病院の医療品質指標(QI・KPI)運用 完全ガイド【2026年版・院内QI/病院機能評価/CQI/改善】

📅公開日:2026-08-21
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医療の質指標(QI:Quality Indicator)とKPI(Key Performance Indicator)は、病院が提供する医療の構造・過程・結果を可視化し、継続的質改善(CQI:Continuous Quality Improvement)に接続するための基盤です。厚生労働省「医療の質の評価・公表等推進事業」、公益財団法人日本医療機能評価機構「病院機能評価」および「QI(Quality Indicator)推進事業」、日本病院会「QIプロジェクト」など、複数の公的枠組みが病院QIの共通指標セット・測定手法・公表基盤を整備してきました。本記事は、病院院長・医療の質管理室・医療安全管理者を主な読者として、QI・KPIの位置づけ、Donabedianモデルに沿った類型(構造/過程/結果)、病院機能評価とQI推進事業、院内QIダッシュボード設計、CQIサイクル、職員周知と評価連動、データ収集と電子カルテ連携、2024年前後の動向、FAQを、厚生労働省・日本医療機能評価機構・日本病院会・関連学会等の公開情報を整理した内容として提示します。

本記事は公的機関・専門団体の公開情報を整理した内容であり、特定のQI設計・KPI閾値設定・評価連動制度の有効性や、個別医療機関における病院機能評価の受審可否・認定結果を保証するものではありません。個別事例の判断は、厚生労働省・日本医療機能評価機構・日本病院会・所属学会・院内の医療の質管理室等にご確認ください。医療行為・診断・治療の助言は本記事では扱わず、病院運営・QIマネジメント・体制設計の観点のみを取り上げます。

この記事で分かること

  • QI・KPIの位置づけと医療の質評価の基本枠組み
  • Donabedianモデル(構造・過程・結果)に沿ったQI類型
  • 病院機能評価とQI推進事業(日本医療機能評価機構)の概要
  • 日本病院会QIプロジェクトなど複数枠組みの共通指標
  • 院内QIダッシュボードの設計と可視化の考え方
  • CQIサイクル(PDCA/SDCA)と改善プロジェクトの回し方
  • 職員周知の手法と人事評価連動の論点
  • データ収集・電子カルテ連携・2024年前後の動向

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1. QI・KPIの位置づけ(医療の質評価の基本枠組み)

医療の質指標(QI)は、病院が提供する医療のプロセスやアウトカムを定量的に把握し、経時的な比較・他施設との比較・改善活動への接続を可能にする測定単位です。厚生労働省は「医療の質の評価・公表等推進事業」を通じて、複数の医療関係団体が実施するQI測定・公表の取り組みを支援してきました。同事業では、参加病院団体がそれぞれ共通指標セットを定義し、結果を公表することで、国民に対する医療の質の透明化と、参加病院における自主的な質改善活動の推進が図られています(厚生労働省「医療の質の評価・公表等推進事業」関連資料)。

KPI(Key Performance Indicator)は、経営・運営上の重要業績評価指標を指す一般用語で、病院運営の文脈では医療の質QIに加え、病床稼働率・平均在院日数・救急応需率・外来単価・手術件数など経営指標を含めた総称として用いられることが多い概念です。QIが主に「医療の質」を対象とするのに対し、KPIは経営・運営全般を含むため、病院ダッシュボードでは「質KPI=QI」「経営KPI=収益・稼働・生産性」「体制KPI=職員配置・研修受講率」など、目的別に階層化して整理する運用が現実的です(日本医療機能評価機構「病院機能評価」関連資料、厚生労働省「医療の質の評価・公表等推進事業」関連資料)。

医療の質評価の理論的基盤としては、Avedis Donabedian が提唱した「構造(Structure)・過程(Process)・結果(Outcome)」の三分類が広く参照されています。構造指標は施設・人員・機器等の資源、過程指標は診療プロセス(予防投与実施率・スクリーニング実施率等)、結果指標は治療成績・合併症率・患者満足度等を対象とし、いずれか単独ではなく組み合わせて評価することが医療の質評価の基本的な設計です。日本国内のQI事業でもこの三分類を踏まえた指標設計が一般的で、公表事業では過程指標・結果指標を中心にセットが構築されています(日本医療機能評価機構「QI推進事業」関連資料)。

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2. 主要QI類型(構造・過程・結果)

Donabedianモデルに沿った三分類は、QI設計の共通言語として国内外で用いられています。構造指標は「必要な資源が整っているか」を、過程指標は「エビデンスに基づく診療プロセスが実施されているか」を、結果指標は「患者にとって望ましい結果が得られているか」を測定対象とします。国内のQI事業では、過程指標としてクリニカルパス実施率・術前抗菌薬投与のタイミング適合率・退院時サマリー期限内完成率など、結果指標として褥瘡発生率・転倒転落発生率・術後合併症率・入院患者満足度等が採用される例が広く知られています(日本医療機能評価機構「QI推進事業」関連資料、日本病院会「QIプロジェクト」関連資料)。

2-1. 構造指標の例

構造指標には、専門医・認定看護師等の資格保有者数、電子カルテ導入状況、感染制御チーム(ICT)・医療安全管理体制の整備状況、輸血療法委員会・褥瘡対策チーム等の組織横断的な体制の有無などが含まれます。構造指標は「基盤の整い方」を評価する性質のため、単独では医療の質を担保しませんが、過程・結果指標を安定的に達成するための前提条件として位置づけられます。病院機能評価の評価項目群にも、構造指標に相当する体制・組織・人員配置に関する評価項目が広く含まれています(日本医療機能評価機構「病院機能評価」関連資料)。

2-2. 過程指標の例

過程指標は、診療ガイドライン等のエビデンスに基づいた診療プロセスがどの程度実施されているかを測定する指標です。代表例として、急性心筋梗塞に対するアスピリン投与実施率、手術部位感染予防のための術前抗菌薬投与のタイミング適合率、糖尿病患者に対するHbA1c測定実施率、脳梗塞患者に対するリハビリテーション早期開始率、退院時サマリー期限内完成率などが挙げられます。過程指標は「実施したかどうか」を対象とするため、結果指標に比べて患者背景の交絡の影響を受けにくく、改善活動の直接的な評価指標として活用しやすい特徴があります(日本医療機能評価機構「QI推進事業」関連資料)。

2-3. 結果指標の例

結果指標は、患者にとっての実際の結果を測定する指標であり、院内発生褥瘡率、転倒転落発生率、手術部位感染発生率、中心ライン関連血流感染発生率、再入院率、患者満足度、職員満足度等が含まれます。結果指標は病院運営の最終的な質を反映する一方、患者背景・重症度・診療科構成等の交絡要因を受けるため、リスク調整や層別化なしに単純比較することは避け、経時的な自院内推移と、可能な範囲での同種病院との比較を組み合わせて解釈することが基本的な運用です(日本医療機能評価機構「QI推進事業」関連資料)。

2-4. 三分類の整理表

分類測定対象代表的指標例
構造(Structure)資源・体制・人員配置専門医数、電子カルテ導入、ICT設置
過程(Process)診療プロセスの実施状況術前抗菌薬タイミング、退院サマリー期限内率
結果(Outcome)患者への結果褥瘡発生率、転倒転落率、患者満足度

3. 病院機能評価とQI推進事業(日本医療機能評価機構)

公益財団法人日本医療機能評価機構は、病院医療の質の向上と信頼される医療の確保を目的として、「病院機能評価」および「QI(Quality Indicator)推進事業」を運営しています。病院機能評価は、第三者評価の枠組みとして、病院の組織運営・患者中心の医療・良質な医療の実践・理念達成に向けた組織的活動・良質な医療を構成する機能等を、評価項目群に沿って評価する仕組みです。QI推進事業は、参加病院がQIデータを機構に登録し、参加病院間のベンチマーク・自院の経時変化・全国平均との比較を実施できる仕組みとして構築されています(日本医療機能評価機構「病院機能評価」「QI推進事業」関連資料)。

3-1. 病院機能評価の位置づけ

病院機能評価は任意受審の第三者評価ですが、機能種別(一般病院1/一般病院2/リハビリテーション病院/慢性期病院/精神科病院等)ごとに評価項目群が整理されており、書面審査・訪問審査・自己評価を経て認定が行われます。受審を通じて、自院の組織運営・診療プロセス・患者サービス・医療安全・感染制御等の実践状況を体系的に点検する機会となり、指摘事項に対する改善活動そのものがCQI活動として機能します。認定は一定期間有効で、更新受審により継続的な改善サイクルに組み込まれる設計です(日本医療機能評価機構「病院機能評価」関連資料)。

3-2. QI推進事業の位置づけ

QI推進事業は、参加病院が共通指標セット(過程・結果指標を中心とする複数指標)について定義に沿ってデータを収集し、機構に登録することで、参加病院ベンチマーク値・自院経時推移・全国平均等の比較レポートが得られる仕組みです。参加病院は、自院の指標が全国分布のどこに位置するかを客観的に把握でき、改善対象指標の優先順位付けや、改善活動の効果測定に活用できます。厚生労働省「医療の質の評価・公表等推進事業」の枠組みでは、こうした複数団体のQI事業を横断的に位置づけ、参加病院の質評価活動を支援しています(厚生労働省「医療の質の評価・公表等推進事業」関連資料、日本医療機能評価機構「QI推進事業」関連資料)。

3-3. 日本病院会QIプロジェクト等の他事業

QI測定・公表事業は複数の病院団体が実施しており、日本病院会「QIプロジェクト」、全日本病院協会「医療の質の評価・公表推進事業」、国立病院機構「臨床評価指標」など、それぞれ独自の指標セット・レポート様式を持っています。指標定義・分子分母・除外条件は事業ごとに異なる場合があるため、複数事業に参加する病院では、事業ごとの定義書に沿ってデータ抽出ルールを整理することが実務上の基本になります(厚生労働省「医療の質の評価・公表等推進事業」関連資料)。

4. 院内QIダッシュボード設計

院内QIダッシュボードは、病院が測定するQI・KPIを一元的に可視化し、経営会議・診療部長会議・医療安全管理委員会・現場部署が同じ数値を見て議論するための共通基盤です。ダッシュボード設計の基本は、(1)閲覧者ごとの階層化(経営層向け/部門長向け/現場向け)、(2)指標カテゴリの整理(質QI/経営KPI/体制KPI)、(3)経時トレンドと比較値の併記、(4)閾値超過時のアラート、(5)指標定義書と算出ロジックのバージョン管理、の5要素で構成されます。表計算ソフト・BIツール・電子カルテベンダーのダッシュボード機能等、実装形態は病院ごとに異なりますが、指標定義書の一元管理が最も重要な基盤要素です(日本医療機能評価機構「QI推進事業」関連資料)。

4-1. ダッシュボード構成の考え方

経営層向けダッシュボードには、月次単位で追う経営KPI(病床稼働率・平均在院日数・救急応需率・診療単価)と、質QIのハイレベル集計(院内発生褥瘡率・転倒転落率・術部感染率・退院サマリー期限内率・患者満足度)を並列表示することが多い構成です。部門長向けには、当該部門の詳細指標(診療科別クリニカルパス実施率、外来診療科別待ち時間、病棟別褥瘡発生率)を表示し、現場向けには当日・当週の運用指標(当日の空床数、翌日退院予定数、翌週手術予定件数)を表示します。指標は多ければ多いほど良いわけではなく、意思決定・改善活動に直結する指標に絞ることが実務的です。

4-2. 指標定義書の整備

QI・KPIは「同じ名前でも定義が違えば別指標」となるため、指標定義書に分子・分母・除外条件・集計期間・データソース・算出者・承認者・バージョンを明記することが基本です。特にQI推進事業・日本病院会QIプロジェクト等の外部事業に参加する場合は、事業側の定義書に厳密に従うことが求められます。院内独自KPIも、部門横断で数値解釈が一致するよう、定義書を一元管理し、ダッシュボード上に定義書へのリンクを併記する運用が望ましい設計です(日本医療機能評価機構「QI推進事業」関連資料)。

5. CQIサイクル(継続的質改善)

CQI(Continuous Quality Improvement:継続的質改善)は、測定→改善→再測定のサイクルを継続的に回すことで、医療の質を徐々に向上させる考え方です。実務ではPDCA(Plan-Do-Check-Act)サイクル、あるいは達成した改善水準を維持するSDCA(Standardize-Do-Check-Act)サイクル、より小刻みな検証を行うPDSA(Plan-Do-Study-Act)サイクル等が用いられます。院内QIダッシュボードで指標を可視化するだけでは質改善は進まず、「指標が閾値を下回った」時に誰が担当となり、原因分析・改善プロジェクトを立ち上げ、効果測定を行うか、という運用ルールがCQIの実効性を決定します(日本医療機能評価機構「QI推進事業」関連資料)。

5-1. 改善プロジェクトの立ち上げ

改善プロジェクトは、QIダッシュボードで検出された課題指標を出発点として立ち上げることが基本です。プロジェクトチームには、指標担当部署の責任者、医療の質管理室、医療安全管理者、関連する診療科・コメディカル部門の代表者、必要に応じて事務部門を含め、期限・目標水準・改善手法・効果測定方法を明文化します。原因分析には特性要因図(フィッシュボーン)、5 Whys、パレート図等の質管理手法が用いられ、改善策の実装後は同じ指標定義で再測定して効果を確認することが基本サイクルです。

5-2. CQIサイクルの整理表

サイクル主眼典型的活用場面
PDCA計画的な改善活動全般年度目標・部門KPI管理
SDCA達成水準の標準化・維持クリニカルパス定着後の維持管理
PDSA小刻みな学習サイクル試験的介入・パイロット

6. 職員周知と評価連動

QI・KPIが院内で活用されるためには、指標が現場職員に周知され、日常業務との関連が理解されていることが前提となります。周知手段としては、月次のQIレポート発行、部門会議での定期共有、院内イントラでのダッシュボード公開、新入職員研修へのQI項目の組み込み、医療安全研修・感染制御研修等の既存研修とのリンク、といった多層的な取り組みが一般的です。指標の意味と改善活動への接続を職員が理解することで、初めて数値が「改善対象」として認識されます(日本医療機能評価機構「病院機能評価」関連資料)。

6-1. 部門・チームKPIと個人評価の関係

QIを人事評価に直接連動させる制度設計は、指標選定・重み付け・評価者・被評価者の理解を丁寧に設計しないと、指標のためのデータ操作や、特定部門へのしわ寄せを招く可能性があります。実務では、個人評価に直結させる代わりに、部門・チーム単位のKPI達成状況を年度目標管理制度に組み込み、部門長評価・チーム表彰・改善活動発表会等の仕組みで動機付けを設計する運用が広く見られます。人事制度との接続は、医療の質管理室・人事部門・労務担当が連携して設計することが基本になります。

6-2. 周知フォーマットの例

フォーマット対象頻度
院長月次QIレポート経営会議・診療部長会議月次
部門別QIレポート各診療科・病棟・部門月次〜四半期
院内イントラダッシュボード全職員常時
改善活動発表会全職員年次

7. データ収集・電子カルテ連携

QI・KPIの継続的測定には、データ収集の自動化・標準化が実務上の要となります。電子カルテ、部門システム(放射線・検査・薬剤・手術・看護記録)、DPCデータ、レセプトデータ、感染サーベイランス(JANIS等)等、複数のデータソースからの抽出・突合・集計が必要となる場合が多く、手作業依存の抽出はデータ品質・継続性の観点でリスクとなります。厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」や、電子カルテ標準規格の動向を踏まえたデータ設計が、QI基盤の中長期的な安定性を左右します(厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」関連資料、厚生労働省「JANIS(厚生労働省院内感染対策サーベイランス事業)」関連資料)。

7-1. データソースの整理

QIごとに主要なデータソースは異なり、たとえば手術部位感染関連は手術部門システム+感染サーベイランス+DPCデータ、退院サマリー期限内率は電子カルテのサマリー管理機能+事務系ワークフロー、患者満足度は入院・外来アンケートシステム、褥瘡発生率は看護記録・褥瘡管理表、といった複合的な組み合わせで抽出されます。指標定義書には、データソース・抽出タイミング・突合キー(患者ID・入院ID等)・整合性チェック手順を明記し、抽出担当者交代時にも同一手順で継続できる形式にすることが基本です。

7-2. 電子カルテ連携の実務論点

電子カルテからQIデータを継続抽出する場合、(1)ベンダー標準機能・カスタマイズ・データウェアハウス連携のいずれで実装するか、(2)バージョンアップ時の抽出ロジック互換性、(3)個人情報保護・アクセス権限、(4)データ抽出負荷と業務時間帯の影響、といった論点を整理する必要があります。医療情報部門・情報システム室・ベンダーと医療の質管理室が定期的にレビューする体制が、QIデータ基盤の継続的な整備を支えます(厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」関連資料)。

8. 2024年前後の動向(診療報酬改定・アウトカム評価)

令和6年度診療報酬改定を含む近年の改定動向では、医療の質・アウトカム評価に関する加算・評価項目の見直しが継続的に行われており、たとえば重症度・医療・看護必要度の評価、リハビリテーション実績指数、DPC制度における機能評価係数II等、質・実績を診療報酬に反映する仕組みが段階的に整備されてきました。病院機能評価・QI推進事業等の第三者評価と、診療報酬側のアウトカム評価は目的も測定手法も異なりますが、いずれも「医療の質を客観的に測定して可視化する」という共通の方向性を持つ動きとして整理できます(厚生労働省「令和6年度診療報酬改定について」関連資料)。

8-1. 改定情報の追跡先

情報源主な内容確認の位置づけ
厚生労働省 診療報酬改定ページ改定の概要・告示・通知確定情報の一次情報
中医協(中央社会保険医療協議会)資料改定論点・答申資料議論の方向性把握
日本医療機能評価機構病院機能評価・QI推進事業の運用情報第三者評価の枠組み確認
日本病院会・全日本病院協会QIプロジェクト等の指標情報参加事業の運用確認

9. よくある質問(FAQ)

Q1. QIとKPIはどう使い分ければよいですか?
A. 病院運営の一般的な用法では、QI(Quality Indicator)は医療の質を測定する指標、KPI(Key Performance Indicator)は経営・運営全般の重要業績評価指標として位置づけられます。院内ダッシュボードでは「質KPI(QI)」「経営KPI」「体制KPI」といった分類で階層化する運用が現実的で、経営会議・診療部長会議・医療安全管理委員会が同じ指標定義を共有する形が基本です。指標定義書のバージョン管理と、閲覧者階層に応じた表示範囲の整理が、実務での使い分けを支えます。
Q2. 病院機能評価とQI推進事業の関係はどうなっていますか?
A. いずれも公益財団法人日本医療機能評価機構が運営する事業ですが、病院機能評価は「組織運営・患者中心の医療・良質な医療の実践等を評価項目群で評価する第三者評価」、QI推進事業は「参加病院が共通指標セットを機構に登録し、ベンチマーク・経時変化・全国平均比較を得る仕組み」として、目的と手法が異なります。両事業を並行して活用することで、体制面の点検(機能評価)と数値面の点検(QI推進事業)を組み合わせた質改善サイクルを設計しやすくなります(日本医療機能評価機構「病院機能評価」「QI推進事業」関連資料)。
Q3. どのくらいの指標数から始めるのが現実的ですか?
A. 指標数は多いほど良いわけではなく、意思決定・改善活動に直結する指標に絞る運用が実務的です。初期段階では、経営KPI(病床稼働率・平均在院日数・救急応需率等)と、機構QI推進事業・日本病院会QIプロジェクト等の共通指標セットから、自院で継続測定可能なものを10〜20指標程度に絞って開始し、運用が定着した段階で段階的に拡張する運用が広く見られます。指標定義書の整備と、月次レポートの継続発行を先行させることが、拡張時の混乱を防ぐ基盤となります。
Q4. QIを人事評価にどのように連動させるべきですか?
A. QIを個人評価に直結させる制度設計は、指標選定・重み付け・評価者の理解を丁寧に設計しないと、指標のためのデータ操作や特定部門へのしわ寄せを招く可能性があります。実務では、部門・チーム単位のKPI達成状況を年度目標管理制度に組み込み、部門長評価・チーム表彰・改善活動発表会等の仕組みで動機付けを設計する運用が広く見られます。人事制度との接続は、医療の質管理室・人事部門・労務担当が連携して設計することが基本になります。
Q5. QIデータの抽出は電子カルテベンダー機能で対応可能ですか?
A. 電子カルテベンダーの標準機能・カスタマイズ・データウェアハウス連携のいずれで実装するかは、指標の複雑さ・データソースの数・院内IT体制によって異なります。単純な指標はベンダー標準機能で対応可能な場合がある一方、複数システムをまたぐ突合が必要な指標や、独自定義の指標はデータウェアハウス・BI連携が必要となる例が多く見られます。実装形態の選択は、医療情報部門・情報システム室・ベンダー・医療の質管理室が定期レビューする体制で決定することが基本です(厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」関連資料)。
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10. 出典・参考資料

  • 厚生労働省「医療の質の評価・公表等推進事業」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/iryou_hoken/index_00007.html (取得日:2026-08-21)
  • 厚生労働省「令和6年度診療報酬改定について」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188411_00037.html (取得日:2026-08-21)
  • 厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」 https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/0000516275.html (取得日:2026-08-21)
  • 厚生労働省「中央社会保険医療協議会(中医協)」 https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-chuo_128154.html (取得日:2026-08-21)
  • 厚生労働省「JANIS(厚生労働省院内感染対策サーベイランス事業)」 https://janis.mhlw.go.jp/ (取得日:2026-08-21)
  • 厚生労働省「DPC制度」関連資料 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000198757.html (取得日:2026-08-21)
  • 公益財団法人日本医療機能評価機構「病院機能評価」 https://www.jcqhc.or.jp/works/hospital (取得日:2026-08-21)
  • 公益財団法人日本医療機能評価機構「QI(Quality Indicator)推進事業」 https://www.jcqhc.or.jp/works/qi (取得日:2026-08-21)
  • 公益社団法人日本病院会「QIプロジェクト」 https://www.hospital.or.jp/ (取得日:2026-08-21)
  • 一般社団法人全日本病院協会「医療の質の評価・公表推進事業」 https://www.ajha.or.jp/ (取得日:2026-08-21)
  • 独立行政法人国立病院機構「臨床評価指標」 https://www.hosp.go.jp/ (取得日:2026-08-21)

【免責事項】本記事は厚生労働省告示・通知・関連事業資料、公益財団法人日本医療機能評価機構「病院機能評価」「QI推進事業」、日本病院会「QIプロジェクト」、全日本病院協会、国立病院機構等の公開情報を整理することを目的としており、特定のQI設計・KPI閾値設定・評価連動制度の有効性や、個別医療機関における病院機能評価の受審可否・認定結果を保証するものではありません。診療報酬改定や第三者評価事業の要件・運用は告示・通知の改訂や年度の見直しにより変動します。個別判断は厚生労働省・地方厚生(支)局・日本医療機能評価機構・日本病院会・所属学会・院内の医療の質管理室等にご確認ください。本記事は医療行為・診断・治療の助言を含みません。本記事の情報利用によって生じた損害について、mitoru編集部は責任を負いません。

最終更新日:2026年8月21日|編集方針

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