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医療機関は、24時間稼働する空調・給湯・滅菌設備、手術室・ICUの厳格な温湿度管理、大型医療機器(CT・MRI・リニアック等)の電力需要、廃棄物処理など、他の業種と比較しても単位床面積あたりのエネルギー消費が大きい施設です。政府が掲げる2050年カーボンニュートラル目標、2030年度温室効果ガス46%削減(2013年度比)の中期目標を踏まえ、病院・診療所においても省エネ法・温対法の枠組みに沿った排出量把握と削減計画の策定、再生可能エネルギー電力の調達、設備更新時の高効率化などが経営テーマとして浮上しています。本記事は公開情報を整理した内容であり、特定の再エネ事業者・設備メーカー・コンサルティング会社を推奨するものではありません。
本記事は病院理事長・院長・事務長・設備管理責任者・環境/サステナビリティ担当者を主な読者と想定し、医療機関のCO2排出構造、地球温暖化対策の推進に関する法律(温対法)と省エネ法(エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律)の対象事業所の考え方、SBT・RE100・CDP等の国際的な気候関連イニシアチブの概要、省エネ設備投資の主な観点、再生可能エネルギー電力の調達方法、麻酔ガス(デスフルラン・亜酸化窒素等)の温室効果、排出量算定・報告制度、活用可能な補助金の枠組みを、環境省・経済産業省・資源エネルギー庁・厚生労働省などの公開情報をもとに整理します。個別の届出義務・算定方法・補助金の採択可否は、所管省庁および顧問の専門家にご確認ください。
この記事で分かること
- 医療機関のCO2排出構造(Scope1・2・3の考え方と病院特有の排出源)
- 温対法・省エネ法の対象事業所と特定事業者・特定連鎖化事業者の枠組み
- SBT(Science Based Targets)・RE100・CDP等の国際イニシアチブの整理
- 省エネ設備投資の主な観点(空調・照明・給湯・コージェネ等)
- 再生可能エネルギー電力の調達方法(コーポレートPPA・非化石証書・自家消費太陽光)
- 麻酔ガス(デスフルラン・亜酸化窒素)の温室効果と削減の考え方
- 温対法の温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度の概要
- 省エネ・再エネ導入で活用可能な補助金の主な枠組み
- 医療機関のGX(グリーントランスフォーメーション)取り組みチェックリスト
1. 医療機関のCO2排出構造
医療機関の温室効果ガス排出量は、国際的な算定基準であるGHGプロトコルに沿って、Scope1(自社の直接排出:都市ガス・重油・LPガス等の燃料燃焼、医療用ガス漏洩、社用車の燃料)、Scope2(他社から供給された電気・熱・蒸気の使用に伴う間接排出)、Scope3(サプライチェーンの上流・下流の間接排出:医薬品・医療機器の製造、廃棄物処理、通勤・出張、患者・職員の移動等)の3つに区分して把握することが基本となります。GHGプロトコル・Scope3の詳細は環境省「サプライチェーン排出量算定に関する基本ガイドライン」で解説されています。
病院のScope1・Scope2の排出源としては、外来棟・病棟の空調(セントラル空調・EHP・GHP)、給湯(ボイラー・ヒートポンプ給湯機)、滅菌装置、厨房、手術室・ICUの高度な温湿度管理、大型医療機器(CT・MRI・リニアック・血管造影装置)、非常用自家発電機の試運転、医療用ガス(酸素・窒素)の使用等が挙げられます。特に手術室・ICU・分娩室は、感染対策上の換気回数(1時間あたりの空気交換回数)が高く設定されるため、外気導入に伴う空調負荷が大きい傾向にあります。
Scope3の代表的な排出源としては、医薬品・医療機器の製造段階の排出(カテゴリ1:購入した製品・サービス)、医療廃棄物の処理(カテゴリ5:事業から出る廃棄物)、職員通勤・出張、患者・面会者の来院に伴う移動、リース資産の運用等があります。国際的な研究では、医療分野全体の排出量のうち相当な部分をサプライチェーン上流(医薬品・医療機器の製造)が占めるとの報告があり、Scope3の把握は病院単独では困難な領域も含まれますが、算定範囲を明確にしたうえで段階的に取り組むことが基本となります(環境省「サプライチェーン排出量算定に関する基本ガイドライン」)。
単位床面積あたりのエネルギー消費原単位(MJ/m2・年)で比較すると、病院は事務所ビル・商業施設等と比較しても大きい水準にあります。資源エネルギー庁「エネルギー消費統計調査」や省エネルギーセンター等の公開資料では、業種別・用途別のエネルギー消費構造が整理されており、病院は空調・給湯・照明・動力の各用途で恒常的な負荷が発生する構造にあることが読み取れます。自院の排出構造を把握することは、削減施策の優先順位付けの前提となります。

2. 温対法・省エネ法の対象事業所
医療機関が関係する主要な法令は、地球温暖化対策の推進に関する法律(温対法)と、エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律(省エネ法)の2つが基本となります。それぞれ、対象事業所の考え方・報告義務・報告様式が異なるため、自院がどの区分に該当するかを整理することが出発点となります。
2-1. 省エネ法(特定事業者・特定連鎖化事業者)
省エネ法は、事業者全体(法人単位)でのエネルギー使用量が原油換算1,500kL/年以上となる事業者を「特定事業者」として指定し、エネルギー管理統括者・エネルギー管理企画推進者の選任、中長期計画書・定期報告書の提出等を求める枠組みとされています。複数の医療機関を運営する医療法人・大学病院法人等では、法人全体のエネルギー使用量を集計して該当性を判定することが基本となります。制度の詳細は資源エネルギー庁「省エネ法のポイント」等で解説されています。
2023年4月施行の改正省エネ法により、法律の名称が「エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律」に改称され、非化石エネルギーへの転換に関する報告・目標設定の枠組みが追加されました。特定事業者には、非化石エネルギーの使用状況・電気の需要の最適化に関する報告が求められる方向で運用が整備されています。具体的な報告様式・提出時期は改定の対象となるため、最新の告示・通知の確認が前提となります(資源エネルギー庁「省エネ法」関連資料)。
2-2. 温対法(温室効果ガス算定・報告・公表制度)
温対法に基づく「温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度」(SHK制度)は、一定規模以上の排出者に対し、温室効果ガス排出量の算定と国への報告を求める仕組みです。エネルギー起源CO2については、原油換算1,500kL/年以上のエネルギー使用がある事業者、又は、特定の事業所単位の要件(省エネ法の特定事業者の考え方と関連)に該当する場合が報告対象となる整理です。詳細な対象範囲・算定方法は環境省「温室効果ガス排出量 算定・報告・公表制度」で解説されています。
報告された排出量は、事業者別・業種別に集計・公表される制度設計となっており、大規模な医療機関の排出実績は公開情報として参照可能な場合があります。制度は2022年度報告分より電子報告システム(EEGS:温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度電子報告システム)に一本化される等、運用面の更新が続いています。届出・報告実務の詳細は環境省・経済産業省の合同ガイドライン等で確認することができます。
2-3. 建築物省エネ法・ZEB
新築・大規模改修時には、建築物のエネルギー消費性能の向上等に関する法律(建築物省エネ法)に基づく省エネ基準への適合が求められる場合があります。2025年4月からは、原則すべての新築建築物について省エネ基準適合が義務化される方向で制度整備が進められており、医療施設の建て替え・新棟建設においてもZEB(Net Zero Energy Building)水準を目指す設計が選択肢となります。ZEBはエネルギー消費削減の水準に応じて『ZEB』『Nearly ZEB』『ZEB Ready』『ZEB Oriented』の区分が設けられており、国土交通省・環境省・経済産業省の各補助制度で導入支援が行われています(資源エネルギー庁「ZEB」関連資料)。
3. SBT・RE100・CDP等の国際イニシアチブ
大学病院・民間大手病院グループ・製薬企業系の医療機関では、国際的な気候関連イニシアチブへの参加を経営の情報開示テーマとして検討する事例が増えつつあります。ここでは、代表的な3つの枠組みの基本概念を整理します。個別の参加要件・審査基準は改定の対象となるため、公式サイトの最新情報の確認が前提となります。
3-1. SBT(Science Based Targets)
SBTは、パリ協定が定める世界の平均気温上昇を産業革命前と比較して1.5℃に抑える水準と整合する温室効果ガス削減目標を、科学的知見に基づき設定する国際イニシアチブです。目標対象はScope1・2の削減目標が必須で、Scope3の排出量が全体の40%以上を占める場合はScope3も目標対象となる考え方が基本となります。医療機関のSBT認定は世界的にも事例が拡大しつつあり、国内でも一部の医療法人・大学病院で検討が進められています。
3-2. RE100
RE100は、事業活動で使用する電力を100%再生可能エネルギー電力で調達することを目指す国際イニシアチブです。参加要件として一定規模以上の電力使用量が求められるため、単体の中小病院での参加は難しいものの、医療法人グループ全体・親会社を通じた参加が想定されます。中小規模事業者向けには、環境省・自治体が展開する類似の枠組み(再エネ100宣言RE Action等)も存在します。
3-3. CDP・TCFD・IFRS S2
CDPは、企業・自治体等の環境情報(気候変動・水セキュリティ・森林)の開示を促進する国際的な非営利組織が運営する情報開示プラットフォームです。TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の提言は、2023年にIFRS S2(気候関連開示)へ引き継がれる形で国際的な開示基準としての位置づけが整理されつつあります。医療機関単体で直接の開示対象となる例は限定的ですが、金融機関・機関投資家からの融資条件・寄付活動・産学連携の文脈で関連情報の整理を求められる場面が生じ得ます。詳細は環境省「TCFD提言」関連資料等で確認することができます。
4. 省エネ設備投資の主な観点
医療機関の省エネ設備投資は、空調・熱源・照明・給湯・搬送動力・医療機器の各用途で検討することになります。設備更新の投資判断は、初期投資額・光熱費削減額・耐用年数・補助金活用・診療への影響(工事中の運用制約)などを総合的に評価することが基本となります。以下、主な設備群の観点を整理します。
4-1. 空調・熱源
病院のエネルギー消費で大きな比率を占める空調・熱源については、高効率チラー(COP・IPLV水準)の更新、インバータ制御の導入、熱源機の複数台制御による部分負荷効率の改善、外気導入量の最適化(CO2濃度制御)、全熱交換器の導入等が主な検討項目となります。手術室・ICUは感染対策上の換気回数を維持する必要があるため、外気処理空調機(OAHU)の高効率化・全熱交換の組み合わせでの検討が現実的です(資源エネルギー庁「省エネポータルサイト」)。
4-2. 照明・電気設備
蛍光灯からLEDへの更新は、投資回収期間が比較的短く導入しやすい施策として位置づけられます。24時間点灯部位(廊下・ナースステーション・手術室待機部)は削減効果が大きい傾向にあります。人感センサー・タイマー制御・明るさセンサーの併用、屋外照明・駐車場照明のLED化も検討対象です。
4-3. 給湯・厨房
給湯・厨房は、ボイラー燃料の使用によりScope1排出の主要な排出源となります。ヒートポンプ給湯機(業務用CO2ヒートポンプ等)への転換、断熱配管の見直し、給湯温度設定の最適化、蒸気配管のトラップ点検などが検討項目となります。厨房ではガス機器から電化厨房への転換も選択肢として存在します。
4-4. コージェネレーション・BCP連携
ガスコージェネレーション(CGS)は、都市ガス・LPガス等を燃料に発電と同時に排熱を給湯・空調で活用する仕組みで、総合エネルギー効率が高い設備として位置づけられます。災害時にはBCP(事業継続計画)上の非常用電源としての役割も担い得るため、病院の設備更新時に検討される事例があります。ただし、電化・脱炭素化の潮流の中で、天然ガスCGSと再エネ電化の役割分担は今後の政策動向により変動する可能性があるため、中長期の設備計画に位置づける際は政策動向のモニタリングが必要となります。
5. 再生可能エネルギー電力の調達
Scope2排出(購入電力に伴う排出)の削減は、再エネ電力の調達によって実現します。医療機関で採用され得る再エネ調達手法は、大きく分けて「自家消費型太陽光発電」「オンサイトPPA」「オフサイトPPA(コーポレートPPA)」「再エネ電力メニュー(電力小売経由)」「非化石証書・グリーン電力証書の購入」の5類型に整理できます。
5-1. 自家消費型太陽光発電
自院の屋根・駐車場等に太陽光発電設備を設置し、発電した電気を自院内で消費する形態です。日中の電力需要と発電カーブが概ね一致する病院では、投資回収期間・自家消費率のバランスから検討候補となります。初期投資は自己資金・リースの選択肢があり、屋根の耐荷重・防水シートの状態・パネル固定方式(貫通/非貫通)が事前検討事項となります。詳細は資源エネルギー庁「省エネポータルサイト」の関連解説等で確認することができます。
5-2. オンサイトPPA・オフサイトPPA
PPA(Power Purchase Agreement/電力購入契約)は、発電事業者が設備を保有し、需要家である病院はその設備で発電した電気を長期契約で購入するモデルです。オンサイトPPAは病院敷地内に設備を設置する形態、オフサイトPPA(コーポレートPPA)は遠隔地の発電所と病院を送配電網経由で紐付ける形態を指します。初期投資を抑えつつ再エネ電力を長期固定価格で調達できる点が特徴とされます。契約期間・再エネ属性の帰属・契約終了時の設備の扱いなどが契約設計上の主な検討項目となります。
5-3. 再エネ電力メニュー・非化石証書
電力小売事業者が提供する「実質再エネ100%電力メニュー」への切り替えは、契約変更のみで導入できる比較的容易な手法です。ただし、メニューの内訳(FIT非化石証書付き・非FIT非化石証書付き・トラッキング付き等)により温対法・GHGプロトコル上の扱いが異なるため、メニュー選定時に「再エネ属性の帰属」「トラッキング情報の有無」の確認が基本となります。非化石証書は、再エネ電力の環境価値を証書として切り離して取引する仕組みで、日本卸電力取引所(JEPX)の非化石価値取引市場で調達される仕組みです(資源エネルギー庁「非化石価値取引」関連資料)。
6. 麻酔ガス(デスフルラン等)の環境影響
医療機関特有のScope1排出源として、手術室で使用される揮発性麻酔薬(デスフルラン・セボフルラン・イソフルラン等)と亜酸化窒素(N2O、笑気)が挙げられます。これらの医療用ガスは、単位重量あたりの地球温暖化係数(GWP)がCO2と比較して高い水準にあり、特にデスフルランは他の揮発性麻酔薬と比較しても高いGWP値が報告されています。国際的な麻酔科学会等の資料では、麻酔ガスの選択・低流量麻酔(Low Flow Anesthesia)・スカベンジャー(余剰麻酔ガス排除装置)の運用改善による排出削減の議論が進められています。
ただし、麻酔薬の選択は患者の全身状態・術式・麻酔科医の判断に基づく医学的な決定事項であり、環境影響のみを理由に薬剤選択を変更することは適切ではありません。本記事は麻酔管理の助言を目的とするものではなく、麻酔薬の選択・投与方法は主治医・麻酔科医の判断に委ねられるべき事項です。組織的な検討としては、麻酔科部門・環境担当部門・薬剤部で情報共有を行い、臨床上の安全性を最優先としたうえで、低流量麻酔運用・機器メンテナンス・スカベンジャー保守の観点で議論することが基本となります。
亜酸化窒素については、配管漏洩・使用量把握の観点が挙げられます。中央配管方式の場合、配管系統の漏洩率が使用量に対して相当な割合となる報告が国際的に存在するため、配管系統の点検・使用量記録との突合が改善余地の検討につながる場合があります。詳細な運用改善は、麻酔科・手術部・医療機器管理部門で個別に協議することになります。
7. 排出量算定・報告
医療機関の温室効果ガス排出量算定は、環境省「サプライチェーン排出量算定に関する基本ガイドライン」および「温室効果ガス排出量 算定・報告・公表制度」の各算定方法に沿って実施することが基本となります。算定は「活動量(電力使用量kWh・都市ガス使用量m3等)×排出係数(kg-CO2/kWh等)」の掛け算で構成され、活動量は電力・ガスの請求書・自家発電量・車両燃料伝票等から収集します。
Scope2の排出係数(電力の排出係数)は、契約している電力小売事業者ごと・年度ごとに公表される調整後排出係数を用いる方式が基本です。ロケーション基準(地域の平均係数)とマーケット基準(事業者別係数・再エネメニュー反映)の2種類を並記する国際的な整理があり、日本の温対法制度上は事業者別係数を用いる方式が中心となります。詳細は環境省・経済産業省の「電気事業者別排出係数」の公表資料で確認することができます。
Scope3は15カテゴリに分類され、医療機関では特にカテゴリ1(購入した製品・サービス:医薬品・医療消耗品)、カテゴリ5(廃棄物)、カテゴリ7(従業員通勤)が排出比率の大きい領域となる傾向があります。Scope3は活動量データの取得が難しいカテゴリも含まれるため、初年度は主要カテゴリのみを対象とし、翌年度以降に対象を広げる段階的な算定が実務上の基本となります。
8. 補助金・支援制度
医療機関のGX・省エネ・再エネ導入で活用可能な補助金は、環境省・経済産業省・資源エネルギー庁の各種公募事業として整備されています。主な枠組みとして、環境省の「二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金」(脱炭素経営SHIFT・ストレージパリティ等の各サブメニュー)、経済産業省・資源エネルギー庁の「先進的省エネルギー投資促進支援事業費補助金」「工場・事業場における先進的な脱炭素化技術導入・実証事業」、国土交通省の「サステナブル建築物等先導事業(ZEB)」等が挙げられます。公募スケジュール・要件・補助率は毎年度改定されるため、最新の公募要領の確認が前提となります。
補助金申請にあたっては、削減効果の算定根拠、設備仕様書、事業計画、実施体制、費用対効果の記述が求められることが一般的です。医療機関は診療実務を止めずに工事を実施する必要があるため、工事期間の運用制約(夜間・部分閉鎖工事)を事業計画に織り込む観点が重要となります。補助金の採択可否は個別の審査に委ねられ、本記事は特定の補助金の採択を保証するものではありません。詳細は環境省「補助・委託事業」・資源エネルギー庁「省エネ・非化石転換関連の補助金」等の公募情報で確認することができます。
9. よくある質問(FAQ)
- Q1. 中小病院でも省エネ法・温対法の報告対象になりますか?
- A. 省エネ法・温対法とも、事業者全体(法人単位)のエネルギー使用量が原油換算1,500kL/年以上となる場合に報告義務が発生する枠組みが基本となります。単独の中小病院ではこの水準に達しない例が多いものの、医療法人グループ・大学病院法人等では法人全体で集計するため対象となる場合があります。自院の該当性は、電力・ガス等の使用量を原油換算換算して集計し、資源エネルギー庁「省エネ法のポイント」等の基準に沿って判定することが基本となります(資源エネルギー庁「省エネ法」関連資料)。
- Q2. 再エネ電力メニューに切り替えるだけでCO2排出量はゼロになりますか?
- A. 電力小売事業者が提供する再エネ電力メニューへの切り替えにより、Scope2のマーケット基準の排出量を大きく低減できる場合があります。ただし、メニューの内訳(非化石証書付きの種類・トラッキング情報の有無)により温対法上の扱い・国際的な報告フレームでの評価が異なるため、メニュー選定時に「再エネ属性の帰属」「トラッキング情報の有無」の確認が基本となります。Scope1・Scope3の排出はメニュー切り替えでは減少しないため、包括的な削減計画の中で位置づけることが基本となります。
- Q3. ZEB化はどの程度のコスト増になりますか?
- A. ZEBの水準(『ZEB』『Nearly ZEB』『ZEB Ready』『ZEB Oriented』)、建物用途、地域気候、設計条件により初期投資は異なります。医療施設は24時間稼働・厳格な換気要件があるため、事務所ビル・学校等と比較すると設計上の制約が大きい傾向にあります。国土交通省・環境省・経済産業省のZEB関連補助金の活用、光熱費削減・BCP強化・従業員満足度向上等の非財務価値を含めた総合的な投資判断が基本となります。個別の試算は設計事務所・専門コンサルへの相談が想定されます(資源エネルギー庁「ZEB」関連資料)。
- Q4. SBT認定を取得するメリットは何ですか?
- A. SBT認定は、科学的知見に基づく削減目標を対外的に示す枠組みで、金融機関・投資家・取引先・自治体等の外部ステークホルダーに対する説明力の向上、削減目標達成に向けた社内体制の明確化、脱炭素化推進の内部モチベーション等が主な観点として挙げられます。医療機関単体のメリットは、経営規模・地域における位置づけ・産学連携の状況等により異なります。認定取得には目標設定・提出書類作成・審査対応のリソースが必要となるため、費用対効果の見極めが基本となります。
- Q5. 麻酔ガスの削減は具体的に何から始めれば良いですか?
- A. 麻酔ガスの管理は、臨床上の安全性が最優先事項であり、環境影響のみを理由に薬剤選択・投与方法を変更することは適切ではありません。組織的な検討としては、まず使用量データの把握(薬剤部の在庫管理・購入伝票の集計)から始め、麻酔科・手術部・環境担当部門で情報共有する体制を整えることが基本となります。運用改善の具体策は、麻酔科医・手術部長の医学的判断に委ねられます。本記事は医療行為の助言を目的とするものではなく、麻酔管理の意思決定は主治医・麻酔科医の評価・指示に基づいて行う必要があります。
10. 関連リンク
11. 出典・参考資料
- 環境省「地球温暖化対策の推進に関する法律」 https://www.env.go.jp/earth/ondanka/ghg-mrv/ (取得日:2026-07-04)
- 環境省「温室効果ガス排出量 算定・報告・公表制度」 https://ghg-santeikohyo.env.go.jp/ (取得日:2026-07-04)
- 環境省「サプライチェーン排出量算定に関する基本ガイドライン」 https://www.env.go.jp/earth/ondanka/supply_chain/gvc/ (取得日:2026-07-04)
- 環境省「二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金」 https://www.env.go.jp/earth/ondanka/biz_local/index.html (取得日:2026-07-04)
- 環境省「TCFD提言・気候関連情報開示」 https://www.env.go.jp/policy/kihon_keikaku/tcfd.html (取得日:2026-07-04)
- 資源エネルギー庁「省エネ法のポイント」 https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/enterprise/factory/ (取得日:2026-07-04)
- 資源エネルギー庁「省エネポータルサイト」 https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/ (取得日:2026-07-04)
- 資源エネルギー庁「ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)」 https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/general/building/ (取得日:2026-07-04)
- 資源エネルギー庁「非化石価値取引」 https://www.enecho.meti.go.jp/category/electricity_and_gas/electric/summary/nonfossil_value/ (取得日:2026-07-04)
- 経済産業省「GXリーグ」 https://www.meti.go.jp/policy/energy_environment/global_warming/GX-league/index.html (取得日:2026-07-04)
- 国土交通省「建築物省エネ法」 https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/shoenehou.html (取得日:2026-07-04)
- 厚生労働省「医療施設の建築・設備関連情報」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/index.html (取得日:2026-07-04)
【免責事項】本記事は環境省・経済産業省・資源エネルギー庁・厚生労働省・国土交通省・国際イニシアチブ運営団体の公開情報を整理した内容です。特定の再エネ事業者・設備メーカー・コンサルティング会社・補助金の採択を保証するものではありません。省エネ法・温対法・建築物省エネ法・補助金制度の内容は、改定や年度の見直しにより変動するため、個別判断は所管省庁および顧問の専門家にご確認ください。本記事は医療行為の助言を目的とするものではなく、麻酔薬・医療用ガスの選択・投与方法は主治医・麻酔科医の評価・指示に基づいて行う必要があります。本記事の情報利用によって生じた損害について、mitoru編集部は責任を負いません。
最終更新日:2026年7月4日|編集方針
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mitoru編集部の見解
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