介護BCP(業務継続計画)義務化対応完全ガイド【2026年版・感染症/自然災害/未策定の減算】

📅公開日:2026-05-28
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2024年度(令和6年度)介護報酬改定をもって、全ての介護サービス事業者に対する業務継続計画(BCP)の策定・研修・訓練が完全義務化されました。経過措置期間が終了し、2024年4月以降は未策定の場合に減算(業務継続計画未策定減算)が適用されています。本記事では、厚生労働省「介護施設・事業所における業務継続ガイドライン」やひな形等の公開情報を整理し、感染症BCP・自然災害BCPに盛り込むべき項目、研修・訓練の実施義務、未策定減算の取扱い、自己解析チェックリストまでを一貫して解説します。医療行為・診断・治療の助言は取り扱わず、制度概要と運用・ツール比較の観点のみを対象とします。

この記事でわかること

  • 介護BCPが義務化された背景と、2024年度以降の取扱い(経過措置終了)
  • 業務継続計画未策定減算の対象・減算率・適用開始時期
  • 感染症BCPに盛り込むべき項目(厚労省ガイドラインベース)
  • 自然災害BCPに盛り込むべき項目と地域リスクの反映方法
  • 研修・訓練(シミュレーション)の実施頻度の目安
  • 厚労省ひな形・動画研修教材の活用方法
  • BCP策定支援ツール・コンサルを使うかどうかの判断観点
  • 自己解析チェックリスト10項目・外部支援が不要なケース・FAQ

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1. 介護BCPの義務化の背景と2024年度以降の取扱

BCP(Business Continuity Plan=業務継続計画)とは、感染症や大規模災害といった緊急事態が発生しても、重要な業務をできるだけ中断させず、中断した場合でも可能な限り短時間で再開させるために、平時から準備する計画のことです。介護分野では、新型コロナウイルス感染症の流行を契機に、利用者の生命・健康を守るための備えとして急速に重要性が認識されました。

1-1. 2021年度改定で義務化、2024年度から完全適用

介護分野でのBCP策定義務は、2021年度(令和3年度)介護報酬改定で運営基準に位置づけられました。このとき、全ての介護サービス事業者に対し「業務継続に向けた取組の強化」として、感染症および非常災害(自然災害)に係るBCPの策定、当該計画に基づく研修・訓練の実施が義務付けられました。ただし、事業者の準備期間を確保するため、2021年4月から2024年3月までの3年間が経過措置期間とされ、この間は努力義務として扱われていました(出典:厚生労働省「令和3年度介護報酬改定における主な改定内容」)。

2024年度(令和6年度)介護報酬改定により、この経過措置期間が終了しました。2024年4月1日以降は、感染症・自然災害の両方についてBCPを策定し、研修・訓練を実施していることが運営基準上の義務となり、未実施の場合は減算の対象となります(出典:厚生労働省「令和6年度介護報酬改定の概要」2024年1月)。

1-2. 義務の対象となる事業者の範囲

BCP策定義務は、介護保険サービスを提供する全ての事業者が対象です。入所系(特別養護老人ホーム・介護老人保健施設等)、通所系(デイサービス・デイケア等)、訪問系(訪問介護・訪問看護等)、居宅介護支援、特定施設・地域密着型サービスまで、サービス種別を問わず対象となります。事業所の規模の大小にかかわらず策定義務が課される点が特徴です。

区分主なサービス例BCP策定義務
施設・入所系特養・老健・介護医療院・特定施設・グループホーム義務(感染症・自然災害)
通所系通所介護・通所リハ・地域密着型通所介護義務(感染症・自然災害)
訪問系訪問介護・訪問看護・訪問入浴・訪問リハ義務(感染症・自然災害)
居宅介護支援居宅介護支援事業所(ケアマネ)義務(感染症・自然災害)
多機能型小規模多機能・看護小規模多機能義務(感染症・自然災害)

感染症BCPと自然災害BCPは別々の計画として整備することが基本ですが、両者を1つの文書にまとめて章立てで構成しても差し支えありません。重要なのは、両方のリスクについて必要な項目が網羅されていることです。

2. BCP未策定による減算(業務継続計画未策定減算)

2024年度改定で新設されたのが「業務継続計画未策定減算」です。これは、BCPの未策定や研修・訓練の未実施といった、業務継続に向けた取組が運営基準を満たしていない場合に適用される減算です(出典:厚生労働省「令和6年度介護報酬改定における改定事項について」2024年1月)。

2-1. 減算率と適用区分

減算率はサービス種別によって異なります。所定単位数に対して、施設系・居住系サービスは所定単位数の3%、その他のサービス(通所・訪問・居宅介護支援等)は所定単位数の1%が減算されるのが基本的な枠組みです。下表は公開資料をもとに整理した概要であり、最新の正確な区分・率は厚生労働省の告示・通知で確認してください。

サービス区分減算率(所定単位数に対して)備考
施設・居住系サービス3%減算特養・老健・介護医療院・特定施設等
その他のサービス1%減算通所・訪問・居宅介護支援・多機能型等

減算は、感染症BCPまたは自然災害BCPのいずれかでも未策定・要件未充足の状態にある場合に対象となり得ます。両方を整備し、研修・訓練まで実施して初めて減算を回避できる、という考え方を前提に準備を進めることが安全です。

2-2. 経過措置(一定要件を満たす場合の猶予)

業務継続計画未策定減算については、改定時に一定の経過措置が設けられました。具体的には、感染症の予防・まん延防止のための指針の整備および非常災害対策(消防計画等)を行っている場合には、訪問系・通所系・福祉用具・居宅介護支援等の一部サービスにおいて、減算の適用が一定期間猶予される取扱いが示されました。猶予の対象範囲・期間はサービス種別ごとに異なるため、自事業所が猶予対象に該当するかは保険者(市区町村)または都道府県の担当課で確認することを推奨します(出典:厚生労働省「令和6年度介護報酬改定に関するQ&A」)。

ただし、経過措置はあくまで一時的な猶予であり、最終的にはBCPの策定・研修・訓練が必須となる方向です。猶予期間に依存して準備を先送りするのではなく、この期間を活用して計画整備と訓練を完了させておくことが、減算回避と事業所の備えの両面で合理的です。

2-3. 実地指導・運営指導での確認ポイント

保険者による運営指導(旧・実地指導)では、BCPの整備状況が確認項目に含まれるようになっています。確認されやすいのは「計画文書が現に存在するか」「内容が事業所の実情に即しているか」「研修・訓練を実施した記録があるか」の3点です。計画を作っただけで研修・訓練の記録がない場合は、要件未充足と判断され得るため注意が必要です。研修・訓練の実施日・参加者・内容を記録として残しておくことが重要です。

3. 感染症BCPに盛り込む項目

感染症BCPは、新型インフルエンザ等や新型コロナウイルス感染症のような感染症が事業所内・地域で発生・まん延した場合に、職員の感染や出勤困難が生じても、利用者へのサービス提供を継続するための計画です。厚生労働省の「介護施設・事業所における新型コロナウイルス感染症発生時の業務継続ガイドライン」が、項目立ての基準として広く参照されています(出典:厚生労働省「介護施設・事業所における業務継続ガイドライン」)。

3-1. 平時からの備え(準備期)

項目盛り込む内容の例
体制構築・整備感染対策の総括責任者・担当者の指定、意思決定者の明確化
感染防止に向けた取組手指衛生・換気・ゾーニングの考え方、職員の健康管理ルール
防護具・消毒液等の備蓄マスク・手袋・ガウン・消毒液の備蓄量と保管場所、補充ルール
研修・訓練の実施感染対策研修・発生時シミュレーション訓練の年間計画
BCPの検証・見直し定期的な計画の点検・更新の手順

3-2. 初動対応(発生時)

項目盛り込む内容の例
第一報・情報共有感染者・濃厚接触者発生時の報告ルート、保健所・自治体への連絡
感染拡大防止消毒の実施、生活空間・職員のゾーニング、面会・行事の制限
医療機関・保健所との連携連絡先一覧、相談・受診の判断手順、協力医療機関との取り決め
関係者への情報提供家族・ケアマネ・委託業者等への連絡基準と方法

3-3. 業務継続(まん延期)

感染症のまん延期に特に重要なのが「職員が確保できない状況での業務継続」です。職員の感染・濃厚接触による出勤停止が重なると、通常の人員体制を維持できなくなります。そのため、優先して継続すべき業務(食事・排泄・服薬・医療的ケア等)の絞り込み、応援職員の確保ルート、勤務シフトの組み替え方針をあらかじめ定めておくことが求められます。下表は継続業務の優先順位づけの考え方の例です。

優先度業務の例方針
最優先(継続)食事・水分・排泄・服薬・医療的ケア人員が減っても継続。応援職員を優先投入
縮小入浴・リハビリ・レクリエーション頻度・時間を縮小して対応
一時休止行事・外出支援・面会状況に応じて一時的に休止

4. 自然災害BCPに盛り込む項目

自然災害BCPは、地震・水害・土砂災害・大雪などの自然災害によって事業所の建物・ライフライン・人員に被害が生じても、利用者の安全を確保しサービスを継続するための計画です。厚生労働省は「自然災害発生時の業務継続ガイドライン」とひな形を公開しており、これを土台に自事業所の立地・建物に合わせて作成するのが効率的です(出典:厚生労働省「介護施設・事業所における自然災害発生時の業務継続ガイドライン」)。

業務フロー

4-1. 平常時の対応(事前対策)

項目盛り込む内容の例
体制構築・整備災害対策の責任者・役割分担、安否確認の担当者
リスクの把握ハザードマップによる浸水・土砂・地震リスクの確認、建物の耐震性
優先業務の選定災害時に優先して継続・復旧する業務の事前整理
備蓄品の確保飲料水・食料・衛生用品等の生活物資、自家発電機・燃料の備蓄
連携体制の構築自治体・地域・他事業所・協力業者との応援・受援の取り決め

4-2. 緊急時の対応(発災直後)

発災直後は、利用者・職員の安全確保が最優先です。BCPには、避難の判断基準と避難経路、安否確認の方法(職員・利用者・家族)、被害状況の把握と本部設置の手順を具体的に記載します。停電・断水・通信途絶を想定し、連絡が取れない場合の代替手段(無線・伝令・集合場所)も定めておくことが重要です。

項目盛り込む内容の例
安否確認利用者・職員・家族への安否確認の方法と連絡網
避難・誘導避難判断基準、避難経路・避難先、要介護者の移送手段
被害状況の把握建物・設備・ライフラインの点検、本部設置
情報発信自治体・家族・関係機関への被害報告と支援要請

4-3. 復旧・事業再開

被害が一定程度収まった後は、ライフラインの復旧状況に応じて優先業務から段階的に通常運営へ戻していきます。BCPには、事業再開の判断基準、利用者・家族・ケアマネへの再開連絡、職員の勤務復帰計画、被災した設備の復旧手順を記載します。水害・土砂災害が想定される立地では、垂直避難(上階への移動)や事前の利用者送り出しといった、立地特性に応じた具体策を盛り込むことが実効性を高めます。

5. 研修・訓練の実施義務(年2回等)

BCPは策定して終わりではなく、計画に基づく研修と訓練(シミュレーション)の実施が運営基準上の義務に含まれます。実施頻度はサービス種別によって考え方が異なり、特に施設系では感染症対策に関して年2回以上の研修・訓練が求められるなど、頻度の目安が示されています。最新の頻度要件は厚生労働省の通知・解釈通知で確認してください(出典:厚生労働省「介護施設・事業所における業務継続ガイドライン」)。

5-1. 研修と訓練の違い

区分内容実施形態の例
研修BCPの内容・役割分担・対応手順を職員に周知し理解を深める座学・勉強会・厚労省の研修動画の視聴
訓練(シミュレーション)計画に沿って実際に体を動かし、手順の実効性を検証する安否確認訓練・避難訓練・感染発生時の机上訓練

5-2. 実施頻度の目安

頻度の考え方の例として、施設系・入所系では感染症および自然災害それぞれについて研修・訓練を計画的に実施することが求められ、感染症対策では年2回以上の実施が目安とされる場面があります。通所系・訪問系等のその他サービスでも、計画に基づく研修・訓練の定期的な実施が必要です。具体的な回数・要件はサービス種別と関連通知により異なるため、自事業所のサービス種別ごとに確認することが重要です。下表は計画づくりの整理用の例示です。

対象研修訓練記録
感染症BCP年間計画で定期実施(施設系は年2回以上が目安)発生時を想定した机上・実地訓練実施日・参加者・内容を記録保管
自然災害BCP年間計画で定期実施安否確認・避難訓練等実施日・参加者・内容を記録保管

研修・訓練は、既存の防災訓練や感染対策委員会の活動と一体的に行うことで、職員の負担を抑えながら実施できます。新規採用者には入職時に内容を周知し、年度の研修計画に組み込んでおくと、運営指導での説明もしやすくなります。

6. 厚労省ひな形の活用方法

BCPをゼロから自作する必要はありません。厚生労働省は、感染症・自然災害それぞれについてガイドラインと、そのまま記入して使えるひな形(雛形・様式)、解説動画、研修教材を公開しています。これらは無料で利用でき、項目立てが運営基準・ガイドラインに沿っているため、まずはひな形を土台にすることが効率的かつ安全です(出典:厚生労働省「介護施設・事業所における業務継続計画(BCP)作成支援に関する資料・動画」)。

6-1. ひな形活用の基本ステップ

ステップ内容
①ガイドライン・動画で全体像を把握感染症編・自然災害編の解説資料と研修動画で考え方を理解
②ひな形をダウンロードサービス種別(入所系・通所系・訪問系)に応じた様式を取得
③自事業所の情報を記入体制・連絡先・備蓄・優先業務・避難経路を実情に合わせて記載
④地域リスクを反映ハザードマップ・自治体の防災情報を確認し立地に応じて調整
⑤研修・訓練計画を組み込む年間の研修・訓練スケジュールを計画内に明記
⑥定期的に見直す訓練結果・制度改定・人事異動を踏まえて更新

6-2. ひな形を「自事業所仕様」にする際の注意点

ひな形をそのまま提出しても、空欄や汎用記述が多いままでは「事業所の実情に即していない」と判断されるおそれがあります。特に重要なのは、実際の連絡先・担当者名・備蓄量・避難経路・協力医療機関といった「自事業所固有の情報」を具体的に埋めることです。ひな形は枠組みを提供するものであり、中身を自事業所に合わせて記入してこそ実効性のある計画になります。

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7. BCP策定支援ツール・コンサルの活用観点

厚労省のひな形を使えば外部支援なしでもBCPは策定できますが、人手が不足している事業所や複数拠点を運営する法人では、策定支援ツールやコンサルティングの活用が選択肢になります。導入を検討する際は「何を委ねたいのか」を明確にすることが重要です。以下は公開情報をもとに整理した、支援サービスの種類と判断観点です。料金・内容は提供元の公式情報で確認してください。

支援の種類主な内容向いているケース
クラウド型BCP作成ツールガイドラインに沿った入力フォームで計画を作成・更新・管理自作はしたいが、様式管理・更新を効率化したい
研修・訓練支援サービスe-ラーニング・訓練シナリオ・記録テンプレートの提供研修・訓練の運用と記録を仕組み化したい
コンサルティング(士業・専門会社)ヒアリングに基づく計画策定・訓練設計・運営指導対策多拠点・大規模で、計画の質と整合性を専門家に委ねたい
業界団体・自治体の無料支援説明会・相談窓口・ひな形配布コストをかけず公的な情報源で進めたい

判断の基本は「公的なひな形・無料支援で完結できないか」を先に検討することです。単一事業所で職員に余力がある場合は、厚労省ひな形と動画研修で十分対応できるケースが多くあります。一方、拠点数が多い・更新管理が煩雑・運営指導で具体性を求められたといった事情がある場合に、ツールやコンサルの費用対効果が高まります。導入時は「契約後も自事業所で更新・運用できる形か」を確認することが、形骸化を防ぐポイントです。

8. 自己解析チェックリスト(10項目)

自事業所のBCP整備状況を点検するためのチェックリストです。下表の10項目を確認し、未対応の項目から優先的に着手してください。すべてに「済」がつけば、減算回避と実効的な備えの両面で基本要件を満たしている状態の目安となります。

チェックリスト
No.確認項目チェック
1感染症BCPを策定し、文書として保管している
2自然災害BCPを策定し、文書として保管している
3ハザードマップ等で立地のリスクを確認し計画に反映した
4緊急時の責任者・役割分担・連絡網が明記されている
5優先して継続する業務の範囲を整理している
6防護具・備蓄品の種類・量・保管場所を定めている
7計画に基づく研修を実施し、記録を残している
8計画に基づく訓練(シミュレーション)を実施し記録を残している
9自治体・保健所・協力医療機関等の連携体制を整理している
10計画を定期的に見直す手順・時期を決めている

このうち、項目7・8の「研修・訓練の実施と記録」は見落とされやすい一方で、運営指導で重点的に確認されるポイントです。計画文書はあっても記録がない、という状態にならないよう、実施のたびに日付・参加者・内容を残す運用を定着させてください。

9. 外部支援が不要なケース

すべての事業所が支援ツールやコンサルを必要とするわけではありません。以下のような条件に当てはまる場合は、厚労省の公開資料だけで十分に対応できることが多く、追加のコストをかけずにBCPを整備・運用できます。

  • 単一拠点で、計画作成・更新を担える職員(管理者・担当者)に一定の余力がある
  • 厚労省のひな形・解説動画を読み込んで自事業所の情報を埋める時間が確保できる
  • 既存の防災訓練・感染対策委員会があり、研修・訓練を一体的に運用できる
  • 自治体・地域の説明会や相談窓口を活用できる
  • 計画の更新サイクル(年1回等)を事業所内で回せる体制がある

逆に、多拠点運営で様式・記録の統一管理が負担になっている、担当者が他業務と兼務で時間を確保しにくい、といった事情がある場合に、ツールや外部支援の検討価値が高まります。まずは無料の公的資料で着手し、運用してみて負担が大きい部分だけを外部に切り出す、という段階的な判断が無駄のない進め方です。

10. よくある質問(FAQ)

Q1. BCP未策定減算はいつから始まりましたか?
2024年度(令和6年度)介護報酬改定で新設され、2024年4月以降の取扱いとして適用されています。2021年度改定で義務化された際の3年間の経過措置(2021年4月~2024年3月)が終了したことに伴うものです。ただし、一定要件を満たす一部サービスには減算適用の猶予が示されているため、自事業所の取扱いは保険者・都道府県に確認してください。
Q2. 感染症BCPと自然災害BCPは1つの文書にまとめてよいですか?
必要な項目が両方とも網羅されていれば、1つの文書に章立てでまとめても差し支えありません。ただし、感染症と自然災害では想定するリスク・対応が異なるため、それぞれの項目が混在せず明確に整理されていることが重要です。厚労省のひな形は感染症編・自然災害編が分かれているため、それぞれを土台に作成すると漏れを防げます。
Q3. 計画を作っただけで研修・訓練をしていない場合も減算対象ですか?
研修・訓練の実施は運営基準上の要件に含まれるため、計画文書があっても研修・訓練が未実施・記録なしの場合は要件未充足と判断され得ます。計画策定と研修・訓練の実施・記録までを一連の取組として整えることが、減算回避の前提です。
Q4. 研修・訓練は具体的に年何回必要ですか?
サービス種別によって考え方が異なります。施設系・入所系では感染症対策について年2回以上が目安とされる場面があり、自然災害についても計画的な実施が求められます。通所系・訪問系等でも計画に基づく定期実施が必要です。正確な回数・要件は厚生労働省の通知・解釈通知で、自事業所のサービス種別ごとに確認してください。
Q5. 小規模な訪問介護事業所でもBCPは必要ですか?
必要です。BCP策定義務は事業所の規模を問わず全ての介護サービス事業者が対象です。小規模事業所こそ、職員数が少ないため緊急時に業務が立ち行かなくなるリスクが高く、優先業務の絞り込みや応援体制の取り決めを事前に定めておく意義が大きいといえます。厚労省のひな形を活用すれば、小規模でも無理なく策定できます。
Q6. BCPはどのくらいの頻度で見直せばよいですか?
明確な回数の定めにとらわれず、少なくとも年1回程度の定期見直しに加え、訓練で見つかった課題・人事異動・制度改定・建物や連絡先の変更があったタイミングで随時更新することが推奨されます。計画は「作って終わり」ではなく、訓練と見直しのサイクルを回して実効性を高めていくものです。
Q7. 費用をかけずにBCPを策定する方法はありますか?
あります。厚生労働省が感染症・自然災害それぞれのガイドライン、記入式のひな形、解説動画、研修教材を無料で公開しています。これらを使えば外部支援を依頼せずに策定・研修まで対応できます。自治体や業界団体が開催する無料の説明会・相談窓口も活用できます。まずは公的な無料資料で着手することが、コストを抑える基本です。

11. まとめ——減算回避と実効的な備えを両立する

介護BCPは2024年度から完全義務化され、未策定・研修訓練未実施の場合は業務継続計画未策定減算の対象となります。一方で、BCPは減算回避のためだけのものではなく、感染症や災害が起きても利用者の生命・健康を守り、サービスを継続するための実務上の備えです。厚生労働省のひな形・動画・研修教材を活用すれば、費用をかけずに策定・研修・訓練まで一通り整えられます。まずは本記事の自己解析チェックリスト10項目で現状を点検し、未対応の項目から着手してください。最新の減算率・要件・経過措置の詳細は、厚生労働省および保険者・都道府県の公式発表で確認することを推奨します。

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