※本記事には広告(PR)が含まれます。mitoru編集部は公開情報を整理して比較・解説しており、表示順位や評価は広告主からの依頼ではなく編集部の独自判断によります。
「電話が鳴りやまない受付」「紙の問診票の転記に時間を取られる」「オンライン資格確認の機器と院内システムがどうつながるのか分からない」――外来を持つクリニックの院長・事務長からよく聞かれる悩みです。Web受付システムは、予約・問診・受付・呼出し・会計までの窓口業務をオンライン上でつなぐ仕組みで、患者の待ち時間短縮とスタッフの入力負担軽減の両方に関わります。本記事は、主要ベンダーの機能の位置づけ、レセコン連携API、問診票のデジタル化、待ち時間表示・呼出し番号発券機、セルフレジ(自動精算機)連携、マイナ保険証の読み取りとオンライン資格確認、多言語対応・アクセシビリティまでを、厚生労働省などの公開情報とあわせて2026年版として整理したガイドです。
個別ベンダーとの契約条件・料金プラン・見積り、既存レセコン・電子カルテとの具体的な接続可否の判断は、本記事の範囲外です。掲載する各社の特徴は公開情報を編集部で整理したものであり、最新の仕様・料金は各社公式サイトでの確認、また具体的な導入判断は各ベンダーの営業担当者や院内のシステムに詳しい担当者との個別相談を前提にご活用ください。
Web受付システムとは何か(クリニックDXの入口として)
Web受付システムは、患者がスマートフォンやタブレット、院内の受付端末を通じて、来院前の事前受付・順番取得・問診回答・会計までをオンラインで進められる仕組みの総称です。狭義には「窓口の順番受付をデジタル化する仕組み」を指しますが、近年は予約システム・問診システム・呼出しシステム・自動精算機・オンライン資格確認端末までを一体的に連携させる「クリニックDXの入口」として位置づけられる傾向があります。厚生労働省は医療DXを、オンライン資格確認等システム・電子処方箋・電子カルテ情報共有サービスなどのインフラを軸に、医療機関の業務効率化と患者サービス向上を両立させる取り組みと位置づけています(厚生労働省「医療DXについて」)。Web受付システムは、この医療DX基盤と院内の窓口業務をつなぐ結節点としての役割を担います。
受付システムに求められる4つの機能領域
クリニック向けの受付システムは、大きく「予約受付(Web予約・順番受付)」「問診のデジタル化」「呼出し・待ち時間の可視化」「会計・レセコン連携」の4領域に整理されることが多く、製品ごとにどの領域を主軸に置くかが異なります。自院の課題がどの領域に集中しているかを先に整理しておくと、比較検討の軸がぶれにくくなります。
主要ベンダー4社の機能比較(EPARK・デジスマ診療・JRクリニックプラス・ドクターキューブ)
Web受付・順番管理の領域では、複数のベンダーが異なる強みを打ち出しています。ここでは、EPARK・デジスマ診療・JRクリニックプラス・ドクターキューブの4サービスを、各社の公開情報にもとづいて機能の位置づけを整理します。仕様・料金は変更される場合があるため、比較検討の初期段階の目安としてご覧ください。
EPARK(患者向け予約プラットフォーム経由の集患型)
EPARKは、患者向けの医療機関検索・予約プラットフォームとして知られるサービスで、クリニック向けには「EPARK医療・歯科」という名称で予約受付機能が提供されています。公式サイトの案内によれば、無料プランでも基本的な予約受付機能を利用でき、有料プランでは順番受付・リマインド送信などの機能が拡充される構成とされています。EPARKというプラットフォーム経由の集患導線を確保しながら、受付の窓口業務も同じシステムでまとめたいクリニックに向いた選択肢とされています。
デジスマ診療(予約・問診・受付・会計を一気通貫で連携する設計)
デジスマ診療は、来院前のオンライン問診・Web予約から、来院時の自動受付、会計時のキャッシュレス決済までを一つのサービスで連携させる設計をうたうクラウド型サービスです。公式サイトの案内では、患者がスマートフォンで問診に回答したうえで来院し、受付では二次元コードなどで来院受付を完結させる動線が想定されています。予約・問診・受付・会計の情報を院内の複数の機器で分断せずに扱いたいクリニックが比較検討の対象に含めやすいサービスです。
JRクリニックプラス(院内受付端末と呼出し表示の統合に重点)
JRクリニックプラスは、院内に設置する受付端末と、待合室の呼出し表示・番号案内の統合に重点を置いた受付システムです。公開されている情報の範囲では、診察券またはWeb予約からの来院受付を起点に、受付順に応じた呼出し番号の発行からモニター表示までを院内設備として一体運用する構成が案内されています。院内の受付端末・表示機器を刷新したいクリニックが比較対象に含めやすいサービスです。
ドクターキューブ(複数診療科・複数処置室のリソース管理に強み)
ドクターキューブは、受付番号発行・待ち時間案内・予約管理を統合した医療機関向けシステムです。複数診療科・複数処置室を持つクリニックのリソース管理に強みがある一方、導入コストは他のクラウド型予約サービスより高めの傾向とされ、待ち時間表示モニターとの連携を重視するクリニックに向いた選択肢です(各社公式サイト等の公開情報)。
| サービス名 | 主な強み | レセコン連携 | 呼出し・待ち時間表示 | 料金の目安 |
|---|---|---|---|---|
| EPARK | 患者向けプラットフォーム経由の集患導線 | 別途連携(要問合せ) | プランにより対応 | 無料プランあり・有料は要問合せ |
| デジスマ診療 | 予約・問診・受付・会計の一気通貫連携 | 連携実績は要確認 | 対応(自動受付と連動) | 要問合せ |
| JRクリニックプラス | 院内受付端末・呼出し表示の統合 | 連携実績は要確認 | 対応(院内設備として一体運用) | 要見積もり |
| ドクターキューブ | 複数診療科・複数処置室のリソース管理 | 対応(実績多数とされる) | 対応(表示モニター連携に強み) | 要見積もり(比較的高め) |
4サービスはいずれも「予約」「受付」「呼出し」「会計」のどこに軸足を置くかが異なります。集患導線を強化したいのか、院内の窓口動線を効率化したいのか、複数診療科のリソース管理を優先したいのかを先に整理したうえで比較すると、要件定義の手戻りを減らせます。

レセコン・電子カルテ連携API-導入前に確認すべきポイント
Web受付システムの価値は、受付・問診・会計で得た情報がレセコン(レセプトコンピュータ)や電子カルテとどれだけシームレスに連携できるかで変わります。連携方式は大きく、メーカー間で個別に用意された専用APIによる連携、CSVファイルの相互授受による連携、HL7 FHIRなど標準規格に準拠した連携の3パターンに分かれます。厚生労働省は医療情報システムの安全管理に関するガイドラインで、外部システムと接続する際に求められるセキュリティ要件を示しており(厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン 第5.1版」)、受付システムとレセコンを接続する際は、院内のIT担当者とあわせてガイドラインの該当箇所を確認しておく運用が実務上の基本です。
契約前には、少なくとも次の項目をベンダーに確認しておくと、契約後の手戻りを防ぎやすくなります。
- 自院のレセコン・電子カルテのベンダー名・バージョン
- 連携方式(専用API・CSV連携・標準規格準拠のいずれか)
- 連携範囲(患者基本情報のみか、受診歴・会計金額まで含むか)
- 連携にかかる初期費用・月額の追加費用
- 通信障害・システム障害発生時のデータ整合性の担保方法
問診票のデジタル化(Web問診)
紙の問診票は、来院時に患者が手書きで記入し、スタッフが転記・確認する運用が長く続いてきました。Web問診は、予約時や来院前にスマートフォン・タブレットから問診項目に回答してもらい、その内容を電子カルテ・受付システムに引き継ぐ仕組みです。手書き文字の判読や転記の手間が減るほか、症状に応じて質問内容が枝分かれする設計のサービスでは、診察前に必要な情報を整理しやすくなる利点があります。一方で、問診情報は要配慮個人情報を含む場合があるため、送信経路の暗号化やアクセス権限の設計は、個人情報保護委員会が示す医療・介護分野のガイダンスを踏まえて確認しておく事項です。あわせて、スマートフォンを持たない、または操作に不慣れな患者向けに、院内の受付端末や紙の問診票を選べる併用運用を残しておくと、受付窓口での混乱を避けやすくなります。
待ち時間表示と呼出し番号発券機
待ち時間表示と呼出し番号発券機は、受付順に発行した番号を、待合室のモニターや患者のスマートフォン画面に表示する仕組みです。院内放送での呼び出しに比べ、番号表示であれば個人名を院内で読み上げずに済むため、プライバシーへの配慮の一つとして選ばれる要素です。あわせて、現在の待ち人数や目安の待ち時間を可視化することで、患者が外出や院外での待機を判断しやすくなり、待合室の混雑緩和にもつながります。呼出し番号発券機を選定する際は、院内の動線(受付窓口・診察室・会計窓口の配置)に対して、モニターの設置台数・視認性・呼出し方式(音声・振動・スマホ通知)が合っているかを、既存の院内レイアウトと照らして確認する視点が実務上の基本です。

セルフレジ(自動精算機)連携
セルフレジ(自動精算機)は、会計窓口での現金授受・釣り銭準備といった業務を軽減する目的で導入される機器です。レセコンと連携する構成では、診察・処方内容から確定した会計金額を自動精算機に引き継ぎ、患者が現金またはキャッシュレス決済で精算する流れが一般的です。Web受付システムと組み合わせる場合、受付時に発行した順番情報・患者IDを会計時まで一貫して引き継げるかどうかが、二重入力の有無を左右します。キャッシュレス決済の対応可否(クレジットカード・電子マネー・コード決済のいずれに対応するか)は機種・契約プランによって差があるため、既存の決済端末との統合可否もあわせて確認しておく事項です。
マイナ保険証の読み取りとオンライン資格確認
2024年12月の健康保険証の新規発行終了以降、マイナンバーカードを保険証として利用する「マイナ保険証」の利用が標準的な運用になりつつあります。厚生労働省は、医療機関・施術所等やシステムベンダー向けにオンライン資格確認等システムの導入・運用に関する案内を公開しており(厚生労働省「オンライン資格確認について(医療機関・施術所等、システムベンダ向け)」)、実務で生じやすい疑問点はオンライン資格確認QA集としてまとめられています(厚生労働省「オンライン資格確認 QA集」)。Web受付システムとマイナ保険証の連携を検討する際は、受付機側のカードリーダーで資格確認まで完結させる構成か、既存のオンライン資格確認端末と受付システムを併設する構成かで、窓口での患者の動線が変わります。オンライン資格確認関連設備の導入に対する公的な補助制度が公開されている年度もあるため、機種選定の前に最新の公募要領を所管窓口で確認しておくと、対象要件の見落としを避けやすくなります。

多言語対応と障害のある方・高齢の患者へのアクセシビリティ配慮
外国人患者・障害のある患者・高齢の患者など、多様な患者が窓口を利用することを前提にした設計は、Web受付システムを選ぶうえで見落とされやすい観点です。障害者差別解消法は、行政機関等に加えて事業者にも、障害のある方への合理的配慮の提供を求めており(内閣府「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」)、医療機関の窓口対応・院内設備の設計にもこの考え方が関わります。デジタル庁が公開する「デザインシステム」では、文字サイズ・コントラスト・操作のしやすさなど、ウェブサービス全般に共通するアクセシビリティの考え方が整理されており(デジタル庁「デザインシステム」)、受付端末の画面設計・タッチ操作のしやすさを検討する際の参考になります。多言語対応については、受付画面の表示言語切替、問診票の多言語テンプレートの有無が製品によって差があるため、自院の患者層に応じて対応言語の範囲を確認しておく事項です。総務省の情報通信白書では、スマートフォンによる情報収集が世代を問わず生活の中心的な手段として定着している状況が継続的に示されており(総務省「情報通信白書」)、年齢層を問わずスマートフォンでの受付動線を用意しておく意義は小さくありません。
よくある質問(FAQ)
- Q1. Web受付システムを導入すると、既存の電話予約は廃止する必要がありますか?
- 廃止が前提ではありません。電話予約に慣れた患者層が多いクリニックでは、電話・窓口受付とWeb受付を併用する運用が一般的です。導入初期は両方の窓口を残し、利用状況を見ながら比重を調整する進め方が実務上の基本です。
- Q2. レセコンとの連携ができないと、Web受付システムは導入できませんか?
- 連携がなくても導入自体は可能ですが、会計金額や受診情報の転記作業が手作業で残ります。連携の有無によって業務負担がどの程度変わるかを事前に整理したうえで、優先度を判断する視点が実務上有効です。
- Q3. マイナ保険証に一本化されると、従来の健康保険証は使えなくなりますか?
- マイナ保険証への移行が進む一方、資格確認書等の代替手段も案内されているため、最新の運用は厚生労働省の公開情報や所管窓口で確認する運用が安全です。
- Q4. Web問診票に入力された情報は、どこまで安全に管理する必要がありますか?
- 問診情報は要配慮個人情報を含み得るため、個人情報保護委員会の医療・介護分野向けガイダンスを踏まえたアクセス権限設計・通信の暗号化が前提になります。ベンダーの安全管理体制も契約前に確認しておく事項です。
- Q5. 呼出し番号表示機は、院内改装をしなくても導入できますか?
- 既存のモニター・Wi-Fi環境を活用できる機種であれば、大掛かりな改装なしで導入できる構成もあります。設置台数・電源・通信環境は機種ごとに要件が異なるため、現地調査を含めた見積もりで確認しておく事項です。
- Q6. 多言語対応や高齢の患者への配慮は、どのシステムでも同じ水準ですか?
- 対応言語数、文字サイズの変更しやすさ、音声案内の有無などは製品ごとに差があります。自院の患者層に必要な配慮の水準を整理したうえで、各社の対応状況を比較する進め方が実務上の基本です。
出典・参考情報
- 厚生労働省「医療DXについて」 https://www.mhlw.go.jp/stf/iryoudx.html (取得日:2026-09-12)
- 厚生労働省「オンライン資格確認について(医療機関・施術所等、システムベンダ向け)」 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08280.html (取得日:2026-09-12)
- 厚生労働省「オンライン資格確認 QA集」 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_24976.html (取得日:2026-09-12)
- 厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン 第5.1版」 https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/0000516275.html (取得日:2026-09-12)
- 内閣府「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」 https://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/law_h25-65.html (取得日:2026-09-12)
- デジタル庁「デザインシステム」 https://www.digital.go.jp/policies/servicedesign/designsystem (取得日:2026-09-12)
- 総務省「情報通信白書」 https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ (取得日:2026-09-12)
- 各社公式サイト(EPARK・デジスマ診療・JRクリニックプラス・ドクターキューブ)の公開情報(取得日:2026-09-12)
関連記事(mitoru編集部おすすめ)
mitoru編集部の見解
電子カルテは導入後10〜15年使い続けるシステムです。mitoru編集部は、ベンダーの財務安定性・サポート体制・診療報酬改定への追従速度を、機能比較と同等以上に重視することを推奨します。一度導入すると移行コストが大きいため、契約前のデモ環境利用と他院ヒアリングが現実的な評価軸となります。