医療機関向けシフト管理・勤怠ツール比較【2026年版・病院/クリニック/介護対応】

医療機関のシフト管理・勤怠管理は、一般企業とは根本的に異なる複雑さを持ちます。変則2交代・3交代・夜勤・オンコール・日直・当直という多様な勤務形態、看護師・薬剤師・介護福祉士・医師など職種・資格ごとの人員配置基準(医療法・介護保険法)、そして2024年4月から本格施行された医師の時間外労働上限規制(働き方改革)への対応まで、医療機関の労務管理担当者が抱える課題は山積しています。本記事では、主要シフト管理・勤怠管理クラウドツール10製品を、医療機関の特性に即して変則勤務対応・資格管理・法令対応・給与計算連携・料金の観点で中立比較します。各製品の情報は公式サイト公開情報を編集部が整理したものです(取得日:2026-04-25)。最終選定は必ず公式サイト・資料請求にてご確認ください。

この記事で分かること(要約)

  • 主要10製品の変則勤務・夜勤・オンコール・資格管理・法令対応・料金の中立比較
  • 病院/クリニック/訪問看護/介護施設 業態別の最適解マトリクス
  • 規模別(小規模クリニック〜大病院)5段階ガイド
  • 5段階の導入フロー・5年TCO試算
  • 医師の時間外労働上限規制・36協定・働き方改革の法令対応ポイント
  • 失敗事例5件・ベンダーへの質問リスト15項目・FAQ15問

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1. 医療機関の勤怠管理の現状と課題(2026年版)

厚生労働省「医療施設調査」によると、全国の病院数は約8,000施設、一般診療所は約10万施設にのぼります(出典:厚生労働省 令和4年 医療施設調査)。これほどの規模の医療機関が、依然として紙・Excel・ホワイトボードでシフト管理を行っているケースが少なくありません。

医療機関の勤怠管理が一般企業と大きく異なる理由は主に以下の5点です。

  • 多様な勤務形態:変則2交代(日勤16時間+夜勤8時間)・3交代(日勤/準夜勤/夜勤)・当直(32時間連続勤務に近い実態)など、一般企業には存在しない勤務パターンが混在する。
  • オンコール管理:電話待機中の「オンコール時間」の労働時間該当性の判断・記録が必要で、厚生労働省は「実質的に待機を強いられる場合は労働時間」との解釈を示している(厚生労働省・労働時間に関する解釈)。
  • 職種・資格別の人員配置基準:医療法・介護保険法・看護師配置基準(7:1・10:1 等)により、病棟・時間帯ごとに必要な有資格者数が法的に定められており、シフトが配置基準を満たすかの自動チェックが業務上不可欠。
  • 医師の時間外労働上限規制(2024年4月〜):「働き方改革関連法」により医師にも時間外労働上限規制が適用開始。一般労働者とは異なる上限(A水準960時間・B水準/連携B水準1,860時間)の厳格な管理が求められる(厚生労働省「医師の働き方改革」)。
  • 夜勤回数・休息時間の法的制約:労働基準法第35条の休日規定に加え、医療従事者の勤務環境改善推進指針(厚生労働省)では勤務間インターバル11時間・夜勤72時間制限等が推奨されており、システムによる管理が実務で求められている。

これらの複雑な要件を紙・Excelで管理し続けることは、36協定違反・配置基準違反・残業代未払いというリスクを内包します。クラウド型シフト管理・勤怠管理ツールへの移行は、法令リスクの低減と同時に、シフト作成工数の大幅削減(ベンダー公称で週平均2〜5時間短縮)をもたらします。

2. 医療機関向けシフト管理・勤怠ツール 選定の10基準

  1. 変則勤務パターンの設定自由度:2交代・3交代・当直・日直・オンコール等を柔軟に定義できるか
  2. 職種・資格別管理:医師・看護師・薬剤師・介護福祉士・ヘルパー等を区別し、資格有効期限・更新通知に対応しているか
  3. 人員配置基準チェック:病棟・時間帯別の必要人数を満たすかリアルタイムにアラートできるか
  4. 36協定・時間外管理:月・年単位の上限時間の警告・超過アラート・医師の水準別管理に対応しているか
  5. 夜勤回数・休息インターバル管理:月間夜勤回数の自動集計・勤務間インターバルの警告機能があるか
  6. 打刻方式の多様性:ICカード・生体認証・スマートフォン・タブレット等で現場に合った打刻ができるか(訪問看護にはGPS打刻も重要)
  7. 給与計算連携:夜勤手当・早出手当・休日手当・時間外手当等を自動計算し、給与計算ソフトとシームレスに連携できるか
  8. シフト自動作成・AI最適化:スタッフの希望・制約・配置基準を考慮した自動シフト提案機能の有無
  9. 法令対応・セキュリティ:労働基準法・医師の働き方改革・個人情報保護法への準拠状況
  10. 料金・導入コスト:月額料金・初期費用・1人あたり単価・最低契約人数・最低契約期間

3. 主要10製品 比較一覧

※下表は公式サイト・公式資料の公開情報を編集部が整理(取得日:2026-04-25)。料金は規模・オプションで変動します。必ず複数社から相見積を取得してください。

3-1. 基本情報・提供形態・医療対応

製品名主な対象規模医療特化度変則勤務対応提供元
ジョブカン勤怠管理小〜大規模汎用(医療実績あり)高(カスタム設定)株式会社DONUTS
KING OF TIME小〜大規模汎用(医療実績あり)高(シフト管理連携)株式会社ヒューマンテクノロジーズ
freee人事労務小〜中規模汎用(給与一体型)freee株式会社
マネーフォワードクラウド勤怠小〜中規模汎用(給与一体型)株式会社マネーフォワード
AKASHI小〜中規模汎用(労務管理強み)高(夜勤対応実績あり)株式会社somu-lier
ジンジャー勤怠中〜大規模汎用(HR Suite型)jinjer株式会社
Touch On Time小〜大規模汎用(打刻特化)中〜高株式会社デジジャパン
オフィスステーション 勤怠中〜大規模汎用(手続き連携)株式会社エフアンドエム
HRMOS勤怠中〜大規模汎用(HRMSuite)中〜高株式会社ビービット
メディオプラスクリニック〜中病院医療特化最高(医療標準搭載)メディオプラス株式会社
医療特化度は公式サイト掲載の導入事例・機能説明をもとに編集部が評価。実際の適合度は自施設の要件と照合してください。

3-2. 医療特有機能の対応状況

製品名夜勤回数集計オンコール管理資格管理配置基準チェック医師時短規制対応
ジョブカン勤怠管理○(集計可)△(設定次第)△(オプション)△(カスタム)△(確認推奨)
KING OF TIME△(設定次第)△(オプション)△(カスタム)△(確認推奨)
freee人事労務×(非標準)×(非標準)×△(確認推奨)
マネーフォワードクラウド勤怠×(非標準)×(非標準)×△(確認推奨)
AKASHI△(設定次第)△(オプション)×△(確認推奨)
ジンジャー勤怠△(設定次第)△(HR連携)△(カスタム)△(確認推奨)
Touch On Time△(設定次第)△(オプション)×△(確認推奨)
オフィスステーション 勤怠×(非標準)△(手続き連携)×△(確認推奨)
HRMOS勤怠△(設定次第)△(HRMS連携)△(カスタム)△(確認推奨)
メディオプラス○(標準)○(標準)○(標準)○(標準)○(標準)
○=標準搭載、△=設定・オプション対応、×=非対応。2026-04-25時点の公式公開情報をもとに編集部が整理。最新の対応状況は必ず各公式サイトでご確認ください。

3-3. 料金・打刻方式・給与連携

製品名月額料金目安(1人あたり)初期費用打刻方式給与計算連携
ジョブカン勤怠管理200〜500円/人0円〜Web/IC/生体/スマホ主要ソフト対応
KING OF TIME300円/人(公式)0円〜Web/IC/生体/スマホ/GPS主要ソフト対応
freee人事労務プランにより異なる0円〜Web/スマホfreee給与と一体
マネーフォワードクラウド勤怠プランにより異なる0円〜Web/スマホMFクラウド給与と一体
AKASHI200〜300円/人0円〜Web/IC/生体/スマホ主要ソフト対応
ジンジャー勤怠要問合せ要問合せWeb/IC/生体/スマホジンジャー給与一体・外部連携
Touch On Time300円/人(公式)機器費用ありIC/指静脈/顔認証/スマホ主要ソフト対応
オフィスステーション 勤怠要問合せ要問合せWeb/IC/スマホ主要ソフト対応
HRMOS勤怠要問合せ要問合せWeb/IC/スマホ外部連携対応
メディオプラス要問合せ(医療規模による)要問合せIC/生体/スマホ(GPS対応)医療給与ソフト連携
料金は最低プラン・代表プランの目安。実際は最低契約人数・オプション・契約期間で変動します。必ず複数社から相見積を取得してください。
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4. 製品個別解説(10製品)

4-1. ジョブカン勤怠管理

提供形態:クラウド|主な対象:小〜大規模・全業種|提供元:株式会社DONUTS

国内主要クラウド勤怠管理ツールの一つ。シフト管理・勤怠管理・有休管理・工数管理の4機能モジュールを組み合わせて利用でき、医療機関での導入実績もあります。変則シフトはカスタム勤務パターンの設定で対応可能。夜勤・当直を独立した勤務区分として設定し、夜勤手当の自動計算を給与連携で実現しているケースが報告されています。ICカード・顔認証・スマートフォンなど多様な打刻に対応。

料金はモジュール数・人数に応じた従量課金。小規模クリニックから大規模病院まで利用実績があります。医療特化機能(配置基準チェック・資格管理)は標準ではないため、これらが必要な場合は設定・カスタマイズの可否をデモで確認してください。

強み:機能モジュールの柔軟な組み合わせ・豊富な打刻方式・低コスト導入。留意点:医療特化機能は設定次第のため、自施設の要件充足をデモで確認してください。

4-2. KING OF TIME

提供形態:クラウド|主な対象:小〜大規模・全業種|提供元:株式会社ヒューマンテクノロジーズ

国内最大級の導入実績(公式発表:43万事業所以上・2026年時点)を持つクラウド勤怠管理。月額300円/人(税別)という明確な料金設定が特徴です(KING OF TIME公式サイト)。Web・ICカード・生体認証・GPS打刻など多様な打刻方式に対応し、訪問看護・在宅医療での現場打刻にも対応可能。変則シフトはシフト管理オプションで対応でき、夜勤・当直の設定実績が豊富です。

36協定アラート・時間外管理レポートに標準対応。医師の時間外労働上限規制への対応は、設定の工夫と最新バージョンの機能で対応可能とされていますが、導入前に要件を詳細確認することを推奨します。主要給与計算ソフトとのCSV・API連携が充実しています。

強み:国内最大級の実績・透明な料金・豊富な打刻方式・強固な連携エコシステム。留意点:医療配置基準チェック・資格管理は標準機能にないため、必要な場合は追加設定の可否を確認してください。

4-3. freee人事労務

提供形態:クラウド|主な対象:小〜中規模(給与計算一体運用)|提供元:freee株式会社

勤怠管理と給与計算・社会保険手続きをワンプラットフォームで完結できるのが最大の特徴。freee会計との連携も可能で、バックオフィス全体をfreeeで統一したいクリニックに向いています。勤怠データから給与計算まで手動転記なしで完結するため、事務スタッフの工数を大幅に削減できます。変則勤務パターンの設定は可能ですが、医療特化機能は限定的です。

強み:給与・会計・社保のワンストップ連携・導入のしやすさ。留意点:複雑な変則勤務・夜勤管理・医療配置基準チェックには対応が限定的です。医療機関固有の要件が多い場合は他製品との比較を推奨します。

4-4. マネーフォワードクラウド勤怠

提供形態:クラウド|主な対象:小〜中規模(給与計算一体運用)|提供元:株式会社マネーフォワード

マネーフォワードクラウドシリーズの勤怠管理モジュール。給与・会計・経費・社保手続きとの一体型プラットフォームが強みです。勤怠データをマネーフォワードクラウド給与に自動連携できるため、医事・総務が少人数のクリニックでのバックオフィス効率化に適しています。変則勤務の設定は可能ですが、オンコール・資格管理など医療特化要件には限定的です。

強み:会計・給与・経費との一体型連携・使いやすいUI。留意点:医療機関特有の変則勤務・資格管理が複雑な場合は専用ツールとの比較を推奨します。

4-5. AKASHI

提供形態:クラウド|主な対象:小〜中規模・労務管理重視|提供元:株式会社somu-lier

労働基準法・36協定対応に注力したクラウド勤怠管理。36協定の上限時間アラート・月次集計・年次管理レポートが充実しており、医師の時間外労働上限規制(働き方改革)への対応を検討している医療機関から評価を受けています。夜勤・変則シフトはカスタム設定で対応。ICカード・生体認証・スマートフォン打刻に対応し、訪問看護での利用実績もあります。

強み:36協定管理の充実・法令対応への注力・使いやすい管理画面。留意点:医療配置基準チェック・資格管理は標準機能外です。

4-6. ジンジャー勤怠

提供形態:クラウド(HRスイート型)|主な対象:中〜大規模|提供元:jinjer株式会社

HR Suite型として、勤怠管理・給与・採用・評価・経費を統合したプラットフォーム展開が特徴。中規模以上の医療機関で、人事・総務の一元管理を目指す場合に向いています。変則勤務の設定が可能で、複数部署・複数拠点の一元管理に強みを持ちます。料金は要問合せで、規模・使用モジュール数で変動します。

強み:HR全機能統合・多拠点管理・採用〜退職まで一元化。留意点:小規模クリニックには機能過剰の場合があります。医療特化機能の充足は事前デモで確認を推奨します。

4-7. Touch On Time

提供形態:クラウド+ハードウェア|主な対象:小〜大規模・打刻精度重視|提供元:株式会社デジジャパン

ICカード・指静脈・顔認証など生体認証打刻機器のラインナップが豊富で、打刻精度・なりすまし防止に強みを持つ勤怠管理システム。病院の入退室管理・打刻を厳格に行いたい医療機関に適しています。月額300円/人(税別)という明確な料金設定(ハードウェア費用は別途)。変則シフトへの対応は設定次第で可能です。

強み:生体認証打刻の多様性・なりすまし防止・明確な料金体系。留意点:ハードウェア導入コストが発生します。医療特化機能は設定次第です。

4-8. オフィスステーション 勤怠

提供形態:クラウド(HR手続き連携)|主な対象:中〜大規模|提供元:株式会社エフアンドエム

社会保険手続き・給与明細・年末調整などの労務手続き連携を強みとするHRプラットフォームの一部として勤怠管理を提供。入退職手続きから勤怠管理まで労務業務全体を一元化したい医療機関に向いています。変則勤務対応は標準範囲内で可能。医療特化機能は限定的ですが、医療法人での人事・総務業務効率化での導入実績があります。

強み:労務手続き全体の一元化・社会保険連携の充実。留意点:医療特化機能が限定的なため、変則勤務が複雑な施設は他製品との比較を推奨します。

4-9. HRMOS勤怠

提供形態:クラウド(HRMS Suite型)|主な対象:中〜大規模|提供元:株式会社ビービット

採用・人材管理・勤怠をカバーするHRMSプラットフォームの勤怠管理モジュール。人材データとの連携が強みで、スタッフのスキル・資格情報と勤怠を一元管理したい中規模以上の医療機関に向いています。変則勤務はカスタム設定で対応可能。料金は規模・使用モジュール数に応じた要問合せ制。

強み:採用〜勤怠〜人材管理の一元化・人材データとの連携。留意点:小規模クリニックには機能・コストが過剰になる場合があります。

4-10. メディオプラス

提供形態:クラウド|主な対象:クリニック〜中規模病院(医療特化)|提供元:メディオプラス株式会社

医療機関向けシフト管理・勤怠管理に特化したクラウドサービス。変則2交代・3交代・当直・日直・オンコールを標準の勤務パターンとして設定し、看護師・医師・介護職員等の資格別管理・有効期限アラートを標準搭載。病棟・時間帯別の必要人員配置基準チェック機能、夜勤回数の自動集計・上限アラートも標準機能として提供しています。

医師の時間外労働上限規制(A水準・B水準)への対応も設計に組み込まれており、医療機関の労務担当者が手作業で管理していた業務の多くを自動化できます。GPS打刻で訪問看護・在宅医療の現場打刻にも対応。料金は規模・病床数・職員数に応じた要問合せ制で、複数施設の一括管理も可能です。

強み:医療特化の標準機能群・配置基準チェック・資格管理・医師時短規制対応・GPS打刻。留意点:医療特化のため汎用ツールより料金が高い傾向があります。必ず相見積を取得してください。

5. 業態別 選び方マトリクス

業態・診療スタイルによって最適な製品の選択軸が変わります。以下を目安に絞り込んでください。

業態第一候補(医療特化重視)第二候補(コスト重視)選定の重要観点
一般クリニック(外来中心・スタッフ10名未満)メディオプラス / AKASHIfreee人事労務 / マネーフォワード給与計算との一体性・導入容易性
クリニック(変則勤務あり・スタッフ10〜30名)メディオプラス / KING OF TIMEジョブカン / AKASHI夜勤設定の柔軟性・36協定管理
中規模病院(病棟あり・50名以上)メディオプラス / ジンジャー勤怠KING OF TIME / HRMOS勤怠配置基準チェック・医師時短規制・多部門管理
訪問看護ステーションメディオプラス / KING OF TIMEジョブカン / AKASHIGPS打刻・訪問件数連携・資格管理
介護施設(特養・老健・GH等)メディオプラス / ジョブカンKING OF TIME / Touch On Time介護職員資格管理・配置基準・夜勤管理
多施設展開(医療法人・グループ)ジンジャー勤怠 / HRMOS勤怠KING OF TIME / ジョブカン一括管理・横断集計・権限設計
デンタルクリニックAKASHI / ジョブカンfreee / マネーフォワードシンプルな変則勤務・給与計算連携
上表はあくまで目安です。自施設の勤務形態・要件をリスト化した上で、デモ確認・相見積を経て最終選定してください。

6. 規模別ガイド(5段階)

Stage 1:小規模クリニック(スタッフ10名未満・外来のみ)

導入コストの最小化と操作の簡単さが最優先。freee人事労務・マネーフォワードクラウド勤怠は給与計算と一体で導入コストを抑えられます。変則勤務が少なければ汎用ツールで十分。夜勤・変則がある場合はAKASHI・ジョブカンが設定の自由度で優位です。

Stage 2:中規模クリニック(スタッフ10〜30名・変則勤務あり)

夜勤・変則シフトの管理精度と36協定アラートが求められるフェーズ。KING OF TIME・AKASHI・ジョブカンが候補。医療特化要件(資格管理・配置基準)が重要ならメディオプラスが最有力。デモでの要件確認が必須です。

Stage 3:大規模クリニック・有床診療所(スタッフ30〜80名)

複数病棟・複数診療科のシフト管理・配置基準チェックが必要なフェーズ。メディオプラス・KING OF TIME・ジンジャー勤怠が候補。医師の時間外労働上限規制への対応状況を必ず確認してください。

Stage 4:中規模病院(50〜200床)

病棟単位のシフト管理・医師の水準別時短管理・多職種の資格管理が複雑になるフェーズ。メディオプラス・ジンジャー勤怠・HRMOS勤怠が候補。HIS(病院情報システム)との連携可否も確認してください。導入には3〜6ヶ月の移行期間を見込んでください。

Stage 5:医療法人・グループ経営(多施設展開)

施設横断の一括管理・権限設計・グループ全体の労務データ集計が必要。ジンジャー勤怠・HRMOS勤怠・KING OF TIME(多拠点オプション)が候補。データ集約・権限設計・セキュリティ要件を中心に選定してください。

7. 5段階 導入フロー

STEP 1:現状把握・要件整理(3〜6ヶ月前)

  • 現行シフト管理の実態把握(紙/Excel/ホワイトボードの棚卸し)
  • 勤務パターン一覧の作成(日勤・夜勤・当直・日直・オンコール等すべて列挙)
  • 職種・資格別の人員配置基準の確認(医療法・介護保険法の要件)
  • 36協定の現状確認・医師時短規制の水準確認(A/B/連携B)
  • 予算上限の設定(初期費用・月額・5年TCO)
  • 3〜5製品のロングリスト作成

STEP 2:選定・比較(2〜3ヶ月前)

  • 各製品の資料請求・公式デモ申込(本文「質問リスト15項目」参照)
  • 相見積取得(最低3社)
  • 自施設の勤務パターンをデモ環境で実際に設定できるか確認
  • 給与計算ソフト・既存システムとの連携確認
  • ショートリスト2〜3製品に絞込み

STEP 3:契約(1〜2ヶ月前)

  • 契約書精査(最低契約期間・解約条件・データ持ち出し・個人情報処理委託)
  • データ移行条件の確認(旧システムからの移行サポート・費用)
  • セキュリティ・個人情報保護対応の書面確認
  • サポート体制・対応時間帯の確認(月末・改定シーズン等)

STEP 4:導入・初期設定(1ヶ月前〜稼働)

  • 勤務パターン・職種・スタッフ情報の初期設定
  • 36協定・医師時短規制の上限値・アラート設定
  • 打刻機器の設置・ネットワーク確認
  • 管理者・スタッフ向け操作研修
  • 旧システムとの並行稼働(1〜2ヶ月推奨)

STEP 5:運用定着(稼働後)

  • 月次の打刻漏れ・異常値チェック
  • 36協定・時間外の月次確認と労使協定の管理
  • スタッフのシフト希望入力・承認フローの定着確認
  • 半期・年次での利用状況レビューとプラン見直し
業務フロー

8. 5年TCO(総保有コスト)試算

以下は業界一般的な費用水準をもとにした あくまで試算の目安 です。実際の費用は製品・人数・オプション・契約期間で大幅に変動します。必ず複数社から相見積を取得してください。

規模感人数月額目安初期費用目安5年累計
小規模クリニック(汎用ツール)5〜10名2,000〜5,000円/月0〜5万円約12〜35万円
中規模クリニック(汎用ツール)20〜30名6,000〜1.5万円/月0〜10万円約36〜100万円
中規模クリニック(医療特化)20〜30名2〜5万円/月10〜30万円約130〜330万円
有床診療所・中小病院(汎用)50〜100名1.5〜3万円/月10〜30万円約100〜210万円
有床診療所・中小病院(医療特化)50〜100名5〜15万円/月30〜100万円約330〜1,000万円
大規模病院・グループ(要個別見積)200名以上要問合せ要問合せ別途試算必須
※打刻機器・ハードウェア費用・移行費用・研修費用は別途。医療特化ツールは汎用ツールより高コストになる傾向があります。紙・Excelからの移行では、シフト作成工数削減(週2〜5時間)による人件費削減効果も試算に加えてください。

9. 法令対応の重要ポイント(労基法・36協定・医師の働き方改革)

※本セクションは制度の概要整理です。個別の労務管理・時間外上限の判断は、必ず社会保険労務士・弁護士または労働基準監督署にご相談ください。

9-1. 労働基準法・36協定の基本

労働基準法第32条は法定労働時間を1日8時間・週40時間と定めています(労働基準法 e-Gov法令検索)。これを超える時間外労働・休日労働を行わせるには、労働者代表または労働組合との書面協定(36協定)の締結と労働基準監督署への届出が必要です(同法第36条)。シフト管理ツールでの36協定上限値の設定・アラート機能の活用が、法令遵守の第一歩となります。

9-2. 医師の時間外労働上限規制(2024年4月〜)

2024年4月1日より、医師にも時間外労働上限規制が適用されています(働き方改革関連法・医療法改正)。一般労働者と異なり医師固有の水準が設けられています(厚生労働省「医師の働き方改革」)。

  • A水準:年960時間以内(原則的な上限)
  • B水準:地域医療確保に必要な医療機関・年1,860時間以内(都道府県知事の指定が必要)
  • 連携B水準:複数医療機関で勤務する医師・年1,860時間以内
  • C水準:研修医・高度技能習得医師(特例)

これらの上限管理には、医師個人の複数勤務先での時間外を合算する必要があり、シフト管理ツールによる精緻な記録・アラートが不可欠です。

9-3. 勤務間インターバル・夜勤回数制限

厚生労働省の「医師の勤務環境改善に向けた自主的な取組推進のためのガイドライン」では、勤務間インターバル9〜11時間以上の確保・月の夜勤回数の制限(一般に8回程度)が推奨されています。法的義務ではない部分もありますが、労働環境改善と離職防止の観点から多くの医療機関が取り組んでいます。シフト管理ツールによる自動チェック機能が実務的な管理ツールとなります。

10. 失敗事例5件(公開情報・一般的パターンをもとに整理)

  • 失敗事例1:変則勤務パターンが設定できず、結局Excelと併用になった
    「変則勤務対応」と記載があるツールを導入したが、自施設の3交代×当直×オンコールの組み合わせが設定不可と稼働後に判明。Excelとの二重管理が発生した。対策:デモ環境で自施設の全勤務パターンを実際に設定し、動作確認してから契約する。
  • 失敗事例2:打刻漏れが多発し勤怠データの正確性が確保できなかった
    スマートフォン打刻を導入したが、高齢スタッフ・端末不所持スタッフの打刻漏れが頻発し、管理工数がかえって増加した。対策:スタッフの年齢層・端末所持状況に合わせた打刻方式を選定する(ICカード・共用端末打刻等との併用)。
  • 失敗事例3:給与計算ソフトとの連携がCSV手動取込みで、結局手作業が残った
    「給与連携対応」とあったが、実態は月次CSV手動ダウンロード→手動インポートで、自動連携ではなかった。対策:連携形式(リアルタイムAPI・自動バッチ・手動CSV)を契約前に書面で確認する。
  • 失敗事例4:スタッフの希望休入力機能がなく、シフト作成担当者の負荷が変わらなかった
    ツールを導入したが希望休・希望シフト入力をスタッフがWebで行う機能がなく、紙での収集が続いた。対策:スタッフセルフ入力・希望届機能の有無をデモで確認する。
  • 失敗事例5:医師の時間外集計に対応しておらず、36協定管理が手作業のままになった
    一般労働者向けの36協定管理はあるが、医師の水準別(A/B/連携B)の上限管理機能がなく、Excelで別管理する状態が続いた。対策:医師の時間外上限規制への対応状況を、水準別の設定が可能かどうか具体的にデモで確認する。

11. ベンダーへの質問リスト(15項目)

  1. 自施設の勤務パターン(変則2交代・3交代・当直・日直・オンコール)をすべてデモ環境で設定できますか?
  2. 医師の時間外労働上限規制(A水準・B水準・連携B水準)の管理・アラート機能はありますか?
  3. 看護師・介護福祉士・薬剤師等の資格別管理・有効期限アラートは標準機能ですか?
  4. 病棟・診療科別の人員配置基準チェック(法定人員を下回るシフトのアラート)は可能ですか?
  5. 夜勤回数の月次自動集計・上限アラート機能はありますか?
  6. 勤務間インターバル(前勤務終了〜次勤務開始)の自動チェック・アラートはありますか?
  7. スタッフが希望休・希望シフトをWeb/スマホで自己申告できる機能はありますか?
  8. 打刻方式は何種類ありますか?ICカード・生体認証・GPS打刻は可能ですか?
  9. 現在使用している給与計算ソフトとの連携形式(リアルタイムAPI・自動バッチ・手動CSV)は何ですか?
  10. 36協定の上限時間管理・月次アラート・年間集計レポートは標準機能ですか?
  11. 初期費用・月額費用・1人あたり単価・最低契約人数・最低契約期間を書面で提示できますか?
  12. データ(勤怠履歴・シフト履歴)のエクスポート形式と、解約時のデータ移行サポートは?
  13. セキュリティ対応状況(ISO27001・プライバシーマーク・個人情報保護)の証明書類を提示できますか?
  14. 過去1年間のシステム障害実績(ダウンタイム)とSLA(稼働率保証)は?
  15. 同規模・同業態の医療機関への導入実績と、リファレンス(参考先)の紹介は可能ですか?
チーム輪=連携

12. よくある質問(FAQ 15問)

Q1. 医療機関向けシフト管理ツールと一般的な勤怠管理ツールの違いは?

A. 医療機関では変則2交代・3交代・夜勤・当直・オンコールなど複雑な勤務形態、職種・資格別の人員配置基準管理、医師の時間外労働上限規制(水準別)への対応が求められます。一般向けツールはカスタム設定でカバーできる範囲に限界があるため、要件が複雑な場合は医療特化ツールが有力です。

Q2. 紙・Excelから移行する場合の工数はどれくらいかかりますか?

A. 一般に初期設定・研修・並行稼働を含めて1〜3ヶ月が目安です。小規模クリニックなら1ヶ月、複数病棟・多職種のある大規模施設では3〜6ヶ月を見込んでください。ベンダーの導入支援サービスの充実度を確認してください。

Q3. 夜勤手当の自動計算はできますか?

A. 多くの製品で夜勤手当・深夜割増・休日割増の自動計算に対応しています。ただし各手当の単価・条件は自施設の就業規則に基づく設定が必要です。給与計算ソフトとの連携形式(API/CSV)も合わせて確認してください。

Q4. 医師の時間外労働上限規制(2024年〜)に対応したツールは?

A. メディオプラスは医師の水準別(A/B/連携B)管理に標準対応しています。KING OF TIME・AKASHI・ジョブカンは設定次第で対応可能なケースがありますが、デモで水準別の設定が具体的に可能かを確認してください。詳細は厚生労働省「医師の働き方改革」も参照してください。

Q5. 訪問看護ステーションでのGPS打刻に対応したツールは?

A. KING OF TIME・メディオプラス・ジョブカン等がスマートフォンGPS打刻に対応しています。訪問先でのオン/オフ打刻・位置情報記録の精度を、デモで実際の運用フローに沿って確認してください。

Q6. 36協定の管理はシフト管理ツールでできますか?

A. 主要ツールはほぼすべて36協定の上限時間アラート・月次集計レポートに対応しています。設定時は自施設の36協定の特別条項の有無・上限時間を確認の上、ツールに正確に入力してください。

Q7. スタッフが希望休をスマホで申告できる機能は必要ですか?

A. スタッフの希望休・希望シフトのセルフ入力機能があるツールでは、シフト作成担当者が紙・メール・口頭で希望を収集する工数を削減できます。特に20名以上の施設では有効です。全製品に標準搭載されているわけではないため、デモで確認してください。

Q8. 複数施設を一括管理できるツールは?

A. ジンジャー勤怠・HRMOS勤怠・KING OF TIME(多拠点プラン)・メディオプラスが複数施設の一括管理に対応しています。権限設計(施設ごとの管理者設定)・データの横断集計が可能かを確認してください。

Q9. 介護施設の人員配置基準チェックに対応したツールは?

A. メディオプラスが介護施設の配置基準チェックに標準対応しています。汎用ツールは手動設定でのカスタマイズが必要です。設定の可否を導入前にデモで確認してください。

Q10. 勤怠管理ツールの導入で残業代の計算は変わりますか?

A. 勤怠管理ツールは打刻データを基に時間外・深夜・休日労働時間を自動集計できます。ただし残業代の正確な計算は自施設の就業規則・賃金規程に基づく設定が必要です。設定に誤りがあると計算ミスが発生するため、社会保険労務士の確認を推奨します。

Q11. セキュリティ面は大丈夫ですか?職員の個人情報が漏れませんか?

A. 主要クラウドツールはISO27001・プライバシーマーク等のセキュリティ認証を取得しているものが多いです。アクセス権限設定・ログ管理・データ暗号化の状況を契約前に確認してください。医療機関の場合は個人情報保護法に加え、医療情報安全管理ガイドラインとの関係も確認することを推奨します。

Q12. 試用(無料トライアル)はできますか?

A. ジョブカン・KING OF TIME・AKASHI等は無料トライアル期間を提供しています。医療特化ツールは個別デモ対応が中心です。トライアルは実際のスタッフに使ってもらい、現場の使いやすさを確認することを強く推奨します。

Q13. 最低契約人数や最低契約期間はありますか?

A. 製品により異なります。ジョブカン・KING OF TIMEは最低人数設定があります。最低契約期間(1年・2年)がある製品は途中解約時に違約金が発生することがあるため、契約書を精査してください。

Q14. 導入後のサポートはどうなりますか?

A. 電話・メール・チャット・リモートサポートの対応時間帯は製品により異なります。月末の集計締め時期・法改正時などのサポート混雑時の対応体制を事前に確認してください。

Q15. 解約時にデータは持ち出せますか?

A. 主要ツールは勤怠データのCSVエクスポートに対応していますが、出力形式・保持期間はサービスにより異なります。契約前に「解約時のデータ持ち出し形式・方法・期限」を書面で確認してください。

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出典・参考情報

免責事項

本記事は情報提供を目的としており、医療行為・診療判断・労務管理の具体的助言ではありません。製品仕様・料金・法令対応状況は記事公開時点の公式公開情報をもとに整理しており、最新情報は必ず各製品の公式サイトでご確認ください。36協定・医師の時間外労働管理・人員配置基準の適法性判断は、社会保険労務士・弁護士または労働基準監督署にご相談ください。導入の最終判断は貴施設の責任において行ってください。

編集方針 | 最終更新日: 2026-04-25

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