医療介護特化 シフト・勤怠管理SaaS 完全比較【2026年版・夜勤管理/有給5日/医師時間外】

📅公開日:2026-05-24
※本記事には広告(PR)が含まれます。掲載判断は当サイトの編集基準に基づき行っています。 編集方針 | 最終更新日: 2026-05-24

クリニック・病院・介護事業所のシフト・勤怠管理は、一般企業の労務管理と根本的に異なります。夜勤・オンコール・変則勤務、医師の時間外労働上限規制(2024年4月施行)、有給休暇5日取得義務、人員配置基準への影響など、医療介護特有の制約が複雑に絡み合います。汎用勤怠SaaSではカバーしきれない領域が多く、医療介護に特化したシフト・勤怠管理SaaSの選定が労務担当者の重要テーマとなっています。本記事では、医療介護分野でシフト・勤怠管理SaaSを選定する際の比較軸を、公開情報を多角的な視点から整理してまとめます。

この記事で分かること

  • 医療介護のシフト・勤怠管理が一般企業と異なる5つの特殊性
  • 医師時間外労働上限規制(A・B・連携B・C-1・C-2水準)対応のチェックポイント
  • 介護施設特有の夜勤体制・シフト変更頻度に対応する機能要件
  • 有給5日取得義務への自動アラート・取得計画の運用方法
  • 給与計算・電子カルテ・レセコン・介護ソフト連携の整理
  • 規模別の価格相場と用途別の選定基準
  • 導入が向いていない事業所のパターンと代替手段

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1. 医療介護シフト管理の特殊性——汎用ツールでは対応しきれない5領域

医療介護のシフト・勤怠管理は、一般企業の固定時間制とはまったく異なる前提条件で運用されます。労務担当者がシステム選定を始める前に、自施設のどの要件が「汎用ツールでは難しい」のかを整理することが、選定精度を上げる第一歩です。

1-1. 夜勤・準夜勤・深夜勤の多重区分

病院・有床診療所・介護施設では、日勤・準夜勤・深夜勤・夜勤(16時間)・オンコール待機など複数の勤務区分を並行運用するケースが一般的です。区分ごとに開始終了時刻・休憩時間・割増率・手当が異なるため、勤務区分の自由設定機能はシステム選定の必須要件となります。

1-2. オンコール待機の労働時間管理

厚生労働省「労働基準法における労働時間の考え方」(労働基準法解釈例規)では、待機時間が労働時間に該当するかは「使用者の指揮命令下に置かれているか」で判断されます。訪問看護ステーション・在宅医療を行うクリニック・介護施設の宿直対応では、オンコール待機の記録と実出動時間の区別を正確に行う仕組みが不可欠です。

1-3. 変形労働時間制の幅広い採用

医療機関・介護事業所は1ヵ月単位または1年単位の変形労働時間制を採用するケースが多く、所定労働時間の精算期間に応じた集計が必要です。労働基準法第32条の2・第32条の4に基づく運用には、月またぎの労働時間集計・週平均40時間以内チェックが求められます。汎用勤怠ツールの一部は変形労働時間制に未対応のため、要件確認が必須です。

1-4. 人員配置基準・運営基準との連動

医療機関の診療報酬要件(看護配置・医師配置)や介護施設の運営基準(人員配置基準)は、日次・月次で実勤務状況を記録・証憑として保管することが求められます。シフト・勤怠データをこれらの基準算定に直接利用できる仕組みが整っているかは、運用工数を大きく左右します。

1-5. 多職種・多雇用形態の混在

医師・看護師・薬剤師・介護職員・ケアマネジャー・事務職員・送迎ドライバーなど、職種ごとに就業規則・労働時間制度・手当体系が異なるケースが少なくありません。さらに常勤・非常勤・パート・登録ヘルパー・派遣など雇用形態も多様で、同一システム上でこれらを並行管理できる柔軟性が求められます。

2. 医療現場特化の必須機能——医師の時間外労働上限規制対応

2024年4月から医師の時間外・休日労働の上限規制が適用されました(厚生労働省「医師の働き方改革」)。医療機関のシフト・勤怠SaaSを選定する際は、医師の労働時間管理に関する機能要件を最優先で確認する必要があります。

2-1. A・B・連携B・C-1・C-2水準ごとの上限管理

厚生労働省「医師の働き方改革に関する検討会 報告書」(2024年)によれば、医師の時間外・休日労働の上限は4区分で運用されます。A水準(原則)は年960時間以内、B水準・連携B水準・C-1水準・C-2水準(特定機能を有する医療機関・研修医等)は年1,860時間以内が設定されています。シフト・勤怠SaaSには、医師個人ごとに適用される水準を登録し、月単位・年単位の上限到達率をリアルタイムで可視化する機能が求められます。

水準対象年間上限(時間外・休日労働)追加要件
A水準原則すべての医師960時間以内月100時間未満(例外あり)
B水準地域医療確保暫定特例1,860時間以内都道府県知事の指定・追加的健康確保措置
連携B水準副業・兼業の通算上限1,860時間以内派遣先・本務先の通算管理
C-1水準臨床研修医・専攻医1,860時間以内研修計画との整合性
C-2水準高度技能習得1,860時間以内都道府県の特定・対象業務限定

上記は厚生労働省「医師の働き方改革」関連通知をもとに整理した参考情報です。実際の運用は施設の指定区分・労使協定により異なります。

2-2. 追加的健康確保措置(連続勤務時間・インターバル)

B水準・連携B水準・C水準の医師には、連続勤務時間制限28時間・勤務間インターバル9時間(宿日直許可を受けた業務を除く)の確保が義務付けられています。シフト・勤怠SaaSがこれらを自動チェックし、シフト確定前に違反候補をアラートできるかが選定の決め手となります。

2-3. 副業・兼業の通算労働時間

医師は本務先と副業先(外勤・当直バイト)の労働時間を通算して上限規制を適用します(労働基準法第38条)。複数事業所での勤務時間を自己申告ベースで集計し、通算上限の到達状況を医師本人・労務担当者が把握できる仕組みは、医師の働き方改革対応において不可欠です。

2-4. 宿日直許可・研鑽時間の区分管理

労働基準監督署の宿日直許可を受けた業務時間は労働時間に算入されません。また、自己研鑽時間は労働時間に該当しない場合がありますが、その判断は厚生労働省通知「医師の研鑽に係る労働時間に関する考え方について」に基づき施設ごとに整理が必要です。シフト・勤怠SaaSがこれらの区分を「労働時間」「労働時間外」として分けて記録できるかを確認してください。

3. 介護施設特化の必須機能——夜勤体制・シフト変更頻度

業務フロー

介護施設のシフト・勤怠管理は、運営基準(人員配置基準)と密接に連動します。厚生労働省「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準」等に基づき、サービス種別ごとに必要な配置を満たすシフトを毎月組み立てる必要があります。

3-1. サービス種別ごとの人員配置基準

サービス種別主な配置基準(要旨)シフト管理上の留意点
特別養護老人ホーム介護職員・看護職員を入所者数に応じて配置夜勤体制(25人に1人以上等)の充足確認
介護老人保健施設医師1名以上・看護介護職員を入所者3:1で配置常勤換算・夜勤帯の人員充足を日次確認
グループホーム1ユニット9人以下・夜勤1名以上ユニットごとの夜勤シフト独立管理
通所介護(デイ)利用定員に応じた介護職員配置・生活相談員1名以上日中のみで夜勤なし・送迎時間の管理
訪問介護サービス提供責任者・常勤換算で利用者比配置登録ヘルパーの直行直帰打刻
小規模多機能利用者29名以下・通い/訪問/泊まり一体運営3サービスのシフト一元管理

上記は厚生労働省関連告示をもとに概略を整理した参考情報です。実際の配置基準は施設形態・加算要件により異なるため、自治体の指定基準を確認してください。

3-2. 夜勤体制の自動チェック

介護施設では夜勤帯(22時〜翌5時等)の最低配置人数を満たす必要があり、欠勤・急病による交代が発生した際の代替者調整が労務担当者の負荷となります。SaaSによる「夜勤帯の人員充足チェック」「不足時のアラート」「代替候補の自動提示」は、運用工数を大きく削減します。

3-3. シフト変更頻度の高さへの対応

介護施設は急な欠勤・利用者の入退所・体調変化による業務変更が頻繁に発生します。確定後のシフト変更を簡便に行え、変更履歴を残せる機能、職員へのプッシュ通知(スマートフォンアプリ等)でリアルタイムに周知できる仕組みは、現場との情報齟齬を防ぎます。

3-4. 登録ヘルパー・直行直帰の打刻

訪問介護では登録ヘルパーが自宅から利用者宅へ直行し、終了後直帰する勤務形態が一般的です。スマートフォンGPS打刻・利用者宅でのQRコード打刻など、事業所への出社を前提としない打刻手段に対応しているかが選定ポイントです。移動時間の労働時間該当性については、厚生労働省「訪問介護労働者の法定労働条件の確保について」に基づく整理が必要です。

4. 有給5日取得義務への自動対応

労働基準法第39条第7項により、年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対し、使用者は5日について時季を指定して取得させることが義務付けられています(2019年4月施行)。違反した場合は罰則(労働基準法第120条)の対象となり、シフト・勤怠SaaSによる取得状況の自動把握は労務リスク管理の基本です。

4-1. 取得状況の自動可視化

シフト・勤怠SaaSには、職員ごとに年5日取得義務の進捗を可視化する機能が一般的に搭載されています。取得日数・残日数・期限(付与日から1年)・取得計画の登録状況をダッシュボードで確認できることを、デモ時にあらかじめ操作確認してください。

4-2. 取得期限アラート

期限の3ヵ月前・1ヵ月前等にアラートを発出し、未取得の職員と労務担当者の双方に通知する機能は、取得忘れによる違反リスクを大幅に低減します。アラートの宛先・タイミング・通知手段(メール/アプリ/管理画面)をシステムによってカスタマイズできるか確認しましょう。

4-3. 時季指定の運用フロー

5日のうち、職員本人の申請による取得・計画的付与制度による取得・使用者の時季指定による取得を区別して記録・管理できる機能は、労使協定との整合性を確保するために重要です。年次有給休暇管理簿(労働基準法施行規則第24条の7)の電子保存にも対応しているかを確認してください。

4-4. 半日・時間単位有給への対応

半日有給・時間単位有給(労使協定が必要)を運用している場合、これらが5日取得の換算にどう影響するかを正しく集計できることが必要です。半日有給は0.5日換算・時間単位有給は5日取得義務の算入対象外であるなど、複雑なルールに対応したシステム設定を確認してください。

5. 給与計算・レセコン・電子カルテ連携

シフト・勤怠データは、給与計算ソフト・電子カルテ・レセコン・介護ソフトと連携して初めて二重入力の解消・運用効率化が実現します。連携範囲と方式を整理しておくと、選定の優先順位が見えてきます。

5-1. 主要な連携対象システム

連携対象連携データ例主な連携方式
給与計算ソフト勤怠集計・残業時間・夜勤手当・有給取得CSV連携/API連携
電子カルテ医師・看護師の勤務シフト・実勤務時間CSV/API(一部ベンダー)
レセコン(医科・調剤)診療報酬人員配置の根拠データCSV出力連携
介護ソフトサービス提供責任者・介護職員配置データ同一ベンダー内連携が多い
労務管理ソフト入退社・雇用契約・社会保険手続きAPI連携/同一スイート連携

5-2. 連携方式の比較

連携方式メリット注意点
API連携(リアルタイム)双方向通信・データ即時反映連携費用・バージョン管理・APIキー管理
CSV連携(定期バッチ)標準的・多くのシステムが対応転送失敗時のリカバリ運用が必要
手動CSVインポート初期コストが低い人的工数・転記ミスのリスク
同一ベンダーのスイート連携追加費用なし・設定容易機能の妥協を強いられるケースあり

5-3. 連携時のチェックポイント

連携の可否は「標準機能で対応」「オプションで対応」「カスタム開発で対応」の3段階で確認が必要です。「対応可能」という回答だけでは追加費用・開発期間が判明しないため、あらかじめ書面で連携仕様・費用・工期を提示してもらうことを推奨します。

6. 価格帯の相場——人数別の参考レンジ

医療介護向けシフト・勤怠SaaSの価格は、職員数・機能範囲・サポート体制によって大きく異なります。以下は公開情報を多角的な視点から整理した参考レンジです。実際の価格は各社へ相見積もりで確認してください。

規模(職員数)システムタイプ初期費用目安月額目安5年TCO概算
10名以下(小規模クリニック・小規模事業所)汎用型勤怠SaaS0〜5万円3,000〜8,000円20〜53万円
11〜30名(クリニック・通所介護)汎用型または医療介護対応SaaS0〜15万円1〜3万円60〜195万円
31〜100名(中規模病院・特養)医療介護特化SaaS20〜80万円3〜15万円200〜980万円
101〜300名(中堅病院・複数施設)医療介護特化SaaS(高機能)50〜200万円15〜50万円950〜3,200万円
301名以上(大規模病院・グループ法人)カスタム対応・大規模特化100〜500万円50〜200万円3,100〜12,500万円

初期費用には初期設定・データ移行・研修費用が含まれるケースと別途請求のケースがあります。月額費用は1人あたり課金(200〜500円/人・月)と基本料+ユーザー従量課金の2パターンが一般的です。オプション機能(医師上限規制対応・電子カルテ連携・自動シフト生成等)は追加費用のケースが多いため、見積取得時に必須機能を明示してください。

7. 用途別の選定基準

「機能が多い=良いシステム」ではなく、自施設の用途と規模に合うシステムを選ぶことが、コストと運用効率のバランスを取る上で重要です。以下は事業所タイプ別の選定基準です。

事業所タイプ推奨システム種別優先確認機能
外来のみクリニック(10名以下)汎用型勤怠SaaS(シフト機能付き)シフト作成・打刻・有給管理
有床診療所(19床以下)汎用型または医療対応SaaS夜勤区分・準夜深夜割増・36協定
中小病院(20〜199床)医療特化SaaS医師上限規制対応・看護配置基準・電子カルテ連携
大規模病院(200床以上)医療特化SaaS(高機能)A〜C水準別管理・追加的健康確保措置・連携B水準通算
訪問看護ステーション訪問特化SaaSまたは汎用+オンコール対応オンコール記録・直行直帰打刻・移動時間管理
特養・老健・グループホーム介護特化SaaSまたは介護ソフト連携型夜勤体制チェック・人員配置基準・ユニット管理
通所介護・通所リハ介護特化または汎用送迎時間管理・利用者比配置・生活相談員管理
訪問介護介護特化(訪問対応)登録ヘルパー打刻・サ責配置・移動時間管理
小規模多機能・複合施設介護特化SaaS通い/訪問/泊まりの一元管理

8. 自己解析チェックリスト(10項目)

チェックリスト

システム選定の前に、自施設の要件を整理するためのチェックリストです。担当者間で共有し、各項目に対する自施設の状況を明確化してから候補ベンダーへ問い合わせると、提案精度が大幅に向上します。

No.確認項目自施設の状況メモ
1職員総数・職種別人数・雇用形態別人数を把握しているか
2勤務区分(日勤・準夜・深夜・夜勤・オンコール等)を文書化しているか
3変形労働時間制を採用しているか(採用なら期間:1ヵ月/1年)
4医師の時間外労働上限規制の適用水準(A/B/連携B/C-1/C-2)が決まっているか
5有給5日取得義務の現在の取得率を把握しているか
6夜勤体制の最低配置人数・運営基準を整理しているか
7連携対象システム(給与・電子カルテ・レセコン・介護ソフト)を特定しているか
8打刻方法の希望(PC/スマホ/ICカード/GPS/QRコード)を整理しているか
9初期費用+月額の年間予算上限を決めているか
10導入後の運用責任者・サポート窓口を社内で決めているか

10項目すべてが整理できている事業所は少数派です。最初に整理しきれていなくても、ベンダーとの面談を進めながら段階的に詰めていくアプローチで問題ありませんが、項目1・2・7・9は商談前に整理しておくことを推奨します。

9. 導入が向いていない事業所のパターン

シフト・勤怠SaaSは万能ではありません。次のような事業所では、導入してもメリットが薄い・かえって工数が増えるケースがあるため、代替手段を含めて検討することを推奨します。

9-1. 職員数が極めて少なくシフトが固定的

院長+スタッフ2〜3名の小規模クリニックで、シフトが固定(月〜土曜の同じ時間帯)の場合、紙のタイムカード+Excel管理で十分対応できます。SaaS導入の月額固定費が工数削減効果を上回るケースがあります。

9-2. デジタルリテラシーが極端に低く研修が困難

シフト管理者がPC・スマートフォンの操作に強い苦手意識を持ち、研修にも時間を割けない場合、システム導入後の定着が難しくなります。ベンダーのオンボーディング支援を最大限活用するか、まず簡易な打刻のみのSaaSから段階的に進めるアプローチを検討してください。

9-3. 自治体・本部システムが指定されている

自治体運営の医療機関や、医療法人本部が指定する勤怠システムがある場合は、SaaS選定の自由度が制限されます。本部・親会社の方針確認を先に行うことが必要です。

9-4. 移行期間中の業務逼迫が見込まれる

診療報酬改定対応・電子カルテリプレイス・大規模採用などが直近に控えている場合、シフト・勤怠SaaSの並行導入はリスクが高くなります。繁忙期を避けた導入計画を立てるか、現行運用を継続するという判断もあり得ます。

9-5. 短期間で組織再編・分割が予定されている

M&A・事業譲渡・分院化等の組織再編が1年以内に予定されている場合は、再編後の体制が決まってから導入を再検討するほうが効率的です。再編によるユーザー数変動・契約の引継ぎ可否を事前にベンダーへ確認してください。

10. よくある質問(FAQ)

Q1. 医師の働き方改革に対応するために、すべての病院がシフト・勤怠SaaSを導入する必要がありますか?
厚生労働省「医師の働き方改革」では、医師の労働時間を客観的に把握することが求められていますが、特定のシステム導入を義務付けるものではありません。タイムカード等の客観的記録でも要件は満たせます。ただし、A〜C水準別の上限管理・追加的健康確保措置・副業通算など複雑な要件を手作業で管理することは現実的でないため、中規模以上の病院ではシステム導入の合理性が高くなります。
Q2. 有給5日取得義務に違反した場合、罰則はありますか?
労働基準法第120条により、違反者1人につき30万円以下の罰金が定められています。労働基準監督署の臨検・是正勧告で発覚するケースが多く、未取得者数が多いほど罰金の合計額が大きくなります。シフト・勤怠SaaSによる取得状況の自動把握とアラートは、こうしたリスクを低減する有効な手段です。
Q3. オンコール待機の時間は労働時間になりますか?
厚生労働省の解釈例規によれば、労働時間に該当するか否かは「使用者の指揮命令下に置かれているか」「行動制限の程度」等で判断されます。自宅待機で出動時のみ労働時間とみなす扱いと、待機全体を労働時間とみなす扱いがあり、個別事案ごとの判断が必要です。SaaSではオンコール待機と実出動を区別して記録し、社労士・労働基準監督署の判断を仰ぐ運用が一般的です。
Q4. 介護ソフトに含まれる勤怠機能で十分でしょうか?
介護ソフト付属の勤怠機能は、人員配置基準との連動・基本的な打刻・シフト作成には対応しますが、変形労働時間制の細かい設定・複雑なシフトパターンの自動生成・他システム連携には未対応のケースがあります。事業所規模が中規模以上(30名超)の場合は、勤怠特化SaaSとの組み合わせを検討するほうが運用負荷を抑えやすくなります。
Q5. 導入から運用開始までどのくらいの期間がかかりますか?
汎用型勤怠SaaSの小規模導入で1〜2ヵ月、医療介護特化SaaSの中規模導入で3〜6ヵ月、大規模病院での全面導入で6〜12ヵ月が公開情報をもとにした参考目安です。電子カルテ連携・給与計算連携を伴う場合は追加で連携開発期間が必要です。導入計画の初期段階で、就業規則・36協定の見直し時間も組み込むことを推奨します。
Q6. 既存のExcelシフト表からのデータ移行は可能ですか?
職員マスター(氏名・職種・所属・雇用形態等)のCSVインポートには多くのSaaSが対応しています。過去のシフト・勤怠データの移行は対応範囲・費用がシステムによって異なるため、ベンダーへ事前に確認してください。データ移行を行わず、新システム導入月から新規データのみで運用開始する選択肢もあります。
Q7. クラウド型のセキュリティは医療情報の取扱いに耐えますか?
シフト・勤怠SaaSが扱うデータは原則として個人情報(職員の氏名・勤務時間等)であり、医療情報(患者情報)は含まれません。クラウド型でも、ISO 27001(情報セキュリティ)・ISMS・SOC2等の認証取得状況・データセンター所在地・通信暗号化(TLS)の確認を行えば、医療介護事業所の利用に耐えうるセキュリティを確保できます。電子カルテ連携で患者情報が一部含まれる場合は、厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」への準拠を確認してください。

11. まとめ——自施設に合うシステム選びの3ステップ

医療介護のシフト・勤怠SaaS選定は、自施設の規模・勤務体制・連携要件を整理することから始まります。以下の3ステップで進めることを推奨します。

  1. 自施設の要件を文書化する:本記事第8章のチェックリスト10項目を担当者間で共有・回答する。
  2. 事業所タイプに合うシステム種別を絞る:第7章の表をもとに、汎用型/医療特化/介護特化/訪問特化のいずれが適合するかを判断する。
  3. 3社以上の相見積もりとデモを行う:医師上限規制対応・夜勤体制管理・有給5日取得・連携機能を実際に操作して比較する。

機能の多さや価格の安さだけで選ぶのではなく、自施設の実運用に合致する設計・サポート体制・将来の拡張余地を多角的に評価することが、持続可能な労務管理体制づくりの基盤となります。本記事で紹介した比較情報は公開情報をもとに編集部が整理したものです。最新の機能・価格・対応状況は、各サービスの公式サイト・各社窓口でご確認ください。

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出典・参考資料

  1. 厚生労働省「医師の働き方改革に関する検討会 報告書」2024年
    https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_12977.html(参照:2026-05-24)
  2. 厚生労働省「医師の働き方改革」(特設ページ)
    https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000189195.html(参照:2026-05-24)
  3. 厚生労働省「年5日の年次有給休暇の確実な取得(労働基準法第39条第7項)」
    https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000099801.html(参照:2026-05-24)
  4. 厚生労働省「労働基準法における労働時間の考え方(解釈例規)」
    https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/index.html(参照:2026-05-24)
  5. 厚生労働省「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準」(介護保険法関連告示)
    https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/index.html(参照:2026-05-24)
  6. 厚生労働省「医療機関における勤務環境改善の取り組みについて」
    https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000077077.html(参照:2026-05-24)
  7. 厚生労働省「訪問介護労働者の法定労働条件の確保について」(基発関連通達)
    https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/index.html(参照:2026-05-24)
  8. 厚生労働省「医師の研鑽に係る労働時間に関する考え方について」(基発通達)
    https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000189195.html(参照:2026-05-24)

【免責事項】本記事は公開情報をもとに編集部が整理した参考情報です。労務管理・労働基準法・診療報酬・介護保険の具体的な解釈・適用については、社会保険労務士・弁護士・所轄労働基準監督署等の専門機関にご相談ください。記載内容の正確性には細心の注意を払っていますが、法改正・告示改定・サービス仕様変更により情報が変わる場合があります。最新情報は各省庁・各社公式サイトでご確認ください。

最終更新日:2026-05-24 | 編集方針・訂正対応

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