※本記事には広告(PR)が含まれます。mitoru編集部は公開情報を整理して比較・解説しており、表示順位や評価は広告主からの依頼ではなく編集部の独自判断によります。
訪問看護ステーションの24時間体制は、利用者・家族にとって在宅療養を支える生命線であると同時に、ステーション経営において加算収益と職員負担のバランスをどう取るかが問われる重要テーマです。緊急時訪問看護加算(医療保険)と24時間対応体制加算(介護保険)の算定要件、オンコール体制の組み方、夜間訪問の頻度と採算、職員負担軽減策、ICTツールの活用——管理者・開設準備中の看護師が押さえるべき制度と運用の論点を、厚生労働省・中央社会保険医療協議会(中医協)・社会保障審議会介護給付費分科会など公的機関の公開情報を整理した内容としてまとめます。本記事は一般的な制度解説であり、個別の算定判断は管轄の地方厚生局・都道府県・市区町村にご確認ください。
この記事でわかること
- 訪問看護24時間体制を支える2つの加算(緊急時訪問看護加算/24時間対応体制加算)の制度上の位置づけ
- 医療保険と介護保険それぞれの加算の算定要件・点数・単位数
- 24時間体制を回すための人員配置の考え方(常勤換算・オンコール担当)
- オンコール体制の組み方と運用上の論点
- 夜間・深夜訪問の頻度と採算ライン
- 職員負担軽減策(手当・代休・人数ローテーション)
- ICTツール(電子カルテ・訪問看護記録システム)の活用ポイント
- 2024年度診療報酬・介護報酬同時改定での主要変更点
- FAQ 5問・公的機関出典5件以上
[PR]

1. 訪問看護ステーションの24時間体制とは——制度上の位置づけ
訪問看護ステーションの24時間体制とは、計画的な日中訪問に加えて、利用者または家族からの電話相談や緊急時の臨時訪問に24時間365日対応できる体制を指します。重度の在宅療養者・末期がん患者・人工呼吸器装着者・小児医療的ケア児など、夜間や休日にも医療的判断が求められる利用者にとって、24時間体制は在宅生活の継続を左右する基盤となります。厚生労働省は「地域包括ケアシステム」の中核機能として在宅医療・訪問看護の24時間対応を位置づけており、診療報酬・介護報酬の両方で加算による評価が行われています(出典:厚生労働省「在宅医療の推進について」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000061944.html )。
24時間体制を評価する主要な加算は、医療保険における「24時間対応体制加算(訪問看護療養費)」と、介護保険における「緊急時訪問看護加算」の2本立てです。同じステーションでも、利用者ごとに医療保険適用か介護保険適用かが分かれるため、両保険の加算制度を並行して運用する必要があります。介護報酬告示・診療報酬告示の正式名称は改定ごとに微調整される場合があるため、最新版は厚生労働省告示・通知を確認してください(出典:厚生労働省「令和6年度診療報酬改定」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188411_00041.html /「令和6年度介護報酬改定」 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_37687.html )。
1-1. 「24時間体制」と「常駐」は別概念
24時間体制と聞くと、ステーションに看護師が常駐していることを想起しがちですが、制度上の要件は「24時間連絡を受けられる体制」と「必要時に訪問できる体制」であり、夜間に看護師がステーションに物理的に常駐している必要はありません。多くのステーションは夜間オンコール(待機)方式を採用しており、担当看護師が携帯電話やオンコール専用機器で連絡を受け、必要に応じて臨時訪問する運用が一般的です。
1-2. 体制届出が前提
24時間対応体制加算・緊急時訪問看護加算ともに、算定するには事前の体制届出が必要です。介護保険の緊急時訪問看護加算は都道府県・市区町村への届出、医療保険の24時間対応体制加算は地方厚生局への施設基準届出が要件となります。届出をせずに加算を算定すると返戻・自主返還の対象となるため、開設時・体制変更時の届出漏れには留意が必要です。届出様式は管轄行政機関で確認できます(出典:厚生労働省「介護サービス関係Q&A」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/qa/index.html )。
2. 緊急時訪問看護加算(介護保険)と24時間対応体制加算(医療保険)の比較

24時間体制を評価する2つの加算は、保険制度ごとに名称・算定単位・点数(単位数)・要件が異なります。経営上は両方の制度を並行して理解し、利用者ごとに正しい保険区分で算定することが収益確保と返戻防止の両面で重要です。以下は2024年度同時改定後の概要を整理した内容です。具体的な点数・単位数は厚生労働省告示の最新版で確認してください(出典:厚生労働省「令和6年度診療報酬改定の概要」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188411_00041.html )。
| 項目 | 緊急時訪問看護加算(介護保険) | 24時間対応体制加算(医療保険) |
|---|---|---|
| 根拠 | 介護報酬告示 | 診療報酬告示(訪問看護療養費) |
| 算定単位 | 月1回(利用者ごと) | 月1回(利用者ごと) |
| 主な要件 | 24時間連絡体制・緊急時臨時訪問体制・利用者同意 | 24時間連絡体制・24時間訪問体制・利用者同意 |
| 届出先 | 都道府県・市区町村 | 地方厚生局 |
| 区分 | 区分Ⅰ・区分Ⅱ(看護業務負担軽減への取り組み有無) | 看護業務負担軽減取り組み加算の有無で評価が分かれる |
2-1. 介護保険「緊急時訪問看護加算」のポイント
介護保険の緊急時訪問看護加算は、訪問看護ステーションが利用者・家族からの緊急の連絡に24時間対応し、必要時に緊急訪問を行う体制を評価する加算です。2024年度介護報酬改定で「区分Ⅰ」「区分Ⅱ」の2区分構成となり、看護業務の負担軽減に関する取り組み(夜間オンコール体制の職員配置工夫・ICT活用など)の実施有無によって評価が分かれる枠組みとなりました(出典:厚生労働省「令和6年度介護報酬改定における改定事項について」 https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001213516.pdf )。算定にあたっては、利用者ごとに緊急時訪問への同意を文書で得ること、24時間連絡体制を整備していることが必要です。
2-2. 医療保険「24時間対応体制加算」のポイント
医療保険の24時間対応体制加算は、訪問看護ステーションが医療保険利用者に対して24時間連絡を受け臨時訪問を行う体制を評価する加算です。2024年度診療報酬改定では「看護業務の負担軽減に資する取り組み」を実施しているステーションを高く評価する設計変更が行われ、職員負担軽減への取り組み有無が点数差として明確に反映される構造になっています(出典:中央社会保険医療協議会「令和6年度診療報酬改定 個別改定項目について」 https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000188411_00040.html )。同一利用者に対して両保険から重複算定はできず、利用者ごとに適用保険区分を確定させた上で該当する加算を算定します。
2-3. 算定漏れ・返戻が起きやすいパターン
加算算定でよくつまずく論点は次のとおりです。第1に、利用者同意書の取得漏れ。算定要件として明示されているため、初回訪問時に書面で取得する運用を標準化することが望まれます。第2に、保険区分の誤判定。別表第7該当疾病や特別訪問看護指示書交付の有無で医療保険適用となる利用者に介護保険加算を算定するパターンは典型的な返戻原因です。第3に、体制届出の更新漏れ。職員体制が変わった場合の変更届出を怠ると要件未充足になりえます。
3. 24時間体制を支える人員配置の考え方
訪問看護ステーションの人員配置基準は、指定基準上「保健師・看護師・准看護師を常勤換算で2.5以上配置」が最低ラインです(出典:厚生労働省「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準」 https://elaws.e-gov.jp/document?lawid=411M50000080037 )。ただし、24時間体制を安定運用するためには、最低ラインを大きく上回る人員規模が現実的に必要となります。
3-1. オンコール担当を回せる最少人数
夜間オンコール担当を1人体制で回す場合、月20日前後の夜間待機を分担できる常勤看護師が最低3〜4人いると、1人あたり月5〜7日程度の待機負担に抑えられます。常勤換算2.5人だけで24時間体制を維持しようとすると、特定の看護師に夜間待機が偏り離職リスクが高まる構造になりやすく、職員定着の観点からも増員設計が論点となります。全国訪問看護事業協会の調査でも、24時間対応を行うステーションの平均看護職員数は常勤換算で5人前後とされており、最低基準より厚い配置が標準的です(出典:公益財団法人全国訪問看護事業協会 公式サイト https://www.zenhokan.or.jp/ )。
3-2. 機能強化型ステーションを目指す場合
診療報酬上の「機能強化型訪問看護ステーション」の要件を満たすには、常勤看護職員数(機能強化型1は7人以上、機能強化型2は5人以上、機能強化型3は4人以上など)の要件をクリアする必要があります。機能強化型では24時間対応体制加算に加えて訪問看護管理療養費の評価が上がるため、規模拡大と人員確保を中期計画として組むケースが見られます。要件の詳細・最新値は診療報酬告示・通知を確認してください(出典:厚生労働省「令和6年度診療報酬改定」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188411_00041.html )。
3-3. 准看護師・新人看護師のオンコール対応
オンコール担当を准看護師や経験の浅い看護師にどの段階から任せるかは、現場で頻繁に議論される論点です。制度上はオンコール担当の職種要件を細かく規定していませんが、夜間の電話判断は医療的判断を伴うため、自施設での経験年数・主要利用者の状態把握・訪問同行回数などをチェックリスト化し、段階的にオンコール担当へ組み入れる運用が安全側です。
4. オンコール体制の組み方
オンコール体制の運用設計には、待機ルール・連絡経路・出動判断基準・記録管理の4要素を整理します。曖昧なまま運用を始めると、コール受信から訪問判断までの判断負荷がオンコール担当者個人に集中し、職員疲弊と判断ミスのリスクが同時に高まります。
4-1. 待機ルールの明文化
待機ルールでは、待機時間帯(例:平日18:00〜翌8:30/土日祝終日)、待機中の自宅待機要件(飲酒禁止・概ねステーションから何分以内に移動可能な範囲に滞在等)、待機交代のタイミング、交代時の引き継ぎ方法を文書化します。これらは就業規則・労使協定上の取り扱いとも関わるため、社労士に確認した上で整備することが推奨されます。
4-2. 連絡経路と一次対応スクリプト
利用者・家族からの電話は、ステーション代表番号への着信転送、または専用オンコール携帯への直通とすることが一般的です。電話応対では、症状・バイタル・服薬状況・前回訪問日などを定型ヒアリングするスクリプトを準備しておくと、夜間判断の質が安定します。電話相談だけで対応可能な場合と、臨時訪問が必要な場合の判断基準を、主要疾患別(がん末期・心不全・呼吸器疾患・小児医療的ケア等)に整理しておくと、新人オンコール担当も判断しやすくなります。
4-3. 出動判断・主治医連絡のフロー
訪問が必要と判断した場合の主治医・在宅医への連絡タイミング(訪問前/訪問後)、救急要請の判断基準、家族説明の手順を、利用者ごとの「夜間対応指示書」または訪問看護指示書の備考欄に記録しておくと、緊急時の判断が安定します。「症状悪化時は救急要請優先」「主治医24時間連絡先あり」など、利用者ごとの方針を在宅医・主治医と事前共有しておくことが、夜間の判断負荷を下げる要点です。
4-4. オンコール記録と振り返り
オンコール対応の記録は、通常の訪問看護記録とは別に「コール受信日時・対応者・利用者・主訴・対応内容・訪問の有無・主治医連絡有無」を一覧化したログを残します。月次でログを集計すると、コール頻度の高い利用者・時間帯・疾患群が見え、日中のケア計画見直し(屯用薬の調整・家族への指導強化等)にフィードバックできます。
5. 夜間訪問の頻度と採算
夜間訪問の頻度は、利用者構成(がん末期比率・小児医療的ケア比率・人工呼吸器装着者比率等)と地域特性によって大きく変動します。中央社会保険医療協議会の在宅医療調査でも、訪問看護ステーションあたりの緊急訪問件数は事業所間でばらつきが大きいことが報告されています(出典:中央社会保険医療協議会 https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-chuo_128154.html )。
5-1. コール件数と出動率の目安
一般的な訪問看護ステーションでは、夜間オンコール電話の件数のうち、実際の臨時訪問に至るのは一部であり、多くは電話相談で対応可能な範疇です。利用者数・重症度に応じて自施設の出動率を可視化することで、人員配置の妥当性検証ができます。月次でコール件数・出動件数・対応時間を集計し、加算収益と人件費(夜間手当・代休コスト)のバランスを把握することが、持続可能な24時間体制設計の出発点となります。
5-2. 加算収益と職員コストのバランス
24時間対応体制加算・緊急時訪問看護加算は月1回算定の体制加算であり、加算対象利用者数が直接収益に反映されます。一方で、夜間オンコール手当・出動時の時間外手当・代休運用のコストは、利用者数とは独立して発生する固定費的性質を持ちます。利用者数が少ない開設初期は加算収益が職員コストを下回る局面が発生しうるため、3年程度の収支シミュレーションを立てて24時間体制の立ち上げ時期を設計する判断材料が必要です。
5-3. 深夜・休日加算の取り扱い
夜間・早朝・深夜・休日の臨時訪問には、訪問時間帯に応じた加算(夜間・早朝加算、深夜加算、休日加算など)が別途算定可能です。算定区分・点数は介護保険・医療保険それぞれの告示で定められているため、最新の点数表で確認のうえ、レセプト処理の運用フローに組み込みます(出典:厚生労働省「介護報酬告示」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/housyu/index.html )。
6. 職員負担軽減策——24時間体制を続けるために
24時間対応は職員のワークライフバランスに直接影響するため、負担軽減策をパッケージで設計しないと離職リスクが高まる構造を持ちます。2024年度同時改定では、診療報酬・介護報酬とも「看護業務の負担軽減に資する取り組み」を評価する加算設計が導入されており、負担軽減策の実施は経営評価と職員定着の両面で意味を持ちます(出典:厚生労働省「令和6年度介護報酬改定における改定事項について」 https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001213516.pdf )。
6-1. オンコール手当と出動手当の分離設計
オンコール手当は「待機しているだけ」で発生する待機手当と、「実際に出動した」場合の出動手当を分離して支給する設計が一般的です。待機手当は1回数千円程度、出動手当は時間外手当ベースで計算する例が多く見られます。具体額は地域水準・事業規模・労使交渉により異なるため、近隣ステーションの相場や社労士の助言を踏まえて設計します。
6-2. 出動翌日の勤務調整
深夜の出動があった翌日は、訪問件数を減らす、または半休扱いとするなど、睡眠時間を確保する勤務調整ルールを明文化することが、医療安全と職員定着の両面で有効です。「出動から○時間以内は翌日勤務開始時刻を後ろ倒し」など、出動実績と翌日勤務の連動ルールを就業規則・運用マニュアルに明記しておくと、属人運用にならずに済みます。
6-3. 2人体制オンコール・ペア待機
新人看護師のオンコール参加時期を早めるために、ベテランと新人の2人体制で待機する「ペア待機」を一定期間運用する例があります。実出動が発生した場合に経験豊富な看護師がバックアップに入る安心感は、新人の早期戦力化と離職防止の両面で価値があります。
6-4. 月の待機日数上限
1人あたりの月間待機日数に上限(例:月7日以内)を設けて、特定の看護師に負担が偏らないシフト管理を行います。育児期・介護期・夜勤免除希望者など、ライフステージに応じた待機免除ルールを設計しておくと、長期勤続を支える基盤になります。
7. ICTツール(電子カルテ・訪問看護記録システム)の活用
ICTツールの活用は、24時間体制下のオンコール担当者の負担軽減と医療安全の両面に直結します。2024年度改定でも、看護業務負担軽減への取り組みの一環として、ICT活用が評価軸に位置づけられました(出典:厚生労働省「医療・介護分野のICT利活用」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000201849.html )。
7-1. 訪問看護記録システムの夜間アクセス
クラウド型の訪問看護記録システムを導入すると、オンコール担当者が自宅からスマートフォン・タブレットで利用者の最新訪問記録・指示書・服薬情報を即時確認できます。電話を受けた際に「直近の訪問でどのような状態だったか」「処方変更はあったか」を瞬時に把握できることで、判断の質と速度の双方が改善します。
7-2. 主治医・在宅医とのMCS等情報共有
医療介護専用SNS(MedicalCare STATION等)やセキュアメッセージングを活用して、主治医・在宅医・薬剤師との情報共有を文字ベースで残しておくと、夜間の主治医連絡が円滑になります。電話・FAXのみの連絡だと夜間に主治医へ電話することを躊躇する場面が発生しますが、文字ベースのSNSなら情報伝達のハードルが下がります。
7-3. オンコール記録の電子化
オンコール対応ログを紙ノートで運用していると、月次集計・分析が困難になりやすいため、訪問看護記録システム上にオンコール記録モジュールを設けるか、表計算ソフトで簡易DBを構築して入力する運用が望まれます。コール頻度・対応内容・出動有無を時系列で蓄積することで、月次・四半期の振り返り会議の素材となります。
7-4. ICT導入の費用感とプラン選定
訪問看護記録システムは、月額数千円から数万円のプランまで幅広く存在します。選定軸は「クラウド対応か」「スマホ/タブレット利用が想定されているか」「介護保険・医療保険両方の請求に対応しているか」「主治医・ケアマネとの情報連携機能があるか」の4点を最低限確認します。複数事業所がある法人の場合は事業所間でデータ共有できる構成も検討対象になります。
8. 2024年度改定で何が変わったか
2024年度は診療報酬・介護報酬の同時改定の年であり、訪問看護に関わる24時間体制関連の評価が両保険で見直されました。改定の柱は「看護業務負担軽減への取り組み」を評価軸として明確化したことです。具体的な要件・点数は厚生労働省告示・通知を確認してください(出典:厚生労働省「令和6年度診療報酬改定」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188411_00041.html /「令和6年度介護報酬改定」 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_37687.html )。
8-1. 介護保険:緊急時訪問看護加算の区分Ⅰ・Ⅱ化
介護保険の緊急時訪問看護加算は、看護業務負担軽減への取り組み有無を区分Ⅰ(取り組みあり)と区分Ⅱ(従来要件)に分ける構造となりました。負担軽減への取り組みとは、夜間オンコールのICT活用・複数名待機・連続待機日数上限の設定・代休運用などが該当します。詳細は介護給付費分科会資料を参照してください(出典:厚生労働省 社会保障審議会介護給付費分科会 https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-hosho_126706.html )。
8-2. 医療保険:24時間対応体制加算の負担軽減評価
医療保険の24時間対応体制加算でも、看護業務負担軽減への取り組み実施を評価する設計が導入されました。負担軽減への取り組みを実施しているステーションを高く評価する仕組みです。算定要件の詳細は診療報酬告示・通知で確認してください(出典:中央社会保険医療協議会「令和6年度診療報酬改定 個別改定項目について」 https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000188411_00040.html )。
8-3. 同一建物減算・専門管理加算との関連
2024年度改定では、同一建物減算の適用範囲見直しや、専門管理加算(緩和ケア・褥瘡ケア・人工肛門ケア等の特定領域の専門看護師・認定看護師による訪問評価)の拡充も行われており、24時間体制を持つステーションが算定しうる加算の選択肢が広がっています。複合的に算定設計を見直すことが、改定対応の中核論点となります。
9. よくある質問(FAQ)
- Q1. 開設1年目から24時間体制を組むべきですか
- 常勤換算2.5人ぎりぎりで開設する場合、開設1年目から24時間体制を組むと特定の看護師に夜間待機が集中し、離職リスクが高まる構造になりやすいです。開設1年目は日中訪問の収益基盤を作り、常勤看護師が4人以上に増えた段階で24時間対応体制加算・緊急時訪問看護加算の届出を行う段階的設計が、現場運用上は無理が少ないと考えられます。地域の在宅医療ニーズ・他ステーションとの連携・自施設の利用者構成を見ながら判断します。
- Q2. オンコール担当を訪問看護未経験の常勤に任せるのは可能ですか
- 制度上の職種要件はクリアできても、夜間の電話判断は単独で医療判断を求められる場面が多く、訪問看護経験が浅い段階で単独オンコールを任せると判断ミスのリスクが高まります。同行訪問期間・主要利用者の状態把握・ベテランとのペア待機期間を経た上で、自施設のチェックリストで段階的に移行する運用が安全側です。
- Q3. オンコール手当の相場はどの程度ですか
- 待機手当・出動手当の相場は地域・事業規模により幅があるため、一概に提示することは困難です。社労士・近隣ステーションの相場感を確認のうえ、就業規則・賃金規程に明記する設計が望まれます。労働基準法上の時間外労働の取り扱いとも関連するため、社労士の助言を踏まえた制度設計が推奨されます。
- Q4. 同一利用者に医療保険と介護保険の両方の加算を算定できますか
- 同一利用者に対して、医療保険の24時間対応体制加算と介護保険の緊急時訪問看護加算を同時に算定することはできません。利用者ごとに適用保険区分(医療保険適用か介護保険適用か)を確定させた上で、該当する保険の加算を算定する整理になります。別表第7該当疾病・特別訪問看護指示書交付の有無で保険区分が変動するため、月途中で保険区分が切り替わるケースの算定処理は注意が必要です。
- Q5. オンコールに出動した分の人件費は職員に支払う必要がありますか
- 労働基準法上、待機時間・実労働時間・時間外労働の整理は重要な論点であり、待機時間が「使用者の指揮命令下にある」と評価される場合は労働時間に該当する判断が示される事例があります。具体的な賃金設計・時間外手当の計算は、社労士に確認した上で就業規則・賃金規程に明記する取り扱いが望まれます(出典:厚生労働省「労働基準法関係」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/index.html )。
10. まとめ——24時間体制設計のチェックリスト
- 24時間対応体制加算(医療保険)・緊急時訪問看護加算(介護保険)の届出が完了しているか
- 利用者ごとの保険区分判定と加算同意書取得のフローが運用に組み込まれているか
- オンコール待機ルール(時間帯・自宅待機要件・交代手順)が文書化されているか
- 一次対応スクリプト・出動判断基準が主要疾患別に整理されているか
- 主治医・在宅医との夜間連絡方針が利用者ごとに合意されているか
- 1人あたり月間待機日数の上限が設定されているか
- オンコール手当・出動手当・代休運用が就業規則に明記されているか
- クラウド型訪問看護記録システムで夜間に最新情報にアクセスできるか
- オンコール対応ログが電子化され月次で振り返られているか
- 2024年度改定の「看護業務負担軽減への取り組み」要件への対応状況を確認しているか
24時間体制は、加算収益・職員負担・医療安全の3つの軸が交差する複合論点です。制度を正確に理解し、自施設の利用者構成・職員規模に応じた運用を設計することが、持続可能な訪問看護経営の中核となります。本記事の内容は公開情報を整理した一般的な解説であり、具体的な算定・運用判断は管轄の地方厚生局・都道府県・市区町村・社労士にご相談ください。
関連リンク
出典
- 厚生労働省「在宅医療の推進について」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000061944.html
- 厚生労働省「令和6年度診療報酬改定」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188411_00041.html
- 厚生労働省「令和6年度介護報酬改定」https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_37687.html
- 厚生労働省「令和6年度介護報酬改定における改定事項について」https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001213516.pdf
- 厚生労働省 社会保障審議会介護給付費分科会https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-hosho_126706.html
- 中央社会保険医療協議会「令和6年度診療報酬改定 個別改定項目について」https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000188411_00040.html
- 厚生労働省「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準」https://elaws.e-gov.jp/document?lawid=411M50000080037
- 公益財団法人全国訪問看護事業協会https://www.zenhokan.or.jp/
[editorial-disclosure]
関連記事(mitoru編集部おすすめ)
mitoru編集部の見解
訪問系サービスはスタッフの直行直帰・1人体制が基本のため、教育・サポート体制の整備が事業継続の要です。mitoru編集部は、IT記録・オンライン研修・スーパービジョンの3点が整っている事業所への就業を推奨し、転職エージェントを複数併用して比較することを推奨します。