クリニックの初診・再診料算定要件 完全ガイド【2026年版・機能強化加算/選定療養/レセプト査定対策】

📅公開日:2026-09-13

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「初診料と再診料の算定要件をどこまで正確に理解できているか自信がない」「3か月以上受診がない患者の初診料算定で判断に迷う」「オンライン診療の初診料や紹介受診重点医療機関の選定療養費について、事務職員にどう説明すればよいか分からない」——診療報酬の算定は、電子カルテやレセコンが自動計算する部分が増えた一方、判断の入口となる「初診・再診の別」の確定は今も人の判断に委ねられています。本記事は、厚生労働省が公開する診療報酬改定資料および関連法令をもとに、初診料・再診料の点数構造、新規患者と3か月以上受診のない患者の初診扱い、複数科標榜時の再診料算定、紹介受診重点医療機関と選定療養費、オンライン診療の初診料、機能強化加算、レセプト査定対策、事務職員研修と患者説明の考え方を整理します。個別の算定可否・レセプト請求の適否は、あらかじめ地方厚生局・審査支払機関・顧問社会保険労務士にご確認ください。

この記事の対象読者:初診・再診料の算定ルールを整理し、レセプト査定対策や受付・会計事務の教育体制を見直したい、クリニックの院長・事務長・医療事務担当者。

この記事でわかること

  • 初診料・再診料の点数構造と、点数改定時に確認すべきポイント
  • 新規患者と3か月以上受診のない患者を「初診」として扱う判断基準
  • 複数科を標榜するクリニックにおける再診料算定の注意点
  • 紹介受診重点医療機関と選定療養費(7,000円)の関係
  • オンライン診療における初診料算定の考え方
  • 機能強化加算の算定要件
  • 同一月内の再診料・医学管理料算定で確認しておきたい回数制限の考え方
  • レセプト査定・返戻を防ぐための実務対策
  • 事務職員研修と患者への説明体制の整え方

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1. なぜ今クリニックで初診・再診料の算定要件の理解が必要なのか

電子カルテやレセプトコンピュータ(レセコン)の普及により、点数の自動計算そのものは効率化が進みました。しかし、その計算の前提となる「今回の受診は初診か再診か」「どの科の受診として扱うか」といった判断は、依然として受付・会計担当者の入力に委ねられています。この最初の判断を誤ると、以降の計算がすべて誤った点数の上に積み上がってしまう点に注意が必要です。

1-1. 算定判断のミスが招く具体的な影響

  • レセプトの査定・返戻が発生し、再請求のための事務負荷が増える
  • 患者への窓口負担の説明が不十分になり、後日の問い合わせ・クレームにつながる
  • 地方厚生局による個別指導・適時調査で指摘を受け、改善報告の対応が必要になる
  • 誤った算定区分のまま一定期間運用してしまい、まとめて過誤請求の精算が必要になる

次章では、初診料・再診料の基本的な点数構造と、点数改定にどう向き合うかを確認します。

2. 初診料・再診料の点数構造と改定への向き合い方

厚生労働省が公表した令和4年度(2022年度)診療報酬改定の個別改定項目では、診療所における初診料は288点、再診料は73点とされています。初診料は病院・診療所に共通する基本点数に、施設基準を満たした場合の加算(機能強化加算等)が上乗せされる構造です。再診料は主に診療所に適用される点数区分で、一定規模以上の病院では再診料に相当する点数として外来診療料が別に設定されています。

2-1. 基本点数と算定対象の整理

区分点数(2022年4月時点)主な算定対象
初診料288点新規に受診した患者、または再診の取扱いに該当しない患者
再診料(診療所)73点初診以降、同一の傷病等について再度受診した患者(診療所)
外来診療料(病院)点数表で別途規定200床以上の病院で、再診に相当する点数として設定

2-2. 点数は改定のたびに見直される——最新点数表の確認を徹底する

診療報酬点数は原則として2年に1度見直され、2024年度(令和6年度)改定でも本体部分を含む見直しが行われています。本記事で示す288点・73点という数値は、あくまで特定時点の参考値です。算定の現場では、その都度、厚生労働省が告示する最新の点数表・通知を確認する運用が欠かせません。レセコンのマスタ更新が改定に追いついているかどうかも、あわせて確認しておく事項です。

3. 「初診」と「再診」の判断基準——新規患者と3か月以上受診のない患者の取り扱い

初診料の算定でつまずきやすいのが、新規患者以外のケースです。特に「3か月以上受診がない患者」の取り扱いは、事務職員から質問が出やすい論点です。

3-1. 初診として扱われる基本パターン

  • 当該医療機関を受診した記録がない新規患者
  • 過去に受診歴はあるが、これまでと異なる傷病で新たに受診する患者(実態に応じて判断)
  • 前回の一連の受診が終了してから相当期間が経過し、同一傷病の再発とはみなしにくい患者

3-2. 「3か月以上受診がない」場合の考え方と留意点

受診間隔が3か月以上空いた患者は初診として扱われる場合がある一方、すべてに一律で当てはまるわけではありません。慢性疾患の経過観察などで、あらかじめ3か月に1回程度の受診間隔を計画的に指示している場合は、期間が空いていても再診として扱う取り扱いが一般的とされています。逆に、特段の医学的な理由なく受診が途絶え、その後久しぶりに来院した場合は初診として算定する考え方になります。判断に迷うケースでは、電子カルテの受診歴・傷病名・転帰の記録を確認したうえで、地方厚生局や審査支払機関に確認する運用が現実的です。

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4. 複数科を標榜するクリニックにおける再診料算定の注意点

複数の診療科を標榜するクリニックでは、再診料の算定で独自の論点が生じます。受付・会計システムが単一の患者IDで管理されている場合、診療科をまたいだ受診歴の扱いを誤りやすい点に注意が必要です。

4-1. 同一日に複数科を受診した場合の再診料

同一日に2つ以上の診療科を受診した場合、2科目以降の再診料は基本点数よりも低い点数で算定する取扱いが設けられています。いわゆる「複数科受診」時の再診料区分にあたるもので、具体的な点数・算定要件はその時点の点数表・告示で確認する必要があります。会計担当者が診療科ごとの受診状況を正しく把握できていないと、算定漏れや過剰算定につながります。

4-2. 診療科ごとの初診・再診の判断

内科では再診に該当する患者でも、これまで受診したことのない別の診療科(皮膚科・整形外科等)を新たに受診する場合は、その科では初診として扱われることがあります。受付システム上で診療科ごとの受診歴を分けて記録・確認できる状態にしておくと、算定判断の誤りを防ぎやすくなります。

5. 紹介受診重点医療機関と選定療養費(7,000円)の関係

紹介受診重点医療機関とは、一定の病床数・機能を有する病院について、紹介状を持たずに受診した患者から特別の料金(選定療養費)を徴収する制度の対象となる医療機関です。2022年10月の見直しにより、対象病院における選定療養費の最低金額は医科で7,000円に引き上げられています(歯科は別途金額が設定されています)。制度の直接の対象は主に病院であり、クリニック自体がこの制度で選定療養費を徴収する立場になるわけではありませんが、紹介・逆紹介のやり取りを行う立場として制度の理解が求められます。

5-1. クリニックの実務での関わり方

  • 大病院への紹介状を発行する際、選定療養費が発生し得ることを患者に説明する
  • 逆紹介を受けて自院で継続診療する際、紹介状を持参する意味・今後の受診の流れを説明する
  • 地域の医療機関連携(かかりつけ医機能)の一環として、紹介・逆紹介の流れを院内で共有しておく

6. オンライン診療における初診料算定の考え方

情報通信機器を用いた診療(オンライン診療)にも、対面診療とは別の区分で初診料に相当する点数が設定されています。オンライン診療での初診実施には、厚生労働省が定める「オンライン診療の適切な実施に関する指針」への準拠や、急変時に対面診療につなげる体制の確保など、対面診療とは異なる要件が求められます。

6-1. 対面診療との使い分け

すべての症状・病態がオンライン診療に適しているわけではありません。問診や画面越しの視診だけでは判断が難しい症状の場合は、対面での診察に切り替える体制をあらかじめ整えておくことが求められます。オンライン診療の可否は、指針で示された考え方に沿って医師が個別に判断する事項です。

6-2. 患者への説明で押さえておきたい点

対面診療とオンライン診療では、算定される点数(ひいては患者の自己負担額)が異なる場合があります。予約時・受診前の案内で、対面とオンラインで負担額が変わり得ることを事前に説明しておくと、会計時のトラブルを防ぎやすくなります。

ネットワーク連携

7. 機能強化加算の算定要件

機能強化加算は、初診料に上乗せして算定できる加算のひとつです。地域包括診療加算・地域包括診療料など、かかりつけ医機能に関する施設基準の届出を行っているクリニックが、その機能を発揮した診療を行った場合に算定できます。

7-1. 算定時に確認しておきたいポイント

  • 対象となる施設基準(地域包括診療加算等)の届出が継続しているか
  • 院内掲示・ウェブサイト等で、かかりつけ医機能に関する事項を患者に周知しているか
  • 算定対象患者の範囲(小児科特例を含む)を診療科・年齢に応じて正しく判断しているか

届出内容と実際の診療体制に乖離が生じると、個別指導等で指摘対象になり得るため、施設基準の届出状況は定期的に棚卸しをしておく事項です。

8. 同一月内の再診料・医学管理料算定における回数制限の考え方

「同一月に2回目以降受診すると再診料が減額されるのでは」という質問を受けることがありますが、再診料そのものは受診の都度算定される定額の点数であり、月内の受診回数によって点数自体が変動する仕組みではありません。一方で、特定疾患療養管理料や生活習慣病管理料といった一部の医学管理料には、「月1回」等の算定回数の上限が設けられています。再診のたびに医学管理料まで無条件に重ねて算定できるわけではない、という点の理解が実務上重要です。

8-1. 再診料と医学管理料の算定単位の違い

項目算定単位の考え方実務上の留意点
再診料受診の都度、定額で算定同一日複数科受診時は科目ごとの取扱いを確認
医学管理料(特定疾患療養管理料等)月○回等、算定回数の上限あり算定回数・要件を点数表で個別に確認

8-2. レセコン・電子カルテ側の設定確認

医学管理料の算定回数上限は、レセコンのマスタ設定によって自動的にチェックされる場合があります。もっとも、設定を委託業者に任せきりにせず、改定内容が正しく反映されているかを院内でも定期的に確認しておくと、算定漏れ・過剰算定の双方を防ぎやすくなります。

9. レセプト査定・返戻対策と院内体制(事務職員研修・患者説明)

初診・再診料まわりの算定は、単発の入力ミスというより、判断基準の理解不足が積み重なって査定・返戻につながるケースが多く見られます。院内での知識の標準化が実務上の対策になります。

9-1. 査定・返戻が生じやすいパターン

不備のパターン生じやすい影響実務上の対応
初診・再診の判断根拠が記録されていない算定区分の妥当性が確認できない受診歴・傷病名・転帰をカルテに記録
複数科受診時の科目別算定が誤っている過剰請求と判断される可能性受付時に受診科目を都度確認・記録
選定療養費・自己負担額の説明記録がない患者からの問い合わせ・返金対応説明内容・同意を書面等で残す

9-2. 事務職員研修で押さえるべきポイント

  • 初診・再診の判断基準(3か月ルールを含む)の共有
  • 複数科受診・紹介受診重点医療機関・オンライン診療といった特殊なケースの取扱い
  • 患者への説明(自己負担額の違い、選定療養費の趣旨)の標準化
  • レセプト点検・査定内容のフィードバックを次の研修に反映する仕組みづくり

9-3. 患者への説明を標準化する意義

初診料・再診料・選定療養費など窓口負担に関する説明が担当者によって異なると、患者の不信感につながりやすくなります。院内で説明用の資料やトークスクリプトを整備し、経験の浅いパート事務員でも一定水準の説明ができる体制を整えておくことが、日常的なリスク低減につながります。

指導=メンター

9-4. 着手までのロードマップ(次の一歩)

  • Step 1:直近のレセプト査定・返戻事例を初診・再診料関連で洗い出す
  • Step 2:3か月ルール・複数科受診・オンライン診療の判断基準を院内マニュアル化する
  • Step 3:紹介受診重点医療機関・選定療養費に関する説明資料を整備する
  • Step 4:機能強化加算など加算項目の施設基準届出状況を棚卸しする
  • Step 5:レセコンの医学管理料算定回数上限の設定が最新かを確認する
  • Step 6:事務職員研修(座学+ロールプレイ)を定期的に開催する仕組みを作る

10. よくある質問

Q1. 初診料288点・再診料73点は、いつの時点の点数ですか?
A. 2022年4月の診療報酬改定時点の点数です。診療報酬点数は原則2年に1度見直されるため、算定時はその時点で有効な点数表を確認する運用が欠かせません。
Q2. 3か月以上受診がない患者は、すべて初診として扱ってよいですか?
A. 一律に判断できるものではありません。慢性疾患の経過観察などで計画的に受診間隔を空けている場合は、再診として扱う取り扱いが一般的とされています。判断に迷う場合は、地方厚生局や審査支払機関への確認が有効です。
Q3. 紹介受診重点医療機関の選定療養費は、クリニックでも徴収する必要がありますか?
A. 選定療養費の徴収義務は、主に病床数・機能要件を満たす病院が対象で、クリニック自体が直接対象になる制度ではありません。ただし、患者を紹介する場面や紹介状なしで受診した患者に対応する場面では、制度の趣旨を理解し説明できる体制が望まれます。
Q4. オンライン診療の初診料は、対面診療と同じ点数ですか?
A. 対面診療とは別の区分で点数が設定されています。具体的な点数・算定要件は、その時点の点数表と「オンライン診療の適切な実施に関する指針」をあわせて確認してください。
Q5. 機能強化加算はどのクリニックでも算定できますか?
A. 地域包括診療加算・地域包括診療料など、対象となる施設基準の届出を行っているクリニックが、要件を満たした場合に算定できる加算です。届出を行っていない場合は算定できません。
免責事項
本記事は公開情報をもとに編集部が情報整理を行ったものであり、個別の算定可否・レセプト請求の適法性を保証するものではありません。実際の算定・請求にあたっては、あらかじめ地方厚生局・審査支払機関・顧問社会保険労務士にご確認ください。掲載情報は2026-09-13時点の公開情報に基づきますが、診療報酬改定等の制度変更により内容が変わる場合があります。最新情報は厚生労働省など各機関の公式サイトでご確認ください。

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mitoru編集部の見解

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