病院の患者送迎バス運行 完全ガイド【2026年版・道路運送法/白ナンバー/委託運行/介護タクシー連携】

📅公開日:2026-07-14
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病院が患者送迎バスを運行する取り組みは、公共交通の縮小・地域の交通空白化・高齢化を背景に、通院手段確保による受診機会の維持と、患者確保・地域包括ケアネットワーク強化を両立させる施策として整理されています。事務長・地域連携室・在宅支援担当が判断すべき論点は、道路運送法上の位置づけ(自家用/事業用)、白ナンバー無償送迎の可否、送迎車両の導入・維持費、運転手の雇用または委託、交通空白地域における特例、介護タクシー・地域タクシー事業者との連携、安全管理体制など多岐にわたります。本記事は公開情報を整理した内容であり、特定の運行方式・委託事業者・車両ベンダーを推奨するものではありません。個別の許認可可否・運行条件は、国土交通省・地方運輸局および顧問の専門家にご確認ください。

本記事は、病院事務長・地域連携室・在宅支援担当を想定し、患者送迎バス運行の目的、道路運送法上の枠組み(自家用自動車の無償運送・登録運送事業)、白ナンバー送迎の可否と論点、車両導入・維持コスト、運転手雇用と運行委託の選択、交通空白地域における自家用有償旅客運送、介護タクシー・地域タクシー会社との連携、安全管理・事故対応、2024年前後の制度動向を、国土交通省・厚生労働省・道路運送法関連の公開資料をもとに整理します。

この記事で分かること

  • 患者送迎バスが受診支援・患者確保・地域包括ケアの中で果たす役割
  • 道路運送法における自家用自動車と旅客自動車運送事業の区分
  • 白ナンバー車両で患者送迎を行う場合の可否と留意点
  • マイクロバス・ワゴン車の導入コスト・年間維持費の内訳観点
  • 運転手直接雇用と運行委託(貸切バス/タクシー事業者委託)の比較観点
  • 交通空白地域における自家用有償旅客運送・地域公共交通会議の枠組み
  • 介護タクシー・タクシー会社との連携パターン
  • 運行管理・車両点検・事故発生時の初動対応の設計
  • 2024年前後の道路運送法・地域公共交通関連の動向整理

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1. 患者送迎バスの目的(受診支援と患者確保)

患者送迎バスは、通院手段が限られる患者に対して受診機会を確保する社会的機能と、来院動線の改善を通じた患者確保・患者満足度向上という経営的機能を、単一のオペレーションで担う施策です。公共交通の縮小と高齢化が進む地域では、バス路線廃止や運行本数減少により通院困難となる患者が増加しており、地域包括ケアの実効性維持の観点からも通院支援の重要性が指摘されています(国土交通省「地域公共交通に関する各種資料」)。

1-1. 受診支援としての位置づけ

患者送迎バスの一次的な目的は、公共交通機関の不便な地域や自家用車を持たない高齢者・障害者等の通院を支援することにあります。定期通院を要する慢性疾患・透析・リハビリ・外来化学療法等の患者にとって、通院手段の確保は治療継続の前提条件となるため、送迎バスは治療アドヒアランスの維持にも寄与し得るとされています。

1-2. 患者確保・患者満足度向上

診療圏内の高齢化した地域から自院への来院導線を確保することは、外来数・入院紹介の安定に寄与する経営施策としても位置づけられます。競合病院・診療所との差別化要素として通院支援を提示する事例もあり、送迎バス運行は無形の付加価値として認識されやすい取り組みです。ただし患者確保のみを目的化した過度な運行拡大は、後述する道路運送法上の論点と抵触する可能性があるため、公共的・社会的な受診支援の枠組みで設計することが基本です。

1-3. 地域包括ケア・在宅支援との連動

地域包括ケアシステムの構築が推進される中で、退院支援・在宅療養支援・訪問診療との連続性を確保する観点から、送迎バスと外来診療・地域連携室の運用を一体で設計する事例が増えています。地域連携室が退院時に通院手段確保の相談を担い、送迎バス・介護タクシー・地域公共交通の中から適切な選択肢を案内する運用は、在宅療養継続の実効性を高める仕組みとして整理されています(厚生労働省「地域包括ケアシステム」関連資料)。

天秤の比較

2. 道路運送法との関係(自家用/事業用)

患者送迎バス運行を検討する際、最初に押さえる論点が道路運送法上の区分です。他人を有償で運送する行為は原則として旅客自動車運送事業(緑ナンバー)の許可を要し、自家用自動車(白ナンバー)による有償運送は原則として認められないと整理されています(国土交通省「旅客自動車運送事業関係」)。病院が運行する送迎バスは、この枠組みの中でどの区分に位置づくかを事前に整理することが基本となります。

2-1. 旅客自動車運送事業の類型

旅客自動車運送事業には、一般乗合旅客自動車運送事業(路線バス)、一般貸切旅客自動車運送事業(貸切バス)、一般乗用旅客自動車運送事業(タクシー・介護タクシー)、特定旅客自動車運送事業(特定の団体・施設利用者の輸送)が含まれます。それぞれ許可要件・運行管理者・車両基準・運賃認可の枠組みが定められており、緑ナンバー車両で運行することとなります(国土交通省「旅客自動車運送事業関係」)。

2-2. 自家用自動車の無償運送

自家用自動車(白ナンバー)による他人の運送は、道路運送法上、原則として有償で行うことができません。ただし、運送に対する対価を受けない無償運送や、社会通念上運送の対価とみなされない範囲の運用については、事業許可を要しない整理があり得るとされています。病院送迎バスを白ナンバー運行する場合は、この「無償」の範囲をどう設計するかが実務上の論点となります。

2-3. 区分整理表

区分ナンバー主な位置づけ
一般乗合旅客自動車運送事業緑路線バス(不特定多数・路線定期)
一般貸切旅客自動車運送事業緑貸切バス(契約団体・貸切運行)
一般乗用旅客自動車運送事業緑タクシー・介護タクシー
特定旅客自動車運送事業緑特定の利用者団体を反復輸送
自家用自動車(無償運送)白対価を受けない範囲での運送
自家用有償旅客運送白(登録)交通空白地域等の特例登録制度

3. 白ナンバー送迎の可否と論点

病院が自ら購入・保有する白ナンバー車両で患者送迎を行うケースは実務上広く見られますが、道路運送法との関係整理は病院の判断責任で行う必要があります。運送の対価を患者から徴収しない「完全無償」の運行として設計する場合と、実費相当分を徴収する場合、有料設定する場合とで、法的な論点が変わり得るため、事前に地方運輸局および専門家に照会することが基本です。

3-1. 対価を受けない運行の設計

患者から一切の対価を徴収せず、病院の福利厚生・地域貢献・受診支援として運行費を病院が全額負担する運用は、白ナンバー送迎の最も安全側の設計として整理されることが多いパターンです。この場合でも、外来診療の対価に運行費が実質的に組み込まれているとみなされる余地があるか、患者選別的な運用となっていないか、といった観点は事前に確認しておくことが望まれます。

3-2. 実費徴収・有料運行の論点

患者から一定額(燃料費相当・低額の乗車料)を徴収する場合、その金額が「運送の対価」に該当するか否かは事案ごとに判断されます。対価とみなされる場合、白ナンバー運行では道路運送法違反となる可能性があるため、有料前提の運行を検討する場合は、旅客自動車運送事業の許可取得または登録運送事業者(介護タクシー・貸切バス事業者)への運行委託を選択することが安全側の設計とされています。

3-3. 事前照会の推奨

送迎バスの運行方針を確定する前に、地方運輸局(国土交通省の地方支分部局)に運行計画・対価設計・利用者範囲・運行区域を書面で照会し、道路運送法上の位置づけについて見解を確認する運用が推奨されます。特に、路線バス的な定時定路線運行や、患者以外の家族・見舞い客・地域住民を利用対象に含める場合は、位置づけが変わり得るため、事前照会の重要性が高まります。

4. 送迎車両導入コスト・維持費

送迎バス車両の導入・保有コストは、車両種別・購入かリースか・稼働頻度・地域気候等により大きく変動します。事務長・調達担当は、初期投資・年間維持費・車両更新サイクルを含めた総保有コスト(TCO)で比較検討することが基本です。以下は費用の内訳観点の整理であり、具体的な金額は個別見積によるため、車両ベンダー・リース会社の公式見積を取得することを前提とします。

4-1. 車両種別と初期費用

送迎バスに用いられる車両は、乗車定員10名前後のハイエース・キャラバン系ワゴン車、20〜30名クラスのマイクロバス(コースター・ローザ等)、車椅子対応リフト付き福祉車両などに大別されます。初期費用は車両本体価格に加え、リフト・スロープ・車椅子固定装置・手すり・ステップ等の福祉車両架装費、社名ラッピング、ナビ・車載カメラ・ドライブレコーダー等の装備費が加算されます。

4-2. 年間維持費の観点

年間維持費には、自動車税、自動車重量税、自賠責保険、任意保険、車検・法定点検、日常点検、消耗品(タイヤ・バッテリー・オイル等)、燃料費、車両保管場所の使用料、洗車費等が含まれます。福祉車両の場合はリフト・スロープの点検費、車椅子固定装置の交換費も見込みます。運行距離・利用者数・気候条件により実費は変動するため、複数年の実績を踏まえたコスト管理が有用です。

4-3. 購入とリースの選択

購入は初期投資が大きい一方、長期保有により1年あたりコストを平準化しやすい選択肢です。リースは初期投資を抑えつつ、メンテナンス込みのメンテナンスリース契約とすることで維持費の変動を平準化しやすい特徴があります。車両更新サイクルを短縮したい場合や、新車保証範囲内での運行を継続したい場合はリースが選択されやすく、長期にわたり同一車両を運用する場合は購入が選択されやすい傾向とされています。

4-4. コスト比較観点整理表

比較観点購入メンテナンスリース
初期投資大きい抑制可能
会計処理資産計上・減価償却賃借料として費用処理(契約形態により異なる)
維持費の変動実費に応じて変動契約に応じて平準化しやすい
車両更新任意のタイミング契約期間終了時に更新
売却・処分院で対応リース会社に返却

5. 運転手の雇用と運行委託

送迎バスの運転手をどのように確保するかは、運行の安全性・継続性・コストに直結する論点です。病院直接雇用、外部事業者への運行委託、両者のハイブリッド運用など複数のパターンが実務上存在します。運転業務は運転免許(大型・中型・普通二種等)の要件があり、車両区分と運行形態に応じた免許保有者を確保する必要があります。

5-1. 直接雇用のパターン

病院が運転手を直接雇用する場合、勤務シフト・労務管理を院内で設計できる一方、採用コスト・教育コスト・欠員対応のバックアップ体制を院で確保する必要があります。高齢化する運転労働市場において、地域での運転手確保が難航する事例もあり、募集条件・勤務体系の設計は労働政策の動向を踏まえた検討が求められます(厚生労働省「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」関連資料)。

5-2. 運行委託のパターン

貸切バス事業者・タクシー事業者・介護タクシー事業者・地域の運行受託事業者に、車両運行そのものを委託するパターンです。この場合は、緑ナンバー車両を委託事業者が持ち込む形態と、病院所有の白ナンバー車両を持ち込み契約に基づき運転業務のみを委託する形態があります。後者は運転業務の請負・派遣の区分整理に留意し、労働関係法令に沿った契約設計が必要です。

5-3. 雇用と委託の比較整理表

比較観点直接雇用運行委託
労務管理院内で設計受託事業者側
欠員対応院で確保事業者側で対応
コスト構造人件費・社保・教育費委託料
安全教育院内で実施事業者が運行管理者を配置
柔軟性運行変更を院内で決定契約範囲内で協議

6. 交通空白地域の特例(自家用有償旅客運送)

路線バス・タクシー等の公共交通機関による輸送サービスの提供が困難な地域(交通空白地域・移動困難地域)においては、道路運送法第78条以下の枠組みに基づき、市町村・NPO法人等が自家用自動車を用いた有償運送を行う「自家用有償旅客運送」の登録制度が設けられています。地域公共交通会議・運営協議会での協議を経て登録される仕組みであり、病院の患者送迎と地域移動支援を組み合わせる事例も見られます(国土交通省「自家用有償旅客運送」関連資料)。

6-1. 交通空白地有償運送・福祉有償運送

自家用有償旅客運送は、地域住民を対象とする交通空白地有償運送と、要介護者・要支援者・障害者等を対象とする福祉有償運送に大別されます。登録主体は市町村・NPO法人・社会福祉法人等となり、営利を目的とせず地域住民の生活の足を確保する枠組みです。病院が単独で登録主体となるケースは一般的ではありませんが、地域の登録団体と連携し患者輸送に活用する事例が想定されます(国土交通省「自家用有償旅客運送」関連資料)。

6-2. 地域公共交通会議との関係

自家用有償旅客運送の登録には、地域公共交通会議または運営協議会での合意形成が前提となります。市町村が主導するこの会議体には、バス事業者・タクシー事業者・住民代表・行政・利用者団体等が参加し、地域の移動ニーズと既存事業者との調整を経て、有償運送の運行区域・運送の対価・運行主体等を協議します。病院の患者送迎と地域移動支援を連携させる場合、地域連携室・地域医療構想調整会議と連動した検討が有用とされています。

6-3. 対価の設定

自家用有償旅客運送の対価は、営利を目的としない範囲で、実費を勘案し合理的な範囲で設定することとされています。地域公共交通会議での協議を経て決定される仕組みであり、地域のタクシー運賃を上回らない水準となる運用が一般的とされます。詳細な対価設定基準は、国土交通省の公表する登録・許可基準および地域の運営協議会規則で定められています。

7. 介護タクシー・タクシー会社との連携

病院が送迎バスを自前で運行する以外に、地域の介護タクシー事業者・タクシー会社と連携するパターンも実効的な選択肢です。個別患者の通院支援、車椅子・寝台移送を要する重度患者の搬送、送迎バスがカバーできない時間帯・地域の補完など、目的に応じた連携形態が想定されます。介護タクシーは一般乗用旅客自動車運送事業(緑ナンバー)として運行される事業形態であり、法令上の位置づけが明確です(国土交通省「介護タクシー」関連資料)。

7-1. 個別患者搬送の連携

透析・外来化学療法・リハビリ等の定期通院患者、退院時搬送、外出時搬送などの個別ニーズに対し、地域の介護タクシー事業者との連絡体制を整備する運用は、地域連携室・在宅支援担当の実務でも定着している運用です。契約締結の有無・料金負担者(患者本人・介護保険・病院費用)の切り分けを明確化することが基本となります。

7-2. 貸切運行の委託

特定の定時定路線での患者送迎を、貸切バス事業者・タクシー事業者に委託する形態です。緑ナンバー車両を委託事業者が持ち込むため道路運送法上の位置づけが明確で、事業者側に運行管理者が配置され安全管理が担保されやすい特徴があります。委託料は病院側が負担し、患者からは徴収しない設計とすることで、道路運送法との関係を整理しやすくなります。

7-3. 連携パターン整理表

連携形態主な用途主な留意点
介護タクシー個別搬送車椅子・寝台移送・単発通院料金負担者・保険適用範囲の整理
タクシー会社との定期連携定期通院患者の通院支援予約枠・繁忙時間帯の確保
貸切バス委託(定時定路線)送迎バスの外部委託委託契約・運行管理責任の分担
自家用有償旅客運送連携交通空白地域の患者輸送補完地域公共交通会議での合意

8. 安全管理・事故対応

送迎バス運行における安全管理は、患者の生命・身体に関わる重要な運営責任です。運行前点検、日常整備、車検・法定点検、運転手の健康管理、安全教育、事故発生時の初動対応、任意保険の付保、車載カメラ・ドライブレコーダー等の記録装備を、平時から体系的に整備することが基本となります。旅客自動車運送事業には運行管理者制度が定められ、貸切バス事業者・タクシー事業者への委託運行では受託事業者側で運行管理体制が担保されます(国土交通省「運行管理制度」関連資料)。

8-1. 日常点検と車両整備

運行前の日常点検(タイヤ・ブレーキ・灯火・オイル・冷却水等)、月次の定期点検、法定の車検・点検を、実施記録とともに整備することが基本です。福祉車両ではリフト・スロープ・車椅子固定装置の作動確認も日常点検に組み込みます。点検・整備記録は、事故発生時の状況説明資料としても重要となるため、少なくとも法定の保存期間、可能であればそれを超える期間の保管を運用として設計します。

8-2. 運転手の健康管理・労務管理

直接雇用の運転手については、健康診断の実施、勤務前アルコールチェック、拘束時間・休息時間の適切な確保、加齢に伴う運転能力の定期評価等を、運用として整備することが基本です。自動車運転者の労働時間等については、厚生労働省の改善基準告示等で運用の目安が示されており、これに沿った勤務体系の設計が求められます(厚生労働省「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」関連資料)。

8-3. 事故発生時の初動対応

事故発生時のフローとして、現場での安全確保、患者・乗客の状態確認、救急要請、警察への通報、病院への一次連絡、任意保険会社への連絡、車両の移動・回収、患者家族への連絡等を、対応手順書として整備し運転手・事務局で共有します。人身事故の可能性がある場合の対応、他車巻き込みがある場合の対応、車内での患者急変時の対応など、シナリオ別の手順を平時から準備します。

8-4. 保険付保の観点

自賠責保険への加入は法令上の義務であり、任意保険(対人・対物・搭乗者・車両・弁護士費用等)については保有台数・運行形態に応じた補償設計を保険会社と協議します。乗客に対する搭乗者傷害の補償、車椅子等の車内備品の補償など、送迎バス特有のリスクを踏まえた設計が有用です。

9. 2024年前後の動向整理

2024年前後の患者送迎バス運行を取り巻く環境は、公共交通の再編、自家用有償旅客運送の運用見直し、ライドシェアの部分導入検討、地域交通のリ・デザイン施策等の動きの中にあります。事務長・地域連携室・在宅支援担当が今後の運行方針を検討する際は、国土交通省・地方運輸局が公表する最新動向を継続的に把握することが基本となります。

9-1. 地域公共交通の再編

地域公共交通の活性化及び再生に関する法律の枠組みのもと、市町村が策定する地域公共交通計画に基づき、路線再編・コミュニティバス導入・デマンド交通導入等の取り組みが進んでいます。病院送迎バスも、地域公共交通計画の中で地域の移動手段の一つとして位置づけられる可能性があり、行政・他事業者との連携枠組みが再設計される場面が想定されます(国土交通省「地域公共交通に関する各種資料」)。

9-2. 自家用有償旅客運送の運用見直し

自家用有償旅客運送については、地域における移動手段確保の観点から運用の見直し・柔軟化の議論が継続的に行われています。地域公共交通会議での協議手続、運送の対価の設定基準、運送区域の考え方等については、国土交通省の通達・告示・パブリックコメント等で運用が更新される場面があるため、地方運輸局への確認を通じた最新運用の把握が有用です。

9-3. ライドシェア関連動向

2024年から段階的に導入された日本版ライドシェア(自家用車活用事業)は、タクシー不足地域におけるタクシー事業者管理下の運行として整理されており、患者送迎の枠組みとは直接連動しないものの、地域の移動手段全体の需給に影響し得る施策として動向を把握しておく価値があります(国土交通省「自家用車活用事業関連資料」)。

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10. よくある質問(FAQ)

Q1. 病院所有の白ナンバー車両で患者から実費として100円を徴収して送迎を行う運用は可能ですか?
A. 白ナンバー車両で対価を徴収する運行は、道路運送法上の論点となる可能性があります。徴収額が実費相当か「運送の対価」に該当するかの判断は事案ごとに異なるため、地方運輸局への事前照会と、顧問弁護士等の専門家への相談を経てから運用を決定することが基本です。安全側の設計としては、病院が運行費を全額負担する完全無償運行、または緑ナンバー事業者への運行委託が選択肢となります。
Q2. 送迎バスの利用者を自院の外来患者に限定せず、家族・見舞い客・地域住民も乗せてよいですか?
A. 利用者の範囲を広げると、運行の位置づけが「特定の利用者団体を対象とする輸送」から「地域住民を対象とする輸送」に変わり得るため、道路運送法上の整理が変わる可能性があります。地域住民一般を対象とする有償運送を検討する場合は、自家用有償旅客運送の登録主体(市町村・NPO等)との連携、または貸切バス事業者への運行委託等の枠組みが選択肢となります。個別判断は地方運輸局にご確認ください。
Q3. 運行委託先の選定で、料金以外に重視すべき観点は何ですか?
A. 委託先の運行管理体制、運転手の教育・健康管理、車両整備体制、任意保険の付保状況、事故対応の実績・体制、繁忙期の代替車両の確保能力、契約期間中の料金改定条項の設計等を、公開情報と提案書で確認することが基本です。安全性・継続性は料金以上に重要な観点となるため、複数事業者からの提案を比較検討することが有用です。
Q4. 送迎バス運行にかかる経費は税務上どのように扱えますか?
A. 車両の減価償却、リース料、燃料費、保険料、運転手人件費、委託料等は、病院の運営経費として税務上扱うことが基本ですが、医療法人・個人開設・自治体病院等の開設形態、公益法人課税等の適用範囲は個別事情により異なります。個別の税務判断は、顧問税理士および所轄税務署にご確認ください。
Q5. 交通空白地域の患者輸送に病院として関与する場合、どこから検討を始めればよいですか?
A. まずは地元市町村の地域公共交通担当部署へ相談し、既存の地域公共交通計画・地域公共交通会議・自家用有償旅客運送の登録団体の有無を確認することが起点となります。既存の登録団体との連携、または地域包括ケア関連の協議体を通じた通院支援の枠組み検討など、地域の実情に応じた選択肢を整理します。国土交通省の地方運輸局・厚生労働省の地域医療構想調整会議もあわせて確認することが有用です。

11. 関連リンク・参考資料

  • 国土交通省「旅客自動車運送事業関係」 https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_tk3_000002.html (取得日:2026-07-14)
  • 国土交通省「自家用有償旅客運送」 https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_tk3_000015.html (取得日:2026-07-14)
  • 国土交通省「地域公共交通に関する各種資料」 https://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/transport/sosei_transport_tk_000055.html (取得日:2026-07-14)
  • 国土交通省「介護タクシー等について」 https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_tk2_000021.html (取得日:2026-07-14)
  • 国土交通省「自家用車活用事業(日本版ライドシェア)関連資料」 https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_tk2_000023.html (取得日:2026-07-14)
  • 国土交通省「運行管理制度」 https://www.mlit.go.jp/jidosha/anzen/03exam/index.html (取得日:2026-07-14)
  • 厚生労働省「地域包括ケアシステム」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/chiiki-houkatsu/ (取得日:2026-07-14)
  • 厚生労働省「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000117676.html (取得日:2026-07-14)

【免責事項】本記事は国土交通省・厚生労働省・道路運送法関連の公開資料を整理した内容です。特定の運行方式・委託事業者・車両ベンダーの優位性や、特定の経営改善効果を保証するものではありません。道路運送法・自家用有償旅客運送・地域公共交通関連の各項目は、改正や運用通達の見直しにより変動するため、個別の許認可可否・運行条件は、国土交通省・地方運輸局および顧問の専門家にご確認ください。本記事は医療行為の助言を目的とするものではなく、医学的な判断は患者個別に主治医の評価・指示が必要です。本記事の情報利用によって生じた損害について、mitoru編集部は責任を負いません。

最終更新日:2026年7月14日|編集方針

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