医療機関の感染性廃棄物 処理・委託完全ガイド【2026年版・特別管理産業廃棄物/マニフェスト/委託契約】

📅公開日:2026-07-03
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医療機関から排出される感染性廃棄物は、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)上「特別管理産業廃棄物」に区分され、通常の産業廃棄物より厳格な保管・運搬・処分・記録の要件が課されています。血液・体液が付着した鋭利器材、使用済み注射針、感染性のある病理廃棄物、透析回路、輸血バッグなど、対象範囲は多岐にわたり、判断誤り・容器不備・委託契約不備は、行政指導・罰則・レピュテーションリスクに直結します。本記事は、病院理事長・院長・事務部長・環境管理担当を主な読者として、感染性廃棄物の法的枠組み・区分・容器・保管・マニフェスト・委託業者選定・委託契約書の必須記載事項を、環境省・厚生労働省の公開情報をもとに整理した内容です。

本記事は公的機関が公開している情報を整理した内容であり、特定の処理業者の適格性や、個別廃棄物の区分判定を保証するものではありません。個別事例の判断は、環境省・地方環境事務所・都道府県・政令市の廃棄物担当窓口、および関係専門家にご確認ください。医療行為・診断・治療の助言は本記事では扱いません。感染性廃棄物の分別・処理は、環境省「廃棄物処理法に基づく感染性廃棄物処理マニュアル」の最新版を一次情報として運用してください。

この記事で分かること

  • 廃棄物処理法における医療廃棄物の位置づけと関連法令の全体像
  • 感染性廃棄物と非感染性(一般・産業)廃棄物の区分の考え方
  • 特別管理産業廃棄物としての取扱要件(管理責任者の設置等)
  • 容器の要件とバイオハザードマーク(性状別カラー)の運用
  • 院内保管場所の要件(表示・区分・期間・鍵管理)
  • マニフェスト制度(紙・電子)と交付・返送・保管の実務
  • 収集運搬・処分業者の選定チェックポイント
  • 委託契約書の法定必須記載事項
  • よくある質問と関連情報の確認先

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1. 医療廃棄物の法的枠組み(廃棄物処理法)

医療機関から排出される廃棄物は、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)およびその関連政省令・告示・通知によって規律されています。廃棄物処理法では、事業活動に伴って生じた廃棄物のうち法令で定めるものを「産業廃棄物」とし、そのうち爆発性・毒性・感染性その他人の健康又は生活環境に係る被害を生ずるおそれがある性状を有するものを「特別管理産業廃棄物」として、通常の産業廃棄物より厳格な保管・運搬・処分・記録の基準を適用する構造となっています(環境省「廃棄物処理法に関する情報」関連資料)。

医療関係機関等から生じた廃棄物のうち、人が感染し、若しくは感染するおそれのある病原体が含まれ、若しくは付着している廃棄物又はこれらのおそれのある廃棄物は「感染性廃棄物」と定義され、特別管理産業廃棄物または特別管理一般廃棄物(後者は事業活動を伴わない発生源等の限定的な位置づけ)として扱われます。医療機関から事業活動に伴って発生する感染性廃棄物の大多数は、特別管理産業廃棄物として管理されることになります(環境省「廃棄物処理法に基づく感染性廃棄物処理マニュアル」関連資料)。

感染性廃棄物の分別・保管・委託・処分の実務上の指針として、環境省は「廃棄物処理法に基づく感染性廃棄物処理マニュアル」を公表しており、医療関係機関等(病院・診療所・歯科診療所・助産所・衛生検査所・介護老人保健施設・介護医療院・特別養護老人ホーム・血液センター・保健所・老人保健施設等)における取扱要件、判断フロー、容器の要件、マニフェスト運用等が整理されています。医療機関の環境管理担当者は、このマニュアルの最新版を一次情報として、自院の運用手順書に反映することが基本となります(環境省「廃棄物処理法に基づく感染性廃棄物処理マニュアル」関連資料)。

関連法令として、廃棄物処理法本体に加え、廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令・同施行規則、環境省告示・通知が体系を構成しています。加えて、医薬品医療機器等法(薬機法)に基づく特定生物由来製品の記録保管、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(感染症法)上の一類感染症等病原体を含む廃棄物の取扱、労働安全衛生法上の職業感染対策(針刺し防止等)も並行して考慮する必要があります。各法令の目的・所管が異なるため、それぞれの通知・ガイドラインを個別に確認することが実務の前提となります。

シールド保護

2. 感染性廃棄物と一般廃棄物・産業廃棄物の区分

医療機関から排出される廃棄物は、大きく「感染性廃棄物(特別管理産業廃棄物等)」「非感染性の産業廃棄物」「一般廃棄物(事業系一般廃棄物)」の3類型に区分されます。この区分は、収集運搬・処分の許可業者・委託契約・マニフェスト運用・料金体系のすべてに影響するため、区分判定の考え方を組織的に共有することが重要です(環境省「廃棄物処理法に基づく感染性廃棄物処理マニュアル」関連資料)。

2-1. 感染性廃棄物の判断フロー

環境省の感染性廃棄物処理マニュアルでは、感染性廃棄物の判断について、(1)形状(血液・体液、鋭利器材、病理廃棄物、感染症病床から排出される廃棄物等)、(2)排出場所(感染症病床、手術室、緊急外来室、集中治療室、血液透析室、検査室、解剖室等)、(3)感染症の種類(感染症法上の対象等)の3つの観点を組み合わせた判断フローが示されています。いずれか一つに該当すれば感染性廃棄物として取り扱う設計であり、判断に迷う場合は感染性廃棄物として管理することが安全側の運用とされています(環境省「廃棄物処理法に基づく感染性廃棄物処理マニュアル」関連資料)。

2-2. 感染性廃棄物に該当する主なもの

感染性廃棄物の代表例として、血液・血清・血漿・体液(精液を含む)、病理廃棄物(臓器・組織等)、病原微生物に関連した試験・検査等に用いられた検体・培地・実験動物の死体等、注射針・メス・ガラスくず等の鋭利器材、血液等が付着した鋭利物、血液等が付着したガーゼ・脱脂綿・チューブ・カテーテル・手袋・エプロン等が挙げられます。透析回路・輸血バッグ・カテーテル類・体液を含むドレナージ容器も対象範囲となります。判定基準・具体例は環境省マニュアルに整理されているため、自院の運用手順書はマニュアルの記載順・用語に合わせて整備することが有効です(環境省「廃棄物処理法に基づく感染性廃棄物処理マニュアル」関連資料)。

2-3. 非感染性の産業廃棄物

医療機関からは、感染性廃棄物以外にも、廃プラスチック類(血液等が付着していないもの)、金属くず、ガラスくず、廃薬品類、廃試薬、廃現像液・廃定着液、レントゲンフィルム等の産業廃棄物が排出されます。これらは通常の産業廃棄物として、性状・種類に応じた区分・委託先で処理する設計です。廃薬品類・廃試薬は薬機法・毒物及び劇物取締法上の位置づけも並行して確認する必要があります。産業廃棄物の許可業者は、感染性廃棄物とは別の許可区分となる点に注意が必要です(環境省「産業廃棄物処理業許可に関する情報」関連資料)。

2-4. 事業系一般廃棄物

医療機関の事務部門・食堂・売店等から発生する紙くず・生ごみ等のうち、産業廃棄物に該当しないものは、事業系一般廃棄物として市町村(政令市を含む)の許可を受けた収集運搬業者に委託するか、市町村の運用に従って処理することとなります。事業系一般廃棄物と産業廃棄物では所管・許可・処理ルートが異なるため、混同を避ける区分体制が必要です。院内で混合排出されると分別・委託ルートが崩れるため、発生源別の集積場所・分別表示の整備が現実的な運用の要となります。

2-5. 医療廃棄物の区分整理表

区分主な該当物関連許可・委託先
感染性廃棄物(特別管理産業廃棄物)血液・体液付着物、鋭利器材、病理廃棄物、透析回路等特別管理産業廃棄物 収集運搬・処分業許可業者
非感染性の産業廃棄物血液等付着なしの廃プラ・金属くず・ガラスくず・廃薬品類・廃試薬等産業廃棄物 収集運搬・処分業許可業者
事業系一般廃棄物事務・食堂・売店等からの紙くず・生ごみ等(産廃該当なし)市町村許可の一般廃棄物収集運搬業者

3. 特別管理産業廃棄物としての取扱要件

感染性廃棄物は特別管理産業廃棄物として扱われ、廃棄物処理法上、通常の産業廃棄物より厳格な管理体制が求められます。事業者(排出事業者)の責任として、(1)特別管理産業廃棄物管理責任者の設置、(2)保管基準・処理基準の遵守、(3)委託基準の遵守、(4)マニフェストの交付・管理、(5)帳簿の作成・保管等が体系的に規定されています(環境省「廃棄物処理法に関する情報」関連資料)。

3-1. 特別管理産業廃棄物管理責任者の設置

特別管理産業廃棄物を生ずる事業場を設置している事業者は、事業場ごとに「特別管理産業廃棄物管理責任者」を設置することとされています。医療機関の場合、資格要件として、医師・歯科医師・薬剤師・獣医師・保健師・助産師・看護師・臨床検査技師・衛生検査技師・歯科衛生士等が省令で例示されており、これらの資格を有する者から選任する構造となっています。管理責任者は、感染性廃棄物の管理体制(分別・保管・委託・記録)を統括する役割を担います(環境省「廃棄物処理法施行規則」関連資料)。

3-2. 排出事業者責任の原則

廃棄物処理法は「排出事業者責任」の原則を採用しており、事業活動に伴って生じた廃棄物の適正処理は、排出した事業者が最終的に責任を負う構造です。委託した収集運搬・処分業者が不適正処理を行った場合でも、排出事業者に対する行政処分・措置命令の対象となり得ることを踏まえ、委託先の許可有効性、処理実績、実地確認等を継続的に確認することが求められます。マニフェストの適切な交付・確認・保管は、排出事業者責任を果たすうえでの中核的な仕組みとして位置づけられます(環境省「産業廃棄物管理票(マニフェスト)制度」関連資料)。

3-3. 処理基準・委託基準の遵守

特別管理産業廃棄物の処理基準・委託基準は、廃棄物処理法施行令・施行規則で定められています。処理基準には、収集運搬時の飛散・流出防止、悪臭・騒音・振動対策、他の廃棄物との混合禁止、処分の方法(焼却・溶融・高圧蒸気滅菌等)などが含まれます。委託基準では、特別管理産業廃棄物の収集運搬・処分業許可を有する業者に、書面による委託契約を締結して委託することが要件とされています。無許可業者への委託、口頭のみの委託、必要事項を欠いた契約書は、法令違反として行政処分・罰則の対象となります(環境省「廃棄物処理法に関する情報」関連資料)。

3-4. 帳簿の作成・保管

特別管理産業廃棄物を生ずる事業場を設置している事業者は、帳簿を作成し、事業場ごとに備え置き、一定期間保存することが定められています。帳簿には、廃棄物の種類・排出年月日・排出量・運搬受託者・処分受託者等の情報を記載する構造で、マニフェストの写しとあわせて保管することで、行政の立入検査・報告徴収に対応する体制を整備します。保管期間・様式の詳細は廃棄物処理法施行規則および環境省通知で定められているため、最新の記載事項を確認して自院の帳簿様式を整備することが基本です(環境省「廃棄物処理法施行規則」関連資料)。

クラウドデータ

4. 容器の要件とバイオハザードマーク

感染性廃棄物の容器は、廃棄物の性状(液状、固形状、鋭利物)に応じて、密閉性・収納性・耐貫通性等の要件を満たす必要があります。環境省の感染性廃棄物処理マニュアルでは、容器の性能要件および外装表示(バイオハザードマーク)の運用が示されており、性状ごとに識別しやすい色分けが推奨されています(環境省「廃棄物処理法に基づく感染性廃棄物処理マニュアル」関連資料)。

4-1. 容器の性能要件

容器の性能要件として、(1)密閉できること、(2)収納しやすいこと、(3)損傷しにくいこと、が基本とされます。液状・泥状の廃棄物には液漏れしない密閉容器、鋭利物には貫通しない硬質容器、固形状の廃棄物には丈夫なプラスチック袋等の使用が求められます。詰め替え・移し替えを行うと感染リスクが高まるため、原則として排出時から最終処分まで同一容器で運用することが望ましい姿とされています。容器の再使用の可否・条件は、自治体・処分業者の運用方針を確認したうえで判断することとなります(環境省「廃棄物処理法に基づく感染性廃棄物処理マニュアル」関連資料)。

4-2. バイオハザードマークと性状別カラー

感染性廃棄物の容器には、廃棄物処理法上、感染性廃棄物である旨および取扱注意の表示が求められ、環境省マニュアルではバイオハザードマークの使用が推奨されています。マーク色は性状別に区分され、(1)液状又は泥状のものは赤色、(2)固形状のものは橙色、(3)鋭利なものは黄色を基本とする運用が示されています。分別段階でマーク色を統一することで、収集運搬・処分の各段階での取り違いを防止する設計です。マークの表示位置は、外装からはっきり見える位置とし、容器交換時の再表示にも留意することが実務上の基本となります(環境省「廃棄物処理法に基づく感染性廃棄物処理マニュアル」関連資料)。

4-3. 鋭利物容器(耐貫通容器)

注射針・メス・ガラスくず・アンプル残片等の鋭利物は、貫通しにくい硬質の専用容器(耐貫通容器)に収容することが原則です。針刺し事故は、労働安全衛生法上の職業感染対策の観点でも重要な論点であり、リキャップ禁止・使用直後の直接投入・容器の適切な高さと開口部の設計・8割程度で交換等の運用ルールを、院内感染対策委員会と連携して整備することが望まれます。鋭利物容器の破損・液漏れは、収集運搬時の事故・委託先での取扱いにも影響するため、性能要件を満たす容器の選定が基本となります(環境省「廃棄物処理法に基づく感染性廃棄物処理マニュアル」関連資料)。

4-4. 二重梱包・外装表示

液漏れリスクのある廃棄物や汚染度の高い廃棄物は、内袋・外容器の二重構造で運用することが実務上の基本です。外装には、感染性廃棄物である旨・取扱注意・排出事業場名・排出年月日等を表示する運用が推奨され、収集運搬時の取り違い・混合を防止します。表示は、雨・汗・薬液で滲まないラベルを使用し、剥離を防止する固定方法を選択することが現実的な運用となります。

4-5. 性状別容器・マーク色整理表

性状主な対象バイオハザードマーク色容器の主要要件
液状・泥状血液・体液・吸引物・ドレナージ排液赤色密閉性・液漏れ防止
固形状血液等付着ガーゼ・チューブ・手袋等橙色密閉性・損傷防止
鋭利物注射針・メス・ガラス片・アンプル残片黄色耐貫通・硬質構造

5. 保管場所の要件

感染性廃棄物は、排出から収集運搬までの間、院内で一時的に保管することとなります。保管場所は、廃棄物処理法上の保管基準および環境省マニュアルの要件を踏まえ、周囲の生活環境・院内動線・他廃棄物との区分・第三者立入防止の観点で設計することが基本となります(環境省「廃棄物処理法に基づく感染性廃棄物処理マニュアル」関連資料)。

5-1. 保管場所の指定と表示

保管場所は院内で明確に指定し、外部から感染性廃棄物の保管場所であることが分かる表示を行うことが基本です。表示には、廃棄物の種類・管理責任者名・連絡先等を記載します。他の廃棄物(産業廃棄物・一般廃棄物・薬品類等)と区画を分けて保管することで、混合排出・誤搬出のリスクを低減します。表示・区画の要件は環境省マニュアルに整理されているため、自院の運用手順書に反映することが実務上の基本となります(環境省「廃棄物処理法に基づく感染性廃棄物処理マニュアル」関連資料)。

5-2. 保管期間・保管量の管理

感染性廃棄物の院内保管は「できるだけ短期間」とすることが基本であり、長期間の院内滞留は感染リスク・悪臭・環境衛生上の問題を招くため避けるべきとされています。保管量が集積場所の容量を超えないよう、収集運搬業者による定期回収の頻度を設計することが実務上の基本です。夏季など高温期には、悪臭・虫害対策として保管頻度の見直しや、冷蔵・冷凍保管の導入を検討するケースがあります。保管期間・保管量の考え方は環境省マニュアルの記載を確認して自院の運用に落とし込むこととなります。

5-3. 生活環境の保全

保管場所は、飛散・流出・地下浸透・悪臭発散を防止できる構造とすることが求められます。屋外保管の場合は、雨水の流入を防ぐ屋根・囲い・排水経路の設計、床面の不浸透性、消毒剤散布・清掃の運用ルールが基本となります。屋内保管の場合は、換気・清掃動線・他区画との区分に留意する設計が現実的です。近隣住民・患者・職員の生活環境への影響を最小化する配置が、保管場所設計の要となります(環境省「廃棄物処理法に基づく感染性廃棄物処理マニュアル」関連資料)。

5-4. 第三者立入防止・鍵管理

保管場所は、関係者以外が立ち入れないよう施錠・区画・カードキー等で制限することが基本です。感染性廃棄物の不適切な持ち出し・二次感染リスクの防止だけでなく、鋭利物容器の廃棄処理までのセキュリティ確保の観点でも重要です。鍵の管理者・保管方法・持ち出し記録の運用は、院内の管理規程に定めることが望ましい姿となります。保管場所内での火気使用制限、消火器の配置、非常時対応手順も併せて整備することが安全管理の基本です。

6. マニフェスト制度(産業廃棄物管理票)

特別管理産業廃棄物である感染性廃棄物を委託する際には、排出事業者は運搬・処分の受託者に対し、産業廃棄物管理票(マニフェスト)を交付し、処理の各段階での終了確認と適正処理の追跡を行う制度が定められています。マニフェストには紙マニフェストと電子マニフェスト(電子情報処理組織を使用する管理票)があり、いずれも廃棄物処理法上の位置づけがあります(環境省「産業廃棄物管理票(マニフェスト)制度」関連資料、JWNET公開資料)。

6-1. 紙マニフェストの運用

紙マニフェストは、排出事業者が委託時に必要事項を記載した管理票を交付し、運搬終了時にB票、処分終了時にD票、最終処分終了時にE票の返送を受ける仕組みです。返送期限(法定期限)を超えても返送がない場合、排出事業者は自ら不適正処理の有無を確認し、必要な措置を講ずるとともに、都道府県知事等への報告を行うこととされています。返送されたマニフェストの写しは、法定の期間保存することが求められます。紙マニフェストの様式・記載事項・保存期間の詳細は、廃棄物処理法施行規則および環境省通知で定められています(環境省「産業廃棄物管理票(マニフェスト)制度」関連資料)。

6-2. 電子マニフェスト(JWNET)

電子マニフェストは、公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センターが運営するJWNET(産業廃棄物管理票情報処理システム)を通じて、排出事業者・収集運搬業者・処分業者が情報をオンラインで登録・確認する仕組みです。運用面のメリットとして、交付・返送の紙管理の負担軽減、記載ミスの防止、報告書作成の効率化、法定期限管理の自動化等が挙げられます。特別管理産業廃棄物を多量に排出する事業者については、電子マニフェストの使用が義務付けられる対象となる場合があり、対象範囲・要件は環境省の告示・通知で定められています。医療機関の環境管理担当は、自院が使用義務の対象に該当するかを確認したうえで、JWNETへの加入・運用体制を整備することが基本となります(環境省「電子マニフェスト制度」関連資料、JWNET公開資料)。

6-3. 交付・返送・保管の実務

マニフェストの交付は、排出時に廃棄物の種類・数量・受託者名等を記載して行うこととなります。返送されたマニフェストは、記載内容と実際の運搬・処分状況が整合しているかを確認し、法定期限内に返送されているかを点検します。管理責任者は、返送状況を一覧化して定期的にレビューし、期限徒過・記載不備を早期に検知する運用体制を整備することが実務の基本です。マニフェストの写し・電子マニフェストの記録は、法定の期間保存し、行政の立入検査・報告徴収に備えることとなります(環境省「産業廃棄物管理票(マニフェスト)制度」関連資料)。

6-4. マニフェスト運用のよくあるトラブル

マニフェスト運用のよくある論点として、(1)品目・数量の記載相違、(2)返送期限徒過の見落とし、(3)中間処分と最終処分の識別ミス、(4)委託契約書の対象品目とマニフェスト記載品目の不一致、(5)電子と紙の混在管理の煩雑さなどが挙げられます。これらは、管理責任者の目視レビュー体制・チェックリスト・システム化によって低減できる領域であり、運用手順書に確認プロセスを明記することが有効です。運用トラブルは行政指導につながる可能性もあるため、早期の是正措置と再発防止策の記録が重要となります。

6-5. 紙・電子マニフェスト比較表

項目紙マニフェスト電子マニフェスト(JWNET)
交付形式複写式伝票の手書き・押印オンライン登録
返送確認B・D・E票の物理返送を確認システム上で確認・自動通知
報告書作成年間集計を手作業で作成報告用出力機能あり
保存写しを法定期間保管電子データで法定期間保管
使用義務対象―多量排出事業者等(要件は告示・通知で確認)

7. 収集運搬・処分業者の選定

感染性廃棄物の収集運搬・処分は、都道府県知事又は政令市長の許可を受けた特別管理産業廃棄物処理業者に委託することが基本です。排出事業者は、委託先の許可有効性・処理能力・実績・体制を確認したうえで契約することとなります。無許可業者への委託は行政処分・罰則の対象となるため、契約時・更新時の許可証確認が実務の起点です(環境省「産業廃棄物処理業許可に関する情報」関連資料)。

7-1. 許可証の確認ポイント

委託候補業者の許可証について、(1)許可の種類(特別管理産業廃棄物 収集運搬業/処分業)、(2)許可の対象品目に「感染性廃棄物」が含まれているか、(3)許可の有効期限、(4)許可を受けた自治体(排出地・運搬経路・処分地の各自治体で必要な許可を保有しているか)、(5)許可条件(積替え保管の可否等)を確認します。感染性廃棄物は多くの自治体で「感染性産業廃棄物」の許可区分が独立して設定されており、通常の産業廃棄物許可のみでは受託できない点に注意が必要です。許可証の写しを取得し、契約書に添付する運用が実務の基本となります(環境省「産業廃棄物処理業許可に関する情報」関連資料)。

7-2. 処分方法の確認

感染性廃棄物の処分方法は、環境省マニュアル上、焼却・溶融・高圧蒸気滅菌・乾熱滅菌・その他の環境省が定める方法により感染性を失わせることが基本とされています。委託候補業者の処分方法(自社処分場での焼却か、他社委託での処分か等)、処分施設の許可内容、処分能力、処分実績を確認することが選定時の論点となります。処分再委託の可否・条件は、廃棄物処理法上の再委託基準に従うこととなり、原則禁止(例外的に認められる場合の要件を含む)である点を踏まえた契約設計が必要です(環境省「廃棄物処理法に基づく感染性廃棄物処理マニュアル」関連資料)。

7-3. 現地確認(実地確認)

排出事業者責任を果たす観点から、処分施設の現地確認(実地確認)を実施することが望ましい姿とされます。確認項目として、処分施設の稼働状況、受入・計量・処分プロセス、記録管理、周辺環境への配慮、非常時対応体制等が挙げられます。多量排出事業者について現地確認等の努力義務が通知等で整理されているため、自院が対象となるかを確認したうえで、確認頻度・記録方法を運用に組み込むことが実務上の基本となります(環境省「廃棄物処理法に関する情報」関連資料)。

7-4. 選定チェックリスト

確認項目確認方法
特別管理産業廃棄物 収集運搬業許可(感染性廃棄物対象)許可証原本の写し取得
特別管理産業廃棄物 処分業許可(感染性廃棄物対象)許可証原本の写し取得
排出地・運搬経路・処分地の各自治体の許可許可証記載自治体の確認
処分方法と処分施設の適法性施設所在地・許可情報の確認
再委託の予定有無・許可の有無契約書での明示
過去の行政処分歴自治体の公表情報照会
賠償責任保険等の付保状況保険証券の確認
天秤の比較

8. 委託契約書の必須記載事項

感染性廃棄物の処理委託は、廃棄物処理法上、収集運搬と処分について別々の書面契約を締結することが原則とされています(同一業者が収集運搬・処分の許可を有する場合でも、各許可に応じた契約項目を漏れなく記載)。契約書の必須記載事項は廃棄物処理法施行令・施行規則で定められており、記載を欠く契約は違法とされる可能性がある点に注意が必要です(環境省「廃棄物処理法に関する情報」関連資料)。

8-1. 収集運搬委託契約書の主な記載事項

収集運搬委託契約書には、(1)委託する廃棄物の種類・数量、(2)運搬の最終目的地の所在地、(3)運搬の方法・積替え保管の有無、(4)委託契約の有効期間、(5)委託者が受託者に支払う料金、(6)受託者の事業範囲(許可の内容)、(7)委託者が受託者に対し廃棄物に関する適正処理に必要な情報を通知する義務、(8)再委託に関する事項、(9)契約解除時の措置等を記載することが基本とされています。加えて、許可証の写しの添付が求められます。詳細は廃棄物処理法施行規則の記載事項を確認して契約書を整備することが基本です(環境省「廃棄物処理法に関する情報」関連資料)。

8-2. 処分委託契約書の主な記載事項

処分委託契約書には、(1)委託する廃棄物の種類・数量、(2)処分又は再生の場所の所在地、(3)処分又は再生の方法、(4)処分又は再生に係る施設の処理能力、(5)委託契約の有効期間、(6)委託者が受託者に支払う料金、(7)受託者の事業範囲(許可の内容)、(8)最終処分の場所の所在地・処分方法・処分施設の処理能力、(9)委託者が受託者に通知する情報、(10)再委託に関する事項、(11)契約解除時の措置等を記載します。中間処分業者に委託する場合には、その先の最終処分先の情報も含めた記載が求められる構造です(環境省「廃棄物処理法に関する情報」関連資料)。

8-3. WDS(廃棄物データシート)の提供

特別管理産業廃棄物の委託時には、排出事業者が受託者に対して廃棄物の性状・取扱注意事項等を通知することが求められます。実務上、廃棄物データシート(WDS:Waste Data Sheet)と呼ばれる様式にまとめて提供する運用が広く行われています。感染性廃棄物については、感染性の由来・性状(液状/固形状/鋭利物)・容器の種類・取扱注意等を記載することが基本です。WDSの整備は、収集運搬・処分の各段階での事故防止・情報伝達の観点で重要な役割を担います(環境省関連通知参照)。

8-4. 契約管理の実務

契約管理の実務として、(1)許可有効期限の一覧管理と更新確認、(2)契約有効期間の管理と更新手続き、(3)契約変更時の書面差替え、(4)委託先の許可条件変更・行政処分の情報収集、(5)年度単位の契約棚卸し、を運用ルールとして整備することが望まれます。特別管理産業廃棄物管理責任者を中心に、事務部門・環境管理担当・法務担当が連携して管理する体制が現実的です。契約書・許可証・マニフェストの一元的な文書管理(電子化・アクセス権限管理を含む)は、監査対応の負荷軽減にも寄与します。

9. よくある質問(FAQ)

Q1. 血液が少量付着した手袋・ガーゼも感染性廃棄物ですか?
A. 血液・体液が付着した手袋・ガーゼ等は、環境省「廃棄物処理法に基づく感染性廃棄物処理マニュアル」の判断フローに照らして感染性廃棄物として取り扱うことが基本とされています。付着量が少量であっても、判断に迷う場合は感染性廃棄物として管理することが安全側の運用と整理されています。具体的な判定は、環境省マニュアルの記載および自治体の運用に従って行ってください。
Q2. 感染性廃棄物の院内保管期間に上限はありますか?
A. 感染性廃棄物の院内保管は「できるだけ短期間」とすることが基本方針とされており、環境省マニュアルではこの考え方が示されています。具体的な保管期間の運用は自院の排出量・保管場所の容量・収集運搬業者の回収頻度・季節要因等を踏まえて設計することとなります。判断に迷う場合は、環境省マニュアルの記載および自治体の運用を確認してください。
Q3. 電子マニフェストは義務ですか?
A. 電子マニフェストの使用は、特別管理産業廃棄物を多量に排出する事業者等について、廃棄物処理法上の要件に基づき義務付けられる場合があります。対象要件は環境省告示・通知で定められているため、自院が該当するかを最新資料で確認してください。義務対象でない場合も、事務負担軽減・法定期限管理の観点からJWNETへの加入・切替を検討する医療機関が増えています(環境省「電子マニフェスト制度」関連資料、JWNET公開資料)。
Q4. 委託契約書は収集運搬と処分をひとつにまとめてよいですか?
A. 廃棄物処理法上、委託契約は収集運搬と処分について別々に締結することが原則とされています。同一業者が両方の許可を保有している場合でも、収集運搬に関する事項と処分に関する事項の双方を漏れなく記載する必要があります。契約書の必須記載事項は廃棄物処理法施行令・施行規則で定められているため、条文および環境省の解説資料に沿って整備してください(環境省「廃棄物処理法に関する情報」関連資料)。
Q5. バイオハザードマークの色を間違えたらどうなりますか?
A. バイオハザードマークの性状別カラー(赤:液状・泥状/橙:固形状/黄:鋭利物)は、環境省マニュアルで推奨されている運用で、収集運搬・処分の各段階での取り違いを防止する目的があります。色の誤表示は取扱ミス・事故のリスクを高めるため、分別段階でのダブルチェック体制、表示ラベルの標準化、職員教育で誤りを予防する運用が現実的です。誤表示に気づいた場合は、速やかに修正表示を行い、収集運搬業者・処分業者への情報提供を行うことが基本となります。
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10. 出典・参考資料

  • 環境省「廃棄物処理法に基づく感染性廃棄物処理マニュアル」 https://www.env.go.jp/recycle/misc/kansen-manual.html (取得日:2026-07-03)
  • 環境省「廃棄物処理法に関する情報(廃棄物の処理及び清掃に関する法律)」 https://www.env.go.jp/recycle/waste/laws.html (取得日:2026-07-03)
  • 環境省「産業廃棄物処理業許可に関する情報」 https://www.env.go.jp/recycle/waste/sanpai.html (取得日:2026-07-03)
  • 環境省「産業廃棄物管理票(マニフェスト)制度」 https://www.env.go.jp/recycle/waste/manifest.html (取得日:2026-07-03)
  • 環境省「電子マニフェスト制度」 https://www.env.go.jp/recycle/waste/densi_manifest.html (取得日:2026-07-03)
  • 厚生労働省「医療機関等における院内感染対策について」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000061875.html (取得日:2026-07-03)
  • 厚生労働省「感染症法に基づく届出・特定病原体等の取扱」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou11/01.html (取得日:2026-07-03)
  • 公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センター(JWNET) https://www.jwnet.or.jp/ (取得日:2026-07-03)
  • 環境省 地方環境事務所(廃棄物対策関連) https://www.env.go.jp/region/ (取得日:2026-07-03)

【免責事項】本記事は、環境省告示・通知および感染性廃棄物処理マニュアル、厚生労働省の関連通知等の公開情報を整理することを目的としており、特定の処理業者の適格性や、個別廃棄物の区分判定を保証するものではありません。感染性廃棄物の取扱要件は、廃棄物処理法・同施行令・施行規則の改正、環境省告示・通知の見直し、自治体条例・運用によって変動します。個別事案の判断は、環境省・地方環境事務所・都道府県・政令市の廃棄物担当窓口、および関係専門家にご確認ください。本記事は医療行為・診断・治療の助言を含みません。本記事の情報利用によって生じた損害について、mitoru編集部は責任を負いません。

最終更新日:2026年7月3日|編集方針

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