介護施設のオンライン面会システム導入 完全ガイド【2026年版・タブレット選定/通信環境/家族接続/感染対策】

📅公開日:2026-08-27

※本記事には広告(PR)が含まれます。mitoru編集部は公開情報を整理して比較・解説しており、表示順位や評価は広告主からの依頼ではなく編集部の独自判断によります。

本記事は、介護施設(特別養護老人ホーム・介護老人保健施設・介護付有料老人ホーム・グループホーム等)の施設長・生活相談員・事務担当者・ICT担当者を対象に、オンライン面会システムの導入と運用を、厚生労働省・総務省・国立感染症研究所・独立行政法人福祉医療機構など 公的機関の公開情報を整理した内容 です。医療行為・診断・治療の助言には踏み込みません。最終的な導入判断は、各施設の運営規程・感染対策委員会・所轄自治体(介護保険担当課)とご確認ください。

記載の制度・補助金・ガイドラインは2026年6月時点の公開情報に基づきます。年度改定が想定されるため、引用時は出典の最新版をご参照ください。

目次

  1. 介護施設におけるオンライン面会 ― 位置づけと制度背景
  2. 導入前に整理すべき前提条件(利用者層・回線・運用体制)
  3. タブレット・端末の選定ポイント
  4. 通信環境の設計(Wi-Fi・回線・セキュリティ)
  5. 利用アプリの比較観点(無料通話 vs 施設向け専用)
  6. 家族側の接続支援と事前案内
  7. 感染対策と面会運用ルールの整合
  8. 補助金・IT導入支援策の考え方
  9. FAQ
  10. 関連内部リンク・次のステップ

[PR]

介護タウン

[PR]

訪問看護経営ガイドも参考に

訪問看護システム比較を見る

記事を読む →

1. 介護施設におけるオンライン面会 ― 位置づけと制度背景

オンライン面会は、新型コロナウイルス感染症の流行下で、対面面会の制限を補う手段として広く介護施設に導入されました。厚生労働省が発出した「高齢者介護施設における感染対策」関連の事務連絡でも、面会制限の代替策としてオンライン面会(ビデオ通話)活用が例示され、家族との交流機会の維持が入所者のQOL・認知機能・精神状態に資する取り組みとして位置づけられています。

感染症法上の位置づけ変更後も、季節性インフルエンザ・ノロウイルス・レジオネラ等の集団感染リスクは残るため、平時から対面面会と併用可能なオンライン面会運用を継続する施設は多く見られます。厚生労働省の介護報酬改定議論でも、ICT活用による家族連携・介護記録連動・見守り機器連携は評価テーマとして継続的に取り上げられています。

オンライン面会の主な用途

  • 感染流行期の対面面会制限下での代替手段
  • 遠方在住家族・単身家族・海外在住家族との定期交流
  • 看取り期における家族参画の補完
  • ケアカンファレンス・サービス担当者会議への家族オンライン参加
  • 入所前の施設見学・現地面会が難しい場合の事前顔合わせ

2. 導入前に整理すべき前提条件

2-1. 利用者層の把握

入所者の年齢分布・要介護度・認知機能・視聴覚状態を棚卸しし、画面注視が可能な入所者数、介助が必要な入所者数を把握します。要介護度が高い入所者中心の施設では、職員による全介助前提の運営設計になり、1回あたりの所要時間・介助職員配置数が変わります。

2-2. 家族側の環境把握

家族側の端末保有状況(スマートフォン・タブレット・PC)、通信環境、アプリ利用習熟度は世代差が大きく、事前アンケートで把握しておくと接続当日のトラブル削減につながります。高齢配偶者・遠方きょうだいがITに不慣れな場合は、施設側でシンプルな接続手順を紙面で提供する運用が現実的です。

2-3. 運用体制

予約受付窓口(生活相談員・事務員)、当日介助者(介護職員)、機器管理者(ICT担当)の3役割を明確化します。予約枠・所要時間・上限回数・キャンセル対応・機器不調時の代替対応をあらかじめルール化しておくと、家族との齟齬が生じにくくなります。

3. タブレット・端末の選定ポイント

介護施設のオンライン面会用端末は、家庭用スマートフォンとは求められる要件が異なります。以下の観点で比較検討します。

観点推奨要件補足
画面サイズ10〜13インチ視力低下者に配慮・スタンド前提
スピーカー音量難聴者にも聞き取れる音量外付けスピーカー併用も検討
カメラ広角・オートフォーカスベッド上・車椅子いずれにも対応
OSiPadOS または Androidアプリ互換性・アップデート方針
バッテリ連続通話4時間以上1日複数枠運用時に有利
付属品スタンド・ケース・消毒対応入所者間共用時の衛生対策
MDMアプリ制限機能誤操作・不要アプリ購入防止

複数入所者で同一端末を共用する場合、消毒可能なケースへの装着、電源・LANケーブルの取り回し、床頭台またはワゴンへの固定方法まで含めて検討します。台数は「同時開催枠数+予備1台」を目安に、施設規模と面会想定件数から逆算します。

3-1. 画面・音声の可読性

加齢に伴う視力低下・難聴は個人差が大きく、10インチ以下の画面では家族の表情が判別しにくいと感じる入所者が一定数出ます。導入前に、候補端末を実際に居室・食堂で試用し、視聴覚状態が中等度の入所者数名を対象に、聞き取りやすさ・見やすさをフィードバック取得しておくと選定精度が上がります。イヤホン・骨伝導ヘッドセットを併用する場合は、感染対策上の共用可否・消毒手順もあわせて整理します。

3-2. 端末管理(MDM/EMM)

共用端末では、面会アプリ以外の利用制限、アプリの自動更新制御、位置情報・カメラ権限の一元設定、紛失時のリモートロックを一括管理できるMDM(モバイルデバイス管理)の導入検討が現実的です。無料枠のMDMサービスもあり、施設規模が10台程度までなら初期費用を抑えて開始できます。台数が増える段階で、法人単位で契約する介護記録ソフトのオプション、または独立系MDMサービスへの切り替えを検討します。

4. 通信環境の設計

4-1. 回線の選択

施設全体の光回線+Wi-Fi構築、面会エリア専用のモバイルルータ、キャリア回線(SIM内蔵タブレット)の3方式が主な選択肢です。介護記録システム・見守り機器・事務系ネットワークが同一回線を共用する場合、ビデオ通話の帯域負荷が業務系に影響を及ぼさないよう、SSID分離・VLAN・優先制御の検討が現実的です。

4-2. Wi-Fiカバレッジ

居室・多床室・食堂・談話室・看取り室など、面会を行いうる場所すべてで安定した接続が得られるかを実測します。鉄筋コンクリート造・防火扉が多い介護施設ではWi-Fi電波が届きにくい区画が生じやすく、無線APの追加設置・メッシュWi-Fi導入・LANケーブル敷設で解消します。

4-3. セキュリティ

介護記録・利用者情報を扱う業務ネットワークと、面会・来訪者用ネットワークは分離するのが基本設計です。総務省が公表している「テレワークセキュリティガイドライン」や、厚生労働省の「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」を参考に、パスワード管理・端末紛失時の遠隔ワイプ・不要アプリ制御・OSアップデート計画を整備します。

4-4. 帯域設計の目安

1本あたりのビデオ通話帯域は、画質・音質・アプリの実装により変動しますが、一般的にHD画質で片方向1〜3Mbps程度を見込む例が多く見られます。同時に複数枠を並行運用する施設では、上り帯域が不足しがちなためピーク時間帯(面会が集中する週末昼〜夕)で回線速度を実測し、必要に応じて上り重視の回線プランに変更します。無線APは面会エリア専用SSIDに切り分け、業務系SSIDと帯域を競合させない設計が実務的です。

5. 利用アプリの比較観点

アプリは大きく「汎用ビデオ通話アプリ」と「介護施設向け専用サービス」に分かれます。それぞれの特徴と留意点は次のとおりです。

区分主な特徴留意点
汎用ビデオ通話(無料含む)導入コスト低・家族側が既に利用中アカウント管理・誤発信・広告表示
Web会議系サービス予約URL発行・録画・待機室家族側のログイン負担・利用規約
介護施設向け専用予約管理・家族登録制・シンプルUI月額費用・機能拡張性

選定時は、家族側の利便性(アカウント作成の要否・操作習熟)、施設側の運用負荷(予約管理・機器操作・記録)、費用(初期・月額・端末台数課金の有無)、プライバシー(録画・データ保存場所・第三者アクセス制限)の4観点をあらかじめ比較表に整理してから判断すると齟齬が減ります。契約前には、無料トライアル期間・データ保管の国内外区分・退会時のデータ削除方針・ヘルプデスクの対応時間帯を書面で確認し、施設の情報管理規程と照合しておくと後戻りを避けられます。

5-1. 予約管理の一元化

複数フロア・複数端末で運用する規模になると、電話・メール・紙台帳による予約管理は破綻しやすくなります。予約枠のWeb公開、家族側からのセルフ予約、リマインダー送信、キャンセル・振替対応を一元的に扱える仕組みは、専用サービス選定の主要な判断材料です。既存の介護記録ソフトに連携可能な場合は、家族情報の二重管理を避けられます。

6. 家族側の接続支援と事前案内

家族の接続失敗はほぼすべて事前案内の不足に起因します。施設側で以下の資料を紙・PDFで提供すると、当日のトラブルコールが減ります。

  • アプリ名・インストール手順(スマホ/PC別)
  • 予約方法・キャンセル方法・変更手続
  • 面会当日の入室手順・接続テストの案内
  • 音が出ない・映らない場合のセルフチェック手順
  • 通信料の目安(家庭Wi-Fi推奨・モバイル回線時の注意)
  • 施設側の窓口電話番号・受付時間

初回接続時は5〜10分前倒しで接続テスト時間を設ける運用が実務的です。家族側のシニア世代には、電話越しに施設職員が並走して手順を案内すると挫折を防げます。

6-1. 面会中の会話促進

入所者と家族の会話がスムーズに進まない場面では、事前に近況写真・生活記録・行事写真を職員が用意して画面越しに提示すると、話題のきっかけになります。認知機能の低下がある入所者では、短時間・複数回に分けた面会(10〜15分×週1〜2回など)が疲労を避けつつ交流を維持しやすく、家族への案内資料にもモデルスケジュール例を明示しておくと理解が進みます。

7. 感染対策と面会運用ルールの整合

オンライン面会は非接触ですが、共用端末の衛生管理・介助職員の手指衛生・使用場所の換気は感染対策上の論点として残ります。国立感染症研究所や厚生労働省が公開している高齢者施設の感染対策マニュアル・手引きを参考に、以下の観点を運用ルール化します。

  • 端末・スタンド・付属ケーブルの消毒手順(材質適合の確認)
  • 面会前後の換気時間・使用場所の割り当て
  • 飛沫が付着しやすい画面・マイク部の清拭頻度
  • 職員の手指衛生・PPE運用との整合
  • 入所者ごとのイヤホン・ヘッドセット共用可否

対面面会が制限される感染流行期には、オンライン面会枠を拡大しつつ、施設内クラスター発生時の運用停止条件(職員陽性・利用者陽性の閾値等)も事前に定めておくと現場判断が安定します。

7-1. 消毒手順の実装

タブレット本体は画面・背面・側面のボタン周りを、メーカーが推奨する範囲でアルコールまたは次亜塩素酸系溶液の含浸クロスで清拭します。ケース・スタンド・LANケーブル・電源アダプタも同時に清拭対象に含め、面会1件終了ごとに実施する運用が実務的です。清拭記録の残し方(チェックシート・ICT記録)は施設内の感染対策マニュアルと整合させます。

7-2. 面会場所ごとの運用

個室で行う場合は換気時間を短縮しやすく、同時他者との交差を避けられる利点があります。多床室で行う場合は同室他入所者への配慮(音量・カーテン仕切り・時間帯)が必要です。談話室・面会室で複数枠を並行運用する場合は、席間隔・アクリルパーテーション・換気条件を運営規程で明示し、面会予約時に家族へ案内します。

8. 補助金・IT導入支援策の考え方

介護施設のICT導入を支援する制度は、都道府県の地域医療介護総合確保基金を財源とする「介護ロボット・ICT導入支援事業」が代表例で、対象・補助率・上限額は都道府県により異なります。オンライン面会用タブレット単体は対象外の場合があるため、介護記録ソフト・見守り機器・タブレットとのパッケージ導入として申請する事例が見られます。

あわせて、中小企業庁のIT導入補助金、厚生労働省の業務改善助成金など、事業者規模・目的に応じた別枠の制度もあります。募集時期・申請書類・実績報告・返還条件が制度ごとに異なるため、所在自治体の介護保険担当課・国民健康保険団体連合会の情報を最新版で確認します。

9. FAQ

Q1. タブレットは1台からでも始められますか?
試行段階では1台での運用も可能です。ただし、故障・充電切れ時の代替機がないと当日キャンセルにつながるため、本格運用に移る段階で予備1台を含めた台数計画に切り替える施設が多く見られます。
Q2. 家族が高齢でスマホを持っていない場合はどうしますか?
近隣家族の同席・地域包括支援センター・自治体の高齢者向けデジタル支援窓口の案内、または対面面会枠での対応など、家族の実情に応じた選択肢を提示することが現実的です。オンライン面会に一律移行するのではなく、対面と併用する運用が広く採用されています。
Q3. 面会の録画は行ってもよいですか?
録画の可否は、利用者・家族双方の同意と、施設の個人情報保護方針・運営規程で明文化することが前提です。看取り期の記念記録として家族から要望される場合もあるため、あらかじめ同意書テンプレートを整備しておくと運用が安定します。
Q4. 通信費はどの程度見込めばよいですか?
施設全体の光回線・Wi-Fi環境と共用する場合、面会用途単独での増額は限定的です。SIM内蔵タブレットで面会専用回線を持つ場合は、月あたり通信容量と通話時間の実績から見積もります。実運用開始後3か月時点で見直すサイクルが実務的です。
Q5. 導入後の職員教育はどう進めればよいですか?
機器操作マニュアル・接続手順書・トラブル対応フローチャートを1セットにまとめ、初任者研修・年次研修に組み込みます。ICT担当を軸に、フロア毎の運用担当を配置し、月次で運用課題を共有する場を設けている施設が見られます。

10. 関連内部リンク・次のステップ

本記事と関連する、mitoru内の解説記事も参考にしてください。

次のステップ

  • 入所者・家族の環境調査アンケートを実施し、需要と障壁を可視化する
  • タブレット・アプリ候補を2〜3案リストアップし、比較表を作成する
  • 所在都道府県の介護ロボット・ICT導入支援事業の公募要領を確認する
  • 感染対策委員会と連携し、共用端末の衛生管理手順を運用マニュアルに追記する

出典

[PR]

[PR]

介護タウン

[editorial-disclosure]

関連記事(mitoru編集部おすすめ)

mitoru編集部の見解

訪問看護ステーションの開業・運営は、看護師人員確保と地域医療機関との連携体制が成功要因です。mitoru編集部は、開業前の事業計画段階で、地域包括ケアシステムにおける位置づけを保健所・地域包括支援センターへヒアリングすることを推奨します。

医師求人看護師求人比較記事