電子帳簿保存法 医療事業者対応完全ガイド【2026年版・電子取引/スキャナ保存/電子帳簿の3区分対応】

📅最終更新:2026-05-26
※本記事には広告(PR)が含まれます。掲載判断は当サイトの編集基準に基づき行っています。 編集方針 | 最終更新日: 2026-05-24

電子帳簿保存法(以下、電帳法)は2024年1月1日から電子取引データの紙出力保存措置が原則廃止され、すべての法人・個人事業主に電子保存が義務化されました。クリニック・介護事業所においても、保険診療請求の支払通知、医療機器・介護用品リース契約、委託業務の請求書など、電子取引は日常的に発生しています。にもかかわらず「自分の事業所が何にどう対応すべきか分からない」「3区分の違いが整理できていない」という声は依然として多く聞かれます。

本記事はクリニック事務長・介護事業所経営者を主な読者と想定し、電帳法の3区分(電子帳簿等保存/スキャナ保存/電子取引保存)を医療・介護事業者の実務文脈に置き換えて整理します。具体的には、保険診療請求の支払通知や医療機器リース契約といった医療事業者特有の論点、電子取引の保存義務と例外、スキャナ保存の解像度・タイムスタンプ・検索要件、優良電子帳簿とその他の違い、会計SaaS・文書管理SaaSの活用、自己解析チェックリスト10項目、完全電子化に向かない事業者のパターン、FAQまでを国税庁等の公開情報をもとに整理します。なお、税務・法務の個別判断は顧問税理士・公認会計士等の専門家にご相談ください。

この記事で分かること

  • 電帳法3区分(電子帳簿等/スキャナ保存/電子取引)の違いと医療事業者への影響範囲
  • 保険診療請求・医療機器リース等、医療・介護事業者特有の電帳法論点
  • 電子取引データの保存義務と「相当の理由」による猶予の取扱い
  • スキャナ保存の解像度・タイムスタンプ・検索要件の実務的整備方法
  • 優良電子帳簿とその他電子帳簿の違い、過少申告加算税軽減のメリット
  • 会計SaaS・文書管理SaaSの位置づけと選定観点
  • 自院・自事業所の対応状況をその場で点検できる10項目チェックリスト
  • 完全電子化を急がない方が良いケースと判断軸

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1. 電子帳簿保存法の3区分——電子帳簿等/スキャナ保存/電子取引

電子帳簿保存法(正式名称:電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律)は1998年に施行され、その後の度重なる改正を経て、2022年度・2023年度税制改正で大きく整理されました。同法は国税関係帳簿・書類の保存方法に関する特例を定めており、対象書類の発生形態によって3区分に分かれます。3区分は別々の制度であり、自院・自事業所がどの区分に該当する書類を扱っているかを最初に切り分けることが、対応の出発点となります。

1-1. 電子帳簿等保存(区分①/任意)

電子帳簿等保存は、最初から会計ソフト等で電子的に作成した帳簿・書類(仕訳帳・総勘定元帳・貸借対照表・損益計算書等)を、紙に出力せず電磁的記録のまま保存する区分です。任意の制度であり、満たすべき要件によって「優良な電子帳簿」と「その他の電子帳簿」に分かれます。優良要件を満たすと、後述する過少申告加算税の軽減措置(一定の要件下で5%軽減)の対象となります。

1-2. スキャナ保存(区分②/任意)

スキャナ保存は、紙で受領・作成した領収書・請求書・契約書等をスキャナで電子化して保存する区分です。要件を満たした場合に限り、税法上は原本の紙を廃棄できます。任意制度であるため、紙のまま保存し続けることも認められています。解像度・タイムスタンプ・検索機能等の要件は後述します。

1-3. 電子取引保存(区分③/2024年1月から義務)

電子取引保存は、メール添付PDF・クラウド発行請求書・EDI取引等の「電子的に授受した取引情報」を電磁的記録として保存する区分です。2024年1月1日から猶予措置が終了し、すべての法人・個人事業主に対し電子データのまま保存することが原則義務となりました。印刷した紙だけを保存して電子データを破棄することは原則として認められません(国税庁「電子帳簿等保存制度特設サイト」)。

区分対象書類の発生形態義務/任意主な要件(骨子)
①電子帳簿等保存自院で電子作成した帳簿・決算書類任意(優良帳簿は加算税軽減メリット)訂正削除履歴・相互関連性・検索・見読可能性
②スキャナ保存紙で受領した請求書・領収書等任意(紙廃棄するなら要件充足が必須)200dpi以上・タイムスタンプ等・検索要件
③電子取引保存電子的に授受した取引情報義務(2024年1月〜)改ざん防止措置・検索要件・見読可能性

出典:国税庁「電子帳簿等保存制度特設サイト」(https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/index.htm 2026-05-24取得)

書類+印鑑

2. 医療事業者特有の論点——保険診療請求・医療機器リース・介護報酬

電帳法の制度自体は業種横断ですが、医療・介護事業者では一般法人と異なる固有の書類フローがあり、対応の優先順位を考えるうえで個別整理が役立ちます。

2-1. 保険診療請求と支払通知

クリニック・医療機関のレセプト請求は、社会保険診療報酬支払基金・国民健康保険団体連合会(国保連)に対しオンライン請求が原則化されています。支払基金・国保連からの支払通知書・増減点連絡書等もオンライン請求システム等を通じて電子的に提供される運用が広がっており、これらを電子的に受領した場合は電帳法上「電子取引」に該当します。介護報酬の請求についても、国保連を通じた電子請求が一般的で、支払通知・返戻データの電子受領が電子取引保存の対象となります。レセコン・電子請求ソフトからの出力データを電帳法要件に沿って保存するか、別途エクスポートして会計連携するか、現場での運用設計が必要です。

2-2. 医療機器・介護用品のリース/割賦契約

CT・MRI・電子カルテシステム・介護用ベッド・送迎車両等のリース契約、割賦契約は、契約期間が5〜10年に及ぶことが多く、契約書・請求書をクラウド契約・電子メールで授受する場合は電子取引として長期保存が必要です。契約満了までデータの可読性・検索性を維持する仕組み(クラウド保管・社内NASでの整理規程等)が求められます。

2-3. 委託費・外注費の電子請求書

検体検査の外注、医療廃棄物処理、清掃・給食委託、医事事務委託、介護事業所での送迎委託・夜勤専従の業務委託など、医療・介護事業者には委託取引が多く、PDF請求書のメール送付が一般的です。これらはすべて電子取引保存の対象となります。

2-4. 医療・介護事業者特有のリスクポイント

  • 書類フローが部署横断で分散:医事課・看護部・介護現場・経理・院長/施設長宛に書類が個別に届くため、電子取引の捕捉漏れが発生しやすい
  • レセコン・介護ソフトと会計ソフトの分断:保険診療請求系のシステムと会計系のシステムが別ベンダーであることが多く、データ連携の設計が必要
  • 個人情報・診療情報の取扱い:医療・介護データには個人情報保護法・医療情報システム安全管理ガイドライン等の別法令の規制も並行して適用される
  • 少人数事務体制:事務スタッフが1〜2名の事業所では新ルール対応に充てる時間確保が課題になりやすい

出典:厚生労働省「オンライン請求の推進」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000204517.html 2026-05-24取得)、厚生労働省「介護給付費等の請求及び受領に関する省令」関連資料(https://www.mhlw.go.jp/ 2026-05-24取得)

3. 電子取引データの保存義務と「相当の理由」による猶予

電子取引保存(区分③)は2024年1月1日から義務化されており、電子的に授受した取引情報(PDF請求書、クラウド発行領収書、EDIデータ等)は電子データのまま保存することが原則です。保存にあたっては、改ざん防止措置・検索要件・見読可能性のいずれも満たす必要があります。

3-1. 改ざん防止措置——タイムスタンプ方式と事務処理規程方式

改ざん防止措置は次のいずれかを選択します。中小規模の医療・介護事業者では、事務処理規程方式を選択することで運用コストを抑える例が多く見られます。

  • 認定タイムスタンプ方式:受領した電子取引データに、総務大臣が認定するタイムスタンプ事業者のタイムスタンプを付与する
  • 事務処理規程方式:訂正・削除を防止する社内規程(事務処理規程)を整備し、規程に沿って保存する(国税庁が規程のサンプルを公表)
  • 訂正・削除履歴が残るシステム使用:訂正・削除が記録される or 訂正・削除自体ができない会計・文書管理システムで保存する

3-2. 検索要件の3項目

電子取引データを保存する際には、次の3つの検索要件を満たす必要があります。ただし、判定期間(基準期間)の売上高が5,000万円以下である等の小規模事業者については、税務調査時にダウンロードの求めに応じることを前提として検索要件が緩和されています。

  • 取引年月日・取引金額・取引先で検索できること
  • 日付・金額については範囲指定検索ができること
  • 2以上の任意の記録項目を組み合わせた条件で検索できること

3-3. 「相当の理由」がある場合の猶予措置

2024年1月の義務化以降も、保存時の要件にしたがって保存できなかったことについて納税地等の所轄税務署長が「相当の理由」があると認める場合は、電子取引データのダウンロード等の求めに応じることができ、かつ、当該データを出力した書面の提示・提出ができる場合に限り、保存要件を満たすことが不要となる猶予措置が設けられています。ただし「相当の理由」の該当性は税務署判断であり、形式的に印刷保存のみで運用継続できるという意味ではない点に注意が必要です(国税庁「電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】」)。

出典:国税庁「電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】」(https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/index.h h –>

4. スキャナ保存の要件——解像度・タイムスタンプ・検索要件

スキャナ保存(区分②)は任意制度ですが、紙の保管スペース削減や検索性向上のメリットを目的に導入が広がっています。要件を満たすことで原本の紙を税法上廃棄できます(医療法・健康保険法等、別法令の保存義務がある書類は別途確認が必要)。

4-1. 解像度・階調・サイズ情報

  • 解像度:200dpi相当以上で読み取り
  • 階調:カラー256階調以上(重要書類が対象。一般書類はグレースケール可)
  • 大きさ情報:A4以下の書類はサイズ情報の保存は不要、A4超の書類は大きさ情報の保存が必要(重要書類のみ)

4-2. タイムスタンプ・訂正削除防止

  • 受領・作成からおおむね2か月と概ね7営業日以内に認定タイムスタンプを付与する、または、訂正・削除の事実と内容が記録されるシステム(あるいは訂正・削除ができないシステム)で同期間内に保存する
  • 入力期間内の入力事実が確認できること

4-3. 検索要件・見読可能性

  • 取引年月日・取引金額・取引先による検索ができること(範囲指定・組合せ検索を含む)
  • 14インチ以上のカラーディスプレイ・カラープリンターと操作説明書を備え、整然とした形式で速やかに出力できること

4-4. 重要書類と一般書類の区別

スキャナ保存の対象書類は「重要書類」と「一般書類」に区分されます。重要書類(契約書・領収書・請求書等)は厳格な要件が課される一方、一般書類(見積書・注文書・検収書等)はカラーではなくグレースケール保存も認められる等、要件が一部緩和されています。区分の詳細は国税庁「スキャナ保存対象書類の区分一覧」等で確認できます。

出典:国税庁「電子帳簿保存法一問一答【スキャナ保存関係】」(https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/index.htm 2026-05-24取得)

5. 電子帳簿の優良/その他の違い——加算税軽減と要件比較

電子帳簿等保存(区分①)の電子帳簿は「優良な電子帳簿」と「その他の電子帳簿」に分かれ、満たす要件と税制上の特典が異なります。優良電子帳簿の要件を満たし、所定の届出書を提出した場合、当該帳簿に係る修正申告等に対する過少申告加算税が5%軽減される措置が設けられています(隠ぺい・仮装等があった場合等を除く)。

要件項目優良な電子帳簿その他の電子帳簿
訂正・削除履歴の記録必要不要
帳簿間の相互関連性確保必要不要
検索機能(日付・金額・取引先)必要(範囲指定・組合せ含む)原則不要(税務調査時のダウンロード対応を前提)
見読可能性(ディスプレイ・プリンター・マニュアル)必要必要
過少申告加算税の軽減(5%)適用あり(届出書提出が条件)適用なし

その他の電子帳簿は要件が軽い反面、加算税軽減等の特典は受けられません。優良電子帳簿に該当するためには、対応する会計ソフトの利用に加えて、所轄税務署長への届出書(過少申告加算税の特例の適用を受ける旨の届出書)の提出が必要です。届出書のフォーマット・記載要領は国税庁ホームページで提供されています。

出典:国税庁「優良な電子帳簿の要件」関連資料(https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/index.htm 2026-05-24取得)

6. 会計SaaS・文書管理SaaSの活用——選定の観点と注意点

電帳法の3区分すべてに対応する体制を、自前のフォルダ管理・規程運用だけで構築するのは現実的ではありません。実務上は、電帳法対応のクラウド会計サービス(会計SaaS)と、領収書・請求書を集約する文書管理SaaS(経費精算・証憑管理サービス)を組み合わせて運用するのが一般的です。サービス選定にあたっては、機能スペックだけでなく以下のような観点で確認するのが安全です。

6-1. 選定時に確認したい観点

  • JIIMA認証の取得状況:公益社団法人 日本文書情報マネジメント協会(JIIMA)が認証する「電子帳簿ソフト法的要件認証」「スキャナ保存ソフト法的要件認証」「電子取引ソフト法的要件認証」のうち、どの認証を取得しているか
  • 3区分のカバー範囲:1サービスで3区分すべてをカバーするか、複数サービス連携で対応するか
  • レセコン・介護ソフトとのデータ連携:自院・自事業所が使用している保険診療請求系システムとのCSV連携・API連携の可否
  • 料金体系のスケール:拠点数・ユーザー数の増減への料金影響
  • サポート体制:ヘルプセンター・チャットサポート・税理士連携機能の有無
  • 導入時のデータ移行:既存会計データ・過去保存書類の移行支援の範囲
  • セキュリティ認証:ISMS(ISO27001)・SOC2等のセキュリティ第三者評価の取得状況

6-2. 文書管理SaaS活用の位置づけ

会計SaaSが「仕訳・帳簿の電子保存」を担うのに対し、文書管理SaaS(経費精算・証憑管理サービス)は「電子取引データ・スキャナ保存対象書類の保管・検索」を担う棲み分けが一般的です。少人数事務体制のクリニック・介護事業所では、会計SaaSが文書管理機能を内包しているサービスを選ぶことで、システム数の増加によるオペレーション複雑化を抑えられる場合があります。一方、複数拠点・多職種が証憑を持ち回りでアップロードする運用が想定される場合は、文書管理SaaSを独立して導入する設計が機能要件を満たしやすくなります。

6-3. 注意点——SaaS選定だけでは完結しない

SaaSは「電帳法対応のための器」を提供しますが、それを使いこなして法令要件を実態として満たすのは事業者側の運用です。事務処理規程の整備、検索キーの統一ルール、書類受領担当者への教育、訂正削除の運用統制等を含む実務体制を伴って初めて要件充足となります。SaaSの導入と同時に、社内オペレーションの設計を顧問税理士と確認することが重要です。

7. 自己解析チェックリスト10項目

自院・自事業所の電帳法対応状況を簡易に点検するためのチェックリストです。10項目のうち「いいえ」が3つ以上ある場合は、顧問税理士と現状の整理から始めることを推奨します。

  1. 院内・事業所内のどの部署・誰が電子的に請求書・領収書等を受領しているか、リストアップできているか
  2. 支払基金・国保連からの電子的な支払通知・返戻データを電子データのまま保存しているか
  3. 医療機器・介護用品のリース契約書を電子受領した場合、契約満了まで電子データを管理できる体制か
  4. メール添付PDFの請求書を「印刷だけして電子データを破棄」していないか
  5. 改ざん防止措置として、タイムスタンプ・事務処理規程・訂正削除履歴システムのいずれかを採用しているか
  6. 電子取引データを取引年月日・金額・取引先で検索できる状態になっているか
  7. 判定期間の売上高が5,000万円超の場合、範囲指定検索・組合せ検索ができる状態になっているか
  8. スキャナ保存を行う場合、200dpi以上・必要なタイムスタンプ等の要件を満たしているか
  9. 会計ソフトで作成する仕訳帳・元帳を電子保存しており、優良電子帳簿の届出有無を顧問税理士と確認してい ぎ時にも運用が維持できる仕組みになっているか

8. 完全電子化に向いていない事業者のパターン

電帳法は電子取引の電子保存を義務付けていますが、3区分すべてを最大限電子化することが必ずしも全事業者にとって最適とは限りません。スキャナ保存・優良電子帳簿等の任意制度については、自院・自事業所の特性に応じて慎重に判断する余地があります。

8-1. スキャナ保存を急がない方が良いケース

  • 紙書類の発生量が少ない:月間の紙請求書が10件未満等、紙保管コストが小さく、スキャン・タイムスタンプ運用のコストの方が大きい
  • 事務スタッフが1名以下:スキャナ保存運用の相互牽制・定期検査体制を組めない
  • 引退・事業承継を予定:数年内に事業を畳む・承継する予定で、長期運用前提のシステム投資の回収が見込めない

8-2. 優良電子帳簿の届出を急がない方が良いケース

  • 会計ソフトが未対応:使用中の会計ソフトが優良電子帳簿の要件を満たしていない
  • 顧問税理士による帳簿作成代行:帳簿作成を全面的に税理士に委託しており、税理士事務所側のシステム対応状況が固まっていない
  • 過去帳簿の整備が未完了:複数年に遡る帳簿整備が完了していない段階での届出は実態と齟齬が出る可能性

8-3. 電子取引保存は猶予期待での先送りNG

「相当の理由」による猶予措置は、税務調査時に税務署が個別判断するものであり、事業者側で当然に猶予されると見込んで対応を先送りする運用は推奨されません。電子取引保存は義務であり、最低限の事務処理規程整備+検索可能なフォルダ管理だけでも先行着手することが安全です。

9. よくある質問(FAQ)

Q1. 個人事業主のクリニックでも電子取引保存の義務はありますか?
はい、電子取引保存(区分③)は法人・個人事業主を問わずすべての事業者に適用されます。判定期間の売上高に応じて検索要件が緩和される措置はありますが、保存義務そのものは個人事業主にも及びます(国税庁「電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】」)。
Q2. 紙で受領した請求書はスキャナ保存しないと違法ですか?
いいえ、スキャナ保存は任意制度です。紙で受領した請求書は紙のまま保存し続けることが認められています。スキャナ保存を選択した場合に限り、要件を満たすことで原本の紙を税法上廃棄できる、という制度設計です。
Q3. 電子取引データを保存していない場合のペナルティは何ですか?
電子取引保存義務に違反した場合、税務調査の際に「帳簿書類の備付け等が不十分」と判断され、青色申告承認取消や重加算税対象となる可能性があります。具体的な不利益処分は税務署判断によります。詳細は顧問税理士にご確認ください。
Q4. レセコンから出力する電子請求書は電子取引保存の対象ですか?
レセコン・電子請求ソフトを使って支払基金・国保連にオンライン請求を行い、その電子的な支払通知・返戻データを電子的に受領した場合は、電子取引保存の対象となります。レセコンベンダー・電子請求ソフトベンダーの電帳法対応状況を確認し、必要に応じて会計ソフトとのデータ連携・保存設計を顧問税理士と相談してください。
Q5. 複数施設を運営する介護事業者は施設ごとに対応が必要ですか?
電帳法の対応義務は法人単位ですが、電子取引の受領窓口が施設ごとに分散している場合は、施設横断での保存・検索体制の構築が必要です。クラウド型の会計SaaS・文書管理SaaSで本部一元管理する運用設計が一般的な選択肢の一つとなります。
Q6. 医療法・健康保険法上の保管義務と電帳法の関係はどうなりますか?
診療録(カルテ)・診療諸記録等は医療法施行規則・健康保険法等で別途の保存義務(原則5年等)が定められており、電帳法とは別の根拠法令です。スキャナ保存で税法上の原本紙廃棄が可能となっても、医療法令上の保存義務が並行して残る書類もあるため、廃棄可否の最終判断は顧問税理士・医療分野に詳しい弁護士に確認することを推奨します。
Q7. IT導入補助金は電帳法対応のシステム導入に使えますか?
IT導入補助金(インボイス枠等を含む)では、会計ソフト・受発注ソフト・決済ソフト等が補助対象となる場合があります。補助対象ツールは独立行政法人中小企業基盤整備機構・IT導入補助金事務局が公表するリストに掲載されたものに限られ、毎年度の公募要件・補助率・上限額が変更されます。最新の公募要領をあらかじめ公式サイトで確認してください。
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10. 出典・参考資料

公的出典

  • 国税庁「電子帳簿等保存制度特設サイト」(https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/index.htm 2026-05-24取得)
  • 国税庁「電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】」(https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/07.htm 2026-05-24取得)
  • 国税庁「電子帳簿保存法一問一答【スキャナ保存関係】」(https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/06.htm 2026-05-24取得)
  • 国税庁「電子帳簿保存法一問一答【電子計算機を使用して作成する帳簿書類関係】」(https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/05.htm 2026-05-24取得)
  • 国税庁「優良な電子帳簿の要件」関連資料(https://www.nta.go.jp/publication/pamph/sonota/0021005-038.pdf 2026-05-24取得)
  • 国税庁「はじめませんか、帳簿書類の電子化!」パンフレット(https://www.nta.go.jp/publication/pamph/sonota/0021005-038_01.pdf 2026-05-24取得)
  • 厚生労働省「オンライン請求の推進」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000204517.html 2026-05-24取得)
  • デジタル庁「デジタルインボイス(Peppol)に関する取組」(https://www.digital.go.jp/policies/electronic_invoice 2026-05-24取得)
  • 公益社団法人 日本文書情報マネジメント協会(JIIMA)「電帳法スキャナ保存ソフト法的要件認証制度」(https://www.jiima.or.jp/certification/ 2026-05-24取得)

免責事項

本記事は公開情報をもとに整理した情報提供を目的としており、税務・法務・会計に関する個別の判断や具体的なアドバイスを提供するものではありません。電帳法の要件適用は事業者ごとの個別事情によって異なるため、具体的な対応については顧問税理士・公認会計士等の専門家にご相談ください。掲載情報は2026年5月24日時点のものであり、法令改正・通達変更・各種サービス内容の変更等により情報が変わる場合があります。記載に誤りや古い情報が見つかった場合は 訂正窓口 までご連絡いただければ、編集部が確認のうえ訂正します。

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mitoru編集部の見解

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