伝える、(2)できたりできなかったりする「まだら」な状態がある場合はその頻度を具体的に伝える、(3)認知症の周辺症状は発生場面・頻度を含めて伝える、(4)医療的ケアの内容・頻度を正確に伝える、といった点を意識することで、特記事項に反映されやすくなります。調査員は選択肢の判断に迷う状態について特記事項に記載する運用となっているため、施設側の説明の具体性が、特記事項の充実度に影響します。

7. 区分変更申請の手続きと実務上の留意点

認定の有効期間中であっても、心身の状態が大きく変化し、現在の要介護度が実態と合わなくなった場合には、区分変更申請を行うことができます(介護保険法第29条)。区分変更申請は、本人・家族のほか、居宅介護支援事業所・地域包括支援センター・介護保険施設等が代行して申請することも可能です(e-Gov法令検索「介護保険法」)。

区分変更申請を検討する典型的な場面としては、疾病の急性増悪・骨折等による身体機能の急激な低下、認知症の進行による見守り・介護量の増加、逆にリハビリテーションの効果等により状態が改善した場合等が挙げられます。区分変更申請を行うと、新たに認定調査・主治医意見書の作成が行われ、通常の更新申請と同様の二段階判定プロセスを経て、新しい区分が認定されます。申請から認定結果が出るまでには一定の期間を要するため、状態変化を把握した時点で早めに申請の要否を検討することが実務上望ましいとされています。

区分変更申請の結果、区分が変更されない場合や、想定と異なる区分になる場合もあり得ます。申請にあたっては、状態変化を裏付ける記録(バイタル記録・ケア記録・受診記録等)を整理しておくことが、認定調査時の説明・主治医意見書の記載双方の精度向上に役立ちます。

8. 更新申請の実務とスケジュール管理

要介護認定には有効期間が設けられており、新規申請の場合は原則6か月(状態に応じて3〜12か月の範囲で市町村が設定)、更新申請の場合は原則12か月(状態に応じて3〜48か月の範囲)とされています。有効期間満了までに更新申請を行わないと、認定の効力が失われ、介護保険サービスの利用に支障が生じる可能性があるため、有効期間満了日の60日前から更新申請が可能な仕組みになっています(厚生労働省「要介護認定における認定有効期間」関連資料)。

施設では、入所者・利用者ごとの認定有効期間を一覧化し、満了日から逆算して更新申請の案内・主治医意見書作成の依頼・認定調査立会いの準備を計画的に進める運用が実務的です。特に複数の入所者を抱える施設では、更新時期が集中する時期があり得るため、月次で有効期間の一覧を確認し、満了日の2〜3か月前を目安に準備を開始するスケジュール管理が、更新漏れ・認定空白期間の防止につながります。

カレンダー+時計

9. 認定結果への不服申立て(審査請求)

要介護認定の結果に不服がある場合、都道府県に設置される介護保険審査会に対して審査請求を行うことができます。審査請求は、処分(認定結果の通知)があったことを知った日の翌日から起算して3か月以内に行う必要があるとされています(介護保険法第183条、行政不服審査法の一般原則に基づく期間制限)。審査請求とは別に、市町村に対して区分変更申請を行い、改めて認定調査・審査を経る方法も選択肢として考えられます(厚生労働省「要介護認定」関連情報)。

実務上は、審査請求は結論が出るまでに時間を要する場合があるため、状態変化を理由とする見直しを希望する場合は区分変更申請を、認定プロセスの手続き上の瑕疵(調査内容の誤り等)を主な理由とする場合は審査請求を検討するというように、目的に応じて手段を使い分ける考え方が一般的です。いずれの手続きを取るかは、本人・家族の意向を確認したうえで、施設としては事実関係の記録提供等で協力する立場にとどめ、手続きの選択自体は保険者・審査会の案内に沿って進めることが望まれます。

10. 施設側からの情報提供依頼書対応

認定調査・主治医意見書作成にあたり、市町村や主治医(医療機関)から、入所先施設に対して情報提供を依頼する書式(情報提供依頼書・照会文書等)が送付されることがあります。依頼内容は、日常生活動作の状況、医療的ケアの有無・頻度、認知症の周辺症状の有無、直近の受診状況等、施設が日々の記録として保有している情報が中心です。

情報提供依頼書への対応では、(1)依頼元(市町村・医療機関のいずれか)と回答期限を確認する、(2)介護記録・看護記録から該当期間の状態像を抽出する、(3)事実に基づく記載にとどめ、推測や評価的な表現を避ける、(4)記載内容を複数職員で確認したうえで回答する、といった手順を踏むことで、正確性の高い情報提供につながります。施設内であらかじめ回答フォーマット・担当者を定めておくと、依頼が来るたびに対応方法を検討する手間を減らせます。

書類+印鑑

11. 認定有効期間の見直しと施設内での管理体制

認定有効期間は、心身の状態が安定していると判断される場合に長期(最長48か月)に設定されることがある一方、状態が不安定な場合は短期(3か月等)に設定される場合もあります。有効期間の長さは介護認定審査会の判断に委ねられており、一律の基準で決まるものではありません。施設としては、認定結果通知に記載される有効期間を確実に把握し、次回更新のタイミングを個別に管理することが基本になります。

管理体制としては、(1)介護ソフト・記録システム上で認定有効期間を入所者ごとに登録し、満了日が近づくとアラートが出る仕組みを活用する、(2)月次のケア会議で直近3か月以内に満了を迎える利用者を確認する、(3)更新申請・区分変更申請の進捗(申請日・調査日・結果通知予定日)を一覧で管理する、といった運用が実務的です。認定情報の管理は介護報酬請求の基礎データにも関わるため、記録の正確性が請求事務の適正化にもつながります。

12. よくある質問(FAQ)

Q1. 認定調査に施設職員が立ち会うことはできますか?
A. 本人・家族の同意のもと、施設の相談員・看護職員・介護職員が認定調査に立ち会い、日常の状態像について補足説明を行うことは一般的に行われています。立会いの可否・進め方は保険者・認定調査員の案内に従ってください。
Q2. 一次判定と二次判定で結果が変わることはありますか?
A. 介護認定審査会が特記事項・主治医意見書の内容を踏まえて審議した結果、一次判定の区分から変更される場合があります。変更の有無・方向性は個別のケースによって異なるため、事前に結果を予測することはできません。
Q3. 区分変更申請は何度でも行えますか?
A. 区分変更申請の回数に法令上の制限はありませんが、申請の都度、認定調査・主治医意見書の作成が必要となり、一定の期間と手間を要します。状態変化が明確な場合に申請を検討するのが一般的な考え方です。個別の判断は保険者にご確認ください。
Q4. 更新申請を忘れた場合、認定の効力はどうなりますか?
A. 有効期間満了までに更新申請が行われない場合、認定の効力が終了し、介護保険サービスの利用に影響が生じ得ます。有効期間の管理と早めの申請案内が実務上重要であり、詳細な取扱いは保険者の介護保険担当課にご確認ください。
Q5. 主治医意見書の内容を施設側で確認・修正できますか?
A. 主治医意見書は主治医が作成する書類であり、施設側が内容を修正することはできません。施設としては、意見書作成の参考となる日常生活動作・医療的ケアの状況等を事前に情報提供することで、記載内容の精度向上に協力する立場になります。
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13. 出典・参考資料

  • 厚生労働省「要介護認定に係る制度の概要」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/nintei/gaiyo2.html (取得日:2026-09-06)
  • 厚生労働省「要介護認定における非該当・要支援・要介護の考え方」関連資料 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/nintei/gaiyo3.html (取得日:2026-09-06)
  • 厚生労働省「介護認定審査会について」関連資料 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/nintei/gaiyo4.html (取得日:2026-09-06)
  • 厚生労働省「要介護認定」関連情報 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/nintei/index.html (取得日:2026-09-06)
  • 厚生労働省「介護・高齢者福祉」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/index.html (取得日:2026-09-06)
  • e-Gov法令検索「介護保険法(平成九年法律第百二十三号)」 https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=409AC0000000123 (取得日:2026-09-06)
  • e-Gov法令検索「介護保険法施行規則(平成十一年厚生省令第三十六号)」 https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=411M50000100036 (取得日:2026-09-06)

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最終更新日:2026年9月6日|編集方針

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